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相続税評価額の調べ方|路線価と固定資産税評価額から算出する方法

相続した実家を売ろうと相続税の申告書を見ると、「相続税評価額」という欄に記入する数字が分からず手が止まります。土地の相続税評価額は、国税庁が毎年7月に公表する路線価(ろせんか)に面積を掛ける路線価方式で算出し、建物は固定資産税評価額をそのまま使います。

路線価が定められていない地域では、固定資産税評価額に一定の倍率を掛ける倍率方式を使います。どちらの方式でも、評価額は実際の売却価格より低く出るのが一般的です(2026年9月時点)。

本記事では、相続税評価額の具体的な調べ方と計算例、評価額を誤ったときの影響について解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 確定申告が初めてで、相続した実家の評価額をどう調べれば手元に残る金額が見えてくるのか分からない50歳の方
  • 路線価と固定資産税評価額の使い分けが分からず、税理士に相談する前に自分でおおよその額を把握したい方
  • 相続税の申告期限が近づく中、評価額の算出方法を誤って余計な税金を払うのではと心配している方

相続税評価額とは|不動産売却前に知っておきたい基礎

相続税評価額は、相続税額を計算するときの基準になる財産の金額です。不動産売却で実際に得られる金額(時価)とは別の基準で、土地と建物それぞれに算出方法が定められています。

土地の相続税評価額は、路線価方式か倍率方式のいずれかで算出します。建物の相続税評価額は、毎年市町村から送られる固定資産税の通知書に記載された固定資産税評価額をそのまま使うため、別に計算する必要はありません。

相続税評価額は、相続税の申告だけでなく、相続した不動産を売却するかどうかを判断する材料にもなります。評価額と売却価格の差を把握しておくと、不動産売却にかかる税金と費用の全体像も見通しやすくなります。

相続税評価額は時価の目安にはなりますが、売却価格そのものではありません。売却時は別途、不動産会社の査定を受けてください。

土地の相続税評価額の調べ方|相続税路線価を使う路線価方式

土地が面している道路に相続税路線価が定められている場合、相続税評価額は路線価方式で算出します。相続税路線価は、国税庁が毎年7月に公表する路線価図で確認でき、1㎡あたりの価格が道路ごとに表示されています。

路線価方式の計算式

路線価方式の基本式は「相続税路線価(1㎡あたり)× 土地の面積 × 各種補正率」です。補正率は、土地の形が整っていない場合や2つの道路に面している場合などに、評価額を調整するために使います。角地や旗竿地(はたざおち、道路に接する部分が狭い土地)では補正率によって評価額が上下するため、正確な補正率は税理士か税務署に確認したほうが安全です。

路線価図は国税庁のウェブサイトで無料で確認できます。路線価とは?土地の売却相場を掴む調べ方で解説しています。

相続税路線価と固定資産税路線価の違い

相続税路線価と固定資産税路線価は、どちらも「路線価」という名前がついていますが、別の制度です。相続税路線価は相続税・贈与税の算定に使い、公示地価の80%程度を目安に国税庁が設定します。固定資産税路線価は固定資産税・都市計画税の算定に使い、公示地価の70%程度を目安に市町村が設定します。

2つの路線価は参照する地点も価格も異なるため、固定資産税の通知書に書かれた数字を相続税の計算にそのまま使うと、評価額を誤ります。公示地価との関係は公示地価とは?調べ方と売却相場への影響で解説しています。

相続税路線価と固定資産税路線価を混同すると評価額が大きく変わるため、申告前に国税庁のサイトで路線価の種類を確認してください。

家・マンションの相続税評価額の調べ方|固定資産税評価額の使い方

家やマンションなど建物の相続税評価額は、固定資産税評価額をそのまま使います。固定資産税評価額は市町村が3年ごとに見直す金額で、建築費のおおむね50〜70%程度が目安とされています。

固定資産税評価額の確認方法

固定資産税評価額は、毎年春に届く固定資産税の納税通知書に同封されている「固定資産税課税明細書」で確認できます。通知書が手元にない場合は、不動産がある市町村の役所で固定資産評価証明書を取得すれば確認できます。

マンションの評価額の算出

マンションの場合、建物部分は固定資産税評価額を使い、土地部分(敷地権)は路線価方式か倍率方式で算出した金額に、持っている敷地の割合を掛けて算出します。2024年1月以降に相続・贈与した一定のマンションについては、国税庁の通達により評価方法が見直され、従来の計算より評価額が上がるケースがあります。対象になるかどうかは、税理士に確認したほうが安全です。

マンションの地目(ちもく、土地の用途区分)によっても評価の前提が変わるため、地目とは?土地売却との関わりと調べ方も合わせて確認しておくと、評価額の見当がつけやすくなります。

2024年以降のマンション評価の見直しで、タワーマンションなど一部の物件は評価額が上がっています。該当しそうな場合は早めに税理士へ相談してください。

路線価がない土地の評価方法|倍率方式での算出

郊外や農村部など、路線価が定められていない地域では、倍率方式で土地の相続税評価額を算出します。倍率方式の計算式は「固定資産税評価額 × 評価倍率」です。評価倍率は、国税庁が公表する評価倍率表で地域ごと・地目ごとに確認できます。

評価倍率表は路線価図と同じページで公開されていて、都道府県と市区町村を選ぶと一覧が表示されます。土地の地目が宅地か畑か山林かによって倍率が異なるため、地目によって評価の前提が変わる点に注意してください。

土地が用途地域の指定を受けているかどうかも、将来の土地活用や売却のしやすさに影響します。用途地域とは?土地の建築制限と調べ方も参考にしてください。

倍率方式の地域でも、評価倍率表の「倍率」を1.0倍と見間違えて計算を誤る例があります。表の単位まで確認してください。

具体例で見る相続税評価額の計算|実家のケース

実際の数字で、土地と建物の相続税評価額を合計してみます。相続した実家が、相続税路線価18万円/㎡の道路に面した150㎡の土地と、固定資産税評価額350万円の木造住宅、再建築価額から減価償却費を控除した額の70%相当額が50万円の付属設備(物置・塀など)で構成されている場合を想定します。

土地の相続税評価額は「18万円 × 150㎡ = 2,700万円」(補正率1.0と仮定)で、建物の相続税評価額は固定資産税評価額をそのまま使うため350万円、付属設備の相続税評価額は再建築価額から減価償却費を控除した額の70%で算出するため50万円です。合計すると、相続税評価額は3,100万円になります。

このケースで、相続税評価額3,100万円の内訳を示すと次のようになります。

土地 約87%(2,700万円)
建物 約11%(350万円)
付属設備 約2%

※相続税路線価18万円/㎡・150㎡の土地と固定資産税評価額の建物・付属設備で算出した概算例(2026年9月時点)

土地の評価額が全体の9割近くを占めており、相続税評価額を大きく動かすのは土地の路線価と面積であることが分かります。

この3,100万円がそのまま相続税額になるわけではありません。評価額から基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を引いた課税遺産総額を法定相続分で分けたと仮定して各人の税額を計算し、それらを合計して相続税の総額を求めます。相続税評価額とは?土地の調べ方と遺産分割の注意点では、評価額が遺産分割にどう影響するかも解説しています。

評価額の合計だけでなく、基礎控除や特例を適用した後の金額で税額が決まります。評価額=税額ではない点に注意してください。

評価額を見誤ると損をする理由|小規模宅地等の特例と申告期限

相続税評価額を誤ると、払う必要のない税金を払ってしまうことがあります。とくに影響が大きいのが小規模宅地等の特例です。故人が住んでいた土地を配偶者や同居していた親族が相続する場合、330㎡までの部分について相続税評価額を80%減額できる制度で、適用できれば税額が大きく変わります。

先ほどの例で土地の評価額2,700万円に特例を適用すると、評価額は540万円まで下がります。特例の適用には、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内の申告期限内に、必要な書類を揃えて申告する条件があります。期限を過ぎると特例を使えなくなる場合があるため、早めに税理士へ相談したほうが安全です。

小規模宅地等の特例は申告期限内に手続きしないと適用できません。実家の売却を迷っていても、まず期限内に申告だけは済ませてください。

自分で調べるか税理士に依頼するか|相続税評価額の確認方法

路線価方式や倍率方式の計算自体は、国税庁のウェブサイトで路線価図と評価倍率表を見れば、自分でおおよその金額を算出できます。土地の形が整っていて、補正が不要な場合は、自分で算出した金額と税理士の算出した金額が大きくずれることは少ないです。

一方、土地の形がいびつだったり、複数の道路に面していたり、小規模宅地等の特例の対象になるかどうか判断が難しい場合は、自分で算出した評価額をそのまま申告に使うと、過大に申告して税金を払い過ぎるおそれがあります。相続税の申告は税理士に依頼すれば、評価額の算出と特例の適用判断をまとめて確認してもらえます。

実家を売却するかどうかを含めて検討している場合は、相続税評価額の計算と並行して、手元に残る金額の見通しを立てておくと、申告後の判断がしやすくなります。

土地の形がいびつな場合や特例の適用に迷う場合は、自分で計算した評価額をそのまま申告せず、税理士に確認してから提出してください。

よくある質問

相続税評価額と固定資産税評価額はどう違いますか?

相続税評価額は相続税・贈与税を計算するための金額で、土地は路線価方式か倍率方式、建物は固定資産税評価額をそのまま使って算出します。固定資産税評価額は毎年の固定資産税を計算するための金額で、建物についてはそのまま相続税評価額として使いますが、土地については別の基準で算出し直す必要があります。

相続税路線価が分からない地域はどうすればいいですか?

相続税路線価が定められていない地域では、固定資産税評価額に評価倍率を掛ける倍率方式で算出します。評価倍率は国税庁の評価倍率表で、土地がある都道府県と市区町村、地目を選ぶと確認できます。

評価額の計算を間違えて申告してしまったらどうなりますか?

評価額を少なく申告してしまった場合は、税務署から指摘を受けて追加の税金と延滞税を求められる可能性があります。評価額を多く申告した場合は、法定申告期限から5年以内に更正の請求をすれば、払い過ぎた税金を返してもらえます。どちらの場合も早めに税理士に相談し、修正の手続きを進めてください。

相続税評価額は不動産売却時の価格と同じですか?

相続税評価額は、実際の不動産売却価格(時価)より低く出るのが一般的です。土地の相続税評価額は公示地価の80%程度、固定資産税評価額は公示地価の70%程度が目安とされています。不動産売却を検討する場合は、評価額とは別に不動産会社の査定を受けて、実際の売却価格の見当をつける必要があります。

小規模宅地等の特例はどんな土地でも使えますか?

小規模宅地等の特例は、故人が住んでいた土地を配偶者や同居していた親族などが相続する場合に、330㎡までの部分の評価額を80%減額できる制度です。相続する人や土地の使い方によって適用条件が異なるため、対象になるかどうかは税理士か税務署に確認したほうが安全です。

相続税評価額の調べ方を押さえて不動産売却の判断につなげる

相続税評価額は、土地であれば相続税路線価を使った路線価方式か、固定資産税評価額に評価倍率を掛けた倍率方式で算出し、建物であれば固定資産税評価額をそのまま使います。相続税路線価と固定資産税路線価は似た名前でも別の制度のため、申告前にどちらの数字を使っているか確認する必要があります。

評価額を自分で算出できても、小規模宅地等の特例の適用や申告期限の管理は、税理士に確認したほうが安全です。ぜひ本記事の計算方法と具体例を参考に、相続した不動産の評価額を把握し、申告と売却の判断を進めてください。

出典

  • 国税庁「路線価図・評価倍率表」
  • 国税庁「財産評価基本通達」
  • 国税庁「財産評価基本通達97(附属設備等の評価)」
  • 国税庁「相続税の申告書等の様式一覧(小規模宅地等の特例)」
  • 国税庁「居住用の区分所有財産の評価について」
  • 国税庁「No.4155 相続税の税率」
  • 国税通則法第23条(更正の請求)
  • 総務省「固定資産税」
  • 相続税法第27条1項
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