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相続した土地の価格を調べる方法と売却前の注意点

親から相続した土地について、固定資産税の納税通知書は毎年届くものの、実際の売却価格を示す書類は手元にないという状態が続いている方は少なくありません。

相続した土地の価格は、国税庁の路線価図、国土交通省の地価公示、市区町村から届く固定資産税評価額という3つの公的データと、不動産ポータルサイトの成約事例、不動産会社の匿名査定を組み合わせることで、個人情報を伝えずに概算を出せます。公的データの数値は2026年9月時点のものを前提に解説します。

本記事では、相続した土地の価格を売却前にスマホだけで確認する方法と、売却を検討する際に確認しておきたい注意点を解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 相続した地方の土地の価格を、売却するか決める前にまずスマホだけで調べておきたい48歳の方
  • 不動産会社からの営業電話を避けたいため、個人情報を渡さずに相続地の相場を確認する方法を探している方
  • 兄弟と共有している相続土地の価値を把握したいが、査定に出す前に注意点も知っておきたいと考えている方

相続した土地の価格はどこで分かる?調べ方の全体像

相続した土地の価格を調べる方法は、大きく分けて公的機関が公表しているデータを参照する方法と、不動産ポータルサイトや不動産会社の査定を使う方法の2通りがあります。どちらも無料で確認でき、前者は個人情報の入力が一切不要です。

公的データで確認する方法

国税庁の路線価図、国土交通省の地価公示・地価調査、市区町村の固定資産税評価額の3つを見れば、その土地のおおよその評価額が分かります。いずれもインターネット上で無料公開されており、住所を入力するだけで数値が表示されます。

不動産ポータルサイトで確認する方法

公的データは実際の売買価格そのものではなく、あくまで評価や取引の目安です。近隣の実勢価格に近い感覚をつかむには、国土交通省の不動産情報ライブラリに登録されている実際の取引価格や、不動産ポータルサイトに掲載中の類似物件の価格も合わせて確認すると、相続した土地の価格帯をより立体的に把握できます。

公的データだけ見ると、実際の売却価格より高く感じることが多いので、両方を見比べてください。

営業電話なしで相続した土地の売却相場を知る方法

不動産会社に電話がかかってくることを避けたい場合、まず試すべきは公的データの閲覧と匿名査定の2つです。匿名査定とは、住所や築年数などの条件だけを入力し、氏名や電話番号を伝えずに概算価格を知れる仕組みで、不動産会社からの連絡が発生しません。

一方、複数社から一括で査定を取る一括査定サービスは、申し込み後に各社から営業電話がかかってくる仕組みが一般的です。匿名で調べたい段階と、実際に土地売却の相談をしたい段階では、使うべきサービスが異なります。両者の違いは匿名査定と一括査定の違いで解説しています。

「まだ売ると決めていない」段階なら、匿名査定だけで十分に価格の目安がつかめます。

相続税路線価と固定資産税評価額で見る土地の価格

公的データのうち、相続と関わりが深いのが相続税路線価と固定資産税評価額です。どちらも土地そのものの売却価格ではなく、税金を計算するための基準額である点に注意が必要です。

相続税路線価の見方

相続税路線価は、国税庁の財産評価基準書で公開されており、道路に面した土地1平方メートルあたりの評価額が千円単位で示されています。一般に、相続税路線価は地価公示価格の約80%水準に設定されているとされ、路線価を0.8で割り戻すとおおよその地価公示価格(実勢価格の目安)が計算できます。

固定資産税評価額の見方

固定資産税評価額は、市区町村から毎年送付される固定資産税の納税通知書に記載されており、地価公示価格の約70%水準とされています。路線価と同様、0.7で割り戻すと実勢価格のおおまかな目安になります。どちらも地域差があるため、あくまで概算としてとらえてください。

土地の価格を示す指標とその水準
指標公表機関地価公示価格に対する水準の目安
地価公示価格国土交通省100%
相続税路線価国税庁約80%
固定資産税評価額市区町村約70%

出典:国税庁・国土交通省の公表資料をもとに作成(2026年9月時点)

マンションを相続した場合は評価方法が土地と異なるため、別の視点で確認する必要があります。

土地の価格を左右する形状と立地の条件

同じ地域、同じ面積の土地でも、形状や接道状況によって売却価格は大きく変わります。相続した土地が正方形や長方形に近い整形地なのか、間口が狭く細長い旗竿地(はたざおち)なのかによって、公的データの評価額と実際の売却価格の差が広がることがあります。

接道状況と土地の形

道路に2メートル以上接していない土地は、建物を新築できない再建築不可物件になる場合があり、売却価格が公的データの評価額を大きく下回ることがあります。相続した土地の間口や接道の幅は、地積測量図や公図、現地測量などで確認できます。

周辺環境と用途地域

用途地域(住宅専用か商業系かなどの都市計画上の区分)によっても、同じ路線価でも建てられる建物の種類が異なり、土地の価格に差が出ます。土地の形状が価格に与える影響については土地の形で価格はどれくらい変わる?で解説しています。

路線価だけでは旗竿地や不整形地の減額要因が反映されないため、現地の形状確認を省かないでください。

相続した土地を売却する前に確認したい名義と登記

価格の見当がついても、相続した土地の名義が故人のままになっていると、売却の手続きに進めません。売却前の段階で確認しておくべき事項を整理します。

相続登記の義務化と期限

2024年4月1日から相続登記(不動産の名義を相続人に変更する手続き)が義務化され、相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内に登記申請をしないと、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。相続した土地を売却するには、売却の前提として相続登記を済ませておく必要があります。相続登記の具体的な申請方法や必要書類は相続登記の義務化と申請方法で解説しています。

共有名義のままだとどうなるか

兄弟姉妹で相続した土地が共有名義になっている場合、土地の売却には共有者全員の同意が必要です。1人が価格に納得しても、ほかの共有者が反対すれば売却できないため、価格を調べる段階から共有者間で情報を共有しておくと、後の手続きがスムーズになります。

相続登記が済んでいない土地は、価格を調べる前に法務局で登記簿謄本を取得して確認してください。

土地を相続して売却する際にかかる税金と諸費用

相続した土地を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、所得税・住民税が課税されます。譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える長期譲渡の場合の税率は約20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税の合計)で、仲介手数料や登記費用などの諸費用も別途かかります。

条件を満たせば、相続した空き家を売却した場合の「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」など、税負担を軽くできる制度もあります。適用条件は細かく定められているため、最新の要件は国税庁や税理士に確認してください。空き家の特例の詳しい適用条件は空き家の譲渡所得特別控除の適用条件で解説しています。

手元に残る 約75%
税金
諸費用

※3000万円で売却・長期譲渡・控除適用なしの概算例(2026年9月時点)

上の図は、控除を使わない前提での概算例です。特別控除などの適用条件を満たせば、税金の割合はこれより小さくなります。

取得費が分からない相続土地は、売却価格の5%しか経費として認められず税負担が増えるため、購入時の資料を探しておいてください。

兄弟と共有する相続土地の価格を調べるときの注意点

兄弟姉妹で共有している相続土地は、1人が勝手に査定を依頼しても問題ありませんが、売却に向けた話し合いでは、調べた価格の根拠を共有者全員に示せるようにしておくことが大切です。路線価や固定資産税評価額のような公的データは、共有者間で数字の受け止め方の差が生まれにくく、最初の説明材料として使いやすい情報です。

共有名義の不動産を将来的に分割する方法には、土地を売却して代金を分ける換価分割(かんかぶんかつ)や、1人が土地を取得して他の共有者に代償金を支払う代償分割(だいしょうぶんかつ)があります。どちらを選ぶかによっても、必要になる価格の精度が変わってきます。

共有者の1人だけが査定を進めると後でトラブルになりやすいので、調べた内容は早めに共有してください。

よくある質問

相続した土地の価格を調べるのに費用はかかりますか

国税庁の路線価図や国土交通省の地価公示、固定資産税評価額の確認、匿名査定はいずれも無料で利用できます。費用がかかるのは、測量士に依頼する実測や、司法書士への相続登記の依頼など、実際の手続きを進める段階からです。

固定資産税評価額と実際の売却価格はどちらが正確ですか

どちらも売却価格そのものではありません。固定資産税評価額は課税のための基準額であり、実際の売却価格は周辺の取引事例や建物の有無、需要によって変動します。正確な価格を知るには、最終的に不動産会社の査定を受ける必要があります。

相続登記が済んでいない土地でも価格を調べられますか

価格を調べる段階では相続登記は不要です。ただし、実際に土地を売却するには相続登記を完了させて名義を相続人に変更しておく必要があります。

匿名査定で分かる金額はどの程度信頼できますか

匿名査定は、周辺の取引事例や公的データをもとに算出した概算であり、現地を見ない分、実際の売却価格とは差が出ることがあります。あくまで最初の目安として使い、具体的な金額は訪問査定で確認してください。

価格を調べた結果、売らないという選択をしても良いですか

問題ありません。価格を調べることと土地を売却することは別の判断です。売却相場を把握したうえで、賃貸に出す、そのまま保有するといった選択をする方も少なくありません。

売却前に確認したい、相続した土地の価格を調べる方法のまとめ

相続した土地の価格は、相続税路線価や固定資産税評価額、地価公示といった公的データと、不動産ポータルサイトの事例、匿名査定を組み合わせれば、個人情報を伝えずに概算をつかめます。あわせて、相続登記の状況や共有名義の有無、土地の形状や接道状況も確認しておくと、売却に進むかどうかの判断材料がそろいます。ぜひ本記事の調べ方と注意点を参考に、相続した土地の価格を確かめてみてください。

出典

  • 国税庁「路線価図・評価倍率表」
  • 国税庁「財産評価基準書」
  • 国土交通省「地価公示」
  • 国土交通省「不動産情報ライブラリ」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 国税庁「土地や建物を売ったとき(譲渡所得)」
  • 国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」
  • 総務省自治税務局「固定資産税評価額と地価公示価格の関係に関する資料」
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