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相続した土地を売却する際にかかる税金と計算方法をわかりやすく解説

相続した実家の土地を手放すと決めても、固定資産税の評価額と売却価格は一致せず、売却益にかかる譲渡所得税の金額が分からないまま、査定の申し込みだけが先に進みます。

相続した土地を売却すると、売却価格から取得費と譲渡費用を引いた譲渡所得に対して、所有期間が5年を超える長期譲渡なら20.315%、5年以下の短期譲渡なら39.63%の税率で所得税と住民税がかかります。相続開始の翌日から3年10か月以内に売却すれば、払った相続税の一部を取得費に加算できる特例も使えます(2026年9月時点)。

本記事では、相続した土地を売却する際の税金の計算方法と、税負担を抑える特例の使い方を解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 2年前に相続した地方の土地を売却するにあたり、譲渡所得税がいくらかかるのか見当がつかない58歳長男の方
  • 固定資産税だけ払い続けてきた相続地を手放す決断をしたが、取得費が分からず税額の計算に困っている方
  • 特例の適用期限が迫る中、兄弟との分割前に売却した場合の税負担の違いを確認したい方

相続した土地を売却すると税金はいくらかかる?税の全体像

相続した土地を売却すると、相続税とは別に、売却によって得た利益に税金がかかります。相続税は土地を受け取った時点で課税されるのに対し、譲渡所得税は土地を売ったときの利益(譲渡所得)に対して課税される点で仕組みが異なります。

固定資産税は土地を所有している間、毎年課税され続けますが、売却が完了すれば翌年以降の納税義務はなくなります。相続した土地売却税金の負担は、主に譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)と、売買契約にかかる印紙税や登記費用などの諸費用で構成されます。

固定資産税の負担だけを理由に急いで売ると、税額の計算を後回しにしがちです。先に特例の適用条件を確認しておきましょう。

相続土地売却税金の計算方法|譲渡所得税の仕組み

譲渡所得税の金額は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた譲渡所得に、所有期間に応じた税率を掛けて算出します。譲渡所得は「売却価格-(取得費+譲渡費用)」で求めます。

相続した土地の所有期間は、被相続人(ひそうぞくにん。亡くなった人のこと)が土地を取得した日から数えるため、親が長年所有していた土地であれば、相続後すぐに売却しても長期譲渡として扱われるケースが多くなります。長期譲渡(所有期間5年超)の税率は所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%の合計20.315%、短期譲渡(所有期間5年以下)は所得税30%・住民税9%・復興特別所得税0.63%の合計39.63%です。

取得費はどう調べる?分からないときの対処法

取得費には、被相続人が土地を購入したときの購入価格に加え、購入時の仲介手数料や登記費用なども含められます。しかし数十年前に購入した土地では、売買契約書が見つからず取得費が分からないことも少なくありません。その場合は、売却価格の5%を取得費とみなす概算取得費の規定を使えます。ただし概算取得費を使うと取得費が低く計算されやすく、譲渡所得が大きくなって税額も増えるため、購入時の資料が残っていないか先に確認しておきたいところです。

譲渡費用に含められる費用

譲渡費用には、売却時に不動産会社へ支払う仲介手数料、測量費、古い建物を取り壊す解体費用、売買契約書に貼る印紙税などが含まれます。これらは領収書を保管しておくことで、確定申告の際に譲渡所得から差し引けます。

手元に残る 約75%
税金
諸費用

※3000万円で売却・長期譲渡・控除適用なしの概算例(2026年9月時点)

この例では税額が売却価格の約20%を占め、諸費用を含めると手元に残るのは75%程度にとどまります。

取得費が分からない場合は概算取得費5%になり税額が増えやすいので、古い購入時の書類を先に探しておきましょう。

相続税の取得費加算の特例で相続土地売却税金を減らす

相続税を払って土地を取得した人が、一定期間内にその土地を売却すると、払った相続税の一部を取得費に加算できる特例があります。これを取得費加算の特例といい、取得費が増える分、譲渡所得が小さくなって税額も下がります。

加算できる金額は「その人が払った相続税額×(売却した土地の相続税評価額÷相続税の対象となった財産全体の金額)」で計算します。

この特例を使えるのは、相続開始の翌日から3年10か月以内に土地を売却した場合に限られます。相続土地売却税金 3年以内という期限を過ぎると使えなくなるため、相続税の申告・納付を終えたら、早めに売却のスケジュールを立てておく必要があります。

取得費加算の特例は相続税を払った人だけが使えます。相続税がかからない場合は対象外なので注意してください。

空き家の3000万円特別控除|相続した家や土地の売却で使える特例

適用の条件

相続した家や土地を売却する際、一定の条件を満たすと譲渡所得から特別控除を差し引ける特例が使えます。令和6年1月1日以後の譲渡では、その家屋や土地を取得した相続人の数が2人以下の場合は最大3000万円、3人以上の場合は1人あたり最大2000万円が控除額の上限となります。主な条件は、被相続人が亡くなる直前まで一人で住んでいた家屋であること、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、相続開始から売却まで空き家のままであることなどです。家屋を取り壊して土地だけを売却する場合も対象になります。

相続土地売却税金 3年以内の期限に注意

この特別控除を使えるのは、相続開始から3年を経過する日が属する年の12月31日までに土地を売却した場合に限られます。たとえば2024年に相続が始まった場合、期限は2027年12月31日までとなります。取得費加算の特例とは期限の数え方が異なるため、両方の制度の期限を混同しないよう確認しておきましょう。

空き家の3000万円特別控除と取得費加算の特例は、どちらか一方しか使えません。有利な方を事前に計算しておきましょう。

相続登記が済んでいない土地は売却できない

相続した土地を売却するには、土地の名義を被相続人からあなた自身へ変更する相続登記を済ませておく必要があります。相続登記が終わっていない土地は、買主への所有権移転登記ができず、売買契約を結べません。

2024年4月1日から相続登記は義務化され、相続によって土地の取得を知った日から3年以内に登記する必要があります。兄弟間で分け方が決まっていない場合も、まずは相続人全員の共有名義で登記してから話し合いを進める方法があります。

相続登記を済ませないまま放置すると、将来の売却がさらに難しくなります。早めに済ませておきましょう。

兄弟との分け方で変わる土地売却の税負担|代償分割と換価分割

相続した土地を複数の兄弟で分ける方法には、土地を売却して得た代金を分け合う換価分割(かんかぶんかつ)と、一人が土地を相続して他の相続人に代わりのお金を払う代償分割(だいしょうぶんかつ)があります。

換価分割では、相続人それぞれが売却代金を受け取った割合に応じて譲渡所得税を負担します。代償分割では、土地を相続した一人が単独で譲渡所得税を負担し、他の相続人へ払う代償金には譲渡所得税はかかりません。

どちらの方法でも、空き家の3000万円特別控除は相続人ごとに適用できる場合があるため、分け方次第で相続人全体の税負担が変わることもあります。分割の方法を決める前に、それぞれの税額を見積もっておくと話し合いがまとまりやすくなります。

分割方法によって税負担の出方が変わるため、兄弟間で先に税額を共有しておくと話し合いが進みやすくなります。

相続した土地を売却する手順

相続した土地を売却する流れは、相続登記の完了、土地の査定、不動産会社との媒介契約、売買契約、引き渡し、確定申告という順に進みます。相続した不動産を売却する流れ全体は相続した不動産を売却する流れ|手続き・税金・注意点で解説しています。

不動産の査定を依頼する前に、土地のおおよその売却相場を自分で確認しておくと、不動産会社の提示額が適正かどうか判断しやすくなります。一物四価(いちぶつしか。同じ土地に複数の公的価格が存在すること)からの調べ方は土地の匿名査定と相場の調べ方で解説しています。

匿名査定やAI査定は手軽に使えますが、個別の条件までは反映されにくいため、精度の限界は匿名査定・AI査定の精度と使い方で解説しています。

不動産売却が完了した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、所得税と復興特別所得税を納めます。住民税は確定申告の内容をもとに市区町村が税額を計算し、納税通知書に基づいて翌年6月以降(普通徴収は年4回、給与天引きの特別徴収も6月分から)に納付します。特例を使う場合は、必要な書類を添付して申告する必要があります。

確定申告を忘れると特例が適用されず、税額が高くなったままになります。売却した翌年は忘れずに申告しましょう。

よくある質問

相続した土地を売却した年に確定申告をしなくても大丈夫ですか?

譲渡所得が発生した場合は確定申告が必要です。空き家の3000万円特別控除や取得費加算の特例を使う場合も、確定申告を行わないと適用されません。

相続した土地を売却する前に、いつ相続登記をすればよいですか?

売買契約を結ぶ前に相続登記を完了させておく必要があります。相続登記は相続を知った日から3年以内に行う義務があるため、土地の売却を決めたら早めに手続きを進めましょう。

取得費加算の特例と空き家の3000万円特別控除は両方使えますか?

両方を同時に使うことはできず、どちらか有利な方を選択します。相続税を払っていない場合は取得費加算の特例を使えないため、空き家の3000万円特別控除の条件を確認しましょう。

兄弟で相続した土地を売却する場合、税金は誰が払いますか?

換価分割の場合は売却代金を受け取った割合に応じて各相続人が譲渡所得税を払い、代償分割の場合は土地を相続した人が単独で払います。

相続した土地が空き家のままでも、固定資産税は軽減されますか?

空き家を放置すると、特定空家等に指定された場合に固定資産税の住宅用地の軽減措置が外れ、税額が上がることがあります。早めに売却や活用を検討することをおすすめします。

相続した土地の売却と税金のまとめ

相続した土地を売却すると、譲渡所得税に加えて、取得費加算の特例や空き家の3000万円特別控除といった税負担を抑える制度があり、いずれも適用期限が決まっています。相続登記を済ませ、兄弟との分け方を決めた上で、売却のタイミングを特例の期限に合わせることが税負担を抑える近道です。ぜひ本記事の相続土地売却税金の計算方法と特例の期限を参考に、売却のスケジュールを検討してください。

出典

  • 国税庁「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」
  • 国税庁「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
  • 国税庁 No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 国税庁「令和5年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ」(所得税・復興特別所得税の申告期限について)
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