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法定相続人とは?範囲・順位と不動産相続の基本知識

父から引き継いだ実家の名義は亡くなった父のままで、毎年固定資産税の通知だけが届き、兄弟との分け方は決まっていません。相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続を知った日から3年以内の申請が必要です。

法定相続人とは、民法887条から890条で定められた、相続する権利を持つ人の範囲を指します。配偶者は常に相続人となり、子・直系尊属(ちょくけいそんぞく、父母や祖父母を指します)・兄弟姉妹は順位に従って相続人になります。

本記事では、法定相続人の範囲と順位、実家の分け方、相続登記や空き家特例の申請期限までを解説します(2026年9月時点)。

この記事はこんな方に向いています

  • 父を2年前に亡くし地方の実家を相続した58歳長男で、空き家のまま固定資産税だけ払い続け兄弟との分け方が決まっていない方
  • 相続人が自分を含め3人いるが誰がどう権利を持つのか分からず、特例の申請期限が迫っていることに焦りを感じている方
  • 実家の名義変更をせずに放置してしまい、このままでは兄弟間の話し合いがさらにこじれるのではと不安を抱えている方

法定相続人とは|実家の相続で範囲を決める民法のルール

法定相続人は、民法が定める順位に従って決まります。配偶者は常に法定相続人となり、それに加えて次の順位で相続人が決まります。第1順位は子で、子が先に亡くなっている場合は孫が代わりに相続する代襲相続(だいしゅうそうぞく、親の代わりに子が相続する仕組み)が起こります。第2順位は直系尊属で、父母がすでに亡くなっている場合は祖父母が相続人になります。第3順位は兄弟姉妹で、兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥や姪が代襲相続します。

父が亡くなった場合、法定相続人になるのは存命の母と子どもたちです。母がすでに亡くなっている場合は、子どもだけが法定相続人になり、兄弟全員が同じ立場で実家の権利を持つことになります。

誰が法定相続人かは戸籍謄本を取り寄せて確認します。思わぬ認知の子が判明する例もあるため、早めに調べておくと安心です。

不動産の相続順位と相続分|法定相続人は誰がどれだけ継ぐか

配偶者と子がいる場合の相続分

配偶者と子が法定相続人になる場合、相続分は配偶者が2分の1、子が2分の1です。子が複数いるときは、子の取り分である2分の1をさらに人数で均等に分けます。子が3人であれば、1人あたりの相続分は6分の1になります。

子がいない場合の順位|親・兄弟姉妹

子がいない場合、配偶者と直系尊属が法定相続人になり、相続分は配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1です。子も直系尊属もいない場合は、配偶者と兄弟姉妹が法定相続人になり、相続分は配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1になります。

法定相続人の組み合わせと相続分(2026年9月時点)
法定相続人の組み合わせ配偶者の相続分その他の相続分
配偶者+子2分の1子全体で2分の1(人数で均等割)
配偶者+直系尊属3分の2直系尊属全体で3分の1
配偶者+兄弟姉妹4分の3兄弟姉妹全体で4分の1
子のみ―子全体で全部(人数で均等割)

出典:国税庁「相続税の計算」をもとに作成

相続分はあくまで法律上の割合で、実際の分け方は相続人全員の話し合い次第で変えられます。

実家を複数の法定相続人で分ける方法|現物・代償・換価分割

現物分割・代償分割・換価分割の違い

現物分割は、実家そのものを特定の相続人が取得し、他の相続財産で取り分を調整する方法です。代償分割(だいしょうぶんかつ、不動産を取得した人が他の相続人へ現金で差額を支払う方法)は、実家に住み続けたい相続人がいる場合に選ばれます。換価分割(かんかぶんかつ、不動産を売却して現金化し、その代金を分ける方法)は、誰も実家に住む予定がない場合に選ばれることが多い分け方です。

話し合いがまとまらないときの対応

遺産分割協議で分け方が決まらない場合、家庭裁判所の調停、さらに調停でも合意できなければ審判に進みます。審判になると実家の分け方を裁判所が判断するため、相続人全員の希望が通らない結果になることもあります。実家を売却して分ける前提で話を進める場合は、相続した不動産を売却する流れで解説しています。

換価分割を選ぶなら、売却方針を決める前に相続人全員で合意書を作っておくと、後のトラブルを防げます。

空き家を放置する法定相続人のリスクと固定資産税の負担

実家が空き家のままでも、固定資産税は相続登記の有無にかかわらず毎年発生します。住宅用地の特例によって税額が軽減されていた土地でも、自治体から特定空き家に指定され、改善の勧告を受けると特例が外れ、固定資産税が増える可能性があります。放置期間が長くなるほど建物の傷みも進み、売却時の査定額が下がる要因になるため、実家の大まかな価値をつかんでおきたい場合は、匿名査定で解説している方法を使うと、連絡先を伝える前に目安を調べられます。

特定空き家の指定基準は自治体ごとに運用が異なるため、心配な場合は役所の空き家対策担当に確認してください。

相続登記の申請期限と相続人確定後の手続き

相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。期限内に申請しないと、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。相続人同士の話し合いがまだまとまらない場合でも、相続人申告登記という簡易な手続きを使えば、ひとまず義務を果たすことができます。登記をしないまま放置すると、実家を売却する段階で名義変更が必要になり、手続きに時間がかかります。詳しい義務化の内容は相続登記をしないと不動産は売れない?義務化と手続きで解説しています。

法定相続人を確定させたあと、実家の相続をどう進めるかは次の手順で整理できます。

1
戸籍謄本を集めて法定相続人を確定する
被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて取得
2
遺産分割協議で実家の分け方を話し合う
現物・代償・換価のいずれにするかを決める
3
相続登記を申請する
相続を知った日から3年以内が期限
4
空き家を活用するか売却するか判断する
固定資産税の負担と資産価値の変化を踏まえて検討
5
3000万円特別控除の要件を確認し確定申告する
売却した翌年に申告が必要

法定相続人の確定から確定申告までは一本の流れになっており、どこかを飛ばすと後の手続きが止まります。

相続人申告登記はあくまで暫定の手続きです。分け方が決まったら、正式な相続登記への切り替えを忘れないでください。

3000万円特別控除で空き家の実家を売るときの期限

相続した空き家を売却する場合、譲渡所得から最大3000万円を差し引ける特別控除があります。適用には、相続開始から3年を経過する日が属する年の12月31日までに売却すること、かつ2027年12月31日までの譲渡であることなど、複数の条件を満たす必要があります。建物を取り壊して土地だけを売る場合や、耐震basisを満たすリフォームをした場合など、要件は細かく分かれているため、適用できるかどうかは税理士か税務署で確認してください。

特例は期限が延長される場合もあるため、売却を決めた時点で最新の適用条件を必ず確認してください。

実家を売却する手順と必要な準備

実家を売却する場合、まず相続登記を済ませて名義を相続人に移す必要があります。登記が終わったら不動産会社に査定を依頼し、媒介契約を結んで買主を探す流れになります。相続人が複数いる場合は、売却代金の分配方法を事前に決めておくと、売買契約後の手続きがスムーズに進みます。固定資産税や管理の負担を考えると、分け方を決めたあとは早めに売却の準備に入った方が、建物の傷みによる査定額の低下を防げます。

売却代金の分配は、代表の相続人が受け取ってから分けるのか、それぞれの口座に直接分けるのか、事前に不動産会社へ伝えておくと手続きが早まります。

よくある質問

法定相続人に養子や認知された子は含まれますか?

含まれます。養子は実子と同じ相続分を持ち、認知された子(非嫡出子)も嫡出子と同じ相続分を持ちます。2013年の民法改正以降、相続分の差はなくなっています。

法定相続人の中に未成年者がいる場合はどうなりますか?

未成年者は遺産分割協議に自分で参加できないため、法定代理人である親権者が代わりに手続きを行います。親権者自身も相続人の場合は利益が対立するため、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てる必要があります。

相続放棄をした人は法定相続人の人数に含めますか?

相続放棄をした人は、その相続については最初から相続人でなかったものとみなされます。相続放棄した家がどう扱われるかは相続放棄した家はどうなる?売却できるのかで解説しています。

法定相続人全員の同意がないと実家は売却できませんか?

遺産分割協議が成立し実家の名義が単独の相続人に決まっていれば、その人の判断で売却できます。ただし相続人全員の共有名義のまま売却する場合は、共有者全員の同意が必要です。

相続登記をしないまま放置するとどうなりますか?

2024年4月1日以降は、相続を知った日から3年以内に登記をしないと10万円以下の過料の対象になる可能性があります。登記が済んでいないと買主への引き渡しもできないため、実家の売却の予定があるなら早めに済ませておく必要があります。

法定相続人とは|実家の相続を進めるために確認しておきたいポイント

法定相続人は民法が定める順位と相続分に従って決まり、配偶者は常に相続人となる一方、子・直系尊属・兄弟姉妹は状況によって相続人になる場合とならない場合があります。実家の分け方は現物・代償・換価のいずれかを選び、相続登記は2024年4月1日の義務化によって期限内の申請が求められます。空き家の3000万円特別控除にも期限があり、固定資産税の負担も登記の有無にかかわらず続くため、早めの対応が資産を守ることにつながります。ぜひ本記事の法定相続人の範囲と手続きの流れを参考に、兄弟との話し合いと相続登記を進めてください。

出典

  • e-Gov法令検索「民法」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 国税庁「相続税の計算」
  • 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
  • 総務省「固定資産税」
  • 藤沢市・越生町 公式ページ「特定空家等の固定資産税・都市計画税について」
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