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非線引き区域とは?土地売却への影響と確認方法を解説

地方に残した実家の土地を不動産会社に相談すると、都市計画図や重要事項説明書に「非線引き区域」という言葉が記載されています。

非線引き区域とは、都市計画法第7条に定める区域区分(市街化区域と市街化調整区域の線引き)がされていない都市計画区域を指します。市街化を促進する区域とも抑制する区域とも定められていないため、用途地域の指定があるかどうかで建築できる建物の種類や規模が変わります(2026年9月時点)。

本記事では非線引き区域の制度上の位置づけ、建築制限、土地売却への影響、確認方法と売却の進め方を解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 家の老朽化を機に地方の土地を売却したいが、非線引き区域という言葉を初めて聞き影響が分からない45歳会社員の方
  • 都市計画区域の外にある土地の売却で建築制限がどう変わるのか、契約前に確認しておきたい方
  • 資金需要から早めに土地を手放したいが、非線引き区域だと買主が見つかりにくいのではと不安な方

非線引き区域とは|土地売却前に知っておきたい都市計画法の区分

都市計画法では、都市計画区域を「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引き区域(区域区分が定められていない都市計画区域)」の3タイプに分類します。市街化区域は積極的に市街地化を進める区域、市街化調整区域は市街化を抑制する区域であり、この2つに線引きされていない都市計画区域が非線引き区域です。

非線引き区域は、地方都市や人口が比較的少ない地域の都市計画区域に多く見られます。線引きがされていないため市街化調整区域のように開発が強く制限されることはありませんが、市街化区域のように用途地域がすべての土地に指定されているわけでもありません。用途地域が指定されている土地と、指定されていない土地(いわゆる白地地域)が同じ非線引き区域の中に混在する点が、他の区域と大きく異なります。

非線引き区域かどうかは物件によって調べ方が変わるため、重要事項説明書だけでなく都市計画図も確認してください。

市街化区域・市街化調整区域との違い|非線引き区域の土地はどちらに近い?

市街化区域は上下水道や道路などのインフラ整備が進み、住宅や店舗の建築がしやすい区域です。固定資産税の評価も、市街化区域の土地の方が高くなる傾向があります。また、都市計画税は原則として市街化区域内の土地・建物にのみ課税され、非線引き区域(市街化調整区域を含む)では多くの自治体で課税対象外となっています。一方、市街化調整区域は原則として新たな建築が制限され、都市計画法第43条の許可(その許可基準は同法第34条等に準じます)を受けない限り建物を建てられません。

非線引き区域はこの両者の中間的な位置づけです。市街化調整区域のような原則禁止の規制はなく、用途地域が指定されていれば市街化区域に近い感覚で建築できます。ただし用途地域が指定されていない白地地域では建築基準法上の最低限の制限しか及ばないため、どんな建物でも自由に建てられるわけではなく、接道義務や建蔽率・容積率の確認が必要です。

同じ非線引き区域でも用途地域の有無で建築条件が大きく変わるため、個別に確認してください。

土地の建築制限はどう変わる?非線引き区域ならではの注意点

非線引き区域の土地にどのような建物を建てられるかは、その土地に用途地域が指定されているかどうかで判断が分かれます。

用途地域が指定されている場合の制限

用途地域が指定されている非線引き区域の土地は、指定された用途地域の種類に応じて建蔽率・容積率、建築可能な用途が決まります。市街化区域の住居系地域と同じように、第一種低層住居専用地域や近隣商業地域といった区分がそのまま適用されるため、建築確認の手続きも市街化区域の土地とほぼ変わりません。

用途地域が指定されていない場合(白地地域)の制限

用途地域が指定されていない白地地域では、建築基準法第53条第1項・第52条第1項に基づき、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て、建蔽率30〜70%・容積率50〜400%の範囲内から地域ごとに数値を指定します。自治体によって指定される数値は大きく異なり、建蔽率50〜60%、容積率100〜200%程度まで抑えられている例も多く見られます。また、工場や大規模な商業施設など用途地域があれば制限される建物も建てられる場合があります。一定規模以上の開発行為には都市計画法第29条に基づく開発許可が必要になる点は、市街化区域と共通です。

区域区分と建築制限の違い
区域区分用途地域建蔽率・容積率開発許可
市街化区域原則すべてに指定用途地域ごとに設定一定規模以上で必要
市街化調整区域原則指定なし個別の許可により決定原則必要
非線引き区域(指定あり)指定あり用途地域ごとに設定一定規模以上で必要
非線引き区域(白地地域)指定なし特定行政庁が指定する数値(建蔽率30〜70%・容積率50〜400%の範囲内)一定規模以上で必要

出典:e-Gov法令検索「都市計画法」「建築基準法」(2026年9月時点)をもとに作成

白地地域の建蔽率・容積率は自治体ごとに異なるため、役所の都市計画課で最新の数値を確認してください。

売却価格や買い手の需要に出る影響|非線引き区域の土地事情

非線引き区域の土地は、市街化調整区域に比べると建築制限が緩やかなため、住宅用地としての需要は一定程度あります。ただし市街化区域のように上下水道やガスなどのインフラが整っていない土地も多く、買主側で引き込み工事の費用負担が発生する場合があります。この点は売却価格の交渉材料になりやすく、周辺の売却相場より安めの価格になる傾向があります。

また、白地地域に当たる土地は用途地域が指定されている土地に比べて、建てられる建物のイメージが買主に伝わりにくく、住宅ローンの審査でも金融機関によって評価が分かれることがあります。土地の形状や接道状況によっては仲介での売却に時間がかかるケースもあり、仲介と買取の違いを踏まえて売却方法を検討する必要があります。

インフラ未整備の土地は、引き込み費用の概算を事前に調べておくと買主への説明がスムーズです。

自分の土地が非線引き区域かどうかを確認する方法

所有する土地が非線引き区域に当たるかどうかは、土地が所在する市区町村の都市計画課や都市整備課の窓口で確認できます。多くの自治体は都市計画図をウェブサイトで公開しており、地番や住所から区域区分と用途地域の指定の有無を調べられます。

不動産売却を不動産会社に依頼する場合は、重要事項説明書の「都市計画法に基づく制限」の欄に区域区分と用途地域が記載されるため、契約前に目を通してください。自分で事前に調べておくと、不動産会社への質問や媒介契約の内容確認がスムーズになります。

都市計画図は自治体ごとに表記が異なるため、分かりにくい場合は窓口で直接聞くのが確実です。

査定から契約までの進め方|非線引き区域の土地を売却する場合

非線引き区域の土地売却は、一般的な宅地の売却と大きな流れは変わりませんが、区域区分の説明と価格の根拠を丁寧に示せる不動産会社を選ぶことが重要です。売却全体の流れは不動産売却の流れで解説しています。

1
区域区分と用途地域を確認する
都市計画課の窓口や都市計画図で非線引き区域か確認
2
売却相場を調べる
匿名査定や周辺の取引事例で目安を把握
3
不動産会社に相談し媒介契約を結ぶ
非線引き区域の取り扱い実績がある会社を選ぶ
4
購入希望者への説明・内覧
建築条件やインフラ状況を資料で提示
5
売買契約・引き渡し
重要事項説明で区域区分の内容を買主と確認

5つのステップのうち、非線引き区域の土地では「区域区分と用途地域の確認」と「購入希望者への説明」に通常より時間がかかりやすい点が分かります。

不動産会社選びと媒介契約

非線引き区域の実績がある不動産会社であれば、用途地域の有無やインフラ状況を踏まえた価格提案を受けやすくなります。匿名査定で複数社のおおよその価格を比較したうえで媒介契約の種類を選ぶと、途中で不動産会社を変更しにくい専属専任媒介契約を安易に選ばずに済みます。

需要が限られる場合の買取という選択肢

白地地域で建築条件が分かりにくい土地や、インフラ整備が不十分な土地は仲介での買主探しに時間がかかることがあります。不動産売却を急ぐ事情がある場合は不動産会社による買取も選択肢になりますが、仲介に比べて売却価格が下がる傾向があるため、仲介と買取の違いを踏まえて判断してください。

急いで買取を選ぶ前に、複数社の仲介査定と比較してから判断することをおすすめします。

売却時によくあるつまずきと対策|非線引き区域の土地

非線引き区域の土地売却で多いのが、買主側から「この土地に希望する建物が建てられるか」を具体的に質問されて答えられないというケースです。建蔽率・容積率だけでなく、接道義務や上下水道の有無まで資料をそろえておくと、内覧や商談がスムーズに進みます。

相続で取得した土地の場合、区域区分や用途地域の指定が取得後に変わっていることもあります。売却前に改めて自治体で最新の都市計画情報を確認し、古い情報のまま不動産会社に伝えないよう注意してください。

古い資料のまま進めると契約後にトラブルになりやすいため、売却前の情報更新を徹底してください。

よくある質問

非線引き区域の土地は住宅ローンを使って購入できますか?

金融機関によって審査の基準は異なりますが、用途地域が指定され建築条件が明確な土地であれば住宅ローンの利用は可能です。インフラが未整備の土地や接道条件が不明確な土地は審査で評価が下がる場合があるため、事前に金融機関へ確認することをおすすめします。

非線引き区域と準都市計画区域は同じですか?

異なります。準都市計画区域は都市計画区域の外側で、将来の市街化に備えて一定の建築規制を定める区域です。非線引き区域はあくまで都市計画区域の内側にあり、市街化区域・市街化調整区域の線引きがされていない区域を指します。

非線引き区域の土地でも開発許可は必要ですか?

一定規模以上の開発行為には都市計画法第29条に基づく開発許可が必要です。非線引き区域は市街化区域より基準面積が大きく設定されており(都市計画法施行令第19条の目安では市街化区域1,000㎡、非線引き区域3,000㎡)、小規模な造成であれば許可が不要な場合もあります。

非線引き区域の土地は固定資産税が安くなりますか?

一概には言えません。固定資産税評価額はインフラの整備状況や用途地域の有無、周辺の取引価格を踏まえて算出されるため、市街化区域の土地より低くなる傾向はありますが、立地によっては大きく変わらないこともあります。

用途地域が指定されていない土地は査定額が下がりますか?

建築できる建物のイメージが伝わりにくいため、査定額が低めに出る傾向はあります。ただし接道状況や周辺の取引事例によっては大きな差が出ないこともあるため、複数の不動産会社に査定を依頼して比較することをおすすめします。

非線引き区域とは何かを理解して土地売却を進めるために

非線引き区域とは、都市計画法第7条の区域区分がされていない都市計画区域で、市街化区域・市街化調整区域のどちらにも属しません。用途地域の指定の有無によって建築条件が大きく変わるため、土地売却の前には都市計画図や重要事項説明書で区域区分と用途地域を確認し、インフラの整備状況も含めて不動産会社と情報を共有することが欠かせません。ぜひ本記事の確認方法と売却の進め方を参考に、非線引き区域の土地売却を計画的に進めてください。

出典

  • e-Gov法令検索「都市計画法」
  • e-Gov法令検索「建築基準法」
  • 国土交通省「都市計画現況調査」
  • 沖縄県・大阪府・京都府・船橋市「白地地域の形態規制」各公式ページ
  • 都市計画法第43条・第34条の解説(東京都都市整備局資料、太田市公式ページ等)
  • 都市計画法施行令第19条(開発許可の対象となる面積規模)解説(前橋市・青森県公式ページ等)
  • 地方税法第702条(都市計画税の課税対象)、総務省および各市町村の都市計画税に関する説明ページ
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