SHARE:

合筆登記とは?土地を売却する前に知っておきたい手続き

親から相続した土地を売ろうとして、登記簿を確認したら隣り合う敷地が別々の地番に分かれていることがあります。その状態で不動産会社に相談すると、「合筆登記をしないと買い手が決まりにくい」と言われることも少なくありません。

合筆登記(ごうひつとうき)とは、隣接する複数の土地の登記簿を1つにまとめる不動産登記の手続きです。不動産登記法第41条が定める条件を満たした土地だけが対象になり、所有者・地目(地図上の土地の用途区分)・地番区域が異なる土地は合筆できません。

本記事では、合筆登記が必要になる場面、合筆登記ができない土地の条件、必要な書類と費用・期間の目安を解説します。費用や税制に関する情報は2026年9月時点のものです。

この記事はこんな方に向いています

  • 隣接する複数の土地を相続し、売却前に合筆登記が必要か分からず手続きを確認したい方
  • 62歳で法律用語に不慣れなまま、合筆登記の費用や必要書類を専門家に頼む前に自分で把握したい方
  • 境界未確定の土地が分筆されたままになっており、売却前に合筆すべきか判断がつかない方

合筆登記とは|複数の土地をまとめる不動産登記の手続き

合筆登記は、同じ人が所有する隣接した複数の土地を、登記簿上1つの土地として扱うための申請手続きです。合筆が成立すると、もとの地番のうち1つに統合され、残りの地番は閉鎖されます。登記簿が1つにまとまることで、固定資産税の課税上も1つの土地として管理され、売買契約も1つの土地として結びやすくなります。

対象になる土地の条件

不動産登記法第41条により、合筆登記が認められるのは、土地が互いに隣接していること、所有者がすべて同じであること、地目が同じであること、地番区域が同じであることなどの条件を満たす場合に限られます。条件のどれか1つでも欠けると、合筆登記は申請しても認められません。

合筆登記でできないこと

合筆登記は地番を1つにまとめるだけの手続きで、土地の境界や面積を新たに測り直すものではありません。境界があいまいなまま合筆すると、あいまいさを抱えたまま1つの土地になるため、売却時に改めて測量を求められる場合があります。

土地A(地番101番)
所有者:山本さん・300㎡
←合筆登記→
土地B(地番102番)
所有者:山本さん・200㎡

合筆登記が成立すると、土地Aと土地Bは1つの地番(101番)にまとまり、登記簿上も1つの土地・500㎡として扱われます。

合筆登記は地番を統合するだけで、境界を確定する手続きではありません。境界が不明なら測量は別で必要になります。

土地売却前に合筆登記が必要になる場面

土地の売却を検討する段階で合筆登記が話題になるのは、主に2つの場面です。相続した不動産を売却する流れの中で地番の整理が必要になることが多く、早めに確認しておくと売却の進め方が立てやすくなります。

隣接する土地を相続した場合

親から複数の地番の土地をまとめて相続すると、敷地全体が1つの庭や建物にまたがっていても、登記簿上は複数の土地として残っていることがあります。買主が敷地全体をまとめて購入する場合、地番が分かれたままだと契約書の記載や所有権移転登記が複雑になり、敷地の一部だけ売れ残る懸念も生じます。

分筆されたままの土地を売却する場合

かつて分筆登記(ぶんぴつとうき、1つの土地を複数の地番に分ける手続き)をした土地が、利用目的を終えたあとも地番が分かれたままになっている例もあります。全体を1つの敷地として売却するなら、分かれた地番をもう一度合筆登記でまとめておくと、買主側の融資審査や登記手続きがスムーズになります。

合筆が必要かどうかは、売却を依頼する不動産会社に登記簿謄本を見せて確認するのが早道です。

合筆登記ができない土地の条件|筆界未定地・共有名義のケース

土地の境界が登記所に確定していない状態を筆界未定地(ひっていみちち、登記簿上の境界線である筆界がはっきりしていない土地)と呼びます。筆界が確定していない土地は、隣接する土地との境界をめぐって将来争いが起きる可能性があるため、合筆登記の申請自体が難しくなる場合があります。

所有者が複数人の共有名義になっている土地も注意が必要です。合筆登記は所有者がすべて同じであることが条件のため、共有者の構成が土地ごとに違うと合筆できません。共有名義の土地を売却するときの持分の考え方は共有名義の不動産、自分の持分だけ売れる?で解説しています。

地目が農地(田・畑)になっている土地は、合筆登記そのものに農地法の許可は不要ですが、売却に合わせて地目を変更する場合は別の手続きが必要です。農地の売却にともなう制限は農地は売れる?農地法の許可と転用のハードルで解説しています。

筆界未定地は合筆の前に境界確定の手続きが必要になることが多く、時間がかかる点を見込んでおいてください。

合筆登記に必要な書類と申請の流れ

合筆登記は同じ所有者の土地をまとめる手続きのため、所有権を証明する書面を新たに用意する必要はありません。一般的に必要になるのは、登記申請書と対象の土地の登記簿謄本です。所有者本人が直接申請する場合、印鑑証明書などの添付は原則不要とされることが多い一方、土地家屋調査士などの代理人に申請を委任する場合は、委任状に実印を押印し印鑑証明書を添付する必要があるケースがあります。必要書類の具体的な取り扱いは、管轄法務局の登記申請書記載例や窓口で最新の情報を確認してください。合筆登記そのものでは地積測量図の提出は不要です。

申請先は土地の所在地を管轄する法務局で、申請から登記完了まではおおむね1〜2週間程度かかります。法務局の混雑状況によって前後するため、売却のスケジュールに余裕を持って早めに動くことが大切です。

登記申請書の書式は法務局の窓口やホームページで確認できますが、記載内容に誤りがあると差し戻されます。

合筆登記にかかる費用の目安

合筆登記そのものの登録免許税は、登録免許税法の規定により、合筆後の土地1筆につき1,000円かかります。自分で申請する場合は、登録免許税に加えて書類の取得費用程度で済みます。

土地家屋調査士に申請代理を依頼する場合は、土地の数や内容によって報酬の幅がありますが、数万円程度を見込む方が多い手続きです。境界が確定していない土地では、土地家屋調査士による境界確定測量が別途必要になり、合筆登記そのものより測量費用のほうが大きくかかるケースもあります。不動産売却にかかる税金や費用の全体像は不動産売却にかかる税金と費用の全体像で解説しています。

測量費用は境界の状況で大きく変わるため、合筆登記を頼む前に見積もりを取って比較してください。

合筆登記と分筆登記の違い|境界未確定地はどうなるか

分筆登記は1つの土地を複数の地番に分ける手続きで、合筆登記はその逆に複数の地番を1つにまとめる手続きです。どちらも土地の形そのものを変えるわけではなく、登記簿上の区分を変更する点が共通しています。

境界未確定の土地を分筆登記したあと、合筆登記で戻そうとすると、分筆のときに引いた境界があいまいなまま残っていることがあります。この場合、合筆登記の前に土地家屋調査士へ境界確定測量を依頼し、隣接地の所有者と筆界を確認し合う手続きが先に必要になります。

分筆と合筆を繰り返した土地は、古い測量図と現況がずれていることがあるため、現地確認を省かないようにしてください。

合筆登記は自分でできる?司法書士・土地家屋調査士への依頼

合筆登記は所有権を新たに証明する手続きではないため、自分で法務局に申請することも制度上は可能です。登記簿謄本の取得や申請書の作成に慣れていれば、費用を抑えて自分で進める方もいます。

一方で、境界確定測量が必要な土地や、共有名義・農地が混在する土地は、条件の確認だけでも専門知識が求められます。土地家屋調査士が合筆登記の申請代理と境界確定測量・地積測量図の作成を担っており、早めに相談すると手続きが整理しやすくなります。

自分で申請して書類不備が続くと時間がかかるので、売却の期限が決まっているなら専門家への依頼を検討してください。

よくある質問

合筆登記をしないと土地は売却できませんか

合筆登記をしていなくても土地の売却自体は可能です。ただし地番が分かれたままだと、買主の融資審査や登記手続きが複雑になり、契約がまとまりにくくなる場合があります。

合筆登記にはどれくらいの期間がかかりますか

書類がそろっている場合、申請から登記完了までおおむね1〜2週間程度です。境界確定測量が必要な土地では、測量と隣接地所有者との確認にさらに数週間から数か月かかることがあります。

共有名義の土地は合筆登記できますか

合筆登記は所有者がすべて同じであることが条件のため、共有者の構成が土地ごとに異なる場合は合筆できません。共有者をそろえる、または持分を整理したうえで検討する必要があります。

合筆登記の登録免許税はいくらかかりますか

土地の合筆登記は登録免許税法の規定により、合筆後の土地1筆につき1,000円の登録免許税がかかります。専門家に依頼する場合は、税金とは別に司法書士への報酬がかかります。

筆界未定地はどうすれば合筆登記できますか

筆界未定地はまず境界を確定させる手続きが必要です。土地家屋調査士に依頼して隣接地の所有者と筆界を確認し合い、境界確定測量を終えたうえで合筆登記を申請する流れになります。

合筆登記のまとめ|土地売却前に確認したい手続き

合筆登記は隣接する複数の土地の地番をまとめる不動産登記の手続きで、所有者・地目・地番区域が同じであることなどの条件を満たさなければ申請できません。登録免許税は合筆後の土地1筆につき1,000円かかりますが、境界が未確定な土地では測量費用が別にかかる点も見込んでおく必要があります。ぜひ本記事の内容を参考に、自分の土地が合筆登記の条件に当てはまるか確認してから、土地の売却を進めてください。

出典

  • e-Gov法令検索「不動産登記法」第41条
  • e-Gov法令検索「登録免許税法」第2条・別表第一
  • e-Gov法令検索「登録免許税法」別表第一(十三)ロ
  • e-Gov法令検索「土地家屋調査士法」第3条
  • 法務局 登記申請書記載例(合筆登記記載例)
  • 法務省「登記手続のご案内」
あなたへのおすすめ