不動産売却相場の調べ方|価格目安と査定のポイント
築20年の自宅がいくらで売れるのか調べようとパソコンやスマホを開いても、不動産会社ごとに表示される金額が違い、どの数字を信じればよいか分からないまま検索結果を眺め続けている状態です。国土交通省が公開する不動産情報ライブラリや、不動産流通機構(レインズ)がまとめる成約価格の統計を使えば、営業電話を受けずに取引価格の目安を調べられます。
個人情報を入力しなくても、エリアと物件タイプ、時期を指定するだけで過去の成約事例を見られる仕組みが公的に用意されています。本記事では、不動産売却の相場を匿名で調べる方法から、査定で価格が決まる仕組み、手元に残る金額の目安まで解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 築20年の自宅を売るかどうかまだ決めておらず、まず相場の調べ方だけを知りたい48歳の方
- 営業電話を受けたくないため個人情報を渡さず、査定のポイントを自分で理解したいという方
- 複数の情報源で価格差があり、どの数字を信じればよいか判断に迷っているという方
不動産売却の相場を無料・匿名で調べる方法
不動産売却の相場を調べる方法のうち、氏名や電話番号を入力せずに使えるものは大きく2種類あります。1つは国土交通省が運営する公的なデータベース、もう1つは不動産会社が提供する匿名査定サービスです。どちらも、売るかどうかをまだ決めていない段階で利用できます。
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、過去に成約した取引価格をエリアや面積、取引時期で絞り込んで検索できます。不動産流通機構が運営する「レインズマーケットインフォメーション」も同様に、マンションと戸建ての成約価格を公開しています。いずれも登録や個人情報の入力は不要で、通勤中にスマホから確認できます。
公的データは無料で何度でも見直せるので、申し込みを迷っているうちは先にこちらで感覚をつかむのがおすすめです。
国土交通省の公的データで分かる不動産売却の取引価格
不動産情報ライブラリに掲載されている金額は、実際に売買が成立した取引価格そのものです。売り出し時の希望価格ではなく、買主と売主が合意した成約価格のため、相場感をつかむうえで参考になります。検索結果は四半期ごとに更新され、同じエリアでも時期によって水準が変わります。
ただし、このデータには建物の個別の劣化状況やリフォームの有無、日当たりといった条件までは反映されません。同じ地域・同じ築年数でも、個々の物件の状態によって成約価格には差が出ます。公的データはあくまで目安であり、自宅の正確な価格を知るには、後述する査定のポイントと合わせて見る必要があります。
公的データの検索結果は町丁目レベルでまとまっており、1件ごとの番地までは分からない点に注意してください。
マンションと戸建て・土地で変わる売却相場の調べ方の違い
物件の種類によって、売却相場を調べる際に見るべきデータが変わります。マンションは同じ建物内の成約事例を集めやすく、戸建てや土地は個別性が強いため、別の指標を組み合わせて確認する必要があります。
マンションの相場の調べ方
マンションの場合は、同じマンション内または近隣の同規模マンションの成約価格を探すのが近道です。階数や方角、管理状態によって価格差が出るため、同じ棟で複数の成約事例があれば、そのばらつきの範囲が自宅の相場の目安になります。
戸建て・土地の相場の調べ方
戸建てや土地は、国税庁が公開する路線価や、国土交通省の公示地価も手がかりになります。これらは税金を算定するための評価額であり、実際の取引価格とは異なりますが、土地の価値の方向性を把握するには役立ちます。建物部分の価値は築年数とともに下がっていくため、土地と建物を分けて考える視点が必要です。
路線価と実際の取引価格は一致しないので、戸建てや土地の相場を路線価だけで決めないよう注意してください。
査定で不動産売却の価格が決まる仕組み|査定のポイント
公的データで売却相場の大まかな範囲がつかめても、自宅の正確な価格は不動産会社の査定を受けないと分かりません。不動産の査定には種類があり、見られているポイントも複数あります。
査定の種類|簡易査定と訪問査定
簡易査定は、所在地や面積、築年数といった情報だけで価格を算出する方法で、現地を訪れずに数日以内に結果が出ます。訪問査定は、実際に不動産会社の担当者が物件を見て、内装の状態や日当たり、周辺環境まで確認したうえで価格を出す方法です。簡易査定より精度は高くなりますが、担当者と対面で話す必要があります。
査定額を左右する主なポイント
査定額は、立地や面積、築年数といった基本情報に加え、リフォーム履歴や設備の状態、周辺の取引事例によって変わります。マンションの場合は管理組合の修繕計画や共用部の管理状態も見られます。不動産の査定でどのような要素が見られているかは、マンション査定で見られる15のポイントで解説しています。
同じ物件でも不動産会社によって査定額が数百万円単位で異なることがあるため、1社だけの金額で判断しないようにしてください。
匿名査定と一括査定の使い分け|営業電話を避けて不動産売却相場を知る方法
不動産の査定を申し込むと営業電話が来るイメージが強く、それを避けたい方には匿名査定という選択肢があります。匿名査定は、氏名や電話番号を伝えずに、おおよその価格帯だけを確認できる仕組みです。複数の不動産会社に一度に依頼する一括査定とは、個人情報の扱いと得られる情報の精度が異なります。
一括査定は個人情報を入力する代わりに、複数社からより具体的な価格と根拠の提示を受けられます。不動産売却を具体的に検討し始めた段階では一括査定が向いていますが、まだ価格帯を知りたいだけの段階では匿名査定で十分です。それぞれの仕組みの違いは匿名査定と一括査定の違いで解説しています。
匿名査定で分かる金額はあくまで概算で、正式な価格を知るには最終的に訪問査定が必要になります。
売却相場より高く売るための査定依頼のタイミング
不動産売却を決めていない段階でも、売却相場を知るための査定依頼は申し込んでかまいません。不動産の査定を受けただけで不動産売却が確定するわけではなく、提示された金額を見てから検討を続けることができます。むしろ、相場観を持たないまま売却を決めてしまうと、提示された価格が適正かどうか判断できません。
実際に売却を決めたあとの流れは、査定から契約、引き渡しまで複数のステップに分かれています。不動産売却を具体的に進める際の全体の流れは不動産売却の流れ|査定から引き渡しまでの7ステップで解説しています。
複数社の査定額を比較する場合は、同じ条件(時期・面積の表示方法)で依頼すると差の原因が分かりやすくなります。
売却後に手元へ残る金額|税金と諸費用の内訳
売却相場を調べて売却価格の見込みが立っても、その金額がそのまま手元に残るわけではありません。売却価格からは仲介手数料や登記に関する費用、条件によっては譲渡所得税が差し引かれます。次の図は、3000万円で売却した場合の概算の内訳です。
※3000万円で売却した場合の、長期譲渡・控除適用なしの概算例です(2026年9月時点)。取得費が実額で分からず、概算取得費(売却価格の5%)を用いて計算した場合に近い想定であり、実際の取得費が判明している一般的なケースでは、課税対象となる譲渡益が小さくなるため税負担はより軽く、手元に残る金額の割合もこれより高くなることが多い点にご注意ください。
この図は、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える長期譲渡で、各種の控除を適用しない場合の概算を示しています。長期譲渡所得の税率自体は所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%を合わせた20.315%ですが、課税対象となる譲渡益は取得費や売却にかかった費用によって大きく変わるため、「約75%が手元に残る」という割合はあくまで一例にすぎません。正確な金額は税務署か税理士に確認する必要があります。
マイホームを売った場合は3000万円の特別控除が使える可能性があるため、該当しそうな方は適用条件を事前に確認してください。
よくある質問
匿名査定は本当に営業電話が来ませんか?
匿名査定は氏名や電話番号を入力しない仕組みのため、不動産会社から直接連絡が来ることは基本的にありません。価格帯を確認した後に詳しい査定を依頼する場合は、その時点で連絡先を伝える流れになります。
国土交通省のデータと実際の売却価格はどれくらい違いますか?
公的データは過去の成約価格であり、現在の市場の動きや物件の個別条件は反映されません。似た条件の事例が複数あれば目安になりますが、最終的な価格は査定や売却活動の結果によって変わります。
売却相場を調べるだけで査定を依頼してもいいですか?
依頼してかまいません。不動産の査定は価格を知るための手続きであり、売却を確定させるものではないため、結果を見てから検討を続けられます。
マンションと戸建てで売却相場の調べ方は違いますか?
違います。マンションは同じ建物内の成約事例を参考にできますが、戸建てや土地は個別性が強く、路線価や公示地価も合わせて確認する必要があります。
売却相場より高い金額で売却できることはありますか?
公的データで示される成約価格の範囲を上回る条件で売れる場合もあります。リフォームの状態や売却のタイミング、周辺の需要によって価格は変動するため、複数の不動産会社の査定を比較することが判断の助けになります。
不動産売却の相場を調べるときに押さえておきたいこと
不動産売却の相場は、国土交通省の不動産情報ライブラリやレインズマーケットインフォメーションを使えば、個人情報を入力せずに成約価格の目安を調べられます。自宅の正確な価格を知るには、匿名査定や訪問査定で個別の条件を反映した数字を確認する必要があり、売却後に手元へ残る金額も税金や諸費用を差し引いて考える必要があります。ぜひ本記事の相場の調べ方と査定のポイントを参考に、営業電話に悩まされずに自宅の価格を確認してください。
出典
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」
- 不動産流通機構「レインズマーケットインフォメーション」
- 国税庁「路線価図・評価倍率表」
- 国税庁「マイホームを売ったときの特例」
- 国税庁タックスアンサー No.3208「長期譲渡所得の税額の計算」
- 国税庁タックスアンサー No.3258「取得費が分からないとき」
