仲介と買取どっちがいい?違いとメリット・デメリット

「仲介に出しても、いつ売れるか分からない」「でも買取だと安く買い叩かれるだけなのでは」——不動産の売却方法を調べ始めると、この二択で迷う方がほとんどです。どちらも間違いではないからこそ、判断がつきにくいのだと思います。
結論からお伝えすると、仲介と買取は優劣で決まるものではなく、何を優先したいかで自然と答えが見えてきます。価格を少しでも高くしたいなら仲介が基本ですが、早さや確実性、周囲に知られないことを重視するなら買取が合理的な選択になる場面も少なくありません。
この記事では、価格・期間・手数料といった条件の違いから、買取が向くケース、業者選びの注意点、さらには両者を組み合わせる「買取保証」という方法まで、順を追って見ていきます。
仲介と買取の違い|価格・期間・手数料を比較
仲介は不動産会社に買主を探してもらい、市場価格に近い金額での売却を目指す方法です。
買取は不動産会社そのものが買主となり、価格に合意すれば短期間で売却が成立する方法です。
価格を優先するなら仲介、早さや確実性を優先するなら買取、というのが基本的な使い分けになります。
両者の違いを一覧にすると、次のようになります。
| 仲介 | 買取 | |
|---|---|---|
| 買主 | 一般の個人 | 不動産会社 |
| 価格 | 市場価格に近い | 市場価格より低くなる傾向 |
| 期間 | 3か月〜半年程度 | 数日〜1か月程度 |
| 仲介手数料 | かかる | かからない |
| 販売活動 | 広告・内見あり | 不要 |
| 近所に知られる | 可能性がある | ほぼない |
| 売れる確実性 | 買主が現れるまで不確定 | 価格に合意すれば成立 |
| 契約不適合責任 | 売主が負う | 免責となる場合が多い |
出典:宅地建物取引業法、民法(契約不適合責任)等にもとづく一般的な整理。買取価格の水準や契約条件は会社・物件により異なります。
表を見ると分かるとおり、仲介と買取は単純にどちらかが優れているという関係ではありません。
価格・期間・手間・秘密の守られやすさのどこに重みを置くかで、選ぶべき方法が変わってきます。
次の章からは、この中でも特に判断を左右する「価格の差」について、なぜそうなるのかを見ていきます。
まずは表の項目を眺めて、ご自身がどこを一番大事にしたいかを整理してみてくださいね。
買取のデメリットは価格|なぜ仲介より安くなるのか
買取価格が仲介より安くなるのは、不動産会社が買い取った物件をリフォームして再販売し、その差額で利益を得る仕組みになっているためです。買取価格は一般に市場価格の7〜8割程度になることが多いとされ、仲介手数料が浮くメリットよりも、この価格差のほうが大きくなるのが通常です。
「仲介手数料がかからないなら、買取のほうが得なのでは」と考える方は多いのですが、実際にはそう単純ではありません。仲介手数料が浮いた分と、買取価格が市場価格より低くなる分を比べると、後者のほうが大きくなるケースがほとんどだからです。
買取価格には、リフォーム費用、再販売までの保有コスト、会社の利益があらかじめ差し引かれています。
物件の状態や再販のしやすさによって変わりますが、この構造自体は変わりません。
実際に金額で比較すると、その差がよく分かります。
| 仲介 | 売却2,000万円 - 手数料72.6万円 = 約1,927万円 |
| 買取(市場価格の8割) | 売却1,600万円 - 手数料0円 = 約1,600万円 |
この例では、手取りの差は約327万円になります。
手数料が浮いたとしても、それだけでは価格の下落幅を補いきれないことがほとんどです。
したがって、価格を重視するのであれば、まずは仲介を検討するのが基本的な考え方になります。
「手数料がかからない分、買取のほうが得」というイメージは実際とは逆になりやすいので、金額は必ず両方で確認しておきましょう。
買取のメリットが上回る5つのケース
価格の面では仲介が有利になりやすいものの、それでも買取を選ぶ理由がある方は少なくありません。事情によっては、価格差を払ってでも買取を選ぶことが理にかなう場合があります。
1. 近所に知られたくない
買取なら看板やのぼりを出さず、ポータルサイトへの掲載も内見の対応も必要ありません。
売却の事実が周囲に伝わる経路がほとんどないため、地域のつながりが濃い地方では、この点を何より重視する方も少なくありません。
媒介契約の種類による違いは「媒介契約の種類|専属専任・専任・一般の違いと選び方」もご参照ください。
2. 期限が決まっている
転勤の期日が迫っている、相続税の納付期限がある、離婚の財産分与を急いでいる——こうした場合、仲介で「いつ売れるか分からない」状態は困りものです。買取であれば数日から1か月程度で現金化できるため、期限に追われている方にとっては大きな安心材料になります。
3. 買い手が付きにくい物件
再建築不可、市街化調整区域、事故物件、極端な築古、ゴミ屋敷状態、借地権付きの物件は、仲介に出しても買主が現れず長期間売れ残ることがあります。
専門の買取業者であれば、こうした物件でも取り扱えることがあります。
借地権付き物件については「借地権付き建物は売れる?地主の承諾と裁判所の許可」で詳しく解説しています。
4. 契約不適合責任を避けたい
見落とされがちですが、これは重要な差です。仲介で個人に売った場合、引き渡し後に雨漏りやシロアリなどが見つかると、売主が契約不適合責任を負い、修補や損害賠償を求められることがあります。
買取では、不動産会社がプロとして物件の状態を承知のうえで買うため、この責任が免責されることが多くなります。古い物件で「後から何か出てくるかもしれない」という不安がある場合、この安心感は価格差に見合うと感じる方もいるでしょう。
5. 空き家の維持費がかさんでいる
遠方の実家が空き家のまま、固定資産税と管理費だけがかかり続けている——そうした状況にある方も珍しくありません。仲介で1年売れ残るより、多少安くても早く手放したほうが、トータルでは負担が軽くなる場合があります。
複数の事情が重なっている方も多いので、当てはまる項目が一つでもあれば買取を候補に入れて比較してみてください。
買取の流れ|仲介との手続きの違い
買取の手続きが仲介より短くなるのは、販売活動と買主を待つ工程がまるごとなくなるためです。仲介で最も時間が読めないのはこの部分にあたるため、期間が短縮されるのは手続きの構造上、当然の結果といえます。
| 仲介 | 買取 | |
|---|---|---|
| 1 | 査定を依頼する | 査定を依頼する |
| 2 | 媒介契約を結ぶ | 買取価格の提示を受ける |
| 3 | 売り出し・販売活動・内見対応 | 条件を交渉して合意する |
| 4 | 買主が現れるのを待つ | 売買契約を結ぶ |
| 5 | 売買契約を結ぶ | 決済・引き渡し |
| 6 | 決済・引き渡し | — |
表の太字にした部分が、仲介にしかない工程です。仲介の各ステップについては「不動産売却の流れ|査定から引き渡しまでの7ステップ」で詳しく扱っています。
売主の手間という点でも差が出ます。
仲介では内見のたびに掃除と立ち会いが必要になりますが、買取では現地調査が1回で済むことが多くなります。
ただし、物件の状態を正確に伝える責任は買取であっても変わりません。
告知書(物件状況等報告書)には、知っている不具合をきちんと記載してください。
「すぐ売れる」という言葉に安心しすぎず、告知内容の記載だけは丁寧に進めていただきたいところです。
買取業者の選び方|免許番号と実績を確認する
買取業者を選ぶ際は、まず宅地建物取引業の免許があるかどうかを確認してください。買取では不動産会社そのものが直接の買主になるため、相手選びが条件そのものを左右します。
免許番号は「国土交通大臣(○)第○号」または「○○県知事(○)第○号」の形で表示され、カッコ内の数字は免許の更新回数を示します。
宅建業の免許の有効期間は5年(宅地建物取引業法第3条第2項)なので、数字が大きいほど長く営業を続けている会社だと分かります。
免許番号は会社の店舗や広告、名刺に表示する義務があるため、必ず目にする機会があるはずです。
次に見ておきたいのが、その地域・その種類の物件を扱った実績です。
地域の相場を把握していない会社だと、安全側に寄せた低い価格が出やすくなります。
再建築不可や借地権のような専門性の高い物件では、扱い慣れているかどうかで価格に差が出ることもあります。
契約前に確認しておきたい点も、あらためて整理しておきます。
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 契約不適合責任の免責範囲 | 「免責」と聞いていても、契約書の記載が実際の条件になる |
| 残置物の扱いと費用負担 | 買取価格から差し引かれるのか、別途請求されるのか |
| 決済までの期間 | 「すぐ現金化」の中身は会社により異なる |
| 仲介手数料の有無 | 仲介会社を介して買取業者に売る場合は手数料がかかる |
複数社に査定を依頼して比べるのは、仲介と同じです。
比較の考え方は「不動産査定は複数社に頼むべき?金額より根拠を見る」もあわせてご確認ください。
「口頭では免責と言われたのに契約書に書かれていない」というトラブルも耳にしますので、契約書は必ずご自身の目で確認してくださいね。
買取保証という中間の選択肢|仲介と買取を組み合わせる
買取保証とは、まず仲介で売り出し、一定期間内に売れなければあらかじめ決めた価格で不動産会社が買い取る、という仕組みです。市場価格で売れる可能性を残しながら、売れ残るリスクも回避できる、仲介と買取の中間に位置する選択肢といえます。
買取保証の仕組み
市場価格に近い金額での成約を目指して販売活動を行う
買主が現れれば通常の仲介として成立
あらかじめ決めた保証価格で不動産会社が買い取る
※保証価格は、通常の買取価格と同程度になることが一般的です。
ただし、この仕組みを取り扱っている会社は限られます。仲介の相談時に、買取保証を用意しているかどうかを聞いてみるとよいでしょう。
「まずは高く売る努力をしつつ、最悪のラインも決めておきたい」という方には向いている方法だと思います。
仲介と買取どっちがいいか|判断の順序
判断に迷ったときは、仲介での想定売却額と買取での想定買取額をそれぞれ査定で確認し、その差額を「早さ・見通しの立てやすさ・秘密が守られることの対価」として納得できるかどうかで決めるのが基本的な考え方です。
判断の目安
※この差額が小さいと感じれば買取、大きいと感じれば仲介が現実的な選択になります。
その差額を払ってでも早く手放したいのか、時間をかけてでも高く売りたいのか。
ご自身の事情に照らして考えてみてください。
差額が想像より小さければ買取、大きければ仲介、という決め方も現実的な方法のひとつです。
なお、買取業者に直接依頼すれば仲介手数料はかかりませんが、仲介会社を介して買取業者に売る場合は手数料が発生します。契約の形態がどちらになっているかは、事前に確認しておいてください。
両方の査定額を見比べるだけでも、ご自身の中でどちらを優先したいかが見えてくることが多いですよ。
仲介と買取のよくある質問
Q 買取価格は交渉できますか?
A 交渉の余地はあります。
複数の買取業者に査定を依頼すれば、価格に差が出ることも珍しくありません。
ただし業者側も再販時の利益から逆算して価格を出しているため、大幅に上がることは多くないでしょう。
それでも比較する価値は十分にあります。
Q 仲介で売り出してから買取に切り替えられますか?
A 切り替えは可能です。
一定期間売れなければ買取に切り替える、という進め方は現実的な選択肢のひとつです。
ただし媒介契約の期間中は他社への切り替えに制約があるため、契約内容を確認しておいてください。
最初から買取保証を付けておく方法もあります。
Q 買取なら税金はかかりませんか?
A 売却方法にかかわらず、売却益が出れば譲渡所得税がかかります。
ただしマイホームであれば3000万円特別控除が使え、買取であっても適用される点は変わりません。
詳しくは「3000万円特別控除とは|マイホーム売却で使える節税制度」をご覧ください。
Q 残置物があっても買い取ってもらえますか?
A 家財が残ったままでも買い取る業者はあります。
処分費用が買取価格から差し引かれる形になりますが、ご自身で片付ける手間は省けます。
詳しくは「残置物があっても家は売れる?処分費用と現状渡しの注意点」をご覧ください。
Q 買取業者はどう選べばいいですか?
A 価格だけでなく、その業者がその地域・その種類の物件を扱った実績があるかを見てください。
地域の相場を知らない業者だと、価格が安く出ることもあります。
宅建業の免許番号を確認したうえで、複数社を比較するのが基本の進め方です。
Q まず何を確認すればいいですか?
A 仲介での査定額と、買取での査定額の両方を確認することが出発点です。
その差額を見れば、判断の材料が自然と見えてきます。
売却全体の流れは「不動産売却の流れ|査定から引き渡しまでの7ステップ」、手取り額の計算は「マンション売却で手元に残る金額の計算方法」をご覧ください。
まとめ|仲介と買取は価格と期間のどちらを優先するかで決まる
仲介は市場価格に近い金額で売れる可能性がある一方、買主が現れるまで時間がかかります。買取は数日から1か月で現金化でき、周囲に知られる心配も少ない反面、価格は市場価格の7〜8割程度になるのが一般的です。
仲介手数料が浮いても、価格の下落幅のほうが大きくなるため、手取りは仲介のほうが多くなるのが通常です。それでも、期限がある場合、近所に知られたくない場合、買い手が付きにくい物件、契約不適合責任を避けたい場合には、買取が合理的な選択になるでしょう。
判断のためには、仲介と買取の両方の査定額を知ることが出発点になります。その差額が「早さと見通しの立てやすさの対価」として納得できるかどうかで、決めてみてください。
どちらか一方だけで決めず、まずは両方の査定額を並べて見比べてみることをおすすめします。
出典・参考情報
- 宅地建物取引業法 第3条第2項(免許の有効期間5年)、第34条の2(媒介契約)、第37条(書面の交付)
- 民法 第562条〜第564条(契約不適合責任)
- 昭和45年建設省告示第1552号「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
- 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」(市場価格の参考)
※買取価格の水準(市場価格の7〜8割程度)は一般的な傾向であり、物件の状態・立地・再販のしやすさにより異なります。実際の価格は各社の査定でご確認ください。


