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連帯債務とは?連帯保証との違いと不動産売却前の基礎知識

連帯債務で組んだ住宅ローンの自宅を売ろうとすると、ローンの契約書に「連帯債務者」という文字を見つけて手が止まる方は少なくありません。離婚や相続、住み替えをきっかけに不動産売却を進める途中で、自分がどこまで返済の責任を負っているのか分からなくなるケースです。

連帯債務とは、民法第436条にもとづき、複数の人が同じ債務の全額について返済する責任を負う仕組みです。連帯保証人が「主たる債務者が払えないときに代わって払う」立場なのに対し、連帯債務者は最初から自分自身の債務として全額の返済義務を負います。不動産を売却して住宅ローンを一括返済しても、売却代金で完済できなければ、残った債務の返済義務は連帯債務者全員に続きます。

本記事では、連帯債務と連帯保証の違い、離婚・相続・住み替えの場面ごとの不動産売却の進め方、残債の負担割合の決め方を解説します(2026年9月時点の制度にもとづきます)。

この記事はこんな方に向いています

  • 夫婦で連帯債務のローンを組んだ自宅を離婚のため売却する予定だが、残債の負担割合をどう決めればよいか分からない方
  • 親子で連帯債務を組んだ実家を相続後に売却したいが、残った債務の責任範囲が分からず不安になっている方
  • 住み替えのためローンの連帯債務者になっている自宅を売却するが、連帯保証との違いを理解できず契約書の確認に戸惑う方

連帯債務とは|不動産売却前に知っておきたい基礎知識

連帯債務とは、1つの債務を2人以上が各自の全額について負う仕組みです。住宅ローンでは、夫婦や親子が収入を合算して借りる際に利用され、住宅金融支援機構のフラット35連帯債務型のように、1本のローンに対して全員が「借主」としての責任を持つ形が代表的です。ペアローンのように2本のローンをそれぞれが単独で負う仕組みとは異なり、連帯債務は1本のローンを全員で負う点が特徴です。

不動産を売却すると判断する前に、自分が連帯債務者なのか、それとも連帯保証人なのかを住宅ローンの契約書で確認する必要があります。契約書の表紙や特約事項に「連帯債務者」「連帯保証人」のどちらが記載されているかで、売却後に負う責任の範囲が変わるためです。売却相場をつかむ段階では、匿名査定・AI査定はどこまで正確?精度の限界と賢い使い方で紹介している方法を使うと、不動産会社に連絡する前におおよその金額を把握できます。

住宅ローンの契約書は分厚いですが、まず「連帯債務者」「連帯保証人」のどちらの表記があるかだけ確認してください。

連帯保証との違い|不動産売却で確認したい責任の範囲

誰が請求されるかの違い

連帯保証人には催告の抗弁権(さいこくのこうべんけん)と検索の抗弁権がなく、金融機関は主たる債務者に請求する前に連帯保証人へ全額を請求できます。ただし、連帯保証人自身が不動産の名義を持っていなければ、住宅ローンの返済が進んでいる限り実際に請求を受ける場面は限られます。一方、連帯債務者は不動産の共有者として登記されていることが多く、売却の判断そのものに全員の同意が必要になります。

不動産売却時に確認したい契約書の文言

住宅ローンの契約書に「連帯債務者」とある場合、売買契約を結ぶ前に、連帯債務者全員が売却と住宅ローンの一括返済に同意している必要があります。不動産の登記簿に共有者として名前が載っていれば、売買契約書への署名・捺印も全員分が求められます。登記簿の内容は法務省が管理する登記情報で確認でき、自分が共有者として記載されているかは早い段階で調べておくと安心です。

共有者として登記されているかどうかは、登記事項証明書を取得すればすぐに分かります。

離婚・相続・住み替え|連帯債務の不動産を売却する3つの場面

離婚にともなう売却

夫婦で連帯債務を組んだ自宅を離婚のため売却する場合、売却代金で住宅ローンを完済できれば、連帯債務そのものは解消されます。完済できずに残債が出ると、離婚後もどちらが負担するかを夫婦間で取り決める必要があり、離婚協議書に残債の負担割合を明記しておかないと、後になって請求の範囲を争うことになります。

相続した実家の売却

親子で連帯債務を組んだ実家を親の死亡後に売却する場合、親の債務分は法定相続分に応じて当然に分割して相続人に承継されますが、子が自分自身の連帯債務者としての立場を負っている分は、相続放棄をしても消えません。相続放棄は親から引き継ぐ遺産や債務を放棄する手続きであり、子自身がもともと負っている連帯債務とは別の話だからです。

住み替えのための売却

住み替えのため、連帯債務で組んだ自宅を売却して新居のローンに乗り換える場合は、売却代金で旧居の住宅ローンを一括返済できるかが分かれ目になります。完済できれば連帯債務は解消され、新居のローンを単独または新たな連帯債務で組み直せます。完済できない場合は、売却後も旧居の残債務が続く点を踏まえて資金計画を立てる必要があります。

離婚・相続・住み替えのどの場面でも、売却前に住宅ローンの残高を金融機関へ確認しておくと話し合いが進みやすくなります。

残債の負担割合はどう決める?不動産売却前の連帯債務者間の取り決め

連帯債務者間の負担割合は、法律で自動的に決まるものではありません。当初のローン契約時に取り決めた出資割合や、収入合算の比率を目安にする方法が一般的です。負担割合について契約時に明確な取り決めがない場合、民法第436条のもとでは金融機関に対して各自が全額の責任を負いますが、連帯債務者同士の内部的な負担割合については、民法第442条が定める求償権の規定の解釈や判例・学説の整理により、特段の合意がなければ「等しい割合」で負担するという考え方が原則になります。

話し合いで割合を決めたら、口約束で終わらせず、金額と支払い方法を記した合意書を作成しておく必要があります。不動産売却後に残債の支払いが長期化する場合、合意書がないと負担割合をめぐって連帯債務者間で争いが生じやすくなるためです。

負担割合の合意書は、後で金額を確認できる形で日付と署名を必ず残してください。

マンション・戸建てを売却しても残る債務の扱い

マンションや戸建てを売却しても、売却代金が住宅ローンの残高を下回れば、残った債務は消えません。抵当権(ていとうけん)は住宅ローンを完済するか金融機関の同意を得て抹消手続きを行わない限り消えませんが、借りたお金を返す義務そのものは連帯債務者全員に残ります。残債が大きく通常の仲介では完済が難しい場合、金融機関の同意を得て抵当権付きのまま売却する任意売却という方法が使われます。

任意売却は仲介による売却の一種ですが、時間に余裕がない場合には不動産会社による買取という選択肢もあります。買取は現金化が早い一方、仲介より売却価格が下がる傾向があり、どちらを選ぶかで残債の圧縮額が変わります。

任意売却を検討する場合は、売却を決める前に金融機関へ相談し、同意を取る手順を踏んでください。

連帯債務を解消して不動産を売却する手順

連帯債務を解消しながら不動産を売却する流れを、6つの段階に分けて示します。

1
連帯債務者全員で売却の意思を確認する
共有者としての同意がなければ売却活動を始められない
2
不動産会社に査定を依頼し売却相場を把握する
住宅ローンの残高と比較して完済できるかを見積もる
3
媒介契約を結び売却活動を始める
連帯債務者全員の署名・捺印が必要になる場合が多い
4
売買契約を結び住宅ローンの残高を確定させる
金融機関に残高証明書を取得してもらう
5
売却代金で住宅ローンを一括返済する
完済できれば連帯債務そのものが解消される
6
残った債務の負担割合を連帯債務者間で取り決める
完済できなかった場合に合意書を作成する

完済できるかどうかが分かるのは4の段階なので、2の相場把握の精度が全体の計画を左右します。

4の残高確定を待たずに新居の契約を進めると、資金計画が崩れやすいので順番を守ってください。

売却前に確認したい書類と不動産会社への相談事項

連帯債務の不動産を売却する際には、住宅ローンの契約書、登記事項証明書、連帯債務者全員の本人確認書類が必要になります。登記事項証明書で共有者としての記載内容を確認し、契約書で連帯債務者と連帯保証人のどちらに該当するかを確かめておくと、不動産会社との打ち合わせがスムーズに進みます。

不動産会社に相談する際は、連帯債務者が複数いる事情を最初に伝えておく必要があります。媒介契約の締結や売買契約の署名に全員の同意が必要になる点は、専属専任・専任・一般のどの媒介契約を選んでも共通するためです。

連帯債務者が複数いる事情は、最初の相談時点で不動産会社に伝えておくと手続きの遅れを防げます。

よくある質問

連帯債務者の1人だけで不動産を売却できますか

できません。連帯債務の不動産は共有名義になっていることが多く、共有者全員の同意がなければ売買契約を結べません。

連帯債務者が死亡した場合、残りの連帯債務者の負担は増えますか

死亡した連帯債務者の負担分は相続人が引き継ぎますが、相続人が相続放棄をすると、残った連帯債務者が負う範囲が実質的に広がる場合があります。

連帯債務と連帯保証、どちらが不動産売却時に不利ですか

一概にどちらが不利とは言えません。連帯債務者は共有者として不動産売却の同意が必要な分手続きが増え、連帯保証人は不動産売却の判断に関与しない代わりに残債務の請求を受ける立場が続きます。

任意売却をすると連帯債務者全員の信用情報に記録が残りますか

住宅ローンの返済が遅れた状態で任意売却をすると、連帯債務者全員の信用情報に記録が残る可能性があります。詳しい条件は金融機関や信用情報機関への確認が必要です。

離婚後、連帯債務者から外れるにはどうすればよいですか

不動産を売却して住宅ローンを完済する方法のほか、金融機関の審査を受けて片方の単独ローンに借り換える方法があります。どちらも金融機関の同意が前提になります。

連帯債務とは何かを理解して不動産売却を進めるために

連帯債務は、複数の人が1つの債務の全額について責任を負う仕組みであり、不動産を売却して住宅ローンを完済できれば解消されますが、完済できなければ残債の返済義務が連帯債務者全員に続きます。離婚・相続・住み替えのどの場面でも、契約書と登記簿で自分の立場を確認し、負担割合を合意書に残したうえで売却を進める必要があります。ぜひ本記事の連帯債務とは何かという基礎知識を参考に、不動産売却の計画を立ててください。

出典

  • e-Gov法令検索「民法」(連帯債務・連帯保証に関する規定)
  • e-Gov法令検索 民法第442条(連帯債務者間の求償権)
  • 住宅金融支援機構「【フラット35】連帯債務型のご案内」
  • 法務省「登記事項証明書の交付について」
  • 法務省 民法(債権関係)部会資料
  • 最高裁判所判例(可分債務の当然分割承継の法理)
  • 住宅ローンにおける抵当権抹消の一般的実務(完済・金融機関の同意が前提)
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