延べ床面積とは?査定や売却への影響を解説
不動産会社から届いたマンションや戸建ての査定書、固定資産税の課税明細書には「延べ床面積」という項目があります。各階の床面積を合計した数値で、建築基準法施行令第2条第1項第4号で定められた建物の規模を示す基準です。
延べ床面積は査定額を算出する際の根拠の一つですが、戸建ての建坪やマンションの専有面積とは数え方が異なり、増築部分が登記に反映されていなければ実際の広さと差が生じます。この差を放置したまま売却を進めると、買主への説明や契約書の記載で思わぬ食い違いが出ることがあります(2026年9月時点)。
本記事では延べ床面積の定義と調べ方、査定額への影響、増築時の注意点を解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 子の独立を機に自宅を売却する準備を始め、延べ床面積が査定額にどう影響するのか初めて調べている45歳会社員の方
- 増築部分が未登記のまま残っており、延べ床面積の記載と実際の建物に差がないか確認したい方
- 住み替え先の広さと比較検討する際に、延べ床面積と建坪の違いが分からず戸惑っている方
延べ床面積とは|不動産売却で最初に確認したい建物の広さ
延べ床面積は、建物の各階の床面積をすべて合計した数値です。2階建ての戸建てであれば1階と2階の床面積を足した数字が延べ床面積になり、マンションであれば専有部分の各階を合計して考える場合があります。建築基準法施行令第2条第1項第3号では、各階の床面積が壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の面積として定義されており、同項第4号ではその各階の床面積を合計したものが延べ面積(延べ床面積)と定義されています。
バルコニーやベランダ、屋根付きの車庫、ピロティ(1階部分が吹き抜けの構造)などは、条件によって延べ床面積に含まれないことがあります。不動産の売却を進める中で延べ床面積を確認するときは、どの部分が含まれているかまで見ておくと、後から広告や契約書の表記と実感がずれるのを防げます。
延べ床面積は建物の規模を示す数値であり、土地の広さとは別の指標です。混同しないよう最初に区別しておきましょう。
建坪・施工面積との違い|戸建てとマンションで異なる広さの数え方
延べ床面積と似た言葉に「建坪」「施工面積」があり、どちらも不動産の広さを表す言葉ですが、数える対象が異なります。
戸建ての建坪と延べ床面積
建坪は建物を上から見たときの面積で、1階部分の面積とほぼ同じ意味で使われます。延べ床面積は2階や地下室まで含めた合計のため、2階建て以上の戸建てでは建坪より延べ床面積のほうが大きくなります。
マンションの専有面積と延べ床面積
マンションの場合、不動産会社の広告やパンフレットに記載される「専有面積」は壁の中心線(壁芯)で測った面積で、登記簿上の面積は壁の内側(内法)で測った面積です。同じ部屋でも登記簿上の面積のほうが数値はやや小さくなる傾向があります。登記簿上の面積と広告の面積が異なるのはこの測り方の違いによるものです。
| 用語 | 測る対象 | 主に使われる場面 |
|---|---|---|
| 延べ床面積 | 各階の床面積の合計(壁の中心線基準) | 建築確認・固定資産税・容積率の計算 |
| 建坪 | 1階部分を上から見た面積 | 戸建ての広さの目安 |
| 専有面積 | 壁の内側で測った面積 | マンションの広告・契約書 |
広告に出ている面積がどの基準で測られたものか分からないときは、不動産会社に確認すると数値のずれで誤解しなくなります。
登記簿謄本や建築確認書類で延べ床面積を調べる方法
延べ床面積は、法務局で取得できる登記簿謄本(登記事項証明書)の表題部に記載されています。戸建てやマンションを購入したときの建築確認申請書・確認済証にも記載があり、自治体から送られる固定資産税の課税明細書でも確認できます。
手元に書類が見つからないときは、法務局の窓口やオンラインの登記情報提供サービスで登記事項証明書を取得できます。匿名で不動産会社の査定を試す段階では延べ床面積まで詳しく確認されないことが多く、精度の限界については匿名査定・AI査定の精度の限界と賢い使い方で解説しています。
登記簿謄本の取得には収入印紙による交付手数料(窓口請求600円、オンライン請求・郵送受取520円、オンライン請求・窓口交付490円など)がかかりますが、売却の初期段階で1枚取っておくと後の手続きがスムーズになります。
マンション売却と戸建て売却|延べ床面積が査定額に与える影響
延べ床面積は、査定額を算出する際に使われる基準の一つです。ただし広いほど必ず高く評価されるわけではなく、築年数や耐震基準、管理状態といった他の条件と合わせて判断されます。これらの条件が査定に与える影響は築年数・耐震基準・管理状態が査定に与える影響で解説しています。
マンション売却での延べ床面積の扱い
マンションの査定では、専有面積とバルコニーの有無、間取りのバランスが重視される傾向にあります。延べ床面積の数値そのものより、専有面積あたりの取引価格の相場で比較されることが多く、周辺の類似物件との比較が重要な材料になります。
戸建て売却での延べ床面積の扱い
戸建ての査定では、建物の延べ床面積と土地の面積の両方が評価に関わります。延べ床面積が広い家でも、建物の老朽化が進んでいれば建物価値は低く見積もられ、土地の価値が中心になる場合があります。
延べ床面積だけで査定額を見積もるのは難しく、複数の不動産会社から査定を取って比較するのが実務的な方法です。
増築部分の未登記リスク|延べ床面積と売却への影響
戸建てで増築した部分が登記に反映されていない場合、登記簿上の延べ床面積と実際の建物の広さに差が生じます。この差は売却時に買主への説明義務や契約書の記載に関わり、放置したまま売買契約を結ぶとトラブルの原因になります。
増築した部分に建築基準法上の問題がある場合や、建物の老朽化・シロアリ被害が重なっている場合は、告知義務の範囲も広がります。建物の劣化や被害がある家の売却で注意したい告知義務についてはシロアリ被害のある家の売却と告知義務で解説しています。未登記部分がある場合は、売却前に土地家屋調査士や不動産会社に相談し、登記の修正が必要かどうかを確認しておくと安心です。
未登記の増築部分は融資審査にも影響することがあるため、早めに登記簿謄本と現況を見比べておきましょう。
容積率との関係|延べ床面積で住み替え先の家の広さを比較する
容積率は、敷地面積に対して延べ床面積がどこまで建てられるかを示す割合で、延べ床面積÷敷地面積×100で計算します。用途地域ごとに上限が都市計画で定められており、同じ敷地面積でも用途地域が異なれば建てられる延べ床面積の上限は変わります。
住み替え先の家を比較するときに延べ床面積だけを見ると、敷地面積や容積率の条件が異なる物件を単純に比較してしまうことがあります。広さの感覚を揃えるには、延べ床面積と敷地面積の両方を確認し、同じ用途地域の物件同士で比べるのが実務的な方法です。
容積率の上限は自治体の都市計画課で確認できます。住み替え先を検討する際は早めに調べておくと比較がしやすくなります。
不動産売却までの流れ|延べ床面積の確認ステップ
延べ床面積の確認から不動産売却までは、いくつかの段階を順番に進めることになります。次の図は、売却の準備段階で延べ床面積をどう扱うかの流れを示したものです。
記載されている延べ床面積の数値を控える
増築・改築で変わった部分がないか確かめる
差があれば登記の修正を検討する
延べ床面積を含めた条件を伝えて算出してもらう
買主への説明もこの時点で行う
登記簿の確認から契約書への反映まで、延べ床面積の扱いは売却の初期段階にまとめて済ませておくと、後の工程で手間が増えません。
延べ床面積の確認は、売却を決めた直後にまとめて済ませておくと、後の媒介契約や契約書作成がスムーズに進みます。
よくある質問
延べ床面積にバルコニーは含まれますか?
バルコニーやベランダは、外部に開放された部分として延べ床面積に含まれないことが一般的です。ただし奥行きや形状によって一部が含まれる場合もあるため、正確な扱いは登記簿謄本や建築確認書類で確認してください。
マンションの延べ床面積と専有面積はどちらが大きいですか?
延べ床面積は壁の中心線で測るのに対し、広告やパンフレットに記載される専有面積も壁の中心線(壁芯)で測った面積です。ただし登記簿上の専有面積は壁の内側(内法)で測るため、広告表示の数値よりやや小さくなる傾向があります。広告に記載されるのは壁芯で測った専有面積であることが多く、登記簿上の面積とは別の数字だと考えておくと誤解が減ります。
増築した部分の延べ床面積が登記に反映されていない場合、売却できますか?
未登記の状態でも売却自体は可能ですが、買主への説明や契約書の記載で実際の建物との差を伝える必要があります。融資審査に影響する場合もあるため、売却前に登記の修正を検討することをおすすめします。
延べ床面積が広いほど査定額は必ず上がりますか?
延べ床面積は査定の材料の一つですが、それだけで評価が決まるわけではありません。築年数や耐震基準、土地の条件、周辺の取引価格の相場なども合わせて判断されます。
延べ床面積を自分で調べる方法はありますか?
登記簿謄本は法務局やオンラインの登記情報提供サービスで取得できます。固定資産税の課税明細書にも記載があるため、手元の書類をまず確認してみてください。
延べ床面積とは何かを理解して不動産売却の準備を進める
延べ床面積は各階の床面積を合計した数値で、建坪や専有面積とは測り方が異なり、査定額を決める材料の一つとして使われます。増築部分が未登記のまま残っていると、売却時の説明や契約書の記載に差が生じるため、登記簿謄本と現況を見比べておくことが大切です。ぜひ本記事の延べ床面積の調べ方と確認の流れを参考に、売却の準備を進めてください。
出典
- e-Gov法令検索「建築基準法施行令」
- 国土交通省「建築基準法」
- 法務省「不動産登記法」
- 法務省「登記手数料について」
- 不動産公正取引協議会連合会「不動産の表示に関する公正競争規約」
