内金とは?手付金との違いと不動産売買での支払時期を解説
自宅マンションの売買契約を結んだあと、契約書に「手付金」とは別に「内金」という項目が記載され、支払日まで指定されている書類を受け取ることがあります。内金とは、売買代金のうち手付金を除いた一部を、残代金の決済前に支払うお金のことで、民法に定義のない取引上の慣習的な呼び方です。手付金は民法557条の解約手付としての効力を持ちますが、内金には契約を解除する権利としての効力がなく、単なる代金の一部前払いにとどまる点が大きな違いです。2026年9月時点の情報として、本記事では内金とは何か、手付金との違いと支払時期、契約書への記載方法を解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 住み替えのため自宅を売却する契約を進めており、内金と手付金の違いが分からず支払時期を確認したい45歳会社員の方
- 買主から内金を先に受け取りたいと相談され、後のトラブルを避けるための取り扱いを知りたい方
- 資金需要で早めに一部の代金を受け取りたいが、内金という言葉を初めて聞き契約書への記載方法が気になる方
内金とは|不動産売買で使われる前払い金の意味
内金とは、不動産の売買契約において、売買代金のうち手付金を除いた金額の一部を、残代金決済(引き渡し)より前に支払うお金を指します。「前金」と呼ばれることもあり、呼び方は不動産会社や地域によって異なりますが、指す中身はほぼ同じです。
民法や宅地建物取引業法のどちらにも「内金」という言葉の定義は存在せず、実務上の取引慣行として使われている用語にすぎないため、内金をいつ、いくら、どのような条件で支払うかは、すべて売買契約書の記載次第になります。契約書に内金の条項がなければ、売買代金は手付金と残代金の2回払いで進むのが一般的です。
内金という言葉が出てきたら、まず売買契約書のどの条文に書かれているかを確認してください。条文がなければ口約束にすぎません。
手付金との違い|不動産売買における内金・前金の法的な性質
手付金の解約手付としての効力
手付金は、民法557条に定める解約手付としての効力を持つのが一般的です。買主が契約を解除したい場合は支払った手付金を放棄し、売主が契約を解除したい場合は受け取った手付金の倍額を買主に返還することで、どちらも一方的に契約を解除できます。この仕組みがあるため、手付金には契約の履行を促す力があります。
内金に契約解除の効力はない
一方、内金には解約手付のような契約解除の効力がありません。内金はあくまで売買代金の一部前払いであり、支払った後に契約を解除する場合でも、放棄するだけで契約を打ち切れるわけではなく、契約書に書かれた解除条件(違約金や損害賠償の規定など)に従う必要があります。手付金・内金・前金はどれも売買代金の一部という点では似ていますが、法的な効力はまったく異なります。
「内金なら手付金と同じように放棄して解除できる」と誤解している方がいますが、効力が違うので注意してください。
内金を支払うタイミング|不動産売買の契約から引き渡しまでの流れ
不動産売買で内金が使われる場面は、買主の住宅ローンの実行が引き渡し直前になる一方で、売主が引き渡し前に資金を必要としている場合などです。内金を挟むことで、売主は資金繰りをつけやすくなり、買主は残代金を分けて準備できます。次の図は、契約から引き渡しまでの一般的な流れを示したものです。
契約書に手付金・内金・残代金の金額と期日を明記
住宅ローンの承認状況や引き渡し準備の進み方に合わせて設定
受領書を発行し、残代金への充当額を契約書と一致させる
手付金・内金を差し引いた残額を支払い、所有権移転登記を申請
※内金の支払いタイミングは契約書の定めにより前後します。上図は一般的な流れの一例です。
支払いまでの流れ全体を先に確認しておきたい場合は、不動産売却の流れ|査定から引き渡しまでの7ステップで解説しています。
内金の支払期日は、買主の住宅ローンの承認時期とずれると支払いが遅れがちなので、余裕を持った日程にしてください。
内金の金額はどう決める?不動産売買の相場と目安
内金の金額に法律上の上限や下限はなく、手付金・内金・残代金の合計が売買代金と一致するように、当事者間の合意で自由に決められます。手付金の金額は売買代金の5〜10%程度とされることが多い一方、内金はそもそも設定しない契約も少なくなく、売主の資金需要や買主の資金準備の都合に応じてケースごとに判断されています。
自宅マンションの取引価格そのものの目安を把握したい場合は、まず匿名査定で相場感を確認してから、内金を含めた支払い条件を不動産会社と相談する進め方が現実的です。査定サービスの精度や使い方は匿名査定・AI査定はどこまで正確?精度の限界と賢い使い方で解説しています。
内金を多く設定するほど残代金が減るので、買主の住宅ローンの借入額とずれが出ないか事前に確認しておいてください。
内金を受け取った後に不動産売買契約を解除するときの注意点
買主側が解除する場合
買主が内金を支払った後に契約を解除したい場合、手付金の放棄だけでは解除できません。内金は代金の一部前払いであるため、契約書に定めた違約金の支払いや、すでに受け取った内金・手付金の扱いについて、契約条項に沿って処理する必要があります。契約書に内金の返還条件が書かれていないと、返金されるかどうかで争いになりやすくなります。
売主側が解除する場合
売主側から契約を解除する場合も同様に、受け取った内金をどう扱うかは契約書の定め次第です。手付金の倍額を返還する解約手付の規定とは別に、内金については「全額返還」「違約金と相殺」などの条項を個別に設けておかないと、解除の際にトラブルになりやすい点に注意が必要です。
内金の返還条件は、解除の場面になってから話し合うと感情的になりやすいので、契約時に文章で固めておいてください。
不動産売買契約書に内金をどう記載するか
内金を設ける場合、売買契約書には支払金額、支払期日、残代金からの充当方法、契約解除時の取り扱いを明記しておく必要があります。金額と期日だけを決めて口頭で済ませると、後から「いつまでに払う約束だったか」で水掛け論になりやすいため、書面に残します。
また、売主が宅地建物取引業者で買主が宅地建物取引業者でない場合は、宅地建物取引業法第41条・第41条の2に定める手付金等の保全措置の対象に内金が含まれることがあります。未完成物件では代金の5%または1,000万円のいずれかを超える、完成物件では代金の10%または1,000万円のいずれかを超える手付金等を受け取る場合、保全措置が必要になるため、該当するかどうかを契約前に不動産会社に確認してください。契約内容の確認は媒介契約の段階から不動産会社に相談しておくと進めやすく、媒介契約の種類や選び方は媒介契約の種類|専属専任・専任・一般の違いと選び方で解説しています。
保全措置が必要な金額を超えていないか、契約書の作成段階で不動産会社に計算してもらってください。
内金と手付金、不動産売買ではどちらを使うべきか
売主の資金需要が高く、引き渡し前にまとまった資金を受け取りたい場合は、手付金に加えて内金を設定する方法が検討されます。一方、契約解除のリスクを抑えたい、支払いの流れを単純にしたい場合は、内金を設けず手付金と残代金の2回払いにとどめる進め方も選べます。仲介と買取のどちらでマンション売却を進めるかによって、資金を受け取るタイミングの柔軟さも変わるため、進め方全体を比較したい場合は仲介と買取どっちがいい?違いとメリット・デメリットで解説しています。
内金を設けるかどうかは決済方法の一部なので、不動産会社に相談しながら早めに方向を決めてください。
よくある質問
内金とは法律上の正式な用語ですか?
いいえ、内金は民法や宅地建物取引業法に定義のない言葉で、不動産取引の実務上使われている慣習的な呼び方です。契約内容は契約書の記載がすべての根拠になります。
内金と前金は同じ意味ですか?
多くの場合、内金と前金はほぼ同じ意味で使われています。どちらも売買代金のうち手付金を除いた部分を、引き渡し前に前払いするお金を指します。
内金を払った後に契約が解除されたら、お金は返ってきますか?
手付金のように一律に放棄・倍返しのルールがあるわけではなく、契約書に書かれた解除条件や違約金の規定に従って返還の有無が決まります。契約前に条項を確認しておく必要があります。
内金に保全措置は必要ですか?
売主が宅地建物取引業者で、買主が宅地建物取引業者でない場合、未完成物件で代金の5%または1,000万円のいずれかを超える、完成物件で代金の10%または1,000万円のいずれかを超える金額を受け取るときは、宅地建物取引業法に基づく保全措置の対象になることがあります。個人間売買では対象外になるケースもあるため、不動産会社に確認してください。
内金の金額はいくらにすればいいですか?
法律上の決まりはなく、売主の資金需要や買主の資金準備の都合に合わせて、当事者間の合意で決められます。契約書に金額と支払期日を明記し、残代金から差し引く形で整理するのが一般的です。
内金とは何かを理解して、不動産売買を円滑に進める
内金とは、売買代金のうち手付金を除いた金額の一部を、引き渡し前に前払いするお金で、前金とも呼ばれる取引慣行です。手付金のような解約手付の効力はなく、支払条件や解除時の扱いはすべて契約書の記載次第になります。資金需要や住宅ローンの実行時期に応じて内金を設けるかどうかを判断し、支払期日・充当方法・解除条件を契約前に明文化しておくことが、後のトラブルを避ける近道です。ぜひ本記事の内金とは何かという基本と手付金との違いを参考に、契約書の条項を不動産会社とともに確認してください。
出典
- e-Gov法令検索「民法」第557条(解約手付)
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」第2条、第41条・第41条の2(手付金等の保全措置)
- 宮城県宅地建物取引業協会「手付金等の保全措置について」
