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用途地域とは?種類と不動産売却前に知りたい基礎知識

実家の老朽化を機に建て替えを考えて自治体の都市計画図を取り寄せると、「第一種低層住居専用地域」という表示が目に入り、店舗や工場を建てられないと分かって手が止まります。相続した土地の近隣に工場が建てられる用途地域だと知って買い手が見つかるか不安になる方や、商業地域と住居地域で価格差が出ると聞いて詳しく確認したい方も少なくありません。

用途地域は都市計画法第8条に基づき、全国の市街地を13種類に区分し、建てられる建物の用途・高さ・容積率(ようせきりつ)を制限する制度です(2026年9月時点)。

本記事では用途地域の種類と、不動産売却前に知っておきたい基礎知識を解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 実家の老朽化を機に建て替えか売却か迷っているが、用途地域によって建てられる建物の種類が違うと知り調べ始めた方
  • 資金需要で自宅の一部を活用した売却を検討しているが、商業地域と住居地域で価格差が出ると聞き詳細を確認したい方
  • 相続した土地の売却前に、近隣で工場が建てられる用途地域だと分かり買い手が見つかるか不安になっている方

用途地域とは|不動産売却前に知っておきたい土地の分類

用途地域とは、都市計画法第8条に基づいて市街地を区分し、建物の用途・高さ・容積率などを制限する制度です。全国の市町村が都市計画の一部として指定し、同じ市内でも地域によって建てられる建物の種類が大きく異なります。

土地や家、マンションを売却するとき、買い手は用途地域を確認してから購入を検討します。住宅専用の地域なら隣に工場が建つ心配は少なく、商業地域なら店舗やマンションを高く建てられるため、不動産としての活用の幅が価格にも影響します。相続した土地や実家の建て替えを検討する場面でも、現在の用途地域を把握することが不動産売却の出発点になります。

用途地域は固定資産税の通知書には書かれていないため、都市計画図で別に確認する必要があります。

土地に建てられる建物は?用途地域の13種類

用途地域は2026年9月時点で13種類に分かれ、大きく住居系・商業系・工業系の3つのグループに分類されます。グループによって建てられる建物の種類や高さの制限が異なります。

住居系8種類の用途地域

住居系は第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域の8種類です。低層住居専用地域ほど建物の高さや用途の制限が厳しく、大型店舗や工場は原則建てられません。

商業系2種類の用途地域

商業系は近隣商業地域と商業地域の2種類で、店舗や事務所、マンションを高い容積率で建てられるため、土地の活用の幅が広がります。

工業系3種類の用途地域

工業系は準工業地域、工業地域、工業専用地域の3種類です。工業地域と準工業地域では住宅も建てられますが、工業専用地域では住宅を建てられません。

グループ用途地域の種類主な特徴
住居系第一種低層住居専用地域など8種類住宅を中心に、店舗や工場の建築が制限される
商業系近隣商業地域・商業地域店舗やマンションを高い容積率で建てられる
工業系準工業地域・工業地域・工業専用地域工場の建築が認められ、住宅の建築が制限される場合もある

用途地域は同じ道路沿いでも反対側で変わることがあるため、番地まで確認してください。

商業地域と住居地域で不動産売却価格に差が出る理由

商業地域の特徴と売却への影響

商業地域は容積率の上限が高く、店舗やマンションを大きく建てられるため、同じ面積の土地でも建物を通じた活用の幅が広がります。駅前や幹線道路沿いの商業地域は、取引価格の相場も住居系の地域より高くなる傾向があります。

住居地域の特徴と売却への影響

住居地域は周辺環境が安定しやすく、戸建てやマンションを探す個人の買い手に好まれます。第一種低層住居専用地域のように制限が厳しい地域は、落ち着いた住環境を評価する買い手に向いていますが、建物の高さや用途の制限から土地の活用の幅は商業地域より狭くなります。

同じ住宅地でも容積率の違いで建てられる延べ床面積が変わり、戸建て向きかマンション向きかの判断材料になります。

不動産売却前に都市計画図で確認する用途地域の調べ方

用途地域は、土地がある市区町村の都市計画課窓口か、自治体が公開している都市計画図(都市計画GISなど)で確認できます。住所や地番を入力すると、色分けされた地図で用途地域の種類を表示する自治体も増えています。

法務局で取得する登記簿には用途地域の記載がないため、不動産売却を検討する際は自治体への確認が欠かせません。用途地域の具体的な調べ方や注意点は、用途地域とは?土地の建築制限と調べ方で解説しています。

自治体のGISマップは更新時期がまちまちなため、売却前は窓口で最新の指定内容を確認すると安心です。

工場を建てられる用途地域の土地を売却する際の注意点

相続した土地が工業地域や準工業地域にある場合、近隣に工場や倉庫が建てられるため、住宅を探す買い手にとっては不安材料になりやすく、買い手が見つかるまでの期間が延びることがあります。一方で、工業系の用途地域は事業用地としての需要があり、工場や倉庫を探す企業が買い手になる場合もあります。

不動産売却を進める際は、近隣の土地利用の状況や用途地域を正直に伝える必要があります。用途地域は不動産会社が媒介契約の段階で確認し、売買契約前の重要事項説明にも記載される項目のため、隠して売ることはできません。

工業系の土地は事業用地を探す不動産会社や企業にも情報が届くよう、販売活動の範囲を広げておくことが大切です。

建て替えか売却かも用途地域の建築制限から判断する

実家の老朽化を機に建て替えを検討する場合、現在の建物が今の用途地域の制限に合っていない「既存不適格建築物(きそんふてきかくけんちくぶつ)」にあたることがあります。これは、建築時は合法だったものの、その後の用途地域の変更や建築基準法の改正によって、現在の基準には合わなくなった建物を指します。

既存不適格建築物は、建て替えの際に現在の容積率や建蔽率(けんぺいりつ)の制限を受けるため、以前と同じ規模の建物を建てられない場合があります。建て替え後の間取りや部屋数が制約されるなら、建て替えずに家を売却したほうが資金計画を立てやすいケースもあります。

既存不適格建築物かどうかは建築確認時の図面や自治体の記録で確認できるため、建て替え前に調べておくと判断しやすくなります。

用途地域を踏まえた不動産売却の進め方

用途地域による建築制限や需要の違いを踏まえたうえで不動産売却を始めると、想定より早く買い手が見つかる場合があります。次の流れを目安に進めてください。

1
用途地域を確認する
都市計画図や自治体窓口で指定されている用途地域を調べる
2
建築制限を確認する
建てられる建物の用途・容積率・建蔽率を把握する
3
想定される買い手を整理する
住宅需要か事業用地需要かを用途地域から想定する
4
不動産会社に相談する
用途地域を踏まえた売却戦略と媒介契約の内容を相談する
5
売却活動を始める
媒介契約を結び、価格を設定して販売活動を開始する

用途地域の確認から売却活動の開始まで順番に進めることで、買い手の想定が立てやすくなります。

不動産会社を選ぶ際は、用途地域を踏まえた売却戦略を提案できるかどうかも確認したい点です。媒介契約の種類については媒介契約の種類|専属専任・専任・一般の違いと選び方で解説しています。査定から引き渡しまでの流れ全体は不動産売却の流れ|査定から引き渡しまでの7ステップで解説しています。匿名査定を使って大まかな売却相場を把握したい場合は匿名査定・AI査定はどこまで正確?精度の限界と賢い使い方で解説しています。

用途地域を先に確認しておくと、不動産会社に相談する際の質問も具体的になり、売却戦略の提案を比較しやすくなります。

よくある質問

用途地域は誰が指定するのですか?

用途地域は、都市計画法に基づき各市区町村が都市計画の一環として指定します。指定の内容は自治体の都市計画図で公開されています。

用途地域は後から変更されることがありますか?

用途地域は自治体の都市計画の見直しにあわせて変更されることがあります。見直しの時期は自治体によって異なるため、売却前に最新の指定を確認してください。

自分の土地の用途地域がわからない場合はどうすればいいですか?

土地がある市区町村の都市計画課窓口、または自治体が公開する都市計画図(都市計画GIS)で、住所や地番から確認できます。

用途地域が違うと仲介手数料も変わりますか?

仲介手数料は宅地建物取引業法に基づき売買価格で上限が決まる仕組みで、用途地域による違いはありません。ただし用途地域が売却価格に影響し、結果として仲介手数料の金額が変わることはあります。

都市計画区域と用途地域はどう違いますか?

都市計画区域は都市計画法に基づいて指定される広い範囲の区域で、そのうち市街化区域には原則として区域全体に用途地域が定められます。一方、市街化調整区域には原則として用途地域は定められません。

用途地域とは何かを理解して進める不動産売却

用途地域は都市計画法第8条に基づき、全国の市街地を13種類に区分して建物の用途・高さ・容積率を制限する制度です。住居系・商業系・工業系のどのグループに属するかによって建てられる建物や買い手の想定が変わり、商業地域と住居地域では売却価格の傾向にも差が出ます。相続した土地や実家の建て替えを検討する場面では、用途地域の制限を確認してから不動産会社に相談することで、売却と建て替えのどちらが資金計画に合うかを判断しやすくなります。ぜひ本記事の用途地域の種類と調べ方を参考に、売却前に用途地域を確認してから不動産会社に相談してください。

出典

  • 国土交通省「都市計画法に基づく用途地域制度」
  • 国土交通省「都市計画運用指針」
  • e-Gov法令検索「都市計画法」
  • e-Gov法令検索「建築基準法」
  • e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
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