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相続放棄申述書の書き方と提出方法をわかりやすく解説

実家を相続した後、固定資産税の納付書に加えて金融機関からの督促状が届き、父の遺産には不動産だけでなく借金も含まれていたと分かる例があります。民法915条は、相続人が相続放棄をできる期限を、自己のために相続の開始があったと知った時から3か月以内と定めています。

この期限内に家庭裁判所へ相続放棄申述書(しんじゅつしょ)を提出し受理されれば、実家の不動産も借金もまとめて相続する義務から外れられます。

本記事では、相続放棄申述書の書き方や記入例、ダウンロードの方法から家庭裁判所への提出方法までを解説します(2026年9月時点の制度にもとづきます)。

この記事はこんな方に向いています

  • 2年前に父を亡くし地方の実家を相続したが借金の存在が判明し、相続放棄申述書の書き方を知りたい58歳長男の方
  • 兄弟との分け方が決まらないまま相続放棄の期限である3か月が近づき、提出方法を急いで確認したい方
  • 固定資産税だけを払い続けている空き家の相続を諦めたいが、申述書の記入例が分からず不安な方

相続放棄申述書とは|実家の不動産や借金をまとめて手放す手続き

相続放棄とは、被相続人の遺産を一切受け継がない意思表示を家庭裁判所に対して行う手続きです。相続放棄申述書は、この意思表示をするための書類で、家庭裁判所に提出して受理されると、民法939条により初めから相続人でなかったものとみなされます。実家の土地や建物といった不動産だけを選んで放棄することはできず、預貯金や借金もすべて含めて相続権そのものを手放す手続きになります。父の遺産に住宅ローンの残債や連帯保証債務が含まれていた場合でも、相続放棄申述書が受理されれば、その返済義務からも外れられます。

相続放棄は不動産だけを選んで放棄できません。借金も含めて相続権全体を手放す手続きだと覚えておいてください。

3か月の期限に注意|相続放棄申述書を準備する前に確認したいこと

相続放棄申述書を家庭裁判所へ提出できる期限は、民法915条で自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内と定められています。父の死亡日ではなく、相続人が自分に相続権があると認識した日から数える点に注意が必要です。実家の不動産を空き家のまま固定資産税だけ払い続けている間に3か月が過ぎてしまうと、原則として相続放棄ができなくなり、借金も含めて相続する単純承認の扱いになります。期限内に財産の調査が終わらない場合は、家庭裁判所に申し立てることで熟慮期間(じゅくりょきかん)の伸長が認められることもあります。

期限が近いと感じたら、申述書を書き上げる前に伸長の申立てだけでも先に済ませておくと安心です。

書き方と記入例|相続放棄申述書の各欄のポイント

被相続人・申述人の情報を書く欄

相続放棄申述書の上部には、被相続人(父など亡くなった人)の氏名・最後の住所・死亡年月日と、申述人(放棄する本人)の氏名・住所・生年月日・被相続人との続柄を記入する欄があります。被相続人の最後の住所は、住民票の除票や戸籍の附票に記載された住所と一致させて書く必要があります。申述人が未成年の場合は、法定代理人の記入欄も別に設けられています。

放棄の理由と相続財産の概略を書く欄

申述書の下部には、相続放棄の理由を選択肢から選ぶ欄と、実家の不動産や預貯金、借金のおおよその金額を記入する相続財産の概略欄があります。理由は「債務超過のため」「生活が安定しているため」などから選べ、正確な金額が分からない場合は分かる範囲での記入で差し支えありません。記入例は裁判所のウェブサイトに掲載されており、実際の書式と見比べながら埋めていくと迷いにくくなります。

相続財産の概略欄は厳密な金額でなくても構いません。分かっている範囲を正直に書けば十分です。

ダウンロード方法と必要書類|相続放棄申述書を準備する際に確認したいこと

相続放棄申述書は、裁判所のウェブサイトからダウンロードできます。用紙は成人用と未成年者用に分かれており、該当する様式を選んで印刷します。提出には申述書のほかに、被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍)謄本、被相続人の住民票除票または戸籍附票、申述人の戸籍謄本などが必要になり、申述人が被相続人の子や孫以外の場合は追加の戸籍謄本を求められることもあります。収入印紙800円分と、連絡用の郵便切手も合わせて用意しておきます。

戸籍謄本は市区町村役場で取り寄せるため、期限が近い方ほど書類の請求だけでも早めに動いておきたいところです。

家庭裁判所への提出方法と受理までの流れ|相続放棄申述書を出す

提出先と提出の方法

相続放棄申述書は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。窓口への持参のほか、郵送での提出も認められており、申述人が複数いる場合でも各人ごとに提出する必要があります。

照会書への回答と受理までの期間

提出後、家庭裁判所から「照会書(回答書)」という書面が郵送され、相続放棄の意思や経緯について質問に答えて返送します。この回答をもとに裁判所が審査し、問題がなければ相続放棄申述受理通知書が届きます。提出から受理までは、おおむね1か月前後かかることが一般的です。

1
必要書類を集める
戸籍謄本・住民票除票などを準備
2
相続放棄申述書を作成する
裁判所のウェブサイトからダウンロードして記入
3
家庭裁判所へ提出する
窓口への持参または郵送
4
照会書に回答し返送する
相続放棄の意思や経緯について回答
5
相続放棄申述受理通知書を受け取る
審査完了後に家庭裁判所から郵送される

提出から通知書の受け取りまでは書類の準備も含めると一定の日数がかかるため、期限の3か月を見越して早めに動く必要があります。

照会書の返送が遅れると審査も止まるため、届いたらできるだけ早く記入して返送してください。

相続放棄した実家の不動産はどうなるか

相続放棄申述書が受理されても、実家の不動産の管理義務がすぐになくなるとは限りません。民法940条では、相続放棄をした人が現に実家を占有している場合、次の相続人(次順位の相続人や相続財産清算人)に財産を引き渡すまでは、その財産を保存する義務が残ると定められています。兄弟全員が相続放棄をして相続人がいなくなった場合は、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てる手続きが必要になることもあります。相続放棄した実家がその後どう扱われるかについては、相続放棄した家はどうなる?売却できるのかで解説しています。

空き家を放置したまま相続放棄しても、管理義務が残る場合があるので注意してください。

兄弟間で相続放棄する場合に実家の分け方で注意したいこと

兄弟のうち1人だけが相続放棄をすると、残りの兄弟の相続分がその分増えます。兄弟全員が相続放棄をした場合は、相続権が父母や祖父母、さらに兄弟姉妹へと次の順位の相続人へ移っていきます。実家の分け方が決まらないまま一部の兄弟だけが相続放棄をすると、残った相続人の間で代償分割(だいしょうぶんかつ)や換価分割(かんかぶんかつ)の話し合いが必要になる場合もあります。相続放棄をするかどうかは、兄弟間で早い段階から情報を共有しておくと、後からの行き違いを避けやすくなります。

自分だけ放棄すると決める前に、兄弟の相続分がどう変わるかを一度共有しておくと話し合いがまとまりやすくなります。

相続放棄できないときの実家の売却という選択肢

3か月の期限を過ぎてしまった場合や、実家の不動産を売却するなど相続財産を処分してしまった場合は、単純承認とみなされて相続放棄ができなくなることがあります。この場合は、実家の不動産も借金もまとめて相続したうえで、不動産を売却して返済にあてるなどの方法を検討することになります。売却するには相続登記(名義変更)を済ませる必要があり、相続登記をしないと不動産は売れない?義務化と手続きで手続きの流れを解説しています。実家の売却相場をおおまかにでも把握したい場合は、匿名査定・AI査定はどこまで正確?精度の限界と賢い使い方で査定の仕組みを確認でき、実際の売却手続き全体は相続した不動産を売却する流れ|手続き・税金・注意点で解説しています。

相続放棄が難しいと分かった時点で、売却も視野に入れて相続登記の準備を進めておくと手続きが早まります。

よくある質問

相続放棄申述書はどこでダウンロードできますか?

裁判所のウェブサイトから無料でダウンロードできます。成人用と未成年者用で様式が分かれているため、該当する書式を選んで印刷してください。

相続放棄申述書は自分で書けますか?

記入例が裁判所のウェブサイトに掲載されており、戸籍謄本などの書類がそろっていれば自分で記入して提出することも可能です。記入に不安がある場合は、司法書士や弁護士に相談する方法もあります。

相続放棄した後に実家の管理責任は残りますか?

実家を現に占有している場合は、民法940条により次の相続人へ引き渡すまで保存義務が残ります。管理が難しい場合は早めに次の手続きを検討してください。

兄弟のうち1人だけ相続放棄することはできますか?

できます。1人が放棄しても他の兄弟の相続分に影響しますが、相続放棄は各相続人が個別に判断できる手続きです。

3か月の期限を過ぎてしまったら相続放棄はできませんか?

原則として期限を過ぎると相続放棄は認められませんが、借金の存在を後から知ったなど事情によっては、家庭裁判所に申し立てて認められる場合もあります。早めに専門家へ相談してください。

書き方と提出方法を踏まえた相続放棄申述書による実家の相続判断

相続放棄申述書は、実家の不動産と借金をまとめて手放すための書類で、民法915条が定める3か月以内に家庭裁判所へ提出する必要があります。書き方や必要書類を事前にそろえておけば、期限に追われる中でも落ち着いて手続きを進められます。ぜひ本記事の相続放棄申述書の書き方と提出方法を参考に、実家の相続をどう進めるか判断してください。

出典

  • 裁判所「相続の放棄の申述」
  • e-Gov法令検索「民法」(第915条、第939条、第940条)
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