土地売却の税金と控除|知っておきたい特例と計算方法
土地を売却すると、売買契約書に書かれた金額がそのまま手元に残るわけではありません。所有期間が5年を超える長期譲渡所得であれば所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%の合計20.315%、5年以下の短期譲渡所得であれば合計39.63%の税率が譲渡所得にかかり、ここから仲介手数料などの諸費用もさらに差し引かれます。
取得費が分かる資料を用意し、相続した空き家の3000万円特別控除やマイホームの特例など使える控除を適用すれば、課税対象となる譲渡所得そのものを圧縮して税額を抑えられます。
本記事では、土地売却時の税金の計算方法と、知っておきたい特別控除・特例、確定申告の進め方を解説します(2026年9月時点の制度にもとづきます)。
この記事はこんな方に向いています
- 相続した土地の売却を決めたが、譲渡所得にかかる税金と使える控除の組み合わせが分からず不安な方
- 確定申告が初めてで、土地売却後に手元にいくら残るのか計算方法を事前に知っておきたい50歳の方
- 取得費が不明な古い土地を売却予定で、概算取得費を使った場合の税額の目安を知りたい方
土地売却税金の全体像|譲渡所得税の仕組み
土地売却でかかる税金の中心は、売却によって生じた利益(譲渡所得)に対する所得税・復興特別所得税・住民税です。これらをまとめて譲渡所得税と呼び、売却金額そのものに税金がかかるわけではなく、取得費や譲渡費用を差し引いた後の利益部分にだけ課税される点がまず押さえておきたいポイントです。
税率は所有期間によって変わります。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以下であれば短期譲渡所得として扱われ、短期譲渡所得のほうが税率は大きくなります。相続した土地の場合は、被相続人が取得した日から所有期間を数えられるため、相続後すぐに売却しても長期譲渡所得になるケースが多くあります。
| 所有期間 | 所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計税率 |
|---|---|---|---|---|
| 5年超(長期譲渡所得) | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
| 5年以下(短期譲渡所得) | 30% | 0.63% | 9% | 39.63% |
出典:国税庁「土地や建物を売ったときの税金」(2026年9月時点)をもとに作成
仲介手数料など売却にかかる諸費用の全体像は不動産売却にかかる税金と費用の全体像でも解説しています。
所有期間は売却した年の1月1日時点で判定するため、購入日から単純に5年を数えると判定を誤る場合があります。
譲渡所得の計算方法|土地売却税金はこう求める
土地売却の税額は「譲渡所得×税率」で求めます。譲渡所得は売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額で、取得費と譲渡費用に何を含められるかによって税額が大きく変わります。
取得費の求め方
取得費には、土地の購入価格のほか、購入時の仲介手数料・登記費用・測量費なども含められます。親や祖父母から相続した土地で購入時の契約書が見つからない場合、売却価格の5%を取得費とみなす概算取得費が使えますが、実際の取得費より低くなることが多く、税額は実額を使う場合より高くなる傾向があります。
譲渡費用に含まれるもの
譲渡費用には、売却時の仲介手数料・売買契約書の印紙税・土地の測量費・古い建物を取り壊した場合の解体費用などが含まれます。これらの資料も申告時に必要になるため、売却が決まった時点から領収書を保管しておくことが大切です。
譲渡所得税の計算方法そのものは譲渡所得税の計算方法でも詳しく解説しています。
取得費を証明する契約書を紛失していると税額が大きく変わるため、売却を決めたら早めに探しておくと安心です。
使える土地売却税金特別控除|3000万円特別控除と主な特例
土地売却税金特別控除と呼ばれる仕組みには複数の種類があり、条件に当てはまれば譲渡所得から最大3000万円を差し引けます。土地だけの売却でも、建物の扱い方によって適用できる特例があります。
マイホーム(自宅)を売ったときの3000万円特別控除
自分が住んでいた家屋とその敷地を売却した場合に使える特例です。家屋を取り壊して土地だけを売却する場合でも、取り壊しから1年以内に売買契約を結び、住まなくなってから3年目の年の12月31日までに売却すれば適用できる可能性があります。
相続した空き家の3000万円特別控除
相続した土地の売却で使う機会が多いのが、この特例です。昭和56年5月31日以前に建築された家屋で、被相続人が一人で住んでいたことなど一定の条件を満たし、相続開始から3年目の年の12月31日までに、耐震基準を満たすよう改修したうえで売却するか、家屋を取り壊して土地のみ売却した場合に適用されます。売却代金が1億円を超える場合は対象外です。
収用等により土地を売却したときの特例
公共事業などのために土地が収用された場合は、譲渡所得から最大5000万円を差し引ける特例があります。対象になるかどうかは収用の手続きを担当する機関からの通知内容によって判断します。
相続した空き家の特例には期限が区切られているため、相続開始からの経過年数を早い段階で確認しておきましょう。
取得費が分からない土地を売却するときの概算取得費と税額の目安
相続した土地で購入時の契約書が見つからない場合、売却価格の3000万円であれば概算取得費は150万円(売却価格の5%)です。ここに仲介手数料などの譲渡費用100万円を加えて差し引くと、譲渡所得は2750万円になります。所有期間が5年を超える長期譲渡所得として税率20.315%を掛けると、税額は約558万円です。
売却価格3000万円から税額558万円と諸費用100万円を差し引くと、手元に残る金額は約2342万円、売却価格に対して約78%という計算になります。控除を使わない場合の目安として、次の図で確認してください。
※3000万円で売却・長期譲渡所得・概算取得費5%・控除適用なしの概算例(2026年9月時点)
この図は、特別控除を使わなかった場合に税金と諸費用で差し引かれる割合の目安を示しています。取得費の実額が分かる資料があれば税額の割合はこれより小さくなり、特別控除を適用できればさらに差し引かれる割合は下がります。
土地以外の不動産を売却した場合の手元に残る金額の計算方法はマンション売却で手元に残る金額の計算方法でも解説しています。
概算取得費は実際の取得費より低くなることが多く、資料が見つかるなら実額を使うほうが税額を抑えられます。
確定申告の流れと必要書類|土地売却した翌年にやること
土地を売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に、売却があった年の所得として確定申告を行います。譲渡所得が発生しない場合や特別控除によって税額がゼロになる場合でも、控除を適用するためには申告そのものが必要です。
必要になる書類には、売買契約書の写し、取得費が分かる資料、譲渡費用の領収書、登記事項証明書、特例を使う場合はその要件を満たすことを示す書類などがあります。相続した空き家の特例を使う場合は、自治体が発行する証明書を求められることもあるため、早めに取得しておくと申告がスムーズに進みます。
確定申告の書類は売却した翌年の2月16日より前でも準備を始められるので、早めに取りかかると安心です。
税額計算や特例適用は誰に相談する?税理士と不動産会社の役割
特別控除の適用条件や税額の計算そのものは、税理士に相談するのが確実です。特例の要件は改正されることがあり、相続空き家の特例のように期限が区切られているものもあるため、売却の前後で一度は専門家に確認しておきたいところです。
一方、売却価格の見積もりや仲介手数料の金額、売買契約の進め方については不動産会社が窓口になります。仲介手数料の上限と計算方法は不動産売却の仲介手数料はいくら?上限と計算方法で解説しています。税額の見積もりは税理士、売却そのものの進め方は不動産会社と役割を分けて相談すると、話がスムーズに進みます。
税額の見積もりは税理士、売却そのものの進め方は不動産会社と、相談先を分けておくと手続きが早く進みます。
よくある質問
土地売却の税金はいつ払う?
所得税と復興特別所得税は確定申告の期限である3月15日までに納めます。住民税は確定申告の内容にもとづいて算出され、翌年6月以降に分割で納付する形が一般的です。
相続した土地を売った代金を、確定申告前に使ってもいい?
使っても問題はありませんが、譲渡所得税の納税資金を別に確保しておく必要があります。特別控除が使えず税額が想定より大きくなる場合もあるため、納税分を差し引いた金額を目安に考えておくと安心です。
取得費が分かる書類がどうしても見つからない場合は?
売却価格の5%を取得費とみなす概算取得費を使います。実際の取得費より低く計算されるため、税額は実額を使う場合より高くなりやすい点を踏まえておく必要があります。
土地だけ売る場合も3000万円特別控除は使える?
マイホームの特例は原則として居住用の家屋とその敷地が対象ですが、家屋を取り壊して1年以内に売却契約を結ぶ場合や、相続した空き家の特例に当てはまる場合は、土地だけの売却でも3000万円特別控除を使える可能性があります。
特別控除を使うと確定申告は不要になる?
控除を適用して税額がゼロになる場合でも、特例を使うための確定申告そのものは必要です。申告をしなければ特別控除は適用されず、本来より高い税額で計算されてしまいます。
土地売却税金と控除を踏まえた手取り額の見積もり方
土地売却でかかる税金は、所有期間による税率の違いと、取得費・譲渡費用をどこまで実額で積み上げられるかで決まります。相続した空き家の3000万円特別控除やマイホームの特例など土地売却税金特別控除を使えれば、譲渡所得そのものを圧縮して税額を抑えられる一方、適用条件や期限を見落とすと使えないまま納税額が膨らんでしまいます。ぜひ本記事の計算方法と特別控除の条件を参考に、売却前の段階で税理士や不動産会社に相談し、手取り額の見積もりを立ててください。
出典
- 国税庁「土地や建物を売ったときの税金(譲渡所得の税額の計算方法)」
- 国税庁「マイホームを売ったときの特例(3000万円の特別控除)」
- 国税庁「相続した空き家を売ったときの特例」
- 国税庁「取得費が分からないときの概算取得費」
- 国税庁「収用等により土地建物を売ったときの特例」
