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土地売却の相談はどこにすべき?相談先の選び方

親から相続した土地を売ろうとすると、登記簿に記載された所有者が祖父や曾祖父のままになっていたり、境界が確定していなかったりすることがあります。2024年4月からは相続登記が義務化され、正当な理由なく放置すると10万円以下の過料が科される場合があります。

土地売却の相談先は、抱えている権利関係によって変わります。境界が未確定なら土地家屋調査士、共有名義で意見が割れているなら弁護士、借地権が絡むなら地主との調整に詳しい不動産会社が最初の窓口になります。

本記事では、土地特有の権利関係の基礎知識と、相談先の選び方、土地売却までにかかる費用や手続きの流れを解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 親から相続した借地権付きの土地をどこに相談すればよいか分からず、専門家選びで迷っている62歳の方
  • 境界未確定で共有名義も絡む土地の売却を控え、不動産会社と弁護士どちらに先に相談すべきか悩んでいる方
  • 法律用語に不慣れなまま相談窓口を探しており、無料相談できる先の違いを事前に把握しておきたい方

相続した土地で最初に確認すべき権利関係

土地を相続すると、まず確認したいのは登記簿に記載された所有者と、今の相続人が一致しているかどうかです。登記簿上の所有者が祖父や曾祖父のまま変更されていない土地は珍しくありません。2024年4月からは相続登記が義務化され、正当な理由なく相続登記を怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。

登記簿の確認と合わせて、境界が確定しているか、共有名義になっていないかも調べておく必要があります。相続した土地が農地だった場合は、売却の前に農地法の許可や転用の手続きが必要になることもあり、農地法の許可と転用のハードルで解説しています。

相続登記を放置すると過料の対象になるため、登記簿の確認は売却より先に済ませておきましょう。

境界未確定でも土地は売却できる?筆界・地役権・囲繞地の基礎

境界が確定していない土地でも、土地の売却そのものは可能です。ただし買主が測量や境界確定の手間を引き継ぐことになるため、買い手が見つかりにくくなったり、売却価格が下がったりする傾向があります。

筆界と地役権の違い

筆界(ひっかい、法務局の登記に基づく土地の境界線)が確定していない土地は、隣地との境界確認から始める必要があります。地役権(ちえきけん、他人の土地を通行や排水などの目的で使う権利)が設定されている場合は、権利の及ぶ範囲である承役地(しょうえきち)と、利益を受ける要役地(ようえきち)の関係も確認します。

囲繞地に接する土地の注意点

袋地(ふくろち、他人の土地に囲まれて公道に直接出られない土地)に接する土地は、通行権の有無が売却価格に影響します。なお、袋地を取り囲んでいる周囲の土地は囲繞地(いにょうち)と呼ばれます。境界や権利関係が複雑な土地は、土地家屋調査士に測量を依頼してから相談を進めると、手続きがスムーズになります。

境界未確定の土地は、測量の見積もりだけでも先に取っておくと、売却の計画が立てやすくなります。

共有名義の土地、持分だけ売却できる?

親から引き継いだ土地が兄弟姉妹との共有名義になっている場合、自分の持分だけを売却する選択肢があります。

持分だけの売却は可能

共有名義の土地は、自分の持分だけであれば他の共有者の同意なく持分の売却ができます。ただし買主は土地の一部しか取得できないため、通常の土地売却より買い手が限られ、価格も低くなりやすい点は押さえておきたいところです。持分売却の仕組みは共有名義の不動産、自分の持分だけ売れる?で解説しています。

全員の同意が必要なケース

土地全体を売却する場合は、共有者全員の同意が必要です。意見が分かれている場合は、不動産会社に相談する前に弁護士へ相談し、分割の方法や交渉の進め方を整理しておくと、土地売却の話がまとまりやすくなります。

持分だけの売却は可能ですが、買い手が限られるため、先に他の共有者と話し合う余地も検討してください。

借地権(及び建物)の売却には地主の承諾が必要

借地権(及び建物)を売却する場合は、原則として地主の承諾が必要で、無断で譲渡すると契約解除の対象になることがあります(民法612条)。一方、底地(土地そのもの)を地主が売却する場合は、地主自身の所有権に基づく行為であるため、借地人など第三者の承諾は不要です。手続きの詳細は借地権付き建物は売れる?地主の承諾と裁判所の許可で解説しています。

地主が承諾しない場合は、借地借家法19条に基づき裁判所に承諾に代わる許可を申し立てる手続きもあります。この判断には専門的な知識が必要なため、早い段階で弁護士か不動産会社に相談しておくと、交渉の進め方を見通しやすくなります。

地主との交渉がまとまらない場合、裁判所の手続きには時間がかかるため早めに相談しておきましょう。

土地の相談は誰にする?専門家ごとの役割と向き不向き

土地の相談を誰にすべきかは、抱えている権利関係によって変わります。境界や権利の確認が先に必要な土地と、権利関係がすでに整理されている土地では、最初の相談先が異なります。

不動産会社に相談すべき場面

売却価格の目安を知りたい、買主を探したいという段階であれば、不動産会社への相談が窓口になります。ただし境界未確定や共有名義など権利関係が複雑な土地は、不動産会社だけでは解決できず、他の専門家との連携が必要になります。

弁護士・司法書士・土地家屋調査士に相談すべき場面

共有者同士の意見が対立している場合は弁護士、相続登記や名義変更が未了の場合は司法書士、境界が確定していない場合は土地家屋調査士が相談先になります。それぞれの役割を次の関係図で確認します。

土地の所有者
境界・共有名義・借地権などの状況
→相談→
相談先
不動産会社/弁護士/司法書士/土地家屋調査士

この図のとおり、相談先は土地の所有者が抱える権利関係の種類によって切り替わります。

境界と共有名義が絡む土地は、複数の専門家へ並行して相談すると手続きが早く進みます。

不動産会社・弁護士・司法書士・土地家屋調査士を比較する

権利関係が複雑な土地ほど、複数の専門家に相談する場面が増えます。相談先ごとの役割を比較すると、次のようになります。

相談先得意な相談内容向いている場面
不動産会社売却価格の目安、買主探し、媒介契約権利関係がすでに整理されている土地
弁護士共有者間の意見対立、借地権トラブルの交渉話し合いがまとまらない土地
司法書士相続登記、所有権移転登記登記簿の名義が古いままの土地
土地家屋調査士境界の確定測量、筆界の確認境界が確定していない土地

売却価格の目安だけをまず知りたい場合は、匿名査定や一括査定を使う方法もあり、匿名査定と一括査定の違いで解説しています。

複数の専門家に相談する場合は、最初に相談した窓口に他の専門家を紹介してもらう方法も有効です。

売却までにかかる費用と手続きの流れ

相談先が決まったあとは、権利関係の整理と並行して、土地売却にかかる費用も把握しておく必要があります。不動産会社に土地の売却を依頼する際の仲介手数料は、宅地建物取引業法に基づく国土交通省告示で上限が定められており、売買価格が400万円を超える場合は「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた額が仲介手数料の上限(総額)です。

このほか、境界確定の測量費用や、相続登記にかかる登録免許税など、土地の権利関係を整理するための費用が別途発生します。その総額は土地の状況によって大きく変わるため、相談先の専門家から見積もりを取っておくと、売却までの資金計画を立てやすくなります。

測量費用や登録免許税は見積もりの時点で差が出やすいため、複数の専門家に確認しておきましょう。

よくある質問

境界が未確定のまま土地を売却できますか?

売却自体は可能ですが、買主が見つかりにくく価格も下がりやすいため、先に土地家屋調査士へ境界確定を相談しておくと話が進みやすくなります。

共有名義の土地は自分の持分だけ売れますか?

持分だけなら他の共有者の同意なく売却できますが、買い手が限られ、価格も通常より低くなりやすい点に注意が必要です。

土地の相談は誰に無料でできますか?

不動産会社の売却相談や、法務局の登記相談、弁護士会の法律相談センターなど、無料で相談できる窓口がいくつかあります。抱えている権利関係に近い窓口を選ぶことが近道になります。

借地権付きの土地を売却するとき地主の承諾が得られない場合はどうなりますか?

地主が承諾しない場合、裁判所に承諾に代わる許可を申し立てる手続きがあります。手続きには時間がかかるため、早めに弁護士へ相談しておくと、見通しを立てやすくなります。

相続した土地が農地だった場合も同じ相談先でよいですか?

農地は農地法の制限があり、売却や転用には別途許可が必要になるため、通常の土地と異なる手続きを把握しておく必要があります。

土地売却の相談先を選ぶときのまとめ

土地の相談先は、境界・共有名義・借地権といった権利関係によって変わります。境界が未確定なら土地家屋調査士、共有者と意見が分かれているなら弁護士、登記の名義変更が未了なら司法書士、売却価格や買主探しの段階に入ったら不動産会社が窓口になります。

ぜひ本記事の相談先の選び方を参考に、ご自身の土地が抱える権利関係を整理したうえで、最初の相談先を決めてください。

出典

  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
  • 民法第210条(囲繞地通行権に関する規定)
  • 民法第612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)、借地借家法第19条(裁判所の許可に関する規定)
  • 全日本不動産協会「借地上の建物の譲渡」https://www.zennichi.or.jp/law_faq/借地上の建物の譲渡/
  • 国土交通省「宅地建物取引業法」第46条第1項に基づく国土交通省告示(仲介手数料の上限に関する規定)
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