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登記とは?不動産売却前に知るべき基礎知識

親から引き継いだ土地の登記簿謄本を取り寄せると、表題部・甲区・乙区という区分と、見覚えのない人の名前が記載されています。固定資産税の通知書に書かれた所有者と、登記簿上の所有者が一致しないケースも少なくありません。

登記とは、不動産の所在や面積、所有者、担保権などの権利関係を法務局の登記簿に記録する制度のことです。不動産登記法に基づき、土地や建物ごとに1つの登記簿が作られ、誰でも登記事項証明書を取得して内容を確認できます。

本記事では、登記簿の読み方から、借地権や共有名義の土地を売却する際の注意点、相続登記の期限、手続きにかかる費用までを解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 親から引き継いだ土地に借地権や共有名義が絡み、そもそも登記が何を意味するのか基礎から知りたい方
  • 法律用語に馴染みがなく、専門家に相談する前に登記の仕組みを自分の言葉で理解しておきたい62歳の方
  • 売却前に登記簿の内容を確認したいが、記載事項の意味が分からず不安を抱えている方

不動産売却前に確認したい登記とは何か

登記とは、不動産の所在地や面積、所有者、担保権などの権利関係を法務局の登記簿に記録し、公開する制度のことです。不動産登記法に基づいて運用されており、土地や建物1つごとに1つの登記簿が作られています。

登記簿の内容は、所有者本人でなくても、法務局の窓口で「登記事項証明書」を取得すれば確認できます。オンラインで内容を確認するだけであれば、一般財団法人民事法務協会が運営する「登記情報提供サービス」で有料の登記情報を閲覧・印刷できますが、これは証明力のある正式な登記事項証明書ではありません。公印付きの正式な登記事項証明書をオンラインで取得したい場合は、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」から交付請求を行い、法務局の窓口または郵送で受け取る必要があります。取得にかかる費用は窓口請求で1通600円、オンラインで交付請求した場合は500円程度で、いずれも不動産の所在地を管轄していない法務局でも取得できます。

不動産の売却を検討する際は、登記簿に記載された所有者や担保権の有無を最初に確認する必要があります。記載内容と実際の所有者が異なっている場合、売買契約を結ぶ前に登記の修正が必要になることがあります。

登記簿の内容と実際の状況が違うと売買契約が進められなくなることもあるので、早めに登記事項証明書を取得して確認しておきましょう。

土地の登記簿に書かれている内容|表題部・甲区・乙区の見方

土地の登記簿は、表題部・甲区・乙区という3つの部分に分かれて構成されています。それぞれに記載されている内容を知っておくと、自分の土地の権利関係を正確に把握できます。

表題部に記載される土地の情報

表題部には、土地の所在、地番、地目、地積といった物理的な情報が記載されています。測量の結果と登記簿上の地積が異なっている土地も少なくなく、売却前に実測と照らし合わせる必要がある場合があります。

甲区と乙区に記載される権利関係

甲区には所有権に関する事項が記載され、現在の所有者の氏名や、過去に所有権が移転した履歴が分かります。乙区には所有権以外の権利が記載され、住宅ローンの担保として設定される抵当権(ていとうけん)や、他人の土地を通行するために設定される地役権(ちえきけん)などがこれに当たります。

不動産を売却して所有者を変更するときは、所有権移転登記によって甲区の記載を書き換えます。所有権移転登記の費用や決済の流れは所有権移転登記とは?売却時の費用と決済の流れで解説しています。

土地と所有者、抵当権者などの関係は、下の図のように登記簿を通じて結びついています。

土地の所有者
所有権(甲区に記録)
←登記簿で結びつく権利関係→
抵当権者・借地権者・共有者
抵当権・借地権・共有持分(乙区など)

この図のように、1つの土地には所有者以外にも抵当権者や借地権者、共有者といった複数の権利関係が登記簿を通じて結びついていることがあります。

地積が実際の測量結果と合わないこともあるので、気になる場合は早めに土地家屋調査士へ確認しましょう。

借地権や共有名義の土地は売却できるか

親から引き継いだ土地に借地権や共有名義が絡んでいる場合でも、売却自体は可能です。ただし、通常の売買とは異なる手続きや同意が必要になります。

借地権が付いた土地の売却

借地権とは、地主から土地を借りて建物を建てる権利のことです。借地権付きの土地を売却するときは、借地権と建物の所有権をまとめて買主に引き渡すのが一般的で、地主の承諾や名義変更の手続きが必要になる場合があります。

共有名義の土地を売却するときの注意点

共有名義の土地は、共有者全員の同意がなければ土地全体を売却できません。共有者の1人が自分の持分だけを売却することは法律上可能ですが、持分だけを買う人は限られるため、売却価格が下がる傾向があります。共有者間で話がまとまらない場合は、司法書士や弁護士に相談しながら進める方法もあります。

共有者の意見がまとまらないまま売却を進めると後からトラブルになりやすいので、早い段階で全員の意向を確認しておくと安心です。

境界が未確定の土地の売却と筆界確認の手続き

土地の境界は、登記簿上では「筆界(ひっかい)」と呼ばれ、隣接する土地との境目を指します。筆界が確定していない土地は、売却するときに買主との間でトラブルになりやすく、測量による境界の確定を求められることがあります。

隣接する土地が道路に接していない囲繞地(いにょうち)である場合も、通行の権利関係を整理しておく必要があります。囲繞地とは、他の土地に囲まれて道路に接していない土地のことです。境界の確定測量は土地家屋調査士の業務であり、隣接地の所有者との立ち会いが必要です。また、分筆登記や地積更正登記を申請する場合には、法務局へ地積測量図を提出する必要があります。確定測量には一定の期間がかかるため、売却を検討し始めた時点で早めに土地家屋調査士へ相談することが望まれます。

境界確定には隣接地の所有者の立ち会いが必要なため、相手が不在や所在不明だと時間がかかることがあります。

登記の手続きにかかる費用と登録免許税

不動産を売却するときの登記には、登録免許税という国税と、専門家への依頼費用がかかります。

所有権移転登記には登録免許税がかかり、税率は固定資産税評価額に対して原則2.0%です。土地の売買による所有権移転登記については軽減措置が設けられており、2026年9月時点では1.5%が適用されています。適用期限は改正によって変わるため、売却の時期が近づいたら国税庁や法務局の最新情報を確認してください。

土地の売買による所有権移転登記の登録免許税率
区分税率
原則の税率2.0%
軽減措置適用時(2026年9月時点)1.5%

出典:国税庁「登録免許税の軽減措置」(2026年9月時点)をもとに作成

登記手続きを司法書士に依頼する場合は、登録免許税のほかに司法書士への依頼費用が発生します。依頼費用は不動産の内容や依頼先によって異なるため、事前に見積もりを確認しておくと安心です。土地売却にかかる税金や費用の全体像は不動産売却にかかる税金と費用の全体像|いくら手元に残る?で解説しています。

登録免許税の軽減措置は期限付きなので、売却のタイミングによって税率が変わる可能性があることを覚えておいてください。

相続登記の義務化と期限|怠るとどうなるか

親から引き継いだ土地の登記簿に、亡くなった祖父母や親の名前がそのまま残っていることがあります。これは相続登記(相続によって所有者が変わったことを登記簿に反映させる手続き)が済んでいない状態です。

2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続したことと所有権を取得したことの両方を知った日から3年以内に相続登記を申請することが必要になりました。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料(かりょう=行政上の罰金に近い金銭的な制裁)が科される可能性があります。

相続登記が済んでいない土地は、名義が整理されるまで決済・引渡し(所有権移転)ができません。相続登記の期限や必要な手続きは相続登記とは?期限と不動産売却の関係で解説しています。

相続登記が済んでいない土地は、決済(所有権移転)ができないため、売却を考えているなら早めに名義を確認しておきましょう。

登記手続きを頼む専門家|司法書士と土地家屋調査士の違い

登記の手続きを頼む専門家は、内容によって異なります。

所有権移転登記や相続登記など、権利に関する登記は司法書士が担当します。売買契約の決済時に所有権移転登記を申請するのも司法書士の業務です。

一方、土地の境界を確定する測量や、建物を新築したときの表題登記(建物の所在や構造を新しく登記簿に記録する手続き)など、調査や測量に関わる登記は土地家屋調査士が担当します。境界が未確定の土地や、建物の登記がされていない土地を売却するときは、先に土地家屋調査士へ相談し、必要な調査を済ませておく流れになります。

権利の登記は司法書士、境界や測量に関わる登記は土地家屋調査士と依頼先が分かれていることを覚えておくと相談がスムーズです。

よくある質問

登記簿謄本と登記事項証明書は同じものですか?

「登記簿謄本」は紙の登記簿をそのまま写した呼び方です。現在はコンピューター化が進み、同じ内容を証明する書類は「登記事項証明書」という名称に統一されているため、内容としては同じものを指していると考えて問題ありません。

登記簿に書かれた所有者が亡くなっている場合、そのままでは売却できませんか?

土地売却できません。登記簿上の所有者が亡くなっている場合は、相続登記によって所有者を現在の相続人に変更してからでなければ、引渡しや決済(所有権移転)ができません。

共有名義の土地のうち自分の持分だけを売却できますか?

自分の持分だけであれば、他の共有者の同意がなくても売却できます。ただし持分だけを購入する買主は限られるため、土地全体を売却する場合に比べて売却価格が下がる傾向があります。

境界が分からない土地でも売却できますか?

境界が未確定のままでも売却自体は可能ですが、買主との間でトラブルになりやすいため、不動産会社や土地家屋調査士に相談し、必要に応じて確定測量を済ませてから売却に進めることが望まれます。

登記の手続きは自分で行うこともできますか?

登記に必要な書類をそろえて自分で申請することも制度上は可能ですが、権利関係の記載に誤りがあると後から修正の手間がかかるため、司法書士に依頼する方が一般的です。

登記とはの基礎を押さえて不動産売却に備える

登記とは、不動産の所在や面積、所有者、担保権などの権利関係を法務局の登記簿に記録する制度のことで、表題部・甲区・乙区という区分で構成されています。借地権や共有名義、境界未確定の土地でも売却自体は可能ですが、権利関係によって必要な手続きや価格への影響が異なります。ぜひ本記事の内容を参考に、登記簿の記載内容を確認してから、不動産売却の手続きを進めてください。

出典

  • 法務省「不動産登記法」
  • 法務省「登記手数料令」
  • 国税庁「登録免許税の軽減措置」
  • 法務省「相続登記の申請義務化に関するお知らせ」
  • 法務省「隣の土地の所有者が分からなくてお困りの方へ」
  • 横浜リーガルハート司法書士事務所/iekon.jp「相続登記の特約・停止条件付売買契約の解説」
  • 法務局「登記事項証明書の交付請求について」
  • 一般財団法人民事法務協会「登記情報提供サービス」
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