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実家の名義変更はどうする?相続時の手続き方法と必要書類を解説

父親の名義のまま残っている実家は、固定資産税の通知書だけが毎年届き、売却も解体もできない状態になっています。不動産登記簿上の所有者が亡くなった父親のままでは、不動産会社に仲介を依頼しても買主との取引を成立させられないためです。

2024年4月1日から相続登記の申請が義務化され、不動産を相続で取得した人は、相続の開始及び自己のために所有権を取得したことを知った日から3年以内に名義変更(相続登記)をしなければなりません。正当な理由なく期限を過ぎると、10万円以下の過料の対象になります。2026年9月時点では、2024年4月1日より前に発生した相続についても、2027年3月31日までに登記するよう経過措置が設けられています。

本記事では、実家の名義変更に必要な手続きと書類、兄弟間の分け方の決め方、名義変更後に売却する場合の税金の特例までを解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 2年前に父が亡くなり地方の実家を相続したまま、名義変更の手続きを後回しにしてきた58歳長男の方
  • 兄弟との遺産分割協議がまとまらず、自分名義にする前に必要書類だけでも把握しておきたいという方
  • 売却や解体を検討する前に、まず名義変更の期限や過料のリスクを知って早めに動きたいという方

実家の名義変更をしないまま放置するとどうなる?相続登記の義務化と過料のリスク

父親の名義のまま残っている実家は、固定資産税の通知書こそ届くものの、登記簿上の名義は亡くなった父親のままになっています。不動産登記簿上の所有者が死亡した人のままでは、不動産会社に仲介を依頼しても売買契約の当事者になれません。

2024年4月1日に相続登記の申請義務化が施行され、相続によって不動産の所有権を取得した人は、相続の開始及び自己のために所有権を取得したことを知った日から3年以内に名義変更の申請をする義務を負います。正当な理由がなく申請を怠ると、法務局からの催告を経て10万円以下の過料が科される場合があります。

名義変更を後回しにする間に相続人の一人が亡くなると、その人の子や配偶者にまで相続人が広がり、遺産分割協議に関わる人数が増えて話し合いがまとまりにくくなります。実家の名義変更は、相続人が少ないうちに進めるほど負担が軽くなります。

過料の対象になるかどうかは個別の事情で判断が分かれるため、期限が近い場合は早めに司法書士へ相談してください。

実家の名義変更に必要な書類一覧|相続登記で揃える書類

相続登記で共通して必要になる書類

実家の名義変更では、まず被相続人と相続人の身分関係を証明する書類をそろえます。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本と住民票の除票、相続人全員の戸籍謄本と住民票、対象となる不動産の固定資産評価証明書、法務局へ提出する登記申請書が基本の組み合わせです。

遺産分割協議で名義を決める場合に追加する書類

兄弟のうち一人の名義に一本化する場合や、法定相続分と異なる分け方をする場合は、相続人全員の実印で署名した遺産分割協議書と、相続人全員の印鑑証明書が追加で必要になります。協議書の内容と登記申請書の記載が一致していないと、法務局から補正を求められる点に注意してください。

戸籍謄本の収集は本籍地が複数の役場にまたがると時間がかかるため、早めに取り寄せを始めてください。

遺産分割協議がまとまらないときの実家・土地の名義変更

兄弟の誰も実家に住む予定がなく、分け方の話し合いが進まないまま名義変更だけを先に済ませたいという相談は少なくありません。この場合、いったん法定相続分どおりに兄弟全員の共有名義で登記する方法がありますが、共有のままでは実家の売却や解体を決めるのに共有者全員の同意が必要になり、のちの手続きがむしろ複雑になります。

実家の分け方には、一人が実家を取得して他の兄弟に金銭を払う代償分割(だいしょうぶんかつ)と、実家を売却して得た代金を兄弟で分ける換価分割(かんかぶんかつ)という方法があります。実家に住む人がいないなら、換価分割で現金に換えてから分ける方が、後々の共有トラブルを避けられる場合が多くあります。兄弟での分け方の具体的な進め方は、兄弟で相続した実家を売却してお金を分ける方法で解説しています。

共有名義のまま時間が経つと、共有者の一人が認知症になるなどで同意が取れなくなるおそれがあります。

相続によって実家の名義が父親から相続人へ移る関係は、下の図のとおりです。

亡くなった父(被相続人)
実家の土地・建物の名義人だった人
←相続登記→
相続人(兄弟)
遺産分割協議で決めた人が新しい名義人になる

図の矢印は、遺産分割協議で誰が実家を引き継ぐかを決めたあとに、法務局への登記申請によって名義が移る順番を示しています。

法務局への登記申請から完了までの流れ|実家の名義変更の手続き

申請前に準備すること

登記申請の前に、対象の不動産を管轄する法務局を確認し、戸籍謄本や固定資産評価証明書をそろえます。遺産分割協議で名義を一本化する場合は、この段階で協議書への署名と印鑑証明書の取得も済ませておきます。

法務局での申請から登記完了まで

書類がそろったら、登記申請書とともに法務局の窓口、郵送、オンラインのいずれかの方法で提出します。申請後は法務局による審査に1〜2週間程度かかり、不備があると補正の連絡が入ります。審査が通れば登記完了証と登記識別情報が発行され、登記簿上の名義人が相続人に変わります。

オンライン申請は窓口に出向く手間が省けますが、添付書類の電子化に不慣れだと時間がかかることがあります。

登録免許税と専門家への依頼料|実家の名義変更にかかる費用

登録免許税の計算方法

相続による名義変更では、固定資産税評価額に0.4%を掛けた金額が登録免許税として課されます。たとえば実家の固定資産税評価額が1,000万円なら登録免許税は4万円、2,000万円なら8万円が目安です。

登録免許税の計算例(2026年9月時点)
固定資産税評価額税率登録免許税額
1,000万円0.4%4万円
2,000万円0.4%8万円
3,000万円0.4%12万円

出典:法務局「登記申請手続のご案内」をもとに作成

司法書士への依頼料の目安

戸籍の収集から登記申請までを司法書士に依頼すると、登録免許税のほかに5万円〜10万円程度の依頼料がかかることが一般的です。相続人が多く戸籍の収集が複雑な場合や、協議書の作成まで任せる場合は、この金額より高くなることもあります。

依頼料は司法書士ごとに差があるため、戸籍収集を含めた一式でいくらかかるかを事前に確認してください。

名義変更した実家を売却する場合の3000万円特別控除と期限

実家の名義変更を済ませたあとに売却を考えるなら、相続空き家の3000万円特別控除という税制の優遇を確認しておく価値があります。この特例は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋を相続し、相続の開始があった日から3年を経過する日が属する年の12月31日までに売却した場合に、譲渡所得から最大3000万円を差し引けるという制度です。譲渡価格が1億円を超える場合は対象外になるなど、適用には細かい条件があるため、2026年9月時点の最新の要件は税務署か専門家に確認してください。

特例の適用を受けるかどうかにかかわらず、実家を売却するにはまず取引価格の目安をつかむ必要があります。複数の不動産会社から査定を取り、匿名査定やAI査定の結果と比較しながら進める方法は、匿名査定・AI査定はどこまで正確?精度の限界と賢い使い方で解説しています。地域によっては無料で査定書を取り寄せられる窓口もあり、東京都で不動産査定書を無料で入手する方法も参考になります。

特例の適用期限は相続開始日から計算するため、名義変更が遅れるほど売却に使える時間も減っていきます。

空き家のまま実家を放置するリスクと固定資産税

名義変更を先延ばしにしている間も、実家の固定資産税は毎年かかり続けます。住宅が建っている土地には固定資産税の住宅用地特例が適用されますが、老朽化が進んで自治体から特定空家に指定され、自治体から勧告を受けると、特例が外れて固定資産税が最大6倍程度に跳ね上がる場合があります。

庭の草が伸び続ける状態が続くと、近隣からの通報をきっかけに自治体の調査が入ることもあります。固定資産税の負担が増える前に、名義変更と合わせて実家をどう扱うかの方針を決めておく方が、結果的に負担を小さくできます。

特定空家の指定は自治体ごとに基準が異なるため、管理が心配な場合は早めに役場の窓口へ確認してください。

よくある質問

実家の名義変更は自分でできますか?

戸籍謄本の収集から登記申請書の作成まで自分で行うことは可能です。ただし相続人が多い場合や分け方が複雑な場合は、書類の不備で法務局から補正を求められることが多く、司法書士への依頼を検討する価値があります。

相続登記義務化の前に相続した実家も対象になりますか?

対象になります。2024年4月1日より前に発生した相続であっても、2027年3月31日までに登記するよう経過措置が設けられています。すでに相続から時間が経っている場合は、早めの対応が必要です。

兄弟全員の同意がないと名義変更できませんか?

法定相続分どおりの共有名義にする場合は、全員の同意がなくても単独で申請できます。一方、一人の名義に一本化する場合や法定相続分と異なる分け方をする場合は、遺産分割協議書への相続人全員の署名が必要になります。

名義変更にどのくらいの期間がかかりますか?

戸籍謄本の収集に数週間、法務局での審査に1〜2週間程度かかることが多く、全体でおおよそ1〜2か月を見込んでおくと安心です。相続人の数が多い場合や協議がまとまらない場合は、さらに長くなります。

名義変更しないまま実家を売ることはできますか?

できません。不動産の売買契約を結ぶには、登記簿上の所有者が売主本人である必要があり、亡くなった父親の名義のままでは契約の相手方になれません。不動産売却を考えている場合も、まず相続登記による名義変更が必要です。

相続登記による実家の名義変更を進めるために

実家の名義変更は、相続登記の義務化によって相続の開始及び自己のために所有権を取得したことを知った日から3年以内に行う必要があり、期限を過ぎると10万円以下の過料の対象になります。必要な書類をそろえ、兄弟との分け方を決めたうえで法務局へ申請する流れを踏めば、売却や解体といった次の選択肢も検討できるようになります。ぜひ本記事の手続きの流れと必要書類を参考に、実家の名義変更を進めてください。

出典

  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 法務局「登記申請手続のご案内」
  • 国税庁「空き家の発生を抑制するための特例措置(相続空き家の3000万円特別控除)」
  • 民法第896条(e-Gov法令検索)
  • 不動産登記法第76条の2(e-Gov法令検索)
  • 地方税法第349条の3の2、空家等対策の推進に関する特別措置法第14条第2項(e-Gov法令検索)
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