固定資産税評価額とは?調べ方と不動産売却での使い方を詳しく解説
相続した実家や住み替えで売却を検討している自宅に、固定資産税の納税通知書が届きます。そこに記載された固定資産税評価額は、地方税法第403条に基づいて市町村が算定する価格で、不動産会社が提示する売却価格の目安とは異なる基準で決まります。
固定資産税評価額は、土地であれば国土交通省が公表する公示地価のおよそ70%程度に設定される仕組みのため、売却価格の目安とは数字の大きさが変わります(2026年9月時点)。
本記事では固定資産税評価額の調べ方と、不動産売却での使い方を解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 相続した実家の固定資産税評価額が実際の市場価格とかけ離れていると感じ、売却価格の目安をどう立てればよいか困っている方
- 住み替えのため自宅を売却する前に、固定資産税評価額の調べ方が分からず役所への問い合わせをためらっている方
- 資金需要で土地を売却する計画があるが、評価額と売却価格の違いを理解できずに不動産会社の説明に戸惑っている方
固定資産税評価額とは|不動産売却前に知っておくべき基準
固定資産税評価額とは、毎年1月1日時点の土地や建物の状態をもとに、市町村(東京23区は東京都)が固定資産税を算定するために定める価格です。地方税法第388条第1項に基づき、総務大臣が定める固定資産評価基準にしたがって算出され、原則として3年に1度の「基準年度」で評価替えが行われます。この評価額は固定資産税だけでなく、都市計画税や登録免許税(不動産の登記にかかる税金)、不動産取得税など複数の税金の算定基準として使われるため、不動産を所有している限り避けて通れない数字です。
不動産売却を考え始めた段階では、この評価額が高いか低いかよりも、どの税金の計算に使われている数字なのかを先に把握しておくと、後の査定や契約の説明が理解しやすくなります。
評価替えの年は前年と額が変わりやすいので、納税通知書に記載された年度を確認してから話を進めてください。
調べ方は3つ|不動産売却前の固定資産税評価額の確認方法
固定資産税評価額を調べる方法は主に3つあります。不動産売却を検討し始めたら、まずこの数字を手元に用意しておくと、不動産会社との話がスムーズに進みます。
固定資産税の納税通知書で確認する方法
毎年4月から6月ごろに届く固定資産税の納税通知書には、「価格」または「評価額」の欄に固定資産税評価額が記載されています。固定資産税の課税標準額とは別の欄になっている場合があるため、両者を取り違えないよう注意が必要です。
固定資産税評価証明書を役所で取得する方法
納税通知書が見当たらない場合は、不動産の所在する市区町村役場(東京23区は都税事務所)で固定資産税評価証明書を取得します。取得できるのは所有者本人、同居の家族、法定代理人、または委任状を持つ代理人などに限られます。
固定資産課税台帳の閲覧で確認する方法
役所の窓口で固定資産課税台帳を閲覧する方法もあります。証明書のように法的な効力を持つ書面は発行されませんが、評価額をその場で確認したいときに使えます。相続した実家のように納税通知書が手元にない場合は、この方法と評価証明書の取得を組み合わせると確実です。固定資産税評価額の確認方法と売却への影響については、固定資産税評価額の確認方法と売却時の関係で解説しています。
評価証明書は発行日から数か月で内容が古くなる場合があるため、登記や契約の直前に取り直すと安心です。
売却価格との違い|固定資産税評価額はなぜ市場価格と離れるのか
固定資産税評価額と、実際に不動産を売却する際の価格(市場価格・取引価格)は、同じ不動産でも別の仕組みで決まります。固定資産税評価額は税金を公平に算定するための行政上の指標であり、周辺の売買実例や買主の需要によって上下する市場価格とは目的が異なります。
不動産には「一物四価(いちぶつよんか)」と呼ばれる考え方があり、同じ土地に複数の価格指標が存在します。
| 価格の種類 | 目安 | 決める機関 |
|---|---|---|
| 実勢価格(取引価格) | 基準 | 市場の売買実例 |
| 公示地価 | 実勢価格の90%程度 | 国土交通省 |
| 相続税路線価 | 公示地価の80%程度 | 国税庁 |
| 固定資産税評価額 | 公示地価の70%程度 | 市町村(固定資産税評価基準) |
出典:国土交通省「土地総合情報システム」、国税庁「路線価」、総務省「固定資産税評価基準」をもとに作成(2026年9月時点)
この表からも分かるように、固定資産税評価額は実勢価格よりおよそ3割前後低く設定される傾向があります。相続した実家の固定資産税評価額を見て「この金額でしか売れない」と考えてしまうと、実際の売却価格を大きく下回る条件で話を進めてしまう恐れがあります。
評価額は税金の計算用の数字で、売却価格の答えではありません。不動産の査定は別物として受け止めてください。
土地売却価格の目安の立て方|固定資産税評価額からの逆算
固定資産税評価額から売却価格の目安を立てたい場合、土地については「固定資産税評価額÷0.7」という式が参考になります。固定資産税評価額が公示地価のおよそ70%に設定されているため、逆算すると公示地価に近い水準の見当がつくためです。ただし建物は経年による減価が大きく影響するため、この式は土地部分にしか使えません。
たとえば固定資産税評価額が2,100万円の土地であれば、2,100万円÷0.7で推定3,000万円前後が目安になります。この推定額を基準に、不動産売却で手元に残る金額の内訳を見てみます。
※固定資産税評価額2,100万円(公示地価の7割想定)から逆算した推定売却価格3,000万円・長期譲渡・控除適用なしの概算例です(2026年9月時点)。
この内訳はあくまで概算で、実際の仲介手数料や譲渡所得にかかる税金は所有期間や特別控除の適用で変わるため、不動産会社の査定や税理士への相談で確認する必要があります。
逆算はあくまで下限の目安です。駅からの距離や形状で上下するので、最終的には訪問査定で確認してください。
相続した実家の固定資産税評価額が市場価格とかけ離れるケース
相続した実家では、固定資産税評価額と実際の売却価格の差がとくに大きく出やすい傾向があります。建物の固定資産税評価額は再建築価格をもとに年数が経つほど下がる仕組みのため、築年数の古い家屋はほとんど評価額がつかないことも珍しくありません。一方で立地条件がよい場合、土地の実勢価格は公示地価よりさらに高くなることがあり、評価額だけでは実態を把握できません。
相続した実家の売却価格を見積もる際は、固定資産税評価額を出発点にしつつ、複数の不動産会社による査定や、AIを使った匿名査定も併用すると、評価額とのずれを具体的な金額で把握できます。匿名査定の精度や使い方については、匿名査定・AI査定の精度の限界と賢い使い方で解説しています。
古い実家ほど建物の評価額が低く出がちです。更地価格に近いのか建物を含めた価格なのか、査定で切り分けてください。
不動産売却で固定資産税評価額が使われる場面|清算金と登録免許税
固定資産税評価額は、不動産売却の手続きそのものの中でも複数の場面で登場します。
固定資産税・都市計画税の清算金
固定資産税は1月1日時点の所有者に1年分課税されるため、売買契約の引き渡しが年の途中になると、買主と売主が所有期間に応じて清算金をやり取りする慣習があります。この清算金額は、納税通知書に記載された固定資産税評価額をもとにした税額から算出されます。法律上の義務ではなく売買契約上の取り決めのため、媒介契約を結ぶ不動産会社と事前に確認しておく必要があります。
登録免許税の算定基準
不動産売却に伴う所有権移転登記にかかる登録免許税は、固定資産税評価額を課税標準として計算されます。売買による所有権移転登記の本則税率は2.0%ですが、土地については用途を問わず時限的な軽減税率(1.5%等)が適用される場合があり、住宅用の建物については自己居住用であることなど別の要件を満たすとさらに低い軽減税率が適用される場合があります(2026年9月時点)。適用条件や期限は改正される可能性があるため、登記を担当する司法書士や法務局で最新の内容を確認してください。
清算金の有無や金額は媒介契約の内容次第なので、契約前に不動産会社へ確認しておくと安心です。
確認後に進める不動産売却の流れ|固定資産税評価額を踏まえて
固定資産税評価額を確認したら、次は不動産会社に査定を依頼する段階に進みます。不動産の査定は固定資産税評価額ではなく、周辺の売買実例や物件の状態をもとにした市場価格で提示されるため、評価額との差があっても慌てる必要はありません。複数の不動産会社の査定を比較したうえで媒介契約を結び、売却活動を始めるのが一般的な流れです。
媒介契約の種類ごとの違いは媒介契約の種類と選び方で、査定から引き渡しまでの流れは不動産売却の流れと7つのステップで解説しています。
評価額はあくまで入口の情報です。不動産の査定と媒介契約の内容を確認してから売却活動を始めてください。
よくある質問
固定資産税評価額と固定資産税の課税標準額は同じですか?
違います。固定資産税評価額は不動産そのものの価格で、課税標準額は住宅用地の軽減措置などを適用した後の、実際に税率をかける金額です。納税通知書では別の欄に記載されています。
固定資産税評価額はどのくらいの頻度で変わりますか?
原則として3年に1度の基準年度で評価替えが行われます。基準年度の間は、建物の増改築や地価の急激な変動がない限り大きくは変わりません。
固定資産税評価額が分からないまま不動産会社に査定を依頼できますか?
依頼できます。不動産会社の査定は売買実例や現地の状況を中心に算出するため、固定資産税評価額が分からなくても査定自体は進められます。ただし評価額が分かると、登録免許税などの諸費用の見当も立てやすくなります。
固定資産税評価額が非常に低い古い家屋も売却できますか?
不動産売却できます。固定資産税評価額が低くても、土地の価値や立地条件によって一定の売却価格がつくことは珍しくありません。建物を解体して更地で売却する方法も含めて、不動産会社に相談することをおすすめします。
固定資産税評価証明書は不動産売却の際に必要ですか?
必須の書類ではありませんが、登録免許税の算定や清算金の計算で必要になる場面があります。媒介契約を結ぶ前に取得しておくと、売買契約の手続きがスムーズに進みます。
固定資産税評価額とは何かを理解して進める不動産売却
固定資産税評価額は、公示地価のおよそ70%程度に設定される税金算定用の指標で、不動産会社が提示する売却価格の目安とは別の基準で決まります。相続した実家や住み替えの自宅を売却する場面では、評価額を出発点にしつつ、複数の査定で実際の市場価格を確認することが欠かせません。ぜひ本記事の固定資産税評価額の調べ方と売却価格との関係を参考に、不動産会社への査定依頼を進めてください。
出典
- 総務省「固定資産税評価基準」
- 国土交通省「土地総合情報システム」
- 国税庁「路線価」
- e-Gov法令検索「地方税法」
- e-Gov法令検索「登録免許税法」
- 総務省「固定資産税制度について」
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」第72条・第73条
