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家を売る時にかかる費用は?内訳・総額・目安をわかりやすく解説

自宅の売却を決めて不動産会社と媒介契約を結ぶと、仲介手数料の見積書や登記費用の案内、税務署から届く譲渡所得税の資料が次々と手元に集まります。見積書には「売買価格の3%+6万円(税別)」という仲介手数料の上限額が書かれ、合計でいくら引かれるのか分からないまま、引渡しの期日だけが近づいていきます。

家を売る時にかかる費用は、仲介手数料や登記費用などの諸費用と、利益が出た場合の譲渡所得税の2種類に大きく分かれます。目安は売買価格の6〜8%程度で、そこに利益への課税として税率20.315%(所有期間5年超の長期譲渡)または39.63%(5年以下の短期譲渡)が加わります(2026年9月時点)。

本記事では、家を売る時にかかる費用の内訳と総額の目安、税負担を抑える特例の条件、確定申告の進め方までを解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 自宅の売却を決めたものの、仲介手数料や税金など総額でいくら引かれるのか把握できず不安を抱える50歳の方
  • 確定申告が初めてで、売却代金から諸費用を引いた後に手元にいくら残るのか見通しが立たず落ち着かない方
  • 築30年の実家を売る計画を立てる中、費用の内訳を知らずに契約を進めてしまうことを避けたい方

家を売る時にかかる費用の内訳一覧|仲介手数料・税金・諸費用

家を売る時にかかる費用は、売却が決まれば発生する諸費用と、利益が出た場合だけ発生する税金に分かれます。先に全体像を押さえておくと、見積書や請求書が届くたびに戸惑わずに済みます。

売却時にかかる仲介手数料と登記費用

仲介手数料は不動産会社に売買の仲介を依頼した対価で、宅地建物取引業法の定めにより、売買価格が400万円を超える場合は「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた額が上限です。これに加えて、売買契約書に貼る印紙税、住宅ローンが残っている場合の抵当権(ていとうけん)抹消登記にかかる登録免許税と司法書士報酬が発生します。

利益が出た場合にかかる税金

売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた譲渡所得がプラスになった場合に限り、譲渡所得税・住民税・復興特別所得税がかかります。所有期間が5年を超える長期譲渡なら税率20.315%、5年以下の短期譲渡なら39.63%です。

家を売る時にかかる費用の内訳目安(売買価格3,000万円の場合)
項目金額の目安備考
仲介手数料約105.6万円(税込)売買価格×3%+6万円+消費税
印紙税1万円前後契約書の記載金額により軽減措置あり
登記費用数千円〜数万円抵当権抹消の登録免許税+司法書士報酬
譲渡所得税・住民税利益が出た場合のみ長期20.315%/短期39.63%

出典:国税庁「土地建物を売ったときの税金」、国土交通省「宅地建物取引業法」をもとに作成

仲介手数料や登記費用は見積書で事前に確認でき、税金は利益が出たときだけかかる点を区別しておくと安心です。

仲介手数料はいくら?家を売る費用で最も大きい項目の計算方法

家を売る時にかかる費用の中で金額が最も大きくなりやすいのが仲介手数料です。上限は法律で決まっていますが、実際の請求額は不動産会社や交渉によって変わります。

売買価格400万円超の場合の計算式は「売買価格×3%+6万円」で、これに消費税を加えた額が上限です。たとえば3,000万円で売却できた場合、3,000万円×3%+6万円=96万円に消費税を加えた約105.6万円が上限額になります。この金額は成約時に不動産会社へ一括で支払うのが一般的で、値引きの余地があるかどうかは媒介契約を結ぶ前に確認しておく必要があります。

家を売る時にかかる費用全体の流れは不動産売却の流れと高く売るコツでも解説しています。

仲介手数料は上限が決まっていますが、値引き交渉ができるかどうかは契約前に不動産会社へ確認してください。

家の売却代金にかかる税金の仕組み|譲渡所得税と住民税

仲介手数料と並んで金額が大きくなりやすいのが、利益に対してかかる税金です。計算の仕組みを知らないまま確定申告の時期を迎えると、想定より大きな税額に戸惑うことになります。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得は「売却価格−(取得費+譲渡費用)」で計算します。取得費は購入時の価格に購入時の諸費用を加えた金額で、契約書などで購入価格が分からない場合は売却価格の5%を概算取得費として使う方法が認められています。譲渡費用には仲介手数料や印紙税などが含まれます。

税率は所有期間で変わる

譲渡所得に対する税率は、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得として20.315%、5年以下なら短期譲渡所得として39.63%です。相続した家を売る場合は、被相続人が取得した時期から所有期間を引き継ぎます。

税金と諸費用を合わせた全体像は不動産売却にかかる税金と費用の全体像でも解説しています。

取得費を証明する書類が見つからない場合は概算取得費を使うと税額が大きくなりやすいので、早めに購入時の契約書を探してみてください。

税金を抑える特例|3000万円特別控除の条件と注意点

マイホームを売った場合は、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特別控除が用意されています。要件を満たせば、計算上の利益が3,000万円以下のマイホーム売却では税額がゼロになる可能性があります。

適用を受けるには、売った家が自分の居住用財産であることに加え、売った年の前年および前々年に同じ特例の適用を受けていないことが条件です。相続した空き家を売る場合は、2024年1月1日以後の譲渡であれば一定の要件のもとで同様に3,000万円の控除が使え、適用を受ける相続人が3人以上いるときは1人あたり2,000万円が上限になります。適用条件は細かく定められているため、該当するかどうかは税理士や税務署に確認してから確定申告に進むと安心です。

特例の適用条件は改正されることがあるため、申告前に税務署か税理士へ最新の要件を確認してください。

3,000万円で売れたらいくら残る?家を売る費用の総額シミュレーション

ここまでの内容を、具体的な金額で確認します。相続した築30年の家を3,000万円で売却し、購入時の契約書が見当たらず取得費が分からない、という設定で計算します。

取得費は概算取得費のルールにより売却価格の5%である150万円、譲渡費用は仲介手数料と印紙税などを合わせて125万円とします。譲渡所得は3,000万円−150万円−125万円=2,725万円です。特別控除を使わず、所有期間が5年を超える長期譲渡として税率20.315%をかけると、譲渡所得税・住民税は約553.6万円になります。

3,000万円で売却した場合の費用シミュレーション
項目金額
売却価格3,000万円
概算取得費(5%)▲150万円
譲渡費用(仲介手数料ほか)▲125万円
譲渡所得2,725万円
譲渡所得税・住民税(20.315%)▲553.6万円
手取り額の目安約2,321万円

出典:国税庁「土地建物を売ったときの税金」をもとに試算(2026年9月時点)

この税金と諸費用を売却価格に対する割合で示すと、次のようになります。

手元に残る 約77%
税金
諸費用

※3,000万円で売却・取得費不明(概算取得費5%)・長期譲渡・特別控除適用なしの概算例(2026年9月時点)

売却価格のうち約2割が税金、1割に満たない部分が諸費用で、残り約8割が手取りとして手元に残る計算です。

このシミュレーションはあくまで概算です。取得費や譲渡費用の実額が分かれば、税理士に試算してもらうと誤差が減ります。

確定申告の流れ|自分で行う場合と税理士に依頼する場合の費用

譲渡所得が発生した場合も、特別控除で税額がゼロになる場合も、確定申告をして初めて控除が適用されます。申告をしなければ特例は使えません。

自分で確定申告する場合の流れ

家を売却した翌年の確定申告の時期に、譲渡所得の内訳書と売買契約書の写し、登記事項証明書などを添えて税務署に申告します。登記事項証明書は法務局で取得でき、交付手数料は窓口請求・郵送請求・オンライン請求など請求方法によって異なるため、申請前に法務局公式サイトで最新の手数料額を確認しておく必要があります。確定申告に必要な書類がそろっていれば、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使って自分で作成することもできます。

税理士に依頼する場合の費用相場

特例の適用条件が複雑な場合や、相続が絡んで取得費の計算が難しい場合は、税理士に依頼したほうが申告漏れや計算ミスを防げます。税理士費用の目安は不動産売却の確定申告を税理士に依頼する費用の相場で解説しています。

確定申告に必要な書類は早めにそろえておくと、申告の時期になって慌てずに済みます。

築30年の実家を処分する費用|解体費・測量費など見落としやすい出費

相続した実家の処分にかかる費用は、仲介手数料や税金のほかにも発生します。不動産売却を決めてから慌てないよう、早い段階で把握しておく必要があります。

相続した家を売るには、前提として相続登記(名義変更)を済ませておく必要があります。相続登記の申請義務は不動産登記法第76条の2に規定されており、正当な理由なく申請を怠ると同法第164条第1項の規定により10万円以下の過料が科される可能性があります。建物が古い場合は解体してから更地で売るケースもあり、解体業者の見積もりを複数社から取ることで解体費用の見当がつきやすくなります。境界があいまいな土地では、土地家屋調査士に依頼して確定測量を行う費用も別途必要です。

相続人が複数いる場合は、売却後の分け方を遺産分割協議書にまとめておくと手続きがスムーズです。査定書の作成方法は遺産分割協議書用の査定書の作成方法で解説しています。取得費の根拠を示したい場合は、不動産鑑定の費用相場も参考になります。

相続登記は2024年4月から義務化されています。放置すると過料の対象になるため、早めに済ませておきましょう。

よくある質問

家を売る時にかかる費用はいつ支払うのですか?

仲介手数料は多くの場合、売買契約時に半額、引渡し時に残り半額を支払います。印紙税は売買契約書を交わす際に、登記費用は引渡し時に司法書士へ支払うのが一般的です。譲渡所得税(所得税)は確定申告の期限内に納付し、住民税は後日届く納税通知書に従って別途納付します。

仲介手数料は値引きできますか?

法律で決まっているのは上限額であり、下限はありません。ただし、値引き交渉によって不動産会社の販売活動が消極的になる可能性もあるため、媒介契約を結ぶ前に条件をよく確認しておく必要があります。

売却で利益が出なければ税金はかからないのですか?

譲渡所得がゼロまたはマイナスであれば、譲渡所得税・住民税はかかりません。ただし、損失が出た場合に使える特例もあるため、確定申告をする前に税務署や税理士に確認しておくと安心です。

確定申告をしないとどうなりますか?

3,000万円特別控除などの特例は、確定申告をして初めて適用されます。申告をしなければ特例が使えず、本来より高い税額で計算される可能性があります。期限内の申告が難しい場合は、早めに税務署へ相談してください。

相続した実家を売る場合、まず誰に相談すればいいですか?

名義変更が済んでいなければ司法書士、取得費の計算や確定申告は税理士、売却価格の見通しは不動産会社に相談するのが基本です。相続人が複数いる場合は、分け方を先に話し合っておくと手続きが進めやすくなります。

家を売る時にかかる費用を把握して納得できる売却を進める

家を売る時にかかる費用は、仲介手数料や登記費用などの諸費用と、利益に応じた譲渡所得税に分かれ、特例を使えるかどうかで手取り額は大きく変わります。取得費が分からない場合や相続が絡む場合は、概算取得費や特例の要件を確認しながら計算する必要があります。ぜひ本記事の内訳とシミュレーションを参考に、売却前に総額の見通しを立ててから家の処分を進めてください。

出典

  • 国税庁「土地建物を売ったときの税金」
  • 国税庁「マイホームを売ったときの特例(3,000万円特別控除)」
  • 国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」
  • 国土交通省「宅地建物取引業法」
  • 国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることのできる報酬の額」(国土交通大臣告示)
  • 法務局「登記事項証明書等の交付手数料」(請求方法により金額が異なるため、申請前に最新情報を要確認)
  • e-Gov法令検索「不動産登記法」第76条の2、第164条第1項
  • 土地家屋調査士法(境界確定に関する業務は土地家屋調査士の独占業務)
  • 国税庁「確定申告書の提出・納税」、地方税法(個人住民税の普通徴収・特別徴収の仕組み)
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