不動産契約書の印紙税はいくら?計算方法を解説
マンションや土地の売買契約を結ぶ日が近づくと、不動産会社から契約書に貼る印紙の準備を伝えられます。印紙税法という法律に基づき、不動産の売買契約書は課税文書に指定されており、契約金額に応じて200円から数十万円の印紙税がかかります。
印紙税額は契約書に記載された売買金額で決まり、2027年3月31日までに作成される不動産売買契約書には軽減税率が適用されます。契約金額3000万円の場合、印紙税は1万円です(2026年9月時点)。
本記事では印紙税の計算方法と軽減措置の内容、負担者や貼り方のルール、貼り忘れた場合のリスクまで解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 自宅を初めて売ることになり契約書に貼る印紙税の金額が分からず、当日焦らないよう事前に計算方法を知りたい方
- 資金計画を立てる中で契約時にかかる細かな費用を見落としたくなく、印紙税の相場を確認しておきたい方
- 何から始めればいいか順番が分からず、契約書に関わる費用だけでも早めに把握しておきたいと考えている方
不動産契約書に印紙が必要な理由|印紙税法上の課税文書
不動産の売買契約書に印紙を貼るのは、印紙税法という法律で課税文書に指定されているためです。印紙税法第2条は、法律の別表第一(課税物件表)に掲げる文書に印紙税を課すと定めており、不動産の譲渡に関する契約書は第1号文書としてこの表に含まれます。また、同法第3条では、この課税文書を作成した者が印紙税を納める義務を負うと定められています。
印紙税は契約の内容そのものに課される税金ではなく、契約金額を記載した紙の文書を作成した事実に課される税金です。マンションの売買契約書も土地の売買契約書も、契約金額が記載されていれば課税対象になり、金額が大きいほど印紙税も高くなる仕組みです。登記にかかる登録免許税や、仲介を依頼したときの仲介手数料にかかる消費税とは別の税金である点も押さえておきたいところです。
印紙税は契約書そのものに課される税金なので、契約書を2通作る場合はそれぞれに1枚ずつ印紙が必要になります。
マンション売却の契約金額別|印紙税額の一覧表
マンション売却や土地の売却で実際にいくらの印紙税がかかるのかは、契約金額ごとに国税庁が公表している一覧表で確認できます。不動産の譲渡に関する契約書については、2027年3月31日までに作成されるものに限り軽減税率が適用されており、本則の税額より低く設定されています。
| 契約金額 | 軽減後の印紙税額 | 本則の印紙税額 |
|---|---|---|
| 10万円超50万円以下 | 200円 | 400円 |
| 50万円超100万円以下 | 500円 | 1,000円 |
| 100万円超500万円以下 | 1,000円 | 2,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 5,000円 | 10,000円 |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 1万円 | 2万円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 3万円 | 6万円 |
| 1億円超5億円以下 | 6万円 | 10万円 |
出典:国税庁「印紙税額の一覧表」(2026年9月時点)をもとに作成
首都圏のマンション売却では契約金額が1,000万円超5,000万円以下の範囲に入るケースが多く、この場合の印紙税は1万円です。郊外の戸建てや地方の土地で契約金額が1,000万円以下になる場合は、税額がさらに下がります。契約金額がまだ確定していない売却準備の段階で、おおよその印紙税を見積もりたい場合は、匿名査定で売却価格の見込みを把握しておくと計算しやすくなります。匿名査定・AI査定の精度の限界と賢い使い方で解説しています。
契約金額が区分の境目に近い場合でも、1円違うだけで段階が変わることは少ないので、おおよその売却価格が分かれば事前に見積もれます。
契約金額から税額を求める計算方法と軽減措置の適用期限
印紙税の金額自体は契約当事者が計算する必要はなく、先の一覧表に契約金額を当てはめるだけで決まります。
契約金額ごとの税額の求め方
売買契約書に記載する契約金額(売買価格)を確認し、該当する金額の範囲を一覧表から探せば税額が分かります。たとえば契約金額が2,980万円であれば「1,000万円超5,000万円以下」の範囲に当たり、印紙税は1万円です。契約金額が消費税を含むかどうかで税額の区分が変わることもあるため、売買契約書に記載された金額そのものを基準に確認します。
軽減税率の適用期限(2027年3月31日まで)
不動産の譲渡に関する契約書にかかる印紙税の軽減措置は、租税特別措置法に基づき平成26年4月1日から令和9年(2027年)3月31日までに作成された契約書に適用されます。適用期限が近づくと延長の有無が見直されており、2026年9月時点では令和9年3月31日までの適用が決まっています。期限を過ぎて契約を結ぶ場合は本則税率に戻る可能性があるため、最新の適用状況は国税庁や宅地建物取引士に確認したほうが安心です。
印紙税は契約時にかかる費用の中では小さな部類に入り、仲介手数料や登記関連費用と比べると負担感はそれほど大きくありません。契約金額3000万円でマンションを売却した場合の契約関連費用の内訳を示すと、次のようになります。
※3000万円で売却・軽減税率適用時の契約関連費用の概算例(2026年9月時点)
契約時にかかる費用全体でみると、印紙税が占める割合はごくわずかで、大部分は仲介手数料が占めることが分かります。
軽減税率の適用期限は過去に延長されてきた経緯があるので、契約時期が近い方は不動産会社に最新の情報を確認してください。
印紙代は誰が払う?不動産売却における負担と貼り方のルール
不動産の売買契約書は売主用と買主用の2通を作成することが多く、それぞれの契約書に印紙を貼る必要があります。
売主と買主どちらが負担するか
印紙税法上、契約書を作成した当事者が印紙税を負担すると定められているため、売主用の契約書には売主が、買主用の契約書には買主が印紙代を負担するのが一般的な扱いです。実務では不動産会社が双方の立場を踏まえて取り決め、契約時にそれぞれが自分の分の印紙代を支払うケースが多く見られます。不動産会社によって案内の仕方が異なるため、事前に確認しておくと当日の戸惑いを避けられます。
印紙を貼る場所と消印の仕方
印紙は契約書の所定の欄に貼り、印紙と契約書の両方にまたがるように押印(消印)します。消印は契約書に署名する本人の印鑑でなくてもよく、印紙の二重使用を防ぐための押印であれば認められます。貼る枚数は契約金額に応じた税額分を1枚でまとめても、複数枚に分けても構いません。
消印を忘れると印紙税を納めたことにならないため、契約当日に不動産会社の担当者と一緒に確認してください。
貼り忘れ・消印漏れで課される過怠税とは
印紙を貼らずに契約書を作成した場合や、印紙を貼っても消印を忘れた場合は、印紙税法に基づく過怠税(かたいぜい)という制裁的な税金の対象になります。印紙を貼らなかった場合の過怠税は、本来納めるべき印紙税額の3倍(本来の税額とその2倍の合計)が原則で、自主的に気づいて税務署に申し出た場合は1.1倍に軽減される制度もあります。消印だけを忘れた場合は、消印をしていない印紙と同額の過怠税が課されます。
契約書自体の有効性は印紙の有無によって左右されないため、印紙を貼っていなくても売買契約そのものは成立します。ただし過怠税を課される可能性があるため、契約時に不動産会社や宅地建物取引士と一緒に確認しておくと安心です。
印紙の貼り忘れに気づいたら、できるだけ早く税務署に相談すると過怠税の軽減を受けられる場合があります。
電子契約なら印紙税がかからない理由
不動産の売買契約を電子契約で結ぶ場合、紙の契約書を作成しないため印紙税はかかりません。印紙税法が課税の対象とするのは紙の文書の作成であり、電子データでやり取りする契約書は課税文書に該当しないという解釈が国税庁から示されています。
不動産売買契約では売主・買主双方の合意や取引額の大きさから、まだ紙の契約書を使う取引が多いのが実情ですが、不動産会社によっては電子契約に対応しているところもあります。印紙税を抑えたい場合は、契約を依頼する不動産会社に電子契約の対応状況を確認してみてください。
電子契約は印紙税がかからない分、別途システム利用料がかかることもあるので、総額で比較してください。
仲介手数料・登記費用など不動産売却でかかる契約時の費用
契約時にかかる費用は印紙税だけではなく、仲介手数料や登記関連の費用も合わせて準備しておく必要があります。
仲介手数料の内訳
不動産会社に仲介を依頼してマンションや土地を売却した場合、契約時に仲介手数料の一部(多くは半金)を支払う取り決めが一般的です。仲介手数料は宅地建物取引業法で上限が定められており、売買価格が400万円を超える場合には、売買価格全体に「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた金額が上限として適用されます。不動産会社を選ぶ段階で媒介契約の種類によって対応の範囲が変わるため、媒介契約の種類|専属専任・専任・一般の違いと選び方で解説している内容も確認しておくと契約条件を比較しやすくなります。仲介ではなく不動産会社に直接買い取ってもらう方法を選ぶと、仲介手数料自体が発生しないこともあります。仲介と買取の違いとメリット・デメリットで解説しています。
登記関連費用・固定資産税の精算
抵当権を抹消する登記が必要な場合は、司法書士への報酬を含めた登記関連費用が数万円単位でかかり、固定資産税は引き渡し日を基準に売主と買主で精算するのが一般的です。これらの費用は契約時にすべて確定するわけではなく、引き渡しの前後で発生するものも含まれるため、不動産売却の流れ全体を把握しておくと準備の見通しが立てやすくなります。不動産売却の流れ|査定から引き渡しまでの7ステップで解説しています。
登記関連費用や固定資産税の精算額は契約前に不動産会社から見積もりをもらっておくと、資金計画が立てやすくなります。
よくある質問
印紙税は売主と買主どちらが払うのですか?
契約書を作成した当事者がそれぞれ印紙代を負担するのが一般的です。売主用の契約書には売主が、買主用の契約書には買主が印紙を準備し、契約時に不動産会社が立て替えて後日清算することもあります。
印紙を貼り忘れたまま契約を終えてしまった場合、どうすればいいですか?
気づいた時点で早めに税務署へ相談してください。自主的に申し出れば過怠税が軽減される制度があり、放置して後から発覚すると本来の税額の3倍にあたる過怠税が課される可能性があります。
契約金額が消費税を含む場合、印紙税の計算はどうなりますか?
契約書に消費税額が区分して明記されていれば、消費税を除いた金額を基準に印紙税額を判断します。区分されていない場合は消費税を含む総額が基準になるため、契約書の記載方法を事前に確認しておくと安心です。
電子契約を選べば印紙税は一切かからないのですか?
紙の契約書を作成しない電子契約であれば、印紙税法上の課税文書に該当せず印紙税はかかりません。ただし不動産会社によって電子契約への対応状況が異なるため、契約前に対応可否を確認する必要があります。
印紙はどこで購入できますか?
郵便局や法務局、一部のコンビニエンスストアで購入できます。金額が大きい印紙は取り扱っていない店舗もあるため、事前に不動産会社へ用意してもらえるか確認しておくと当日スムーズです。
不動産契約書の印紙税を事前に把握して契約当日に備えましょう
不動産の売買契約書にかかる印紙税は、契約金額に応じて200円から数十万円まで段階的に決まり、2027年3月31日までに作成される契約書には軽減税率が適用されます。契約金額が3000万円前後のマンション売却であれば印紙税は1万円程度で、仲介手数料や登記関連費用と比べると負担は小さいものの、貼り忘れや消印漏れがあると過怠税の対象になる点には注意が必要です。ぜひ本記事の計算方法と一覧表を参考に、契約当日までに必要な印紙代を準備しておいてください。
出典
- 国税庁「印紙税額の一覧表」
- 国税庁「不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の軽減措置について」
- 国税庁タックスアンサーNo.7108「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
- e-Gov法令検索「印紙税法」
- 国税庁「印紙税の手引き」
- 国土交通省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
