空き家の解体費用相場はいくら?坪数別の目安と費用を抑える方法
父から相続した実家の解体を検討し、不動産会社や解体業者に見積もりを依頼すると、提示された金額が想像より高く、地域の売却相場とどう比べればいいのか分からないまま時間が過ぎていきます。固定資産税だけを払い続けてきた空き家を解体せず放置すると、住宅用地の固定資産税の減額(最大1/6)が外れる場合があり、負担がさらに増える可能性もあります。空き家の解体費用は、木造30坪の住宅で90万円〜150万円が目安とされており、構造や立地、残置物の量によって大きく変わります(2026年9月時点)。本記事では、坪数別・構造別の解体費用相場と、費用を抑える具体的な方法、解体後の売却で使える税金の特例について解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 父の死後空き家となった実家の解体を検討しており、坪数に応じた費用相場が分からず不安な58歳長男の方
- 地方の実家を解体してから土地を売却する予定だが、費用を抑える具体的な方法を知りたい方
- 固定資産税を払いながら放置してきた家屋の解体見積もりが高額で、相場と比較して判断したい方
空き家の解体費用はいくらかかる?坪数別の売却相場
空き家の解体費用は、延床面積の坪数に解体工事の坪単価をかけて概算を出すのが一般的です。木造住宅の坪単価は3万円〜5万円程度とされ、30坪の実家であれば90万円〜150万円が目安になります。ただし、この金額は建物本体の解体工事費だけで、付帯工事や廃棄物処理費が加わると総額はさらに上がります。
| 坪数 | 解体費用の目安 |
|---|---|
| 20坪 | 60万円〜100万円 |
| 30坪 | 90万円〜150万円 |
| 40坪 | 120万円〜200万円 |
| 50坪 | 150万円〜250万円 |
出典:全国解体工事業団体連合会の解体工事費用相場をもとに作成(2026年9月時点)
同じ坪数でも、重機が入れる道路幅があるかどうかで手作業の比率が変わり、費用の幅が生まれます。築年数が古く構造が劣化している家屋は、解体中に追加の補強作業が必要になることもあり、築40年・築50年の古い家は売れる?解体すべきか判断基準で判断の目安を解説しています。
見積もりは現地調査をしてもらってください。写真だけの見積もりは、着工後に追加費用が発生しやすくなります。
構造別に見る空き家解体費用の違い|木造・鉄骨・RC
空き家解体費用は建物の構造によって坪単価が異なり、構造が重くなるほど重機や作業時間がかかるため費用が上がります。
木造の空き家
坪単価3万円〜5万円が目安で、重機だけで解体できる部分が多く、構造の中では費用を抑えやすい部類に入ります。
鉄骨造の空き家
坪単価4万円〜6万円程度で、鉄骨部分の切断や分別に手間がかかるぶん、木造より費用が上がる傾向があります。
RC(鉄筋コンクリート)造の空き家
坪単価5万円〜8万円程度が目安で、基礎や躯体が頑丈なため解体に時間と重機が必要になり、3構造の中で最も費用がかかります。
実家の建物がどの構造に当たるかは、固定資産税の課税明細書や建築確認申請書で確認できます。構造が分かれば、見積もりの金額が売却相場からどの程度離れているかも判断しやすくなります。
※木造30坪・解体費用120万円の内訳例(2026年9月時点)
見積書の内訳がこの比率から大きく外れている場合、廃棄物処理費や付帯工事費が別枠で高く見積もられている可能性があり、確認する価値があります。
見積書に「一式」とだけ書かれている項目は、内訳を文書で出してもらうと後の追加費用トラブルを避けやすくなります。
解体費用が高くなりやすい空き家の特徴
同じ坪数・同じ構造でも、次に当たる条件があると空き家解体費用は売却相場より高くなります。
- 前面道路が狭く、重機が敷地に入れず手作業が増える
- 家財や家具が残置物として残っており、別途処分費がかかる
- 1975年(昭和50年)以前に建てられた建物は特にアスベストを含む建材が使われている可能性が高く、2006年(平成18年)以前の建物にも含有の可能性がある
- 隣家との距離が近く、養生や防音の追加工事が必要になる
特にアスベスト(石綿)は、含有が確認されると事前調査と除去工事が義務付けられており、通常の解体費用に数十万円単位で加算されることがあります。実家が1975年以前の建築であれば特にアスベスト含有の可能性が高く、2006年以前の建築でも含有の可能性があるため、見積もり時にアスベスト調査の有無を確認してください。
残置物の処分は自分で一部でも進めておくと、解体業者の作業範囲が減り、見積もり金額を抑えられる場合があります。
空き家を解体せず放置する固定資産税のリスク
空き家解体費用の高さを理由に解体を見送ると、今度は固定資産税の負担が別の形で増える可能性があります。
住宅用地の特例が外れる場合
住宅が建っている土地は、固定資産税の課税標準額が最大1/6に減額される住宅用地の特例が適用されています。空き家が老朽化し、周辺に悪影響を及ぼす「特定空き家」や、管理が不十分な「管理不全空き家」に自治体から指定され、さらに市区町村長から改善の勧告を受けると、この特例が解除され、固定資産税が数倍に増える場合があります。
指定を避けるために必要な管理
特定空き家・管理不全空き家の指定は、建物の傾きや屋根の崩落、害虫の発生といった管理状態の悪化が条件になります。定期的な見回りや庭木の剪定だけでも、指定を避けられる場合があります。放置のリスクと対応の優先順位については、相続した空き家、放置は危険|まず価値を知り特例期限内に動く方法で解説しています。
解体して古家付き土地として売却する選択肢を含め、解体費用と固定資産税の負担を比べて判断する考え方は、古家付き土地とは?解体費用と固定資産税の負担で解説しています。
特定空き家の指定は事前に自治体から通知が来るのが一般的です。通知を放置せず、早めに自治体の窓口へ相談してください。
空き家解体費用を抑える具体的な方法
空き家解体費用は、進め方次第で売却相場の下限に近づけられる場合があります。
- 複数の解体業者から見積もりを取り、内訳と金額を比較する
- 自治体の空き家解体補助金や除却助成制度の対象になるか確認する
- 家財や不用品を事前に自分で処分し、残置物処理費を減らす
- 解体と新築・売却のタイミングを合わせ、繁忙期を避けて依頼する
自治体によっては、老朽化した空き家の解体費用の一部を補助する制度を設けています。補助額や対象条件は自治体ごとに異なるため、実家がある市区町村の空き家対策窓口に確認することが欠かせません。土地の売却を前提に動くなら、解体前に不動産会社へ売却相場を相談し、解体費用をかけてもその分を売却価格で回収できるかを見積もっておくと判断がしやすくなります。査定の精度について不安がある場合は、匿名査定・AI査定はどこまで正確?精度の限界と賢い使い方で解説しています。
解体費用だけで判断せず、解体後の土地がいくらで売れそうかを先に確認すると、解体の判断がぶれにくくなります。
解体後の土地売却で使える税金の特例
相続した空き家を解体して土地を売却する場合、譲渡所得から最大3000万円を差し引ける特別控除(措置法第35条)が使える場合があります。適用には、相続開始から3年を経過する日が属する年の12月31日までに売却すること、2027年(令和9年)12月31日までの譲渡であることなど複数の要件があり、売却タイミングを逃すと使えなくなります。
2024年1月以降の改正で、解体や耐震改修を売却前に済ませる必要はなく、買主側が売却後に解体・耐震改修を行う場合も控除の対象になるよう要件が緩和されました。ただし適用できるかどうかは建物の状況や相続の経緯によって変わるため、税理士や不動産会社に事前確認することが欠かせません。詳しい適用要件と期限は、相続空き家の3000万円特別控除とは?要件と期限で解説しています。
期限は相続開始日を基準に数えるため、相続登記が済んでいない場合は早めに手続きを進めてください。
解体前に兄弟と決めておきたい分担の話
実家を兄弟で共有している場合、解体費用を誰がどの割合で負担するかを決めずに工事を進めると、後から負担をめぐって話がこじれることがあります。相続した不動産は共有名義になっているケースが多く、解体費用も原則として共有割合に応じて分担する考え方が基本になります。
土地を売却して現金化し、売却代金から解体費用を差し引いて分ける「換価分割(かんかぶんかつ)」であれば、兄弟のどちらかが先に解体費用を立て替える必要がなく、分担をめぐる不満も残りにくくなります。一方、1人が実家を取得して他の兄弟に現金を渡す「代償分割(だいしょうぶんかつ)」を選ぶ場合は、解体費用も含めた取得後の負担を先に取得する側が負うのか、分割前に話し合っておく必要があります。
いずれの分け方でも、相続登記を済ませておかないと解体業者との契約や土地の売却に支障が出るため、分担の話し合いと登記の手続きは並行して進めてください。
解体費用の分担は口約束で済ませず、見積書と合わせて金額と負担割合を書面に残しておくと安心です。
よくある質問
空き家解体費用はどのタイミングで支払いますか
一般的には契約時に一部を前払いし、解体完了後に残額を支払う2回払いが多く採用されています。全額前払いを求める業者には、契約内容を書面でよく確認してください。
解体 空き家の見積もりで追加費用が発生するのはどんな場合ですか
解体中にアスベストや埋設物(井戸・浄化槽・基礎の残骸など)が見つかった場合、追加の調査や撤去費用が発生することがあります。契約前に、追加費用が発生する条件を見積書に明記してもらうことが重要です。
空き家の解体費用は補助金で全額カバーできますか
自治体の補助金は解体費用の一部(数十万円程度が上限となることが多い)を補助する設計がほとんどで、全額をカバーする制度は一般的ではありません。補助額や対象条件は自治体ごとに確認が必要です。
解体後の土地はすぐに売却できますか
解体後、建物の滅失登記を済ませれば土地の売却は可能です。ただし3000万円特別控除などの税金の特例を使う場合は、相続開始からの期限に注意して売却時期を決める必要があります。
空き家解体費用を払えない場合はどうすればいいですか
解体費用を立て替えずに済む方法として、古家付き土地のまま売却し、買主側で解体してもらう方法があります。価格は更地より下がる傾向がありますが、解体費用を先に用意する必要がなくなります。
空き家の解体費用相場を踏まえた判断のまとめ
空き家の解体費用は、木造30坪で90万円〜150万円が目安ですが、構造や立地、残置物の量、アスベストの有無によって金額は大きく変わります。解体せず放置すれば固定資産税の負担が増える可能性があり、解体して売却すれば3000万円特別控除などの税金の特例が使える場合もあります。兄弟との分担や登記の手続きも並行して進める必要があるため、ぜひ本記事の坪数別・構造別の売却相場と費用を抑える方法を参考に、見積もりの比較と分担の話し合いを早めに進めてください。
出典
- 全国解体工事業団体連合会「解体工事費用の売却相場」
- 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法」
- 総務省「固定資産税における住宅用地に対する特例措置」
- 国税庁「空き家に係る譲渡所得の特別控除(租税特別措置法第35条)」
- 厚生労働省・国土交通省「アスベスト規制の歴史(特定化学物質等障害予防規則改正1975年、建築基準法施行令改正2006年)」
