マンション売却にかかる費用はいくら?内訳と抑えるコツ
マンションの査定結果が出て売却の意思が固まっても、仲介手数料や登記費用、税金を差し引いた後にいくら手元へ残るのかは分かりません。マンション売却にかかる費用は、仲介手数料(売買価格×3%+6万円+消費税が上限)、登記費用、印紙税、譲渡所得税などに分かれ、合計すると売却価格の5〜7%程度になるのが一般的です。この目安は、3000万円特別控除などの適用によって譲渡所得税の負担が小さいケースを想定したものであり、控除が適用されない場合は税負担が大きくなり、費用・税金の合計割合はこれより高くなることがあります。
費用の種類ごとに計算の根拠が異なり、特に税金は所有期間や特例の適用有無で金額が大きく変わります。本記事では、マンション売却にかかる費用の内訳と、確定申告の流れ、諸費用を抑えるコツを解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 築20年のマンションを売却する予定で、仲介手数料や登記費用などの内訳を事前に知りたい方
- 確定申告が初めての50歳で、費用を差し引いた後に手元へ残る金額を計算しておきたい方
- 諸費用を少しでも抑える方法があるのか気になり、内訳を確認してから契約に進みたい方
マンション売却でかかる費用の全体像|内訳と売却相場
マンション売却にかかる費用は、大きく分けて「不動産会社に支払う仲介手数料」「登記や契約手続きにまつわる諸費用」「売却益に対する税金」の3種類です。このうち金額が最も大きいのは仲介手数料で、次いで所有期間によっては譲渡所得税が高額になります。合計すると、売却価格のおおむね5〜7%が費用として差し引かれると見込んでおくと、資金計画が立てやすくなります。ただし、この5〜7%という目安は3000万円特別控除などが適用され譲渡所得税の負担が小さいケースを想定したものです。控除の適用がない場合は、譲渡所得税の負担により費用・税金の合計割合がより高くなることがあります。
| 費用項目 | 金額の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 売買価格×3%+6万円+消費税(上限) | 不動産会社への成功報酬 |
| 登記費用 | 1万〜3万円程度 | 抵当権抹消登記の登録免許税と司法書士報酬 |
| 印紙税 | 1千円〜6万円 | 売買契約書に貼付、契約金額に応じた軽減税率あり |
| 譲渡所得税 | 売却益に応じて課税 | 所有期間5年超か5年以下かで税率が変動 |
| その他諸費用 | 数万円程度 | ハウスクリーニング、引っ越し費用など |
出典:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることのできる報酬の額」、国税庁「土地や建物を売ったとき」をもとに作成(2026年9月時点)
3000万円でマンションを売却した場合の概算例を見ると、費用の比率がどのくらいになるか具体的にイメージできます。
※3000万円でマンションを売却・長期譲渡・控除適用なしの概算例です(2026年9月時点)。
この図は、取得費や特例を考慮しない概算の比率を示しています。実際には取得費や特別控除の有無によって税金の割合が大きく変わるため、あくまで目安として読んでください。マンション売却後に手元へ残る金額の詳しい計算方法はマンション売却で手元に残る金額の計算方法で解説しています。
費用の内訳を先に把握しておくと、売買契約時の資金計画が立てやすくなります。
仲介手数料はいくら?マンション売却の計算方法と上限
仲介手数料は、宅地建物取引業法に基づいて国土交通大臣が定める上限額の範囲内で決まります。売買価格が400万円を超える場合、速算式として「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた金額が上限です。3000万円でマンションを売却した場合は、96万円に消費税10%を加えた105万6000円が仲介手数料の上限となります。
この金額はあくまで上限であり、実際の金額は不動産会社との媒介契約時に確認する必要があります。仲介手数料の支払いは、売買契約時に半額、引き渡し時に残りの半額とする分割払いが一般的です。
仲介手数料は上限額が決まっているだけなので、媒介契約を結ぶ前に金額を書面で確認してください。
登記費用と抵当権抹消費用|マンション売却の必要手続き
住宅ローンが残っているマンションを売却する場合、抵当権(ていとうけん、住宅ローンの担保として設定された権利)の抹消登記が必要です。抵当権が残ったままでは買主に所有権を引き渡せないため、売却代金でローンを完済したうえで抹消手続きを行います。
抵当権抹消登記にかかる登録免許税
抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産1個につき1000円です。現在の多くのマンションは敷地権登記がされており、専有部分と敷地権(土地の権利)が一体の不動産として登記されるため、登録免許税は1000円で済むことが一般的です。ただし、敷地権化されていない古い物件などでは、土地の持分と建物で2個分として扱われ、2000円程度になる場合もあり、物件の登記状況によって金額が異なります。
司法書士報酬の相場
抵当権抹消登記の手続きは司法書士に依頼するのが一般的で、報酬は1万5000円〜2万円程度が目安です。登録免許税と合わせて、登記費用全体では2万〜3万円程度を見込んでおくとよいでしょう。
住宅ローンが残っている場合、抵当権抹消登記は引き渡し日までに完了させる必要があります。
印紙税と引っ越し費用など、マンション売却で見落としやすい諸費用
売買契約書には印紙税がかかります。租税特別措置法による軽減税率が適用されており、契約金額が1000万円超5000万円以下の場合は1万円です。印紙は売主・買主それぞれが保有する契約書に貼付するため、双方が負担します。
このほか、ハウスクリーニング費用や引っ越し費用、住宅ローンを繰上返済する際の繰上返済手数料など、見落としやすい諸費用もあります。借地権付きのマンションを売却する場合は、地代の精算や承諾料が発生することもあり、底地(そこち、借地権が設定されている土地の所有権)との関係を理解しておく必要があります。
繰上返済手数料は金融機関やローンの種類によって金額が異なるため、事前に確認しておくと安心です。
譲渡所得税の仕組みと使える控除|マンション売却の税金
マンション売却で発生する税金のうち、金額が最も大きくなりやすいのが譲渡所得税です。売却益が出た場合にのみ課税され、売却益が出なければ税額は発生しません。
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得は「売却価格-(取得費+譲渡費用)」で計算します。所有期間が5年を超える長期譲渡所得の場合、税率は所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%を合わせた20.315%です。所有期間が5年以下の短期譲渡所得では39.63%と税率が倍近くに上がるため、所有期間の数え方には注意が必要です。
3000万円特別控除などマンション売却で使える特例
マンションなどの居住用財産を売却した場合、租税特別措置法第35条に基づく「3000万円特別控除」を利用でき、所有期間に関係なく譲渡所得から最大3000万円を差し引けます。この控除を適用すると、譲渡所得が3000万円以下であれば税額がゼロになるケースも少なくありません。ただし、特例を適用するには確定申告が必須で、適用条件は年々見直されるため、2026年9月時点の最新情報を税理士や税務署で確認する必要があります。
特別控除は申告しないと適用されないため、売却益がゼロに近い場合でも確定申告を忘れないでください。
確定申告の流れ|マンション売却後に自分で申告する方法
マンションを売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に、譲渡所得の確定申告を行います。必要書類は、売買契約書の写し、取得時の契約書、仲介手数料や登記費用の領収書、登記事項証明書などです。これらをもとに譲渡所得を計算し、申告書に記入して税務署へ提出します。
国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の案内に沿って入力するだけで申告書を作成できます。計算が複雑になりやすい特例の適用や、取得費が不明な場合の概算取得費の計算などは、税理士に依頼すると安心です。不動産売却にかかる税金と費用の全体像は不動産売却にかかる税金と費用の全体像|いくら手元に残る?で解説しています。
取得費が分からない場合は売却価格の5%を概算取得費として使う方法もありますが、税額が高くなりやすい点に注意してください。
諸費用を抑えるコツ|マンション売却で損をしないために
マンション売却にかかる諸費用は、工夫次第である程度抑えられます。ただし、安さだけを優先すると売却活動の質が下がり、結果として売却価格が下がる可能性もあるため、バランスを意識する必要があります。
仲介手数料を抑える交渉のポイント
仲介手数料は上限額が決まっているだけで、下限はありません。複数の不動産会社に査定を依頼し、売却活動の内容と合わせて仲介手数料を比較すると、条件に合う不動産会社を選びやすくなります。ただし、極端な値引きを提示する不動産会社は、広告費用を削るなど売却活動の質が下がっている場合もあるため、金額だけで判断しないことが大切です。
税金を抑えるための控除活用
税金を抑えるには、3000万円特別控除をはじめとする各種特例の適用条件を事前に確認しておくことが有効です。取得費を証明する書類(購入時の契約書や領収書)を保管しておくと、譲渡所得を正しく計算でき、不要な税額を払わずに済みます。書類が見つからない場合は、早めに探しておくことをおすすめします。
仲介手数料の値引き交渉は、売却活動の質とのバランスを見ながら進めてください。
よくある質問
マンション売却の仲介手数料は値引きできますか
法律上の上限額が決まっているだけで下限はないため、不動産会社との交渉次第で値引きできる場合があります。ただし、極端な値引きは売却活動の質に影響することもあるため、内容を確認したうえで判断してください。
マンション売却で確定申告が不要なケースはありますか
売却益が出ず譲渡所得がマイナスになる場合は、原則として確定申告は不要です。ただし、損益通算や繰越控除の特例を使いたい場合は申告したほうが有利になることがあります。
3000万円特別控除は誰でも使えますか
居住用財産であることなど一定の条件を満たす必要があります。住んでいない期間が長い物件や、親族間での売買などは適用されない場合があるため、国税庁や税理士に事前に確認してください。
マンション売却の諸費用はいつ支払いますか
仲介手数料は売買契約時と引き渡し時に分けて支払うのが一般的です。登記費用や印紙税は引き渡し当日に、譲渡所得税は売却した翌年の確定申告後に納付します。
確定申告は自分でできますか
国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の案内に沿って入力するだけで申告書を作成できます。特例の適用条件が複雑な場合は、税理士に依頼すると計算ミスを防げます。
マンション売却の費用を把握して資金計画を立てる
マンション売却にかかる費用は、仲介手数料、登記費用、印紙税、譲渡所得税の4つが中心で、合計すると売却価格の5〜7%程度を見込んでおく必要があります(3000万円特別控除などの適用により譲渡所得税の負担が小さいケースの目安であり、控除が適用されない場合はこれより高くなることがあります)。税金は3000万円特別控除などの特例によって大きく変わるため、取得費の証明書類を揃えたうえで確定申告に臨むことが手元に残る金額を最大化する近道です。ぜひ本記事のマンション売却費用の内訳を参考に、資金計画を立ててから売却活動を進めてください。
出典
- 国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることのできる報酬の額」
- 法務省「登録免許税について」
- 国税庁「土地や建物を売ったとき」
- 国税庁「マイホームを売ったときの特例」
- 国税庁「印紙税額一覧表」
- auじぶん銀行・住信SBIネット銀行・SBI新生銀行「繰上返済手数料」案内ページ
