登録免許税とは?売却時にかかる費用を解説
不動産を売却したあと、司法書士から抵当権抹消登記(ていとうけんまっしょうとうき、抵当権を消すための登記)の費用として登録免許税の見積書を受け取り、金額の根拠が分からないまま支払いを済ませる方は少なくありません。登録免許税は不動産の登記に課される国税で、抵当権抹消登記は不動産1件につき1,000円、売買による所有権移転登記は原則として固定資産税評価額の2.0%です(国税庁、2026年9月時点)。本記事では、マンションや土地、戸建ての売却で登録免許税がいつ・いくら発生するのか、負担する人の違いや軽減措置とあわせて解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 住み替えのため自宅を売却して新居を購入する予定で、登録免許税がどのタイミングでいくら発生するか把握できていない方
- 相続した実家の名義変更後に売却を予定しているが、登記時にかかる登録免許税の負担がどれくらいか見積もれず不安な方
- 資金需要で土地を売却して別の不動産を購入する計画だが、登録免許税を含めた費用の全体像が分からず困っている方
不動産売却で登録免許税とは|抵当権抹消登記にかかる税金
登録免許税は、不動産の所有権や抵当権などの権利を登記する際に国へ納める税金です。不動産を売却する場面では、売主が住宅ローンを組んでいた場合に抵当権抹消登記が必要になり、この登記にも登録免許税がかかります。抵当権抹消登記の登録免許税は不動産1個につき1,000円と定められており、土地と建物をまとめて売却する一戸建てでは、土地と建物それぞれに1,000円ずつ、合計2,000円がかかります(国税庁)。
一方、買主が所有権を取得する所有権移転登記にも登録免許税がかかりますが、この費用は慣例として買主が負担します。売主が自分で用意すべき登録免許税は基本的に抵当権抹消登記分だけと考えておくと、不動産売却にかかる費用の見通しが立てやすくなります。
抵当権抹消登記の登録免許税は不動産の数で変わるので、土地と建物を別々に数える点に注意してください。
マンション・土地・戸建ての売却で登録免許税が発生する場面
マンションや土地、戸建てを売却する際、登録免許税が発生する場面は主に3つあります。住宅ローンの残債がある不動産を売却するときの抵当権抹消登記、相続した不動産を売却する前の相続登記、そして離婚による財産分与で名義変更が必要になるケースです。
相続した実家を売却する場合、まず相続人へ名義を変更する相続登記を済ませる必要があり、ここでも登録免許税がかかります。売却前の名義変更にあわせて不動産の価値を確認したい場合は、遺産分割協議書用の査定書の作成方法で解説しています。
離婚による財産分与で不動産を売却する場合も、登記上の名義人を変更したうえで売却を進めることになります。財産分与にあたって必要になる査定書については、離婚協議書用の査定書の作成方法で解説しています。
いずれの場合も、登録免許税の金額を見積もる前に売却相場のおおまかな水準を把握しておくと、登記費用を含めた総費用の計算がしやすくなります。売却相場を手軽に確認する方法は、匿名査定・AI査定の精度と使い方で解説しています。
相続や離婚が絡む売却は名義変更の手続きに時間がかかりやすいので、早めに法務局や司法書士へ確認してください。
登録免許税の計算方法と税率
登録免許税の金額は、登記の種類によって計算方法が異なります。売主にとって関係が深いのは抵当権抹消登記、買主にとって関係が深いのは所有権移転登記です。
抵当権抹消登記の登録免許税(不動産1件につき1,000円)
抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産の価額に関わらず不動産1個につき1,000円の固定額です(国税庁)。マンションの1室を売却する場合は土地と建物を1つの登記として扱うことが多く1,000円で済みますが、土地付きの一戸建てでは土地と建物を別々に数えるため2,000円になります。抵当権の件数が複数ある場合は、その件数分だけ登録免許税が加算されます。
所有権移転登記の登録免許税は買主負担が原則
売買による所有権移転登記の登録免許税は、固定資産税評価額に税率を掛けて計算し、本則の税率は2.0%です。住宅用の建物については軽減税率0.3%が適用される特例があり、2027年3月31日まで延長されています(国税庁)。ただし、この登記費用は不動産売買の慣行として買主が負担するため、売主側で見積もりに含める必要は基本的にありません。
抵当権抹消登記にかかる登録免許税は、仲介手数料など他の諸費用と比べると金額としては小さく、売却代金全体に占める割合もわずかです。不動産を3,000万円で売却した場合の費用の内訳イメージを示します。
※不動産を3,000万円で売却し、抵当権抹消登記1件・長期譲渡の条件に該当する場合の概算例です(2026年9月時点)。
登録免許税は諸費用の中でも小さな割合にとどまり、売却費用の大半は仲介手数料などが占めることが分かります。
所有権移転登記の税率は特例の有無で変わるので、買主側の負担額は仲介する不動産会社に確認してもらうと安心です。
住宅ローン残債がある家の売却と登録免許税の注意点
住宅ローンが残ったままの家を売却する場合、売買代金で残債を完済したうえで抵当権抹消登記を行う必要があります。抵当権抹消登記は売買の決済日当日に所有権移転登記と同時に司法書士が手続きすることが一般的で、登録免許税もこのタイミングで支払います。
残債を完済できないまま抵当権を抹消しようとすると、金融機関が抹消に必要な書類を発行しないため、登記そのものが進められません。売却代金だけで残債を完済できない場合は、自己資金での補填や任意売却といった方法を検討する必要があり、登録免許税の負担より先に残債の整理が課題になります。
抵当権抹消に必要な書類は金融機関からの発行に数日かかることがあるので、決済日の前に準備しておくと安心です。
相続した実家を売却するときの登記と登録免許税
相続した実家を売却するには、まず相続人の名義に変更する相続登記を済ませる必要があります。相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続の開始を知った日から3年以内に申請することが求められています(法務省)。
相続登記の登録免許税は、原則として固定資産税評価額の0.4%です。相続した土地の価額が100万円以下の場合は登録免許税が免除される措置があり、2027年3月31日まで適用されます(法務省・国税庁)。実家が老朽化していて価値が低いと見込まれる場合は、この免税措置に該当するかどうかも確認しておくと、登記費用の見積もりに差が出ます。
相続登記を終えた後でなければ売却の契約を結べないため、相続発生から売却完了までの期間は、ローン残債がある場合より長くなる傾向があります。
相続登記の免税措置は土地の価額が低い場合に限られるので、評価額を確認してから申請してください。
軽減措置の活用|2026年9月時点の登録免許税
登録免許税には複数の軽減措置があり、売却前の登記で該当するものがあれば負担を抑えられます。相続登記については前述の免税措置に加え、所有者不明土地の解消を目的とした特例もあります。
住宅用家屋の所有権移転登記にかかる軽減税率0.3%は買主側の制度ですが、買主がこの軽減を受けられるかどうかで売買条件の交渉に影響することもあります。新耐震基準を満たすかどうかなど建物の要件が絡むため、売却を検討している物件が軽減税率の対象になるかどうかは、仲介する不動産会社や司法書士に確認しておくと話がスムーズに進みます。
これらの軽減措置は税制改正によって期限や要件が変わるため、2026年9月時点の内容を前提にしつつ、実際の適用は司法書士や税務署など専門家に最新情報を確認することをお勧めします。
軽減措置の期限は延長されることが多いので、申請時点の最新情報を確認してください。
司法書士への依頼費用と登録免許税を払うタイミング
登録免許税は登記の際に国へ直接納める税金で、司法書士への依頼費用とは別物です。
売主が払う登録免許税
売主が負担する登録免許税は基本的に抵当権抹消登記分のみで、金額は不動産1個につき1,000円です。相続登記を売却前に済ませる場合は、固定資産税評価額の0.4%にあたる登録免許税も発生します。支払いのタイミングは、売買の決済日に司法書士へ現金や振込で預け、司法書士が登記申請時に法務局へ納付する形が一般的です。
司法書士への依頼費用の内訳
登録免許税そのものは税金ですが、登記の手続きを依頼する司法書士には別途、報酬として依頼費用がかかります。依頼費用は抵当権抹消登記だけであれば1万円台から2万円台が目安とされ、相続登記や複数の登記をまとめて依頼する場合はそれより高くなります。決済日に受け取る見積書には、登録免許税と司法書士への依頼費用が分けて記載されているか確認しておくと、内訳を把握しやすくなります。
見積書に登録免許税と司法書士費用が別々に書かれているか確認すると、総費用の内訳が分かりやすくなります。
よくある質問
登録免許税はマンション売却でもかかりますか?
マンション売却でも、住宅ローンの残債がある場合は抵当権抹消登記が必要になり、不動産1個につき1,000円の登録免許税がかかります。ローンを完済済みで抵当権が設定されていなければ、売主側の登録免許税は発生しません。
登録免許税は誰が払いますか?
抵当権抹消登記の登録免許税は売主が負担し、所有権移転登記の登録免許税は慣例として買主が負担します。負担の割合は契約で変更されることもあるため、売買契約書の記載を確認してください。
相続した実家を売却するとき、登録免許税はいくらかかりますか?
相続登記の登録免許税は固定資産税評価額の0.4%が原則です。土地の価額が100万円以下であれば、2027年3月31日までの免税措置が適用される場合があります。
登録免許税の支払いを忘れると売却できませんか?
登録免許税を納めなければ登記が完了せず、所有権移転の手続きも進められません。通常は決済日に司法書士へ預けて納付するため、個人が支払い忘れる心配は小さいです。
登録免許税以外に売却時にかかる税金はありますか?
売却益が出た場合は譲渡所得に対する所得税・住民税がかかり、売買契約書には印紙税もかかります。登録免許税を含めた諸費用の全体像は、仲介する不動産会社に早めに確認しておくことをお勧めします。
登録免許税とはを理解して売却の費用を見積もる
登録免許税は不動産の登記に課される国税で、売主が負担するのは主に抵当権抹消登記分の不動産1個につき1,000円です。相続した実家を売却する場合は相続登記の登録免許税として固定資産税評価額の0.4%が別にかかり、免税措置の対象になるかどうかで負担額が変わります。所有権移転登記の登録免許税は慣例として買主が負担するため、売主側で見積もる金額としては比較的小さく収まることが多いです。ぜひ本記事の登録免許税とはの解説を参考に、売却にかかる費用の全体像を早めに把握してください。
出典
- 国税庁「登録免許税の税額表」
- 国税庁「登録免許税の軽減措置」
- 法務省「相続登記の申請義務化について」
- 法務省「登録免許税の免税措置について」
