不動産売却の確定申告を税理士に依頼する費用はいくら?相場を解説
自宅を売却した翌年、確定申告書の譲渡所得の内訳書を前に、取得費や特別控除の欄で手が止まる方は少なくありません。譲渡所得の確定申告だけを税理士に依頼した場合の費用相場はおおむね5万円〜10万円で、3000万円特別控除など特例の適用が絡む申告では8万円〜15万円程度になることが一般的です。税理士報酬は2002年の自由化以降、事務所ごとに金額が異なり、全国一律の基準はありません。
本記事では、不動産売却後の確定申告を税理士に依頼する費用相場と、費用を含めた手元に残る金額の目安、自分で申告する場合との違いを解説します(2026年9月時点の情報です)。
この記事はこんな方に向いています
- 確定申告が初めてで、自宅を売却した後の申告を税理士に依頼する場合の費用がどの程度か知りたい50歳の方
- 手元に残る金額を正確に把握したいが、税理士費用まで含めた総費用感がつかめず不安を抱えている方
- 自分で申告するか税理士に頼むか迷っており、依頼した場合の相場を比較材料として確認したい方
不動産売却後の確定申告、税理士費用の売却相場はいくらか
不動産を売却して譲渡所得が生じた場合、その年の所得税の確定申告が必要になります。譲渡所得の確定申告を税理士に依頼したときの費用は申告内容の複雑さによって幅があり、単純な申告であれば5万円程度から、特例の適用や複数物件の売却が絡むと15万円を超える場合もあります。
申告書の作成のみを依頼する場合
給与所得者が自宅を1件売却し、譲渡所得の計算もシンプルな場合、譲渡所得の内訳書と確定申告書の作成のみを依頼する費用はおおむね5万円〜10万円程度が目安です。売買契約書や取得費が分かる書類、登記事項証明書を依頼者自身でそろえられるかどうかによっても、報酬は変わります。
特例適用や複数物件がある場合
マイホームを売ったときの3000万円特別控除(居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例)や買い換え特例、相続した空き家の譲渡所得の特別控除などを適用する申告では、要件の確認や添付書類の精査に手間がかかるため、税理士費用は8万円〜15万円程度になることが多くなります。複数の不動産を同時に売却した場合や事業用資産が混ざる場合は、さらに上振れします。
特例の要件確認には戸籍謄本や住民票の除票など追加書類が必要になることがあり、見積もり時に確認しておくと安心です。
確定申告の税理士費用が不動産売却の条件で変わる理由
税理士費用は不動産売却の条件によって上下します。見積もりを比べるときは、何が加算要因になっているかを確認すると判断しやすくなります。
取引価格や譲渡所得の規模
税理士事務所の中には、売却価格や譲渡所得の金額に応じて報酬を段階的に設定しているところがあります。取引価格が5000万円を超える、あるいは譲渡所得が1000万円を超えるような案件では、税額計算の確認作業が増えるため、基本料金に加算される傾向があります。
特例適用の有無と必要書類の複雑さ
3000万円特別控除や軽減税率の特例(所有期間10年超のマイホームを売却した場合の税率軽減)を併用する申告は、要件ごとに添付書類が変わり、税理士が確認する項目が増えます。相続した不動産を売却する場合は取得費加算の特例の適用可否や被相続人の取得費を調べる作業も加わるため、報酬が高くなりやすい傾向があります。
見積もりを取るときは、売却価格だけでなく適用したい特例の種類も伝えると、実際の費用に近い金額が出やすくなります。
税理士費用を含めた不動産売却の手取り額はいくらになるか
不動産売却後に手元へ残る金額を考えるときは、仲介手数料や登記費用などの諸費用に加えて、税理士費用も差し引いて計算する必要があります。自宅を3000万円で売却し、3000万円特別控除の適用によって課税譲渡所得がゼロになったケースで試算します。
仲介手数料(売却価格×3%+6万円+消費税)は約105.6万円、登記費用など諸費用を約5万円、確定申告を税理士に依頼する費用を10万円とすると、差し引かれる金額の合計は約120.6万円です。特別控除の適用によって譲渡所得にかかる税金は0円になるため、手元に残る金額は3000万円から約120.6万円を引いた約2879万円になります。
※3000万円で売却・3000万円特別控除を適用し課税譲渡所得0円となる概算例(2026年9月時点)
税金が0円になっても、特例を適用するための確定申告は必要で、そこにかかる税理士費用が手取り額を左右する点を示した図です。
特別控除で税額が0円になっても、申告をしなければ特例は適用されません。無申告のままにしないよう注意してください。
自分で不動産売却の確定申告をする場合と税理士費用をかけて依頼する場合の違い
譲渡所得の確定申告は、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば自分で作成することもできます。税理士費用の5万円〜15万円を節約できる一方、取得費の計算や特例の適用要件を自分で調べる時間がかかり、添付書類の不足で税務署から問い合わせを受けることもあります。
税理士に依頼すると、適用できる特例の見落としを防ぎやすく、譲渡所得が高額になる場合や複数の特例を併用する場合でも、要件を満たしているかを確認したうえで申告できます。依頼費用と、特例を使えずに払う税額や申告のやり直しにかかる手間を比べて判断する方法が現実的です。
特例の適用漏れで数十万円単位の税負担が増えることもあるため、譲渡所得が大きい申告ほど税理士への依頼を検討する価値があります。
マイホーム売却で使える特例と、税理士費用がかかる確定申告の関係
自宅などの居住用財産を売却した場合、課税譲渡所得から最高3000万円を控除できる特例や、所有期間が10年を超えるマイホームを売却した場合に税率が軽減される特例があります。これらの特例は、確定申告をしなければ適用されません。
譲渡所得がマイナスになった場合でも、損益通算や繰越控除の特例を使うために申告が必要になるケースがあります。特例ごとに所有期間や居住の実態など適用要件が異なるため、該当するかどうかの判断を税理士に相談する方は少なくありません。不動産売却にかかる税金と費用の全体像は不動産売却にかかる税金と費用の全体像で解説しています。
特例の適用要件は見直されることがあるため、売却した年の最新情報を国税庁のサイトか税理士に確認してください。
税理士の選び方|不動産売却の確定申告に強いかを見る視点
税理士は分野ごとに得意不得意があり、法人の決算を主に扱う事務所では譲渡所得の特例に関する知識が薄いことがあります。不動産売却の確定申告を依頼するときは、譲渡所得の申告実績があるかを確認し、見積もりの段階で適用したい特例を伝えて対応可否を聞く方法が有効です。
不動産売却を検討する段階でおおよその売却価格が分かっていると、税理士への相談もスムーズになります。東京都内の不動産であれば東京都で不動産査定書を無料で入手する方法、埼玉県内であれば埼玉県で不動産査定書を無料で入手する方法で、査定書の入手方法を解説しています。
税理士費用の見積もりは複数の事務所から取り、料金の内訳(書面作成費・相談料など)を確認してから決めてください。
申告期限と必要書類|不動産売却後に慌てないための準備
不動産を売却した翌年の確定申告は、原則として2月16日から3月15日までの期間に行います。2026年中に不動産を売却した場合、申告の期間は2027年2月16日から3月15日です。期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税がかかる場合があります。
税理士に依頼する場合も、売買契約書、取得費が分かる書類(購入時の契約書や領収書)、仲介手数料や登記費用の領収書、登記事項証明書は依頼者側でそろえる必要があります。確定申告の時期は税理士事務所も繁忙期になるため、売却後早めに相談の予約を入れておくと依頼までの日数を確保しやすくなります。
必要書類が揃わないと申告書の作成が遅れるため、売却が決まった時点で書類を整理しておくと安心です。
よくある質問
確定申告をしないとどうなりますか?
期限内に申告しないと無申告加算税や延滞税がかかる可能性がありますが、3000万円特別控除などマイホーム売却の特例は、期限後申告であっても要件を満たせば適用できます。ただし、譲渡所得がマイナスになった場合の損益通算や繰越控除の特例は、期限内申告が適用の要件となるため注意が必要です。譲渡所得があった年は申告義務があることを前提に準備してください。
税理士費用は譲渡所得の計算上の経費にできますか?
自宅など個人のマイホームを売却した場合、確定申告を税理士に依頼する費用は、譲渡所得の計算上の取得費や譲渡費用には含まれません。賃貸不動産などの事業に関連する申告では扱いが異なる場合があるため、個別に確認してください。
確定申告書等作成コーナーだけで特例を適用できますか?
入力自体は可能ですが、特例の適用要件を満たしているかどうかの判断は自己責任になります。所有期間や居住の実態など要件が複雑な場合は、税理士に相談してから入力する方法が安全です。
税理士に依頼するタイミングはいつがいいですか?
不動産売却が決まった時点で相談するのが理想です。確定申告の期間は税理士事務所の繁忙期にあたるため、年明け直前に依頼すると対応してもらえないこともあります。
複数の不動産を同時に売却した場合、税理士費用は上がりますか?
物件ごとに取得費の計算や契約内容の確認が必要になるため、1件あたりの報酬に加算される傾向があります。売却予定の物件数も見積もり段階で伝えてください。
不動産売却確定申告税理士費用のまとめ
不動産売却後の確定申告を税理士に依頼する費用は、単純な申告で5万円〜10万円、特例適用や複数物件が絡む申告で8万円〜15万円程度が目安です。特例を適用できれば税額が0円になるケースでも、申告自体は必須で、その手続きにかかる税理士費用が手取り額に影響します。ぜひ本記事の税理士費用の売却相場と手取り額の目安を参考に、確定申告の依頼を検討してください。
出典
- 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
- 国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
- 国税庁「確定申告期間」
- 国税庁「譲渡所得の申告のしかた」
- 日本税理士会連合会「税理士法および関連法令の変遷」(税理士報酬規程は2002年の税理士法改正により廃止)
- すみかえコラム「マイホームの3000万円特別控除は期限後申告でも適用できるか」(mec-h.com)
