固定資産税評価額から売却相場を計算する方法とは
毎年春に届く固定資産税の納税通知書には、「固定資産税評価額」という項目が記載されています。この評価額は、土地の場合で公示地価の約70%を目安に設定される仕組みのため、そのままでは実際の売却相場と数百万円の差が生じることがあります。
固定資産税評価額を0.7で割ると、土地のおおよその時価を逆算できます。建物部分は再建築価格から経年劣化分を差し引いた金額で、新築時点でも建築費の50〜70%程度にとどまり、経年劣化でさらに下がるため、評価額が必ずしも時価と一致するとは限りません。
本記事では、固定資産税評価額から売却相場を計算する方法と、公示地価や路線価との違いを解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 売るかどうかはまだ決めていないが、固定資産税評価額から自分の家の売却相場を計算する方法をスマホで調べている48歳の方
- 営業電話を受けたくないため個人情報を渡さずに、評価額だけで相場のおおまかな目安を知りたい方
- 築30年の実家の資産価値が気になり、査定を依頼する前段階として計算方法を自分で確認しておきたい方
固定資産税評価額とは|不動産売却の売却相場を知る手がかりになる理由
固定資産税評価額は、毎年4月から6月ごろに届く固定資産税の納税通知書に同封される課税明細書に記載されています。この評価額は、土地や建物が所在する市区町村が算定し、3年に1度の評価替えで見直される仕組みです。
不動産売却を考えるとき、固定資産税評価額は売却相場そのものではありませんが、公的な記録として誰でも確認できる数字という点で、売却相場を調べる出発点になります。総務省が定める固定資産評価基準では、土地の評価額は公示地価の70%程度を目安に算定するとされており、2026年9月時点でもこの比率を知っておくと、評価額から時価のおおよその水準を逆算できます。
固定資産税評価額は毎年の納税通知書で目にする数字ですが、売却相場との関係を意識して確認する機会は限られます。築30年の実家のように長く所有してきた不動産であれば、まずこの欄の数字を控えておくことが、売却相場を計算する第一歩になります。
課税明細書は固定資産税の納税通知書に同封されますが、自治体によって名称や形式が異なるため、手元の書類で項目名を確認してください。
売却相場を計算する2つのステップ|固定資産税評価額の使い方
固定資産税評価額から売却相場の目安を計算するには、土地と建物を分けて考える必要があります。土地と建物では評価額の算定方法が異なり、時価との比率も違うためです。
土地の評価額から時価を逆算する方法
土地の固定資産税評価額は、公示地価の約70%を目安に設定されています。したがって、土地の評価額を0.7で割ると、公示地価に近い水準のおおよその時価を計算できます。例えば土地の評価額が1400万円であれば、1400万円÷0.7で約2000万円が時価の目安になります。
建物の評価額から時価を見積もる方法
建物の固定資産税評価額は、再建築価格(同じ建物を今建て直した場合の費用)から、築年数に応じた経年劣化分を差し引いて算定されます。もっとも建物の評価額は、新築時点でも建築費の50〜70%程度にとどまり、その後の経年劣化でさらに下がるため、必ずしも時価と一致するとは限りません。土地のように0.7で単純に割り戻せるわけではない点に注意してください。ただし木造戸建ての場合、築20年を超えると建物の評価額はごく小さな金額になり、実際の取引では建物の価値がほとんど評価されないケースもあります。
土地の評価額が時価のどの程度を占めるのかを、横帯で示すと次のようになります。
※土地の固定資産税評価額が公示地価の70%を目安に設定される場合の概算例(2026年9月時点)
固定資産税評価額は時価の7割前後にとどまるため、評価額の数字だけを売却価格と考えると、実際の売却相場より低く見積もってしまう点に注意してください。
土地と建物の評価額は課税明細書で別々に記載されているので、合計額だけでなく内訳も確認してください。
公示地価・路線価との関係|固定資産税評価額が示す一物五価
同じ土地であっても、公示地価、基準地価、相続税路線価、固定資産税評価額、実勢価格など、見る基準によって異なる金額が存在します。これを一物五価(いちぶつごか)と呼びます。詳しい価格の種類については一物五価とは|不動産の5つの価格の違いで解説しています。
公示地価と固定資産税評価額の違い
公示地価は、国土交通省が毎年1月1日時点の価格を調査し、3月に公表する価格です。固定資産税評価額は、この公示地価の約70%を目安に市区町村が算定します。
路線価と固定資産税評価額の違い
路線価(相続税路線価)は、国税庁が毎年7月に公表する価格で、公示地価の約80%を目安に設定されます。固定資産税評価額と路線価は、どちらも公示地価を基準に算定されますが、比率も算定主体も異なるため、同じ土地でも数字が一致しません。
なお、基準地価(都道府県地価調査)は都道府県が毎年7月1日時点の価格を調査し、9月に公表する価格で、公示地価を補完する指標として扱われます。
| 価格の種類 | 基準・公表主体 | 公示地価に対する比率 |
|---|---|---|
| 公示地価 | 国土交通省が毎年1月1日時点で調査・公表 | 100% |
| 基準地価 | 都道府県が毎年7月1日時点で調査し9月に公表 | 公示地価に準じた水準 |
| 相続税路線価 | 国税庁が毎年7月に公表 | 約80% |
| 固定資産税評価額 | 市区町村が3年ごとに見直し | 約70% |
| 実勢価格(取引価格) | 実際の売買で成立した価格 | 市場の需給で変動 |
出典:国土交通省「地価公示」「都道府県地価調査」、国税庁「路線価」、総務省「固定資産評価基準」(2026年9月時点)をもとに作成
路線価は相続税や贈与税の計算に使う価格のため、固定資産税評価額と混同して売却相場を見誤らないようにしてください。
計算方法の限界|築年数や立地で変わる実際の取引価格
固定資産税評価額から逆算した時価は、あくまで公的な基準に基づく目安であり、実際の売却価格を保証する数字ではありません。不動産の取引価格は、周辺の取引事例、立地条件、建物の状態など、評価額には反映されない要素で上下します。
築年数や耐震基準、管理状態がマンションの査定に与える影響については築年数・耐震基準・管理状態が査定に与える影響で解説しています。また、リフォーム歴や劣化の程度が査定にどう影響するかはリフォーム歴・劣化は査定にどう響く?損しない準備で解説しています。
築30年の実家のように古い戸建ての場合、固定資産税評価額の計算だけでは、実際に不動産会社が提示する査定額との差が大きくなりやすい点に注意してください。
評価額からの逆算はあくまで目安なので、実際の取引価格を知りたい場合は複数の不動産会社の査定を比較することをおすすめします。
納税通知書と評価証明書で確認する固定資産税評価額
固定資産税評価額は、毎年春に届く固定資産税の納税通知書に同封される課税明細書で確認できます。通知書が見つからない場合や、相続した実家のように自分宛てに通知が届いていない場合は、不動産が所在する市区町村の窓口で固定資産税評価証明書を取得する方法があります(東京23区の場合は区役所ではなく、都税事務所が窓口となります)。
相続した実家で所有者が亡くなった人の名義のままになっている場合、相続登記(不動産の名義変更)が完了していないと評価証明書の取得に時間がかかることがあります。評価証明書を取得する前に、名義の状況を確認しておくと手続きがスムーズです。
評価証明書の取得には本人確認書類や所有者との関係を示す書類が必要になるので、事前に自治体の窓口で必要書類を確認してください。
営業電話なしで不動産売却相場を調べる方法
固定資産税評価額から計算した時価の目安は、あくまでおおまかな数字です。より実態に近い売却相場を知りたい場合でも、個人情報を入力して不動産会社からの営業電話を受けたくないという方は少なくありません。
近年は、氏名や電話番号を入力せずに、物件の情報だけでおおよその価格を確認できる匿名査定という仕組みがあります。匿名査定と、複数の不動産会社に情報が送られる一括査定の違いについては匿名査定と一括査定の違い|営業電話なしで相場を知る使い分けで解説しています。
今すぐ不動産を売却する予定がない場合でも、固定資産税評価額からの計算と匿名査定の結果を比べておくと、将来売却する際の判断材料を手元に残せます。
匿名査定の結果はあくまで概算なので、実際に売却する段階では訪問査定で詳しい金額を確認してください。
よくある質問
固定資産税評価額と実際の売却価格はどのくらい差がありますか?
土地の場合、固定資産税評価額は公示地価の約70%を目安に算定されるため、評価額をそのまま売却価格と考えると、実際の売却相場より数百万円低く見積もる可能性があります。評価額を0.7で割った金額を目安にしてください。
マンションでも同じ計算方法で売却相場が分かりますか?
マンションの場合、固定資産税評価額には土地部分(敷地権)と建物部分が含まれますが、立地や管理状態、階数による価格差が戸建てより大きく出やすいため、評価額からの逆算だけでは実際の売却相場とずれが生じやすくなります。
固定資産税評価額はどこで確認できますか?
毎年春に届く固定資産税の納税通知書に同封される課税明細書に記載されています。通知書が見つからない場合は、不動産が所在する市区町村の窓口で固定資産税評価証明書を取得できます。
固定資産税評価額が低い家は、売却価格も必ず低くなりますか?
評価額が低くても、立地や周辺の需要によって売却価格が評価額を大きく上回ることがあります。評価額は売却価格の下限を示す数字ではなく、課税のための目安です。
営業電話を受けずに売却相場を調べる方法はありますか?
氏名や電話番号を入力せずに物件情報だけで価格の目安を確認できる匿名査定を利用する方法があります。複数の不動産会社に情報が送られる一括査定とは仕組みが異なるため、事前に違いを確認しておくと安心です。
固定資産税評価額からの売却相場を計算するためのまとめ
固定資産税評価額は、土地であれば公示地価の約70%、建物であれば再建築価格から経年劣化分を差し引いた金額を目安に算定されています。この比率を知っておけば、納税通知書に記載された評価額から、おおよその時価を自分で計算できます。ただし、この計算方法はあくまで公的な基準に基づく目安であり、築年数や立地、周辺の取引事例によって実際の売却価格は変動します。ぜひ本記事の固定資産税評価額からの計算方法を参考に、気になる不動産のおおまかな売却相場をまず自分で確認してみてください。
出典
- 総務省「固定資産評価基準」
- 国税庁「路線価」
- 国土交通省「地価公示」
- 国土交通省「都道府県地価調査」
- 東京都主税局「固定資産に関する証明等(23区内)」
