家を売るときに必要な書類とは?準備のコツを解説する
自宅を売ろうと不動産会社に相談すると、登記簿謄本(登記事項証明書)や本人確認書類、固定資産税納税通知書など、聞き慣れない書類の提出を次々に求められます。何をいつまでに揃えればよいのか分からないまま、査定の予約日だけが近づいてくるという方も少なくありません。
家を売るときに必要な書類は、売却の段階ごとに決まっています。査定の時点では登記簿謄本や固定資産税納税通知書があれば十分で、実印や印鑑証明書、住民票などが必要になるのは媒介契約や売買契約の段階からです。
本記事では、家売却の必要書類を物件の種類・売却の進み方ごとに整理し、書類が見つからないときの対処法まで解説します(2026年9月時点の制度にもとづきます)。
この記事はこんな方に向いています
- 介護のため実家近くへ引っ越すため自宅を売ることになり、何を先に揃えればよいか順番が分からない方
- 相続をきっかけに自宅を初めて手放すことになり、登記簿謄本や本人確認書類の準備で戸惑っている方
- 離婚に伴い自宅を売却する話し合いが進み、必要書類を揃える段階でどこまで自分で動くべきか不安な方
家を売るときに必要な書類の全体像|まず揃えるもの
家を売るときに必要な書類は、大きく分けると不動産の権利に関する書類、税金や維持費に関する書類、売主本人を確認する書類の3つです。権利に関する書類は登記簿謄本(登記事項証明書)と権利証(登記識別情報通知)、税金関係は固定資産税納税通知書と固定資産評価証明書、本人確認関係は運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書が中心になります。
不動産の査定を依頼する段階では、登記簿謄本と固定資産税納税通知書があれば不動産会社は土地の広さや税額の目安をつかめます。実印や印鑑証明書、住民票は媒介契約や売買契約が近づいてから準備すれば間に合うため、最初から全部を揃えようと焦る必要はありません。匿名査定で概算額をつかんでから書類を整えていく方法については匿名査定・AI査定の精度と使い方で解説しています。
| 書類 | 取得先 | 交付手数料の目安 |
|---|---|---|
| 登記事項証明書(登記簿謄本) | 法務局の窓口・オンライン請求 | 窓口600円/オンライン490〜520円 |
| 固定資産評価証明書 | 物件所在地の市区町村役場 | 自治体により異なります |
| 印鑑証明書 | 住民登録のある市区町村役場 | 自治体により異なります |
| 住民票 | 住民登録のある市区町村役場 | 自治体により異なります |
出典:法務省「登記手数料令」(2025年4月1日改正)をもとに作成
査定の段階では手元にある書類だけで十分です。実印や印鑑証明書は契約が近づいてから準備しましょう。
物件の種類で変わる家売却の必要書類|戸建て・マンション・土地
戸建てを売るときに必要な書類
戸建てを売るときは、建物の建築確認済証と検査済証、建築設計図書、境界を示す測量図(境界確認書)が必要になります。これらは建物の合法性と土地の境界を買主に示すための書類で、紛失していると買主側の住宅ローン審査に影響する場合があります。
マンションを売るときに必要な書類
マンションを売るときは、管理規約と使用細則、長期修繕計画書、管理費・修繕積立金の滞納状況が分かる書類が必要です。これらは管理会社が発行する重要事項調査報告書としてまとめて取得できることが多く、売主自身が内容を全部把握している必要はありません。
土地を売るときに必要な書類
土地を売るときは、地積測量図と境界確認書が重要になります。隣地との境界が未確定のままだと売買契約が進められないケースもあるため、測量図が古い場合や見当たらない場合は早めに土地家屋調査士へ相談してください。地積測量図は法務局で1枚500円で交付を受けられます。
測量図や建築確認済証が見つからない場合でも、法務局や建築指導課で代わりの資料を取得できることがあります。
売却の進み方で変わる書類|査定から引き渡しまでの流れ
査定を依頼する段階で必要な書類
不動産の査定を依頼する段階では、登記簿謄本と固定資産税納税通知書、物件の間取り図があれば十分です。この時点で査定を申し込んでも、売却を進めるかどうかはあとから決められます。
媒介契約を結ぶ段階で必要な書類
不動産会社と媒介契約を結ぶときは、本人確認書類と物件の権利に関する書類の提示が求められます。媒介契約には専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約の3種類があり、専属専任と専任は指定流通機構(レインズ)への登録が義務付けられています。契約の種類によって不動産会社からの報告頻度も変わるため、書類の提出と合わせて契約内容も確認してください。
売買契約から引き渡しまでに必要な書類
売買契約と引き渡しの段階では、実印、発行後3か月以内の印鑑証明書、住民票、本人確認書類に加え、住宅ローンが残っている場合は一括返済額確認のための残高証明書と、完済後に金融機関から交付される抵当権抹消書類(登記識別情報・解除証書等)が必要になります。固定資産税の日割り精算をするための納税通知書も忘れずに用意してください。
ここまでの流れを整理すると、以下のようになります。
匿名査定・公的データで目安を把握
手元の書類だけで査定申し込みが可能
複数社に申し込み、対応を比較
本人確認書類・物件資料を提出
実印・印鑑証明書・住民票を用意
抵当権抹消書類・固定資産税精算書を準備
必要書類は段階が進むごとに増えていき、後半になるほど発行日に期限のある書類が多くなる点を押さえておいてください。
媒介契約の種類によって不動産会社からの報告頻度が変わるので、書類提出と合わせて契約内容も確認してください。
登記と本人確認に関わる書類|登記簿謄本と権利証
登記簿謄本(登記事項証明書)は、法務局の窓口やオンライン請求で取得でき、交付手数料は窓口請求で1通600円、オンライン請求では受け取り方法に応じて490円または520円です(2025年4月1日改正)。所有者の住所や抵当権の設定状況が記載されており、不動産会社が査定の際に真っ先に確認する書類のひとつです。
権利証(登記識別情報通知)は、所有者本人であることを示す重要な書類で、再発行ができません。紛失している場合は、売買契約の前に司法書士へ相談し、本人確認情報の作成など代替の手続きを進める必要があります。運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類は、媒介契約の段階から提示を求められます。
登記識別情報通知や権利証は再発行できないため、紛失している場合は司法書士に早めに相談してください。
相続した家を売るときに追加で必要な書類
相続した家を売るときは、通常の家売却の必要書類に加えて、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式、相続人全員の戸籍謄本と住民票、遺産分割協議書が必要になります。これらは相続人を確定し、不動産の名義を正しく変更するために欠かせません。
相続登記は2024年4月1日に義務化されており、不動産登記法第76条の2で申請義務が、同法第164条第1項で10万円以下の過料が定められており、正当な理由なく相続登記を怠ると過料が科される可能性があります。相続登記(名義変更)を済ませていないと、そもそも売買契約を結べないため、相続が絡む家売却は名義変更から着手してください。相続した不動産の価値を把握するための査定書の取り方は相続で不動産の査定書が必要なときの取り方で、遺産分割協議における査定書の使い方は遺産分割で査定書が必要な場面で解説しています。
相続登記を済ませていないと売買契約を結べないため、相続が絡む場合は早めに名義変更から着手してください。
必要書類が見つからないときの対処法
登記簿謄本は所有者本人でなくても法務局で誰でも取得できるため、紛失していてもすぐに取り直せます。固定資産税納税通知書を紛失している場合は、物件所在地の市区町村役場で固定資産評価証明書を取得すれば代わりになります。
権利証(登記識別情報通知)を紛失している場合は、司法書士による本人確認情報の作成や、法務局からの事前通知制度を利用する方法があります。建築確認済証を紛失している場合は、自治体の建築指導課で台帳記載証明書を取得できることが多いため、まずは窓口に問い合わせてください。
権利証を紛失した場合の本人確認情報作成には追加費用と日数がかかるため、早めに司法書士へ相談してください。
書類準備のコツと揃えるタイミング
登記簿謄本や固定資産税納税通知書のように発行日の期限がない書類は、不動産会社に査定を依頼する前の早い段階で揃えておくと動きやすくなります。一方で、印鑑証明書や住民票は発行後3か月以内であることを求められる場合が多く、契約日の直前に取得するほうが二度手間を防げます。
書類の種類が多いため、不動産会社から渡される必要書類のチェックリストを使い、揃った書類に印を付けていく方法が確実です。家売却の必要書類は物件や売却方法によって多少前後するため、迷ったときは担当の不動産会社に直接確認してください。家を売る全体の流れと費用、税金についての基礎知識は不動産売却の完全ガイドで解説しています。
印鑑証明書や住民票は有効期限があるため、契約日の直前に取得すると二度手間を防げます。
よくある質問
住民票や印鑑証明書はいつ取得すればいいですか?
発行後3か月以内であることを求められる場合が多いため、売買契約や引き渡しの日程が固まってから取得すると無駄がありません。
権利証をなくしてしまった場合はどうすればいいですか?
権利証(登記識別情報通知)は再発行できないため、司法書士による本人確認情報の作成や法務局の事前通知制度を使って家の売却を進めます。早めに司法書士へ相談してください。
マンションを売るときに管理規約のコピーが手元にない場合はどうすればいいですか?
管理会社や管理組合に依頼すれば、管理規約や長期修繕計画書を含む重要事項調査報告書を発行してもらえることが多いため、不動産会社を通じて依頼してください。
相続した家を売るときに戸籍謄本はどこまで集めればいいですか?
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と、相続人全員の戸籍謄本・住民票が必要です。本籍地が転々としている場合は複数の役場への請求が必要になります。
必要書類は不動産会社が代わりに取ってくれますか?
登記簿謄本など一部の書類は司法書士が代行取得できますが、印鑑証明書や住民票など本人の身分に関わる書類は売主自身が取得するのが基本です。
家を売るときに必要な書類の準備まとめ
家を売るときに必要な書類は、査定の段階では登記簿謄本と固定資産税納税通知書で足り、媒介契約から売買契約、引き渡しへと進むにつれて実印や印鑑証明書、住民票、本人確認書類が追加されます。相続が絡む家売却では、戸籍謄本一式や遺産分割協議書に加え、相続登記(名義変更)を済ませておく必要があります。ぜひ本記事の家売却の必要書類の整理を参考に、売却の段階ごとに書類を揃えてください。
出典
- 法務省「不動産登記法」
- 法務省「登記手数料令」
- 法務省リーフレット「各種証明書等の手数料が変わります」(登記手数料令等の一部を改正する政令・令和7年政令第33号、2025年4月1日施行)
- 国土交通省「宅地建物取引業法」
- 法務局「抵当権抹消登記の必要書類一覧」
- 独立行政法人住宅金融支援機構「抵当権抹消登記に必要な書類のご案内」
- 法務省「相続登記の申請義務化について」
