不動産売却を成功させるコツとは?高く売る秘訣
はじめてマンションを売ろうと匿名査定サイトに申し込むと、複数の不動産会社から立て続けに電話がかかってきます。不動産の査定を受けただけでは売却の契約は一切成立せず、媒介契約(ばいかいけいやく)を結ぶまでは売るかどうかを自由に決められます。
不動産売却を成功させるコツは、売却相場を複数の方法で把握し、媒介契約の種類を使い分け、内覧前に物件の印象を整え、売り出し価格を売却相場に近づけて設定することに集約されます。これらの工程を順番どおりに進めるだけでも、売却までの期間と最終的な手取り額は変わってきます。
本記事では、不動産売却のコツを物件の査定の受け方から不動産会社選び、内覧準備、売却後の税金手続きまで、順を追って解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 転職を機に通勤時間を見直したいと考え、築15年の自宅を初めて売る準備を始めたが手順の順番が分からず不安な方
- 子どもが独立して部屋数が余った自宅を売却しようか迷い始め、まず何から手をつければ高く売れるのか知りたい方
- 自宅の老朽化が進み建て替えより売却を検討しているが、査定に出すと売却を断れなくなる気がして踏み出せない方
不動産売却の流れとコツを先につかむ
マンションや戸建てを売るときの工程は、売却相場を調べる、不動産会社に査定を依頼する、媒介契約を結ぶ、売り出し価格を決めて公開する、内覧に対応する、売買契約を結んで引き渡す、という順番で進みます。この流れを先に知っておくと、今どの段階にいて次に何をすべきかが分かり、不動産会社から提案された内容を鵜呑みにせず判断できます。不動産売却の完全ガイドでは、各工程にかかる費用や税金の内訳まで含めて解説しています。
不動産売却全体の流れを図にすると、次のようになります。
匿名査定・公的データで目安を把握
複数社に依頼して条件を比較する
専属専任・専任・一般から選ぶ
売却相場に近い価格で売り出す
清掃や修繕で物件の印象を整える
契約後は決済と登記手続きに進む
図のとおり、売却相場を調べてから媒介契約を結ぶまでの準備が、その後の交渉や価格の決まり方を左右します。
査定の返事を急かされても、媒介契約を結ぶまでは何度でも断れます。焦らず比較してください。
マンション売却の売却相場を調べる方法|査定の種類
不動産売却のコツは、最初の売却相場の把握の精度で大きく変わります。売却相場を調べる方法には、主に匿名査定・机上査定・訪問査定の3種類があります。
匿名査定で売却相場をつかむ
匿名査定は、物件の所在地や面積などの情報だけで概算の価格帯を把握できるサービスで、氏名や電話番号を伝えずに利用できます。不動産会社からの営業電話を受けたくない段階で、まず物件の査定の目安をつかみたい人に向いています。匿名査定と一括査定の違いでは、それぞれの使い分け方を解説しています。
訪問査定で正式な金額を出す
訪問査定は、不動産会社の担当者が実際に物件を見て、周辺の取引事例や物件の状態を踏まえた金額を提示する方法です。媒介契約を結ぶ前提で依頼することが多く、匿名査定より精度の高い金額が分かります。複数の不動産会社に訪問査定を依頼し、金額やその根拠を比べることが、不動産売却のコツの中でも効果の大きい工程です。
査定額の高さだけで不動産会社を選ぶと、後で値下げを迫られることがあります。根拠を必ず確認してください。
失敗しない不動産会社選びと不動産売却のコツ
売却相場をつかんだら、どの不動産会社とどの媒介契約を結ぶかを決めます。媒介契約には専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約の3種類があり、レインズへの登録義務や自分で買主を見つけられるかどうかが異なります。レインズとは、不動産会社だけが閲覧できる物件情報のデータベースで、登録された物件は全国の加盟会社から探してもらえるようになります。レインズに登録された物件情報は、売主が依頼した不動産会社以外からも広く買主候補に届きます。レインズとは?不動産売却での登録義務では、仕組みをくわしく解説しています。
専属専任媒介契約
1社だけに依頼する契約で、契約締結日(の翌日)から休業日を除いて5日以内にレインズへ登録する義務があり、1週間に1回以上の業務報告を受けられ、自分で見つけた買主と直接契約することはできません。
専任媒介契約
こちらも1社だけに依頼しますが、レインズへの登録期限は契約締結日(の翌日)から休業日を除いて7日以内、業務報告は2週間に1回以上です。自分で買主を見つけた場合は、不動産会社を介さずに契約できます。
一般媒介契約
複数の不動産会社に同時に依頼できる契約で、レインズへの登録義務や業務報告の義務はありません。多くの不動産会社の目に触れる一方、各社の販売活動が手薄になりやすい面もあります。
| 種類 | レインズ登録 | 業務報告 | 自己発見取引 |
|---|---|---|---|
| 専属専任媒介契約 | 5日以内 | 1週間に1回以上 | 不可 |
| 専任媒介契約 | 7日以内 | 2週間に1回以上 | 可 |
| 一般媒介契約 | 義務なし | 義務なし | 可 |
出典:国土交通省「標準媒介契約約款」をもとに作成
専属専任媒介契約と専任媒介契約の契約期間は、宅地建物取引業法で上限3か月と定められています。
一般媒介で複数社に頼むと安心に見えますが、本気で動いてくれる1社を専任で選ぶほうが早く売れることもあります。
内覧準備と売り出し価格で差がつく物件を高く売るコツ
売り出し価格は、訪問査定で示された金額をそのまま使う必要はなく、売却相場を踏まえて自分で決められます。売却相場よりかなり高い価格で売り出すと、問い合わせ自体が減り、結果的に値下げを繰り返してマンション売却までの期間が延びることがあります。逆に売却相場に近い価格で売り出すと、内覧の申し込みが集まりやすく、条件交渉で優位に立てる場面も増えます。
内覧では、床や水回りの掃除、不要な家具の整理、照明をすべて点ける、といった準備だけで物件の印象が変わります。修繕が必要な箇所は、費用をかけて直すより、不動産会社を通じて買主に正直に伝えたほうがトラブルを避けられる場合もあります。
内覧の予約が入る前日に水回りだけでも掃除しておくと、印象はかなり変わります。
売却でかかる費用と税金の基礎知識|マンション売却の場合
不動産売却では、仲介手数料・印紙税・譲渡所得税などの費用がかかります。2026年9月時点で、仲介手数料の上限は、売買価格(税抜)が400万円を超える場合「売買価格(税抜)×3%+6万円」に消費税を加えた金額と定められています。
売却益(譲渡所得)が出た場合は譲渡所得税がかかり、税率は所有期間(譲渡した年の1月1日時点)が5年を超える場合は長期譲渡として20.315%、5年以下の場合は短期譲渡として39.63%です(いずれも復興特別所得税を含みます)。マイホームを売った場合は、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があり、売った年の前年および前々年に同じ特例を受けておらず、かつ売った年・前年・前々年にマイホームの買換え特例など他の特例を受けていなければ利用できます。
| 所有期間 | 税率 |
|---|---|
| 長期譲渡(5年超) | 20.315% |
| 短期譲渡(5年以下) | 39.63% |
出典:国税庁「土地や建物を売ったとき」(2026年9月時点)をもとに作成
3,000万円特別控除は要件が細かいため、確定申告の前に税務署か専門家に確認してください。
仲介と買取、どちらを選ぶかで変わる不動産売却のコツ
急いで現金化したい場合は、不動産会社が直接買い取る「買取」という方法もあります。買取は仲介より短期間で売却でき、内覧対応の手間もかかりませんが、売却価格は仲介で売るより低くなる傾向があります。転勤や住み替えで引き渡し時期を急がない場合は、仲介で複数の買主候補から条件を比べたほうが、最終的な手取り額を増やせる可能性があります。
買取の金額だけ見て即決せず、仲介で売った場合の見込み額と比べてから判断してください。
登記や税金など不動産売却後に必要な手続き
売買契約と引き渡しが終わった後も、確定申告や登記の手続きが残ります。譲渡所得が出た場合は、売却した翌年の確定申告で税金を精算します。
親から相続した家を売る場合は、売却の前に相続登記を済ませる必要があります。相続登記は不動産登記法第76条の2で義務化されており(2026年9月時点)、正当な理由なく申請を怠ると10万円以下の過料が科されることがあります。相続登記とは?期限と不動産売却の関係では、期限と手続きの流れを解説しています。
相続人の中に不動産を引き継ぎたくない人がいる場合は、相続放棄という選択肢もありますが、申述には家庭裁判所への申立てと期限があります。相続放棄とは?不動産売却との関係と期限では、不動産売却との関係を解説しています。
相続人が複数いて、売却代金を分けて相続する場合は、換価分割という方法で代金を分配します。換価分割とは?不動産売却の税金と手続きでは、税金の扱いと手続きを解説しています。
相続した家を売る相談では、登記が済んでいないケースが多く見られます。早めに確認しておくと手続きが滞りません。
よくある質問
物件の査定を受けたら必ず売却しないといけませんか?
いいえ。物件の査定はあくまで価格を知るための手続きで、結果に納得できなければ依頼を断っても問題ありません。媒介契約を結ぶまでは、何社に相談しても費用はかかりません。
不動産売却のコツで最初に押さえるべきことは何ですか?
売却相場を複数の方法で把握することです。匿名査定で大まかな目安をつかんでから、訪問査定で正式な金額を確認する順番だと進めやすくなります。
媒介契約はどれを選べばいいですか?
すぐに売りたい事情があるなら不動産会社の動きが早い専属専任媒介契約や専任媒介契約、時間に余裕があり複数社に広く声をかけたいなら一般媒介契約が向いています。
売却までの期間はどれくらいかかりますか?
物件の条件や売り出し価格、周辺の需要によって差があり、一律の目安を示すことはできません。内覧の反応を見ながら価格や販売活動を不動産会社と調整することが大切です。
相続した家を売る場合、先に何をすればいいですか?
まず相続登記を済ませて名義を相続人に移す必要があります。登記が済んでいないと、不動産会社に物件の査定を依頼できても売買契約には進めません。
不動産売却のコツを押さえて進めるために
不動産売却を成功させるコツは、売却相場の把握、不動産会社選び、内覧準備、価格設定という一つひとつの工程を丁寧に積み重ねることに尽きます。仲介手数料や譲渡所得税といった費用面も早めに把握しておけば、売却後に慌てずに済みます。ぜひ本記事の不動産売却のコツを参考に、自分の状況に合った進め方で売却活動を始めてください。
出典
- 国税庁「土地や建物を売ったとき」
- 国税庁「マイホームを売ったときの特例」
- 法務省「不動産登記法」
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
- 国土交通省「標準媒介契約約款」
- 西日本レインズ「よくある質問」
- 国土交通省告示(宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることのできる報酬の額)
