家の買い替えタイミングはいつがいい?売却と購入の順番
家の老朽化や転勤をきっかけに自宅の買い替えを考え始めると、自宅の売却と新居の購入のどちらを先に動かすかで、住宅ローンを二重に抱える「ダブルローン」の期間や、仮住まいが必要になるかどうかが変わってきます。
不動産売却を先に進める「売り先行」は資金計画が立てやすい一方で仮住まいの費用がかかり、購入を先に進める「買い先行」は仮住まいを避けられる一方で住宅ローンの二重払いが生じやすくなります。3,000万円特別控除や買い替え特例といった税制の適用条件も、売却と購入のどちらを先に動かすかによって絡み方が変わります。
本記事では、売り先行と買い先行それぞれの特徴、家の買い替えタイミングを左右する売却相場の見方、資金計画の立て方を解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 家の老朽化を理由に建て替えか住み替えかで迷い、売却と購入どちらを先に動かすべきか分からない方
- 転勤の可能性が出てきて自宅を手放すタイミングを図りかねており、市場動向と合わせて判断したい方
- 資金需要から早めに動きたいが、売り先行と買い先行のメリット・デメリットを具体的に知りたい方
家の買い替えで最初に決める売却と購入の順番
家の買い替えを決めたら、最初にやることは物件探しではなく、自宅の売却と新居の購入のどちらを先に動かすかを決めることです。この順番の決め方を「売り先行」「買い先行」と呼び、資金計画・仮住まいの要否・住宅ローンの組み方が大きく変わります。住み替えのタイミングと売却・購入の順序でも整理していますので、あわせて確認してください。
売り先行という選び方
自宅を先に売却し、その代金を新居の購入資金に充ててから新居探しを始める進め方です。手元資金が限られている方や、自宅のローン残債が多い方に向いています。
買い先行という選び方
新居を先に契約し、引っ越しを済ませてから自宅を売却に出す進め方です。仮住まいを避けられる代わりに、新居と旧居のローンを同時に抱えるダブルローンの期間が生じやすくなります。
どちらを選ぶにせよ、家の買い替えは「査定」「売り先行か買い先行かの決定」「媒介契約」「売却活動」「新居の購入契約」「引き渡し」という流れで進みます。全体の順番を先に押さえておくと、どこで資金が動くかが見えやすくなります。
匿名査定や公的データで自宅のおおよその価格を把握する
手元資金とローン残債、転居の時期から判断する
訪問査定で実際の売却価格の目安を確認する
レインズへの登録や広告で買主を探す
住宅ローンの審査と並行して契約条件を詰める
売却と購入の決済日をすり合わせて実行する
この図は、家の買い替えの売却と購入が時間軸のどこで重なるかを示したものです。ステップ2の「順番の決定」が後続すべての資金繰りを左右します。
売り先行と買い先行は途中で切り替えにくいので、転勤の辞令が出ている方ほど早めに決める必要があります。
売り先行で家を売却するときのメリットと注意点
売り先行の最大の利点は、自宅の売却代金が手元に入ってから新居を探せることです。住宅ローンの残債を売却代金で完済できるかどうかが先に分かるため、新居の予算を現実的な範囲に絞り込めます。無理な住宅ローンを組んでしまうリスクを避けやすい点も、売り先行を選ぶ理由としてよく挙げられます。
一方で、売却から新居への引っ越しまでの間、賃貸物件などの仮住まいが必要になるケースが多く、仮住まいの家賃と引っ越し費用が二重にかかります。不動産売却を急ぐあまり値下げ交渉に応じすぎると、本来の売却相場より低い価格で手放すことにもなりかねません。家を高く売るための進め方はマンションを高く売るためのコツと売却タイミングでも解説しています。
仮住まいの期間が延びると家賃負担がかさむので、売却開始の時点で仮住まいの候補をいくつか見ておくと安心です。
買い先行で新居を購入するときのメリットと注意点
買い先行は、新居を先に確保できるため、仮住まいを挟まずに引っ越しを1回で済ませられる点が利点です。じっくり物件を選べるため、転勤先での通勤や子どもの学区を優先して新居を探したい方に向いています。
ただし、新居の住宅ローンと旧居の住宅ローンを同時に返済するダブルローンの期間が発生しやすく、自宅がなかなか売れない場合は負担が長引きます。この負担を軽くする方法として、旧居の住宅ローン残債と新居の購入資金を一本化して借りる「住み替えローン」という仕組みがあり、住み替えローンとは?審査基準と家の売却で審査基準を解説しています。
住み替えローンは審査が厳しくなりがちなので、申し込み前に金融機関へ旧居の売却見込み額を伝えておくと話が早く進みます。
売却相場の動きから見る家の買い替えタイミング
家の買い替え タイミングを決めるうえで、自宅の売却相場がどう動いているかを把握しておくことは欠かせません。国土交通省の「不動産取引価格情報検索」では、地域・築年数ごとの実際の取引価格を確認できます(2026年9月時点)。まずは匿名査定や公的データで大まかな相場感をつかみ、そのうえで不動産会社の訪問査定を受けると、提示価格の妥当性を判断しやすくなります。匿名査定と一括査定の違いは匿名査定と一括査定の違い|営業電話なしで相場を知る使い分けで解説しています。
築年数と価格の関係
戸建て・マンションともに、築年数が経過するほど売却価格は下がる傾向にあります。建物の構造や立地によって下落の速さは異なるため、築年数だけで判断せず、同じエリア・同じ築年数の成約事例と比較することが大切です。
季節による需要の違い
転勤や入学のタイミングに合わせて新生活を始める人が多いことから、1月から3月にかけては住宅需要が高まりやすいと不動産会社の間で言われています。この時期に合わせて売り出せれば、買主が見つかりやすくなる可能性があります。ただし需要が高まる時期は売却希望者も増えるため、価格だけでなく物件の見せ方も重要になります。
売却相場は地域差が大きいので、全国平均の数字だけで判断せず、自宅と同じ沿線・同じ築年数の事例を必ず確認してください。
住み替えで後悔しないための資金計画とスケジュール
家 住み替え タイミングの判断は、売却相場だけでなく手元資金とローンの組み方を合わせて決める必要があります。売却代金・自己資金・新居のローン借入額を一度に書き出し、どの順番で動けば資金ショートが起きないかを確認してから動き出してください。戸建ての買い替えに特有の資金計画の立て方は戸建て住み替えの進め方|資金計画とタイミングで解説しています。
ダブルローンと仮住まい費用
買い先行でダブルローンを組む場合、毎月の返済額が一時的に増えるため、金融機関の審査で返済負担率が引っかからないかを事前に確認しておく必要があります。売り先行で仮住まいを挟む場合は、家賃・敷金・引っ越し費用を2回分見込んでおくと資金計画が崩れにくくなります。
住宅ローンの審査タイミング
新居の住宅ローン審査は、旧居となる自宅の売却が確定しているかどうかで通りやすさが変わることがあります。売り先行であれば売却代金の入金見込みを示せるため審査が進めやすく、買い先行であれば旧居の査定額を根拠資料として提出を求められる場合があります。
資金計画は余裕を見ておかないと、引き渡し日のずれだけで数十万円の持ち出しが発生することがあります。
税制の特例で軽減する家の買い替えの税負担
自宅を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、売却した年の1月1日時点で所有期間5年超の長期譲渡所得で20.315%、同時点で5年以下の短期譲渡所得で39.63%の税率がかかります(国税庁、2026年9月時点)。この負担を軽くする代表的な制度が「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」で、売った年の前年および前々年に同じ特例を受けていないことが条件です。
家の買い替えでは、譲渡益への課税を将来に繰り延べられる「特定の居住用財産の買換え特例」も選択肢になりますが、3,000万円特別控除とは重複して使えず、将来売却するときの税負担が増える可能性もあります。それぞれの適用条件や計算方法は買い替え特例とは?わかりやすく税負担を解説で解説しています。また、3,000万円特別控除を使うと、新居に入居した年を挟む前後複数年(居住年の前2年および翌年以後3年など)は新居で住宅ローン控除を併用できない点にも注意してください。税制は改正される可能性があるため、適用を検討する際は税理士や国税庁の公表資料で最新の内容を確認してください。
特例の併用可否は毎年の確定申告で問われる部分なので、売却前に税理士へ一度相談しておくと安心です。
不動産会社選びと査定依頼のタイミング
家の買い替えを検討し始めた段階で、まず動くべきなのは不動産会社への査定依頼です。「査定に出したら売らないといけない」という誤解がありますが、査定はあくまで価格の目安を知る作業であり、査定後に売却を断ることもできます。
不動産会社を選ぶ際は、宅地建物取引業の宅地建物取引業の免許の有無や行政処分歴に加えて、自宅と同じエリアでの売却実績を確認してください。媒介契約には専属専任媒介・専任媒介・一般媒介の3種類があり、売り先行で急いで売却したい場合は、不動産会社が積極的に動きやすい専任系の媒介契約を選ぶ方法もあります。仲介手数料は売買価格400万円超の場合「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた額が上限です(宅地建物取引業法)。
複数の不動産会社から査定を取り、提示価格の根拠(周辺の成約事例など)を必ず聞いてから媒介契約を決めてください。
よくある質問
家の買い替えは売り先行と買い先行どちらが安全ですか
資金に余裕がなく住宅ローンの残債が多い方は、自宅の売却代金を確定させてから新居を探せる売り先行の方が資金計画を立てやすくなります。仮住まいの費用をどこまで許容できるかも判断材料になります。
査定を依頼したら必ず売却しなければなりませんか
不動産の査定を受けただけでは売却の義務は発生しません。提示された価格を見てから、売却時期や不動産会社を見直すことも、売却自体を見送ることもできます。
家を売る前に新居を契約してもよいですか
買い先行として問題ありませんが、新居の住宅ローンと旧居の住宅ローンを同時に抱えるダブルローンの期間が生じやすくなります。金融機関に旧居となる自宅の売却見込みを伝え、返済負担率を事前に確認しておくことが大切です。
住み替えのタイミングはいつ頃から準備すればよいですか
転勤や入学など期限が決まっている場合は、引っ越し希望時期の半年から1年前には売却相場の把握と不動産会社への査定依頼を始めておくと、売り先行・買い先行どちらの進め方にも対応しやすくなります。
3,000万円特別控除と住宅ローン控除は一緒に使えますか
3,000万円特別控除を使うと、新居に入居した年を挟む前後複数年(居住年の前2年および翌年以後3年など)は新居で住宅ローン控除を受けられません。どちらの制度が有利になるかは売却益の金額や住宅ローンの借入額によって変わるため、確定申告前に税理士へ確認することをおすすめします。
資金計画から見る家の買い替えタイミングのまとめ
家の買い替えでは、自宅の売却と新居の購入のどちらを先に動かすかによって、資金計画・仮住まいの要否・ダブルローンの期間が大きく変わります。売却相場の動きや税制の特例も、売り先行と買い先行のどちらを選ぶかによって絡み方が異なります。ぜひ本記事の売り先行・買い先行の比較と資金計画の立て方を参考に、家の買い替え タイミングを自分の状況に合わせて判断してください。
出典
- 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
- 国税庁「土地や建物を売ったときの税金(譲渡所得の税率)」
- 国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を売ったとき)」
- 国税庁「No.3355 特定の居住用財産の買換えの特例」
- 国税庁「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の適用要件」
- 国土交通省「不動産取引価格情報検索」
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
- 三井のリハウス「住み替えローンとは?」
