マンションを高く売るためのコツと売却タイミング
転勤が決まって10年住んだ自宅マンションを初めて売ることになり、不動産会社のサイトを開くと査定額が数百万円単位で違い、どちらを信じればいいのか判断できません。不動産会社に売却活動を依頼する媒介契約には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」という3種類の媒介契約(ばいかいけいやく、不動産会社に売却活動を依頼する契約)があり、どの不動産会社とどの契約を結ぶかで売却活動の進め方が変わります。
マンションを高く売るためには、売却相場を複数の方法で把握したうえで、築年数や季節による需要の変化を踏まえて売却時期を選び、媒介契約の種類と不動産会社の実績を見極めることが欠かせません。2025年9月時点の公的データと不動産会社の査定を組み合わせることで、売却相場から外れた価格での売却を避けられます。
本記事では、マンション売却の流れから売却相場の調べ方、高く売れるタイミング、不動産会社選びのコツまでを解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 築15年の分譲マンションを子の独立を機に手放そうか考えているが、高く売るための具体的な手順が分からず戸惑っている方
- 通勤時間が長くなったことで住み替えを検討し始め、今のマンションをいつ売るのが得なのか見極めたい方
- 相続で受け継いだマンションを手放す前に、少しでも高く売却できるコツとタイミングを事前に知っておきたい方
マンション売却の流れ|高く売るための全体像
マンションを売ると決めても、何から手を付ければいいのか分からないまま時間が過ぎてしまう方は少なくありません。マンション売却は、売却相場を調べる、不動産会社に査定を依頼する、媒介契約を結ぶ、売却活動と内覧対応を行う、売買契約を結んで引き渡すという順番で進み、申し込みから引き渡しまでおおむね3〜6か月程度かかります。
不動産の査定を申し込むと必ず売却しなければならないと身構える方もいますが、査定はあくまで価格の見積もりで、申し込んだ時点で売却を確定させる義務は生じません。売却相場を把握したうえで媒介契約を結ぶかどうかを判断すれば十分です。
匿名査定・公的データで目安を把握
複数社の査定額と根拠を比較
一般・専任・専属専任から選ぶ
価格設定と内覧準備で印象を左右
費用を差し引いた金額が手元に残る
このフローの中で最初に行う売却相場の把握が、後に続く媒介契約の選び方や価格設定の判断すべてに影響します。
査定の依頼は売却の確約ではありません。まずは複数社から話を聞いて、進め方の感触をつかんでみてください。
売却相場の調べ方と確認のコツ|マンションの適正価格を知る
マンション売却相場は、不動産会社の査定だけでなく、国土交通省の不動産情報ライブラリで公開されている実際の取引価格を合わせて確認すると、相場観の精度が上がります。
査定の申し込み方法には、氏名や連絡先を伝えずに価格の目安だけを知れる匿名査定と、複数の不動産会社へ一度に依頼できる一括査定があり、使い分け方は匿名査定と一括査定の違いで解説しています。営業電話を避けたい段階では匿名査定から始め、売却の意思が固まった段階で一括査定に切り替えるという使い分けが向いています。マンションの匿名査定の精度についてはマンションの匿名査定の仕組みと精度で解説しています。
公的データと査定額が大きくずれる物件は、管理状態や修繕計画など個別要因を確認しておくと安心です。
高く売れる時期と季節|マンション売却のベストタイミング
転勤・入学シーズンに向けた需要の高まり
マンション購入者の動きは1〜3月の転勤・入学シーズンに向けて活発になる傾向があり、この時期に合わせて内覧が始められるよう、10〜12月頃から売却活動を始めると買い手が見つかりやすくなります。
築年数の経過と資産価値の下がり方
マンションの資産価値は築年数の経過とともに下がり、特に築10年・築15年・築20年といった節目で下落幅が大きくなる傾向があります。老朽化や大規模修繕の実施時期も価格に影響するため、修繕計画の内容を確認してから売却時期を決めることが大切です。
直近で大規模修繕が終わっている物件は、修繕積立金の負担が軽く見えるため、終了直後の売却が有利になりやすいです。
不動産会社選びで差がつく媒介契約とレインズの仕組み
一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の違い
媒介契約には、複数の不動産会社に同時に依頼できる一般媒介、1社に絞って依頼する専任媒介、さらに自分で買い手を見つけることも禁じられる専属専任媒介の3種類があります。専任媒介と専属専任媒介を結んだ不動産会社は、宅地建物取引業法により、契約から7日または5日以内にレインズへ登録する義務を負います。
レインズ登録で広がる買い手の範囲
レインズ(不動産流通機構が運営する不動産会社間の物件情報システム)に登録すると、他の不動産会社が持つ買い手にも物件情報が共有され、1社だけで探すより広い範囲から買い手が見つかりやすくなります。登録状況は不動産会社から交付される登録証明書で確認できます。
専任媒介を結んだのにレインズ登録証明書を受け取っていない場合は、登録状況を不動産会社に確認してください。
内覧対応と価格設定でマンション売却額を上げる工夫
内覧時の第一印象は成約価格に影響します。水回りの清掃や不要な家具の処分、照明をすべて点灯させておくといった準備だけでも、購入希望者に与える印象は変わります。
価格設定では、売却相場より高すぎる価格で売り出すと内覧の申し込み自体が減り、結果的に値下げを重ねて売却相場より低い価格でマンションを売却することになりがちです。売却相場を踏まえたうえで、多少の交渉余地を残した価格から売り出すほうが、最終的な成約価格は高くなりやすいとされます。
内覧前のにおい対策は意外と見落とされがちです。換気と生活臭の対策だけで印象が変わることがあります。
売却にかかる費用と手元に残る金額|高く売れても注意したい内訳
マンションが高く売れても、仲介手数料や登記にかかる費用、ローンの残債などを差し引いた金額が実際に手元に残るお金になります。仲介手数料は媒介契約に基づき不動産会社に支払うもので、売買価格が400万円を超える場合、(売買価格×3%+6万円)+消費税が上限として国土交通省の規定で定められています。
手元に残る金額の具体的な計算方法はマンション売却で手元に残る金額の計算方法で解説しています。売却価格だけに注目すると、費用を差し引いた後の金額が想定より少なく感じられることがあるため、売り出し前に大まかな内訳を確認しておくと安心です。
ローンの残債が売却価格を上回る場合は、任意売却など別の手続きが必要になるため早めに金融機関へ相談してください。
よくある質問
査定を申し込むと必ず売却しなければなりませんか?
不動産の査定はあくまで価格の見積もりで、申し込んだだけで売却が確定するわけではありません。売却相場を確認してから媒介契約を結ぶかどうかを判断して構いません。
マンション売却にはどのくらいの期間がかかりますか?
査定から引き渡しまでおおむね3〜6か月程度かかるのが一般的です。不動産売却を急ぐ場合は不動産会社による買取という選択肢もありますが、仲介より売却価格が下がる傾向があります。
一般媒介と専任媒介、どちらが高く売れますか?
一般媒介は複数の不動産会社に競わせられる一方、1社あたりの対応が手薄になりやすく、専任媒介は不動産会社が販売活動に力を入れやすいもののレインズ登録義務があるぶん透明性が高いという違いがあります。マンションの条件や地域によって向き不向きが分かれます。
築年数が古いマンションでも高く売れますか?
築年数が古くても、修繕計画の実施状況や管理状態が良ければ価格が下がりにくい場合があります。資産価値は築年数だけで決まるわけではないため、個別のマンション査定で確認することが大切です。
相続したマンションを売る場合、タイミングに注意点はありますか?
相続したマンションは、相続登記を済ませてからでないと売却できません。2024年4月から相続登記は義務化されているため、早めに法務局で手続きを確認しておくことをおすすめします。
マンションを高く売るコツとタイミングのまとめ
マンションを高く売るコツは、売却相場を複数の方法で把握し、季節や築年数を踏まえた時期を選び、媒介契約の種類とレインズへの登録状況を確認しながら信頼できる不動産会社を選ぶことに集約されます。ぜひ本記事の売却の流れと高く売るコツを参考に、ご自身のマンションに合った売却タイミングを見極めてください。
判断に迷う点が残る場合は、査定を依頼した不動産会社に売却スケジュールの相談から始めてみてください。
出典
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」
- 国土交通省「宅地建物取引業法に基づく媒介契約制度」
- 国土交通省「宅地建物取引不動産会社が受けることのできる報酬の額」
- 法務省「相続登記の義務化について」
- 全日本不動産協会「媒介契約について」
