SHARE:

中古マンションから住み替える際の売却タイミングと進め方

転勤が決まり、10年住んだ中古マンションを売って新居へ住み替えることが決まりました。不動産会社の窓口では、査定の申し込みから媒介契約、レインズへの登録、内覧対応、引き渡しまで、聞き慣れない手続きが次々と並びます。

中古マンションの住み替えは、売却を先に進める「売り先行」と購入を先に進める「買い先行」のどちらを選ぶかで、資金計画も動くタイミングも変わります。不動産の査定を受けたからといって、その場で売却を決める義務はありません。

2026年9月時点の制度を踏まえ、本記事では中古マンション住み替えの進め方と売却タイミング、資金計画の立て方を解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 子どもの独立を機に中古マンションから戸建てへ住み替えたいが、売却のベストタイミングが分からない方
  • 築18年のマンションを売って新居の頭金にしたいが、売却と購入の資金計画をどう組み立てるか悩んでいる方
  • 初めての住み替えで査定を受けると即売却を迫られる気がして、進め方の順序を先に確認しておきたい方

中古マンションの住み替えで最初に決める「売り先行」と「買い先行」

中古マンションから住み替えるとき、最初に決めるべきは売却と購入のどちらを先に進めるかです。先に売却を終えてから新居を探す進め方を「売り先行」、先に新居を契約してから売却を進める進め方を「買い先行」と呼びます。どちらを選ぶかによって、必要な自己資金や仮住まいの有無が大きく変わります。

売り先行のメリットと注意点

売り先行は、売却代金を新居の購入資金に充てやすく、住宅ローンが二重にかかる期間を避けられる点が強みです。一方で、マンション売却から引き渡しまでの間に新居が決まらないと、賃貸などの仮住まいが必要になる場合があります。

買い先行のメリットと注意点

買い先行は、新居を先に確保できるため仮住まいの手間を避けやすい進め方です。ただし、現在の住宅ローンが残っている状態で新居のローンを組むと、一時的に二重の返済が発生する可能性があり、金融機関の審査でも残債の扱いが問われます。住み替えのタイミングと順序は住み替えのタイミングとマンション売却・購入の順序で解説しています。

売り先行・買い先行のどちらを選ぶかで、必要な仮住まい費用や住宅ローンの組み方が変わります。早めに不動産会社に相談してください。

売却相場の調べ方|中古マンション住み替え前提で目安をつかむ

中古マンションの売却相場を知るには、複数の不動産会社に査定を依頼して金額を比較する方法が一般的です。個人情報を入力せずに概算の価格帯を確認できる匿名査定と、物件情報を登録して複数社から連絡を受ける一括査定があり、営業電話を避けたい段階では匿名査定から始める進め方が向いています。

国土交通省は不動産価格指数を毎月公表しており、マンション市場全体の値動きの傾向を確認できます。ただし個別の物件価格は立地や築年数、管理状態によって差が大きいため、指数だけで売却価格を決めることはできません。匿名査定と一括査定の違いは匿名査定と一括査定の違いで解説しています。

不動産の査定を受けただけで売却を決める必要はありません。複数社の金額を比べてから進め方を決めてください。

新居への引き渡しまで|中古マンション売却の流れ

中古マンションの売却から新居への引き渡しまでは、売却相場の確認から始まり、査定、媒介契約、売り出し、売買契約、引き渡しという順序で進みます。全体の流れを図にまとめました。

1
売却相場を調べる
匿名査定や不動産価格指数で目安を把握
2
不動産会社に査定を依頼する
複数社の査定額と対応を比較する
3
媒介契約を結び売り出す
媒介契約の種類を選び販売活動を開始
4
内覧対応と条件交渉
購入希望者の内覧に対応し価格や時期を調整
5
売買契約を結ぶ
手付金の受領と重要事項説明
6
引き渡し・新居への住み替え完了
残代金の受領と鍵の引き渡し

マンションの査定から引き渡しまでの各段階で、やるべきことと順番が入れ替わらないように確認してください。

中古マンション住み替え前提で動く場合、売却と新居の引き渡し時期をどう合わせるかが資金計画を立てるうえでの重要な分岐点になります。具体的な手順はマンションの住み替えを成功させる手順で解説しています。

売買契約から引き渡しまでは準備に時間がかかるため、新居の契約時期との調整を早めに行ってください。

不動産会社と媒介契約の選び方|住み替えに向いた進め方

媒介契約の3タイプとレインズ登録

不動産会社に売却を依頼する際に結ぶ媒介契約には、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3タイプがあります。専任媒介契約は契約から休業日を除き7日以内、専属専任媒介契約は休業日を除き5日以内に、指定流通機構(レインズ)への登録が宅地建物取引業法で義務付けられています。一般媒介契約には登録義務がなく、複数の不動産会社に同時に依頼できます。

複数の不動産会社に相談する際の注意点

不動産会社を選ぶときは、宅地建物取引業の免許番号と行政処分歴を確認しておくと安心です。免許番号のカッコ内の数字は更新回数を示しており、数字が大きいほど長く営業している目安になります。仲介手数料は売買価格400万円超の場合、「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた額が上限と宅地建物取引業法(第46条)に基づく国土交通省告示で定められています。

媒介契約の種類によって報告頻度や販売活動の範囲が変わります。契約内容は結ぶ前に書面で確認してください。

少しでも高く売るための準備|中古マンションの査定前にすべきこと

中古マンションの査定を受ける前には、室内の整理整頓だけでなく、修繕履歴やマンションの管理規約、長期修繕計画の書類をそろえておくと、不動産会社が査定額を出しやすくなります。管理状態がよく分かる資料は、購入希望者への説明にもそのまま使えます。

売却価格が決まっても、仲介手数料や抵当権(ていとうけん=住宅ローンの担保として設定される権利)の抹消費用などを差し引いた金額が手元に残ります。新居の頭金に充てる金額を見積もるには、売却にかかる費用をあらかじめ把握しておく必要があります。手元に残る金額の計算方法はマンション売却で手元に残る金額の計算方法で解説しています。

査定額がそのまま手取り額になるわけではありません。諸費用を差し引いた金額で資金計画を立ててください。

住み替えローンとマンション売却の資金計画

中古マンションの住宅ローンが残っている状態で住み替える場合、売却代金だけでローンを完済できない「オーバーローン」になっていないかを確認する必要があります。完済できない場合は、新居の購入資金と残債をまとめて借り入れる住み替えローンを検討することになりますが、審査は新居の返済負担率も含めて厳しく見られます。

戸建てへの住み替えを検討している場合は、マンションとは異なる諸費用や修繕の考え方が加わります。住み替えローンの審査基準は住み替えローンの審査基準と家の売却、戸建てへの住み替えの進め方は戸建て住み替えの進め方と資金計画で解説しています。

オーバーローンかどうかは、住宅ローンの残高証明書と売却見込み額を並べて確認すればすぐに分かります。

売却益にかかる税金と3000万円特別控除|中古マンションの場合

中古マンションを売って利益(譲渡所得)が出た場合、所有期間に応じた税率で譲渡所得税がかかります。売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超える長期譲渡は税率20.315%、5年以下の短期譲渡は税率39.63%です(いずれも復興特別所得税を含みます)。

マイホームを売った場合は、譲渡所得から最高3000万円を差し引ける特別控除があります。ただし、売った年の前年および前々年に同じ特例を受けていると適用できないため、過去の確定申告の内容を確認しておく必要があります。

3000万円特別控除は確定申告をしないと適用されません。売却した翌年の申告時期を忘れずに確認してください。

よくある質問

査定を依頼したら、そのまま売却しなければなりませんか?

いいえ。不動産の査定は価格を把握するための手続きで、売却を断ることもできます。複数社の査定額を比較してから、売却を進めるかどうかを決めても問題ありません。

売り先行と買い先行、どちらを選べばよいですか?

住宅ローンの残債がなく仮住まいを避けたいなら買い先行、資金計画を確実にしたいなら売り先行が向いています。手持ち資金や住み替え先の希望時期も合わせて検討してください。

住宅ローンが残っていても住み替えはできますか?

売却代金で完済できれば問題ありません。完済できないオーバーローンの状態では、住み替えローンの利用や自己資金での補填を検討する必要があります。

媒介契約はどれを選べばよいですか?

複数の不動産会社に同時に依頼したいなら一般媒介契約、1社に任せて手厚い対応を受けたいなら専任媒介契約や専属専任媒介契約が向いています。レインズへの登録義務の有無も判断材料になります。

売却益が出たら必ず税金を払うのですか?

譲渡所得が出た場合は譲渡所得税がかかりますが、マイホームを売ったときは最高3000万円の特別控除を利用できる場合があります。適用には確定申告が必要で、前年・前々年に同じ特例を使っていないことが条件です。

中古マンションから住み替えを成功させるために

中古マンションの住み替えは、売り先行と買い先行のどちらを選ぶかで資金計画も進め方も変わります。売却相場を調べ、複数の不動産会社に査定を依頼し、媒介契約の内容を比較することで、売却を急がされることなく自分の条件に合った進め方を選べます。ぜひ本記事の手順とタイミングの考え方を参考に、無理のない資金計画で住み替えを進めてください。

出典

  • 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
  • 国税庁「土地建物を譲渡したときの税金」
  • 国土交通省「不動産価格指数」
  • 国土交通省「宅地建物取引業法」(媒介契約・レインズ登録・仲介手数料に関する規定)
  • 近畿レインズ「媒介契約制度とは」
  • 宅地建物取引業法第46条に基づく国土交通省告示(昭和45年建設省告示第1552号、令和6年改正)
あなたへのおすすめ