住み替えで家が売れない場合の主な原因と対処法・注意点を解説
住み替え先の入居日が決まっているのに、今のマンションに内覧の申し込みが入らず、不動産会社からの販売状況報告には「反響なし」が続いています。媒介契約には一般・専任・専属専任の3種類があり、専任媒介契約を結ぶと不動産会社は契約締結から7営業日以内に指定流通機構(レインズ)へ物件情報を登録する義務を負います(宅地建物取引業法34条の2)。登録と報告の仕組みが守られていても売れない場合は、価格設定・販売活動・売り出し時期のいずれかに原因があります。
本記事では住み替えで家が売れなかった場合の主な原因と対処法、注意点を解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 住み替え先の入居時期が決まっているのに今の家が売れず、資金計画への影響を心配している45歳会社員の方
- 子の独立を機に住み替えを進めているが、思うように買い手が付かず対処法を探し始めている方
- 初めての住み替えで売却が長引く事態を想定できておらず、注意点も含めて事前に確認しておきたい方
住み替え先の入居時期が迫っても家が売れない状況とは
住み替え先の入居日が決まっている場合、今の自宅の売却は逆算したスケジュールで進みます。しかし実際には、売り出してから1か月を過ぎても内覧の申し込みが入らない、問い合わせはあっても契約に至らないといった状況が起こります。不動産会社から届く販売状況報告書に「反響なし」「商談中なし」が並び続けると、入居日までに売却代金を用意できるのか不安が募ります。こうした停滞は特別な事態ではなく、価格・販売活動・売り出し時期のいずれかに原因があるケースがほとんどです。
住み替えの入居日から逆算して、売却活動を見直すタイミングを早めに決めておくと資金計画の修正が間に合います。
住み替えで家が売れない主な原因|価格・不動産会社・売り出し時期
家が売れない原因は、大きく分けると売り出し価格、不動産会社の販売活動、売り出し時期の3つに集約されます。
売り出し価格が売却相場から外れている
査定額と売り出し価格は必ずしも一致しません。住み替えの入居日を優先して高めの価格を設定すると、周辺の取引価格の売却相場との差が大きくなり、検索結果の上位に出ても内覧につながりません。売却開始から1〜2か月で反響が少ない場合は、価格設定が売却相場からずれているサインです。
不動産会社の販売活動が弱い
媒介契約を結んでも、ポータルサイトへの掲載写真や紹介文の作り込み、問い合わせへの対応速度は不動産会社ごとに差があります。専任媒介契約は契約締結から7営業日以内、専属専任媒介契約は5営業日以内に指定流通機構(レインズ)へ登録する義務がありますが、登録後の広告の出し方や追客の仕方までは法律で定められていません。
売り出し時期と住み替えのタイミングが合っていない
マンションや戸建ては引っ越しシーズン前の1〜3月、9〜10月に需要が集まりやすいといわれます。転勤や子の独立に合わせて売り出し時期を選べない場合、需要期から外れた時期に売却活動を始めると反響が得にくくなります。
価格・不動産会社・時期のどれに原因があるかは、販売状況報告書の内覧数と問い合わせ数を見れば見当がつきます。
売却が長引くと住み替えの資金計画にどう影響するか
不動産売却が住み替え先の入居日に間に合わないと、資金計画そのものが崩れます。買い先行で住み替える場合、新居の住宅ローンと今の住宅ローンを一定期間並行して返済することになり、つなぎ融資や住み替えローンを利用していても金利負担が延びます。売り先行であれば二重ローンは避けられますが、売却代金の着金が遅れると新居の引き渡しや仮住まいの費用負担が延びます。入居日まで余裕がなくなった時点で、価格を下げるのか、不動産会社を替えるのか、売却方法そのものを変えるのかを早めに判断する必要があります。
つなぎ融資を使っている場合は、売却の遅れがそのまま金利負担の増加に直結するので、金融機関に早めに状況を伝えてください。
家が売れないときに見直したい具体的な対処法
不動産売却が長引いたときの対処法は、価格・不動産会社・売却方法の3方向から検討します。
売り出し価格の見直し
反響が少ない場合、直近の成約事例と見比べて価格を5〜10%程度下げる方法があり、下げ幅は不動産会社に根拠を示してもらって売却相場から大きく外れていないかを確認してから決めます。
不動産会社の見直しと媒介契約の切り替え
専任媒介契約や専属専任媒介契約を結んでいて反響が少ない場合、契約期間(最長3か月)の満了を待って不動産会社を替える選択肢があり、会社によって査定の出し方や広告の力の入れ方が異なるため、複数社の査定を比較しておくと次の選択がしやすくなります。匿名での売却相場確認と一括査定の違いは匿名査定と一括査定の違いで解説しています。
売却方法を買取や個人間売買に変える
入居日までに猶予がない場合、不動産会社に直接買い取ってもらう買取という方法もあり、仲介より早く現金化できる一方、売却価格は仲介での成約が見込める価格より低くなる傾向があります。買取を検討する段階で、匿名査定を使って相場感だけ先に把握しておく方法もあり、注意点は匿名査定のデメリットと注意点で解説しています。
買取は価格が下がる代わりに入居日に間に合わせやすいので、残り日数と価格のどちらを優先するか先に決めておきましょう。
住宅ローンが残ったまま住み替える場合の判断
住宅ローンが残ったまま住み替える場合、売却代金でローンを完済できるかどうかで取れる選択肢が変わります。売却額が残債を上回っていれば、通常の不動産売却で抵当権(ていとうけん)を抹消して引き渡せます。売却額が残債を下回るオーバーローンの状態では、不足分を自己資金で用意するか、債権者の同意を得て売却する任意売却を検討する必要があります。
住宅ローンの残債と売却額の関係で、取れる対応が大きく分かれます。次の図で、自分がどちらに当てはまるかを確認してください。
残債が売却額を上回る場合は、自己資金で補填するか任意売却を検討する流れになります。
オーバーローンかどうかは、住宅ローンの残高証明書と不動産会社の査定額を突き合わせれば早い段階で分かります。
家を売る際に注意したい契約と税金のポイント
家を売るときは、媒介契約の種類によって不動産会社への依頼範囲が変わります。一般媒介契約は複数の不動産会社に同時に依頼できますが、専任媒介契約・専属専任媒介契約は1社に限られる代わりに、販売状況の報告義務(専属専任媒介は1週間に1回以上、専任媒介は2週間に1回以上)が課されます。
売却益が出た場合は譲渡所得税がかかります。譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得として20.315%、5年以下の場合は短期譲渡所得として39.63%の税率です(いずれも復興特別所得税を含みます)。マイホームを売った場合の3000万円特別控除は、マイホームを売却した年の前年および前々年に同じ特例を受けていないことが条件であり、これは売主の過去の適用歴に関する要件のため、住み替え先の購入時期とは直接関係しません。ただし、住宅ローン控除との併用には制限があり、居住を開始した年とその前2年・後3年を合わせた計6年間(令和2年4月1日以後の譲渡の場合)は、3000万円特別控除と住宅ローン控除を同時に使うことができないため、適用条件は税理士か税務署で確認してください。
不動産売却に必要な書類のうち、権利証(登記識別情報)を紛失している場合は、本人確認情報の作成など別の手続きが必要になります。対処法は権利証を紛失した場合の対処法で解説しています。
3000万円特別控除は前年・前々年の利用歴があると使えないため、確定申告の前に適用条件を確認してください。
不動産会社選びで住み替えの失敗を防ぐコツ
住み替えでの売却を立て直すには、最初の不動産会社選びに戻って見直す視点も必要です。複数の不動産会社に査定を依頼すると、価格の根拠や販売計画の説明の仕方に差が出て、販売活動の弱さに早く気づけます。住み替えで売却がうまく進まない原因をさらに詳しく確認したい場合は住み替えで家が売れない場合の主な原因で解説しています。
不動産会社を変える際は、今の媒介契約の期間満了日を確認してから次の査定依頼を始めると手続きがスムーズです。
よくある質問
住み替え先の契約を先に進めてしまった場合、入居日に間に合わなければどうなりますか?
新居の引き渡し猶予や仮住まいの手配について、不動産会社や売主側と早めに相談する必要があります。つなぎ融資を利用している場合は金融機関への連絡も欠かせません。
専任媒介契約の途中で不動産会社を替えることはできますか?
契約期間(最長3か月)の途中で解除すると違約金が発生する場合があるため、満了のタイミングで更新しない形に切り替えるのが一般的です。
価格を下げても売れない場合、次に何を検討すればいいですか?
不動産会社の販売活動の内容を見直し、それでも反響が少なければ買取や個人間売買など売却方法そのものの変更を検討します。
オーバーローンの場合、任意売却はどんな手続きになりますか?
住宅ローンの債権者(金融機関)の同意を得たうえで、売却相場に近い価格で売却し、残った残債は返済を続ける形になります。手続きの詳細は金融機関や専門の不動産会社に相談してください。
住み替えで家が売れないまま新居の引き渡し日が来てしまった場合の対処法はありますか?
仮住まいへの一時転居や、新居の引き渡し猶予の交渉、つなぎ融資の延長などが選択肢になります。早い段階で不動産会社と金融機関の双方に相談しておくと調整しやすくなります。
住み替えで家が売れなかったときの対処法のまとめ
住み替えで家が売れない状態は、価格・不動産会社の販売活動・売り出し時期のいずれかに原因があり、見直す順番を決めれば立て直せます。オーバーローンのように資金面の判断が必要な場合は、早い段階で金融機関や不動産会社に相談することが入居日までの選択肢を広げます。ぜひ本記事の原因の見分け方と対処法を参考に、住み替えのスケジュールに合わせた売却の立て直しを進めてください。
出典
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
- 国税庁「土地建物を売ったときの税金」
- 国税庁「マイホームを売ったときの特例」
- 国税庁タックスアンサー No.3202「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」/No.1440「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
- 国税庁タックスアンサー No.3302「マイホームを売ったときの特例」/No.1212「住宅借入金等特別控除を受ける方へ」
