住み替えで家が売れない場合の主な原因と対処法・注意点を徹底解説
住み替え先の新居の売買契約を先に結んだあと、今の家に内覧の申し込みが入らないまま、売り出しから半年が過ぎるケースは珍しくありません。住宅ローンが残ったまま決済日を迎えると、残債が売却代金を上回る「オーバーローン」の状態になり、抵当権(ていとうけん、住宅ローンの担保として不動産に設定される権利)を抹消できず、引き渡しそのものが止まります。
家が売れない原因の多くは、査定価格と売却相場のズレ、媒介契約の種類の選び間違い、住宅ローンの残債と売却額の関係の3つに集約されます。
本記事では、住み替えで家が売れない主な原因と、資金計画が崩れる前に打てる対処法、契約前に確認したい注意点を解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 住み替え先の契約が先に決まったのに今の家が半年以上売れず、資金計画が崩れる不安を抱えている45歳会社員の方
- 子の独立を機に住み替えを進めているが、なぜ自宅が売れないのか原因が分からず焦りを感じている方
- 初めての住み替えで売却が長引き、査定に出したときは早期に売れると思っていたため対処法を探している方
住み替えで家が売れない主な原因|価格設定と不動産売却の市場のミスマッチ
住み替えで家が売れない原因の多くは、売り出し価格が周辺の売却相場から外れていることに集約されます。
査定価格をそのまま売り出し価格にするリスク
不動産会社の査定価格は、過去の成約事例や現在売り出し中の物件を参考にした「売れやすい見込み額」であり、その価格で必ず売却できるわけではありません。複数の不動産会社に査定を依頼すると、同じマンションでも数百万円の差が出ることがあり、高い査定額を提示した不動産会社とそのまま媒介契約を結ぶと、売却相場より高い価格で売り出すことになり、内覧の申し込みが入らないまま時間だけが過ぎます。複数の目線で売却相場を確認する方法は、匿名査定と一括査定の違いで解説しています。
築年数とエリアで変わる売却相場
マンションの売却相場は、築年数、最寄り駅からの距離、管理状態によって大きく変わり、同じ建物内でも階数や向きで成約価格に差が出ます。2026年9月時点では、築年数が住宅ローン控除の対象要件に関わる場合もあり、買主の資金計画にも影響するため、売り出し前に類似物件の成約価格を確認しておく必要があります。
複数の不動産会社の査定額を比べるときは、根拠となる成約事例も一緒に確認してください。
家の売却より先に決まった住み替え先の契約と資金計画のリスク
住み替え先の新居の売買契約を先に結んでしまうと、今の家の売却が計画どおりに進まなかった場合に資金計画全体が崩れます。新居の引き渡し日や住宅ローンの実行日はあらかじめ決まっているため、今の家の売却代金を新居の頭金や諸費用に充てる予定だった場合、売却が遅れると自己資金で不足分を補う必要が生じます。不動産売却の一般的な流れでは、査定から引き渡しまで3〜6か月程度かかることが多く、不動産売却の流れで全体のステップを解説しています。新居の契約前に、今の家の売却にかかる期間を見込んだうえでスケジュールを組む必要があります。
新居の契約を先に結ぶ場合は、売却が長引いたときの資金の立て替え先をあらかじめ確認しておきましょう。
住宅ローンの残債と売却額の関係|オーバーローンという壁
オーバーローンとは
住宅ローンの残債が、今の家の売却代金から仲介手数料などの諸費用を差し引いた手取り額を上回る状態を、オーバーローンと呼びます。オーバーローンのままでは抵当権を抹消できず、買主への引き渡しができません。
自己資金での補填と任意売却の違い
残債と売却代金の差額を自己資金で補填できれば、今の家の売却として手続きを進められます。一方、自己資金での補填が難しい場合は、金融機関の同意を得て残債を残したまま売却する任意売却という方法があり、通常の売却よりも売却価格が下がりやすい傾向があります。住み替えを検討する段階で、住宅ローンの残債と売却相場のおおよその差を確認しておくことが、資金計画の見直しにつながります。
残債の金額は金融機関から送られる返済予定表で確認でき、売却相場と比べておくと資金計画が立てやすくなります。
不動産会社選びと媒介契約の種類|見直しのポイント
今の家が売れない背景には、不動産会社選びと媒介契約の種類の組み合わせが合っていないケースも含まれます。媒介契約には一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3種類があり、それぞれ依頼できる不動産会社の社数や、レインズ(指定流通機構)への登録義務、販売状況の報告頻度が異なります。媒介契約の種類で、それぞれの違いと選び方を解説しています。専任系の媒介契約を結んだまま、不動産会社からの販売活動の報告が形式的になっている場合は、売り出し価格の見直しや広告の出し方について改めて相談する、または契約の切り替えを検討する必要があります。
専任媒介契約を結んだ後も、販売状況の報告内容をチェックし、動きが鈍ければ早めに相談してください。
価格見直しと売却期限の設定|家が売れないときの対処法
内覧の申し込みが半年以上入らない場合、価格を見直す前に、不動産会社と一緒に反響数や内覧数を確認する必要があります。問い合わせ自体が少ないなら価格、問い合わせはあるが成約に至らないなら室内の状態や条件面に原因がある可能性が高くなります。匿名査定を使って改めて売却相場を確認し、周辺の売却事例と比べて売り出し価格が高止まりしていないかを見直す方法は、匿名査定と一括査定の違いでも解説しています。住み替え先の引き渡し時期から逆算して、値下げのタイミングや不動産会社の買取への切り替えを検討する期限をあらかじめ決めておくと、資金計画が崩れる前に判断できます。
値下げのタイミングは、新居の引き渡し日から逆算して決めておくと、焦って大幅値下げする事態を避けやすくなります。
ダブルローンと家の仮住まい費用|住み替え失敗を防ぐ注意点
今の家の売却が長引くと、新居の住宅ローンと今の家の住宅ローンを同時に抱えるダブルローンの状態になる場合があります。ダブルローンは毎月の返済額が重くなるだけでなく、金融機関の審査上も新居の住宅ローンが通りにくくなる要因になります。不動産売却が決済まで進まないまま新居に先に引っ越す場合は、今の家が空き家になっている期間の管理や、賃貸の仮住まいを挟む場合の家賃も資金計画に含める必要があります。住み替えで失敗したと感じる方の多くは、こうした二重の負担を見込まずに新居の契約を進めていたケースです。
ダブルローンの期間が長くなりそうな場合は、早い段階で金融機関に返済方法を相談しておくと選択肢が広がります。
売却が長引いたときに検討する住み替えローンと資金計画の立て直し
今の家の売却より先に新居の住宅ローンを組む必要がある場合、今の家の残債と新居の購入資金をまとめて借り入れる住み替えローンという方法があります。住み替えローンは新居の購入価格に加えて今の家の残債分も借り入れるため、通常の住宅ローンより借入額が大きくなり、審査も厳しくなる傾向があります。住み替えローンとは?審査基準と家の売却で、審査基準と活用できる条件を解説しています。不動産売却が長引いている段階であれば、住み替えローンを使うか、新居の契約時期を後ろ倒しにするかを、不動産会社や金融機関と早めに相談しておく必要があります。
住み替えローンは審査が厳しくなりやすいため、検討する場合は早めに金融機関へ相談しておきましょう。
住み替えで今の家を売却するとき、最初に確認したいのは住宅ローンの残債と売却額の関係です。以下のチャートで、オーバーローンに当たるかどうかを確認できます。
残債が売却額を下回っていれば今の家の売却で住み替えを進められますが、上回る場合は自己資金の準備か任意売却の検討が必要です。
よくある質問
住み替えで家が売れない場合、新居の契約をキャンセルできますか
売買契約を結んだ後のキャンセルは、契約内容によって違約金が発生する場合があります。契約書に記載された手付解除や引き渡し猶予の条件を確認し、難しい場合は不動産会社に早めに相談してください。
任意売却をすると信用情報に影響しますか
任意売却は住宅ローンの返済が滞っている状態で行うことが多く、その場合は信用情報に延滞の記録が残ります。残債を自己資金で補填できる今の家の売却とは扱いが異なるため、事前に金融機関へ相談しておく必要があります。
媒介契約を専任媒介から一般媒介に切り替えることはできますか
媒介契約には契約期間(最長3か月)が定められており、期間満了後であれば別の不動産会社と改めて媒介契約を結ぶことができます。期間の途中で解約する場合は、違約金の有無を契約書で確認してください。
値下げをすればすぐに売れますか
値下げによって問い合わせが増える可能性はありますが、必ず売れるとは限りません。内覧数や問い合わせ数の推移を不動産会社と確認しながら、値下げ幅やタイミングを判断する必要があります。
住み替え先の仮住まいにはどれくらいの費用がかかりますか
賃貸の仮住まいを挟む場合、家賃に加えて敷金・礼金、引っ越し費用が二重にかかります。今の家の売却が長引くほど負担が増えるため、資金計画にあらかじめ仮住まい費用を組み込んでおく必要があります。
住み替え失敗を防ぐために今の家の売却で確認したいこと
住み替えで家が売れない主な原因は、売り出し価格と売却相場のズレ、不動産会社選びや媒介契約の種類のミスマッチ、住宅ローンの残債と売却額の関係の3つに集約されます。新居の契約を先に結ぶ場合は、今の家の売却にかかる期間と、オーバーローンになった場合の対処法をあらかじめ確認しておくことで、資金計画が崩れる事態を避けやすくなります。ぜひ本記事の住み替えで家が売れない原因と対処法を参考に、今の家の売却と新居の資金計画を見直してください。
出典
- 国土交通省「指定流通機構(レインズ)について」
- 国税庁「No.1211-2 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」
- 法務省「不動産登記制度」
