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実家の相続税はいくらかかる?計算方法と特例をわかりやすく解説

親から実家を相続することになり、固定資産税の納税通知書や金融機関からの残高証明書が次々と届いています。相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内と定められており、評価額も税額も分からないまま日数だけが過ぎていきます。

実家の相続税は、土地と建物の評価額に預貯金などほかの財産を足した金額から、3000万円+600万円×法定相続人の数で求める基礎控除を差し引いた部分にだけかかります。小規模宅地等の特例を使えば評価額そのものを大きく下げられ、実家相続税がかからないケースも珍しくありません(2026年9月時点の制度に基づきます)。

本記事では、実家の相続税評価額の調べ方から具体的な計算例、特例の使い方、申告の流れまで解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 親から実家を相続することになった50歳で、どのくらいの相続税がかかるのか見通しが立たず不安な方
  • 確定申告に向けて、実家の評価額から相続税を自分で計算し使える特例があるか把握しておきたい方
  • 手元資金への影響が大きいため、特例を使い切れるかどうかで納税額がどう変わるか確認したい方

実家の相続税はどう決まる?基礎控除と課税対象の仕組み

相続税は、亡くなった人(被相続人)の遺産全体に課される国税です。実家の土地や建物だけでなく、預貯金や有価証券なども含めた遺産総額をもとに計算し、「3000万円+600万円×法定相続人の数」で求める基礎控除額を超えた場合に限り、超えた部分(課税遺産総額)に相続税がかかります。

法定相続人の数は、配偶者は常に含まれますが、血族相続人は子・直系尊属・兄弟姉妹の順に優先順位が定められており、子が必ず含まれるとは限りません。養子がいる場合は基礎控除の計算に算入できる人数に制限があり、実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人までです。課税遺産総額には、取得金額に応じた10%〜55%の超過累進税率を適用して相続税の総額を計算し、各相続人が実際に取得した財産の割合に応じて按分します。

法定相続人の数は養子の人数に制限があるため、養子縁組をしている場合は早めに確認しておきましょう。

土地と建物で評価方法が違う|実家の相続税評価額の調べ方

土地の評価|路線価方式と倍率方式

実家の土地は、国税庁が公表する路線価に地積を掛けて求める路線価方式、または路線価が定められていない地域で使う倍率方式(固定資産税評価額×倍率)のいずれかで評価します。角地や不整形地の場合は補正率で評価額が調整されるため、自分で計算すると実勢価格より低く出ることが多くあります。

建物の評価|固定資産税評価額がそのまま基準に

建物は固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になり、市区町村から送られる固定資産税の課税明細書や評価証明書で確認できます。築年数が経つほど評価額は下がる傾向にあり、新築に近い実家ほど評価額が高くなります。実家の相続税評価額の詳しい調べ方は相続税評価額とは?土地の調べ方と遺産分割の注意点で解説しています。

土地の評価額は自分で計算すると誤差が出やすいため、申告前に税理士に確認すると安心です。

具体的な計算シミュレーションで見る実家の相続税の金額

子2人が相続人で、実家の土地評価額2500万円、建物評価額500万円、預貯金1500万円の合計4500万円を相続するケースで計算します。基礎控除額は3000万円+600万円×2人=4200万円のため、課税遺産総額は4500万円-4200万円=300万円です。

この300万円を法定相続分(各1/2)で按分すると各150万円になり、下の速算表に当てはめると税率10%・控除額0円が適用され、各相続人の税額は15万円、相続税の総額は30万円です。実際に取得する財産の割合が法定相続分と異なる場合は、総額をその取得割合で按分し直して各自の納税額を決めます。

相続税の速算表(抜粋)
法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1000万円以下10%0円
3000万円以下15%50万円
5000万円以下20%200万円

出典:国税庁「相続税の税率」(2026年9月時点)をもとに作成

この例での遺産総額に対する相続税の割合を図にすると、次のようになります。

相続財産として残る 約98%
相続税
申告費用等

※遺産総額4500万円・子2人が相続・特例適用なしの概算例(2026年9月時点)

遺産総額のうち相続税が占める割合はごくわずかで、大部分が相続財産としてそのまま残ることが分かります。

相続税の総額は法定相続分で計算しますが、実際の納税額は各相続人の取得割合に応じて按分し直します。

小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減|実家の相続税を軽くする方法

小規模宅地等の特例|評価額を最大80%減額

被相続人が住んでいた宅地を同居していた親族などが相続し、相続税の申告期限まで所有・居住を続ける場合、330平方メートルまでの部分について評価額を80%減額できます。先の例に当てはめると、土地評価額2500万円が500万円に下がり、遺産総額は土地500万円+建物500万円+預貯金1500万円=2500万円まで縮小します。

配偶者の税額軽減|1億6000万円または法定相続分まで非課税

配偶者が相続する財産は、1億6000万円か配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額まで相続税がかかりません。ただし配偶者に財産を寄せすぎると、配偶者が亡くなった後の二次相続で子の負担が増えるため、一次相続の段階から取得割合を検討しておく必要があります。

小規模宅地等の特例は、相続税の申告期限までに遺産分割を終えていることが適用の条件です。

実家相続税がかからないケースとは

先の例のように小規模宅地等の特例を適用すると遺産総額が2500万円になり、基礎控除4200万円を下回るため相続税はかかりません。実家の評価額自体が低い地域や、法定相続人が多く基礎控除額が大きい家庭でも、同じように実家相続税がかからないケースがあります。

注意したいのは、相続税がかからない場合でも小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使ってゼロになったケースでは、相続税の申告書の提出が特例を適用するための条件になる点です。申告をしなければ特例そのものが認められず、本来はかからないはずの相続税を納めることになりかねません。

相続税がゼロでも、小規模宅地等の特例を使う場合は申告書の提出を忘れないようにしましょう。

相続税の申告と納税の流れ|期限と必要書類

相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。申告には、被相続人と相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書、実家の固定資産税評価証明書、預貯金の残高証明書などをそろえ、被相続人の住所地を管轄する税務署に提出します。

期限を過ぎると延滞税や加算税が発生するだけでなく、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減も、遺産分割が整っていないと原則として使えません。申告期限までに協議がまとまらない場合は、いったん未分割のまま申告し、後日分割が決まった時点で更正の請求をする方法もあります。

申告期限までに遺産分割協議がまとまらない場合は、未分割のまま申告し、後日特例を適用する方法もあります。

実家を売却する場合にかかる税金と注意点

相続した実家を売却すると、相続税とは別に譲渡所得税と住民税がかかります。計算方法は不動産を売ると税金はいくら?譲渡所得税の計算方法で解説しています。

相続開始があった日の翌日から3年10か月以内(相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日まで)に実家を売却すれば、納めた相続税の一部を取得費に加算できる取得費加算の特例を使え、譲渡所得税の負担を抑えられます。詳しい条件は相続税の取得費加算の特例|相続不動産を売るなら3年10ヶ月以内で解説しています。

複数の相続人で実家を売却して代金を分ける場合は換価分割という方法がよく使われ、手続き上の注意点は換価分割とは?不動産売却の税金と手続きで解説しています。不動産売却全体でかかる税金と費用の目安は不動産売却にかかる税金と費用の全体像|いくら手元に残る?で解説しており、相続した実家を売却するまでの流れは相続した不動産を売却する流れ|手続き・税金・注意点で解説しています。

相続税の申告と不動産売却のタイミングを合わせると、取得費加算の特例を使い忘れずに済みます。

よくある質問

実家の相続税はどのタイミングで支払いますか?

相続税は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に申告書を提出するとともに、原則として現金で一括納付します。分割払いにあたる延納や、不動産で納める物納という制度もありますが、どちらも審査があり誰でも使えるわけではありません。

実家に住み続ける場合も相続税はかかりますか?

はい。相続税は実家を売るかどうかに関わらず、相続した時点の評価額に対してかかります。ただし同居していた親族が住み続ける場合は小規模宅地等の特例を使える可能性が高く、評価額を大きく下げられます。

実家の評価額は固定資産税評価額と同じですか?

建物は固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になりますが、土地は路線価方式や倍率方式で計算するため、固定資産税評価額とは別の評価額になります。

相続税がかからない場合でも申告は必要ですか?

基礎控除内に収まり、特例を使わずに相続税がゼロになる場合は申告不要です。ただし小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使って相続税がゼロになった場合は、申告書の提出が適用の条件になります。

相続税の計算や申告は自分でできますか?

評価額が低く相続人も少ないシンプルなケースであれば自分での申告も可能ですが、土地の評価や特例の適用判断には専門知識が必要なため、税理士に相談したほうが申告漏れや税額の誤りを防ぎやすくなります。

実家の相続税を正しく見積もるために

実家の相続税は、土地と建物の評価額に他の財産を足した遺産総額から基礎控除を差し引いた部分にかかり、小規模宅地等の特例を使えるかどうかで納税額が大きく変わります。申告期限は10か月と限られているため、早めに評価額を確認し、特例の適用条件を満たせるか確かめておくことが欠かせません。ぜひ本記事の計算方法と特例の内容を参考に、実家の相続税を見積もってみてください。

出典

  • 国税庁「相続税のあらまし」
  • 国税庁「相続税の税率」
  • 国税庁「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」
  • 国税庁「配偶者の税額の軽減」
  • 国税庁「財産評価基本通達(路線価方式・倍率方式)」
  • 国税庁「相続税の申告書の提出期限」
  • 国税庁タックスアンサー No.3267「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」(租税特別措置法第39条)
  • 民法第887条・第889条・第890条(法定相続人の順位)
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