SHARE:

不動産売却に関わる軽減措置とは?種類と適用条件

住み替えのために10年住んだ自宅マンションを売ると決めても、不動産会社から届く査定書には税金の軽減策が書かれていません。譲渡所得税は売却益に対して最大39.63%かかる税金ですが、居住用財産の3,000万円特別控除を使えば売却益から3,000万円を差し引けます。

不動産売却の軽減措置には、この3,000万円特別控除のほか、所有期間が10年を超える場合の軽減税率の特例や、住み替え先を購入する場合の買換え特例など複数の種類があり、所有期間や売却後の予定によって使える制度が変わります。

本記事では、マンション売却で使える主な軽減措置の種類と適用条件、確定申告までの流れを解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 45歳会社員、家の老朽化を理由に売却を検討しており、軽減措置が使えるか調べたが種類が多く判断できない方
  • 住み替えのため自宅を初めて売る予定で、軽減措置の適用条件を確定申告前に確認しておきたい方
  • 通勤時間の変化で住み替えを決めたが、税負担を減らせる制度をあらかじめ把握したい方

マンション売却で軽減措置とは|税金を抑える制度の全体像

マンションや戸建てを売って利益(譲渡所得)が出ると、所得税と住民税の課税対象になります。税率は所有期間によって異なり、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超える長期譲渡所得は20.315%、5年以下の短期譲渡所得は39.63%で、どちらも復興特別所得税を含みます。

この譲渡所得税の負担を軽くするために国が設けている控除や特例を、不動産売却の現場では軽減措置と呼びます。代表的な軽減措置には、居住用財産の3,000万円特別控除、所有期間10年超の場合に使える軽減税率の特例、住み替え先を購入する場合の買換え特例、相続した空き家を売る場合の3,000万円特別控除などがあり、所有期間や売却後の予定によって使える制度が変わります。

マンション売却の全体の流れや必要な費用は不動産売却の完全ガイド|流れ・費用・税金と高く売るコツで解説しています。

軽減措置は自動的に適用されるわけではなく、確定申告で手続きして初めて反映されます。

マンション売却の3,000万円特別控除|適用条件と併用制限

適用を受けられる条件

居住用財産の3,000万円特別控除は、自分が住んでいた家や敷地を売ったときに、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける制度です。適用を受けるには、売った家に実際に住んでいたことや、マンション売却の相手が配偶者や親などの特別な関係者でないことなどの条件を満たす必要があります。

併用できない特例

3,000万円特別控除は、売った年の前年および前々年に同じ特例を受けていないことが条件です。前年・前々年にこの特例を使っている場合は適用できず、住み替え先を購入する買換え特例とは選択適用のため、同時に使うこともできません。

前年・前々年の確定申告で同じ特例を使っていないか、申告書の控えで確認しておきましょう。

所有期間10年超なら使える軽減税率の特例

売った年の1月1日時点でマンションや家の所有期間が10年を超えている場合、通常の長期譲渡所得よりも低い税率が適用される軽減税率の特例を使えます。10年住んだマンションを売る場合も対象になり、居住用財産の3,000万円特別控除と併用できるため、控除後の譲渡所得にこの軽減税率が適用されます。適用される税率の区分や計算方法は見直される可能性があるため、2026年9月時点の正確な内容は税務署や国税庁の最新情報で確認してください。

マンションの売り時や所有期間の考え方はマンションの売り時はいつ?判断基準を解説で解説しています。

所有期間は売った年の1月1日時点で判定されるため、購入から10年経っていても年をまたぐ前に確認しましょう。

住み替えで検討する買換え特例の仕組みと注意点

特定居住用財産の買換え特例の要件

買換え特例は、今住んでいる家を売って新しい家に買い換える場合に使える制度です。一定期間以上住んでいたことや所有期間が長いこと、売却代金や購入する家の床面積・敷地面積などに条件があり、要件を満たすと売却益への課税を将来に繰り延べられます。

売却益が出た場合の課税繰り延べ

買換え特例は税金が免除されるわけではなく、新しい家を将来売るときまで課税を先送りする制度です。居住用財産の3,000万円特別控除や軽減税率の特例とは併用できないため、どちらが有利かは売却益の額や今後の売却予定によって変わります。適用要件は改正されることがあるため、2026年9月時点の条件は税務署や税理士に確認してから選ぶ必要があります。

買換え特例は課税を先送りする仕組みなので、将来売るときの税負担まで含めて比較することをおすすめします。

相続した空き家を売却する場合の3,000万円特別控除

親などから相続した家を売る場合は、被相続人(ひそうぞくにん、亡くなった人)の居住用財産を対象にした3,000万円特別控除を使える場合があります。2024年1月1日以後の譲渡では、この特例の適用を受ける相続人が3人以上いる場合、控除額は1人あたり2,000万円に調整されます。空き家の状態や耐震性、売却時期など細かい条件があるため、相続した家の売却を検討する段階で早めに確認しておく必要があります。

相続した戸建てが売れるまでの期間の目安は中古住宅が売れるまでの期間はどのくらい?で解説しています。

相続した家の軽減措置は要件が細かいので、相続発生後できるだけ早く専門家に相談することをおすすめします。

軽減措置を使うための確定申告の流れ

軽減措置は売却するだけでは適用されず、売却の翌年に行う確定申告で手続きして初めて反映されます。マンションを売ってから確定申告までの流れを押さえておくと、必要書類の準備に慌てずに済みます。

1
売買契約・引き渡しを終える
マンションの売買契約と引き渡しを完了させる
2
対象になる軽減措置を確認する
所有期間や居住実態から使える制度を絞り込む
3
必要書類を準備する
登記事項証明書・売買契約書の写しなどをそろえる
4
確定申告書と内訳書を作成する
譲渡所得の内訳書に軽減措置の内容を記載する
5
税務署へ申告・納税する
売却した翌年の2月16日〜3月15日に手続きする

どの段階で何を準備すればよいかは、上から順に進めることで確認できます。

確定申告の期間は売却した翌年の2月16日から3月15日までで、期限を過ぎると延滞税がかかる場合があります。

軽減措置を適用する前に確認したい注意点

軽減措置の多くは併用に制限があり、3,000万円特別控除と買換え特例は同時に使えません。また前年・前々年に同じ特例を受けている場合は使えない制度もあるため、過去の確定申告の内容を確認しておく必要があります。制度の適用要件は税制改正で変わることがあるため、2026年9月時点の最新条件は国税庁の案内や税理士に確認してから申告してください。

軽減措置の判断に迷ったら、不動産会社の担当者だけでなく税理士にも相談すると安心です。

よくある質問

軽減措置は複数同時に使えますか?

居住用財産の3,000万円特別控除と軽減税率の特例は併用できますが、買換え特例はこれらと選択適用になるため同時には使えません。売却益の額や住み替えの予定に応じて、どちらが有利か比較する必要があります。

売却で利益が出なかった場合も軽減措置は関係ありますか?

売却益が出ない場合、本記事で紹介した軽減措置を使う必要はありません。譲渡損失が出た場合は別の損益通算の特例が設けられているため、該当する場合は税理士に確認することをおすすめします。

確定申告をしないと軽減措置は受けられませんか?

軽減措置は確定申告で手続きして初めて適用されるため、申告しなければ軽減されず、本来より多い税金を納めることになります。

住み替え先の購入時にも軽減措置はありますか?

住宅用家屋の登録免許税や不動産取得税にも軽減措置があり、新居を購入する際に対象になる場合があります。適用条件は購入する家の種類や築年数によって異なるため、個別に確認が必要です。

自分のマンションに軽減措置が使えるか、売る前に調べる方法はありますか?

所有期間や居住実態、過去の特例の利用状況を整理したうえで、不動産会社の査定を受けながら税理士や税務署に相談する方法が確実です。売却相場の把握には匿名査定を使う方法もあり、匿名査定・AI査定はどこまで正確?精度の限界と賢い使い方で解説しています。

マンション売却の軽減措置とは|条件を確認してから確定申告に臨みましょう

マンション売却にかかる譲渡所得税は、居住用財産の3,000万円特別控除や軽減税率の特例、買換え特例、相続した空き家の特例など複数の軽減措置によって負担を減らせます。ただし併用の制限や前年・前々年の適用履歴などの条件があり、自己判断だけで進めると本来使える控除を見落とすおそれがあります。ぜひ本記事の軽減措置の種類と適用条件を参考に、確定申告の前に対象になる制度を確認してください。

出典

  • 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
  • 国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
  • 国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」
  • 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
  • 国税庁「土地建物の譲渡所得に対する税金」
  • 国税庁「税理士法違反行為Q&A」(税理士法第2条・第52条)
あなたへのおすすめ