不動産買取業者の中に潜む悪質業者の特徴・見分け方・対処法を解説
老朽化した自宅の売却を検討し、不動産買取業者を探し始めると、売却相場より高い査定額を提示する会社や、契約を急ぐよう勧める会社が検索結果に並びます。宅地建物取引業法では、宅地建物取引業を営むには宅地建物取引業の免許(第3条)が必要で、過去に業務停止などの行政処分を受けた会社は、国土交通省のネガティブ情報等検索システムで確認できます。査定額の根拠や宅地建物取引業の免許の状況を契約前に確認できれば、価格を吊り上げたあとで値下げを迫るような会社を避けやすくなります。
本記事では、悪質な不動産買取業者の特徴・見分け方・契約後の対処法を解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 老朽化した自宅を売ろうと業者を探し始めたところで、悪質な買取業者に当たったらどうしようと不安を感じている方
- 査定額を吊り上げて後から値下げを迫る手口があると耳にし、依頼前にどんな業者なら安心して任せられるか知りたい方
- 何から始めるべきか順番が分からず、悪質業者を見分けられずに契約してしまうことを避けたいと考えている方
不動産売却における不動産買取業者とは|仲介との違いと悪質な不動産買取業者が生まれる背景
不動産買取は、不動産会社が直接の買主となって物件を購入する売却方法です。広く買主を探す仲介と異なり、不動産会社と直接交渉して売買契約を結ぶため、買主を探す期間がなく、早ければ数週間で現金化できます。一方で、買い取った不動産会社は転売やリフォームをして利益を出す必要があるため、買取価格は仲介で売却した場合の取引価格より低くなる傾向があります。仲介と買取のどちらを選ぶかで、売却にかかる期間と手取り額の両方が変わるため、違いを理解したうえで不動産会社を比較する必要があります。仲介と買取の違いは仲介と買取どっちがいい?違いとメリット・デメリットで解説しています。
この早期現金化という仕組みにつけ込み、売却相場とかけ離れた条件を提示したり、契約後に不利な事情をあとから持ち出したりする会社が一定数存在します。悪質な不動産買取業者は、売り急いでいる人や、老朽化した物件で他に買い手が付きにくいと感じている人をねらう傾向があります。
買取は早さが魅力ですが、価格の根拠を示さない会社には注意が必要です。
査定額を吊り上げて契約を急がせる|悪質な不動産買取業者の手口
悪質な不動産買取業者の手口にはいくつかの共通点があります。契約内容が固まる前の段階で、次のような言動が見られたら注意が必要です。
売却相場より高い査定額を提示して契約を急がせる
他社より明らかに高い査定額を提示し、「今日中に契約すれば」「他に検討している人がいるので」と即日の判断を迫る会社は注意が必要です。複数の不動産会社に査定を依頼し、匿名査定で売却相場の目安を先に把握しておくと、提示額が市場の水準からどれだけ外れているか判断しやすくなります。匿名査定の使い方は匿名査定と一括査定の違い|営業電話なしで相場を知る使い分けで解説しています。
契約後に理由をつけて買取価格を値下げする
契約締結後、建物調査や法務局での確認を理由に、「想定より傷みがひどい」「境界が確定していない」などと伝え、当初の査定額から大幅に減額を求めてくる会社があります。買取査定の根拠となった調査内容と、減額の理由に食い違いがないか、書面で確認することが欠かせません。
重要事項の説明を省略または形だけで済ませる
契約内容の説明を簡単に済ませ、署名だけを急がせる会社は、あとになって「説明を受けていない条件」が出てくるリスクがあります。説明の途中で分からない点があれば、その場で質問し、口頭での回答も含めて書面やメールで記録に残しておくことが安全です。
即日契約を迫られたら、いったん持ち帰って他社の査定額と比べる時間を確保してください。
宅地建物取引業の宅地建物取引業の免許と行政処分歴で見分ける不動産買取業者の信頼度
不動産買取業を営むには、宅地建物取引業法第3条に基づく宅地建物取引業の免許が必要です。宅地建物取引業の免許の有無と過去の行政処分歴を確認するだけでも、悪質な不動産買取業者を避ける手がかりになります。
免許番号の更新回数を確認する
宅地建物取引業の宅地建物取引業の免許は5年ごとに更新され、免許番号のカッコ内の数字が更新回数を示し、数字が大きいほど長く営業を続けていることになりますが、新規の不動産会社がすべて問題というわけではありません。国土交通省の宅建不動産会社検索システムで、免許番号と事務所の所在地が実際の会社情報と一致しているかを確認できます。
ネガティブ情報等検索システムで行政処分歴を調べる
過去に業務停止命令などの行政処分を受けた不動産会社は、国土交通省のネガティブ情報等検索システムで検索でき、行政処分歴があるからといって一律に取引を避けるべきとは限りませんが、処分の内容と時期を確認し、現在の対応と照らし合わせて判断することが大切です。
免許番号と行政処分歴の確認は無料でできるので、契約前に必ず目を通しておきたい手順です。
不動産売却の契約前に確認したい書類|査定根拠と媒介契約書
悪質な不動産買取業者とのトラブルの多くは、口頭でのやり取りだけで話が進み、書面に残らないことから起きます。契約前に確認すべき書類を押さえておくと、あとから言った言わないの争いになりにくくなります。
買取価格の根拠となる調査結果や、物件のどの部分を評価してその金額になったのかを、口頭だけでなく書面で提示してもらい、売買契約書の案を事前に受け取り、手付解除や契約不適合責任に関する条項、違約金の金額などを確認する時間を取ることも欠かせません。仲介で売却を進める場合は、不動産会社と結ぶ媒介契約の種類によって、他社への依頼の可否やレインズへの登録義務が変わります。媒介契約の種類は媒介契約の種類|専属専任・専任・一般の違いと選び方で解説しています。
契約書の案は、署名する前に一度持ち帰って読み込む時間をもらうようにしてください。
悪質な不動産買取業者と契約してしまったときの対処法
宅地建物取引業法第37条の2には、宅建不動産会社の事務所等以外の場所で契約した買主が一定期間内に申込みを撤回できる、いわゆるクーリングオフの規定があります。ただし、この規定は宅建不動産会社が自ら売主となる取引で、個人が買主の立場になる場合を想定したものです。不動産買取では個人が売主、不動産会社が買主となるため、この規定が直接適用されない点に注意が必要です。
契約してしまったあとで条件の不当さに気づいた場合は、まず契約書に手付解除の条項がないかを確認します。手付金を放棄する、または受け取った手付金の倍額を提供することで、一定期間内であれば契約を解除できる場合があります。説明と異なる内容で契約させられた疑いがある場合は、最寄りの消費生活センターや、都道府県の宅地建物取引業担当窓口に相談する方法もあります。契約内容が複雑で自己判断が難しいときは、早い段階で弁護士や司法書士に相談することが、被害の拡大を防ぐことにつながります。
買取契約にクーリングオフが使えるとは限らないため、契約前の確認がいちばんの対策になります。
不動産売却で安心できる不動産買取業者を選ぶ手順
ここまでの内容を踏まえて、不動産買取業者を選ぶときの進め方を手順にまとめます。
匿名査定で売却相場の目安を把握する
国土交通省の検索システムで調べる
口頭だけの説明で終わらせない
手付解除・契約不適合責任の条項を確認
疑問点はその場で質問し記録に残す
複数社を比較し、宅地建物取引業の免許と行政処分歴を確認したうえで契約書を読み込むという順序を守るだけで、悪質な不動産買取業者と契約してしまう可能性を大きく下げられます。売却全体の流れは不動産売却の流れ|査定から引き渡しまでの7ステップで解説しています。
手順を1つ飛ばしただけで判断材料が減るので、面倒でも順番どおりに進めてください。
よくある質問
不動産買取業者の査定額が、他社と比べて極端に高いときはどう判断すればいいですか?
売却相場とかけ離れた査定額は、契約後の値下げ交渉や仲介手数料の上乗せを前提にしている場合があります。匿名査定などで複数社の金額を比較し、高い査定額を出した会社には金額の根拠を具体的に説明してもらいましょう。
宅地建物取引業の宅地建物取引業の免許を持っていない会社と契約してしまったら、どうなりますか?
宅地建物取引業の宅地建物取引業の免許なしに不動産の売買を事業として繰り返す行為は宅地建物取引業法違反にあたります。契約前に国土交通省の宅建不動産会社検索システムで宅地建物取引業の免許の有無を確認し、宅地建物取引業の免許が確認できない会社との契約は避けてください。
行政処分歴がある不動産会社とは、一切取引しない方がいいですか?
行政処分歴があるからといって現在も問題のある営業をしているとは限りません。処分の内容と時期、現在の対応状況を確認したうえで、不安が残る場合は他の不動産会社も比較検討することをおすすめします。
契約書に署名したあとでも、クーリングオフで契約を解除できますか?
不動産買取は個人が売主、不動産会社が買主となる取引のため、宅地建物取引業法上のクーリングオフの規定は原則として適用されません。解除したい場合は、契約書の手付解除条項などを確認する必要があります。
老朽化した自宅でも、悪質な業者を避けながら買取を依頼できますか?
老朽化した物件は買主が付きにくく買取を検討する人が多い分、足元を見られやすい面があります。複数社を比較し、宅地建物取引業の免許と行政処分歴を確認したうえで契約を進めれば、老朽化した自宅でも条件を比較しながら不動産会社を選べます。
不動産買取業者悪質を見分けて安全に売却を進めるために
悪質な不動産買取業者は、売却相場より高い査定額で契約を急がせたり、契約後に理由をつけて価格を下げたりする手口を使います。宅地建物取引業の宅地建物取引業の免許と行政処分歴を国土交通省のシステムで確認し、査定の根拠と契約書の内容を書面で確かめることで、こうしたトラブルの多くは事前に避けられます。ぜひ本記事で解説した手順を参考に、契約を急がずに複数の不動産会社を比較しながら、安全な不動産売却を進めてください。
出典
- 国土交通省「宅地建物取引業法」
- 国土交通省「宅建不動産会社検索システム」
- 国土交通省「ネガティブ情報等検索システム」
- 国民生活センター
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
