マンションの売り時はいつ?判断基準を解説
築16年を超えたマンションに転勤や住み替えの予定が重なると、今が売り時なのか、もう少し待つべきなのかの判断がつきません。国土交通省の不動産価格指数(住宅)では、マンションの取引価格は全国的に上昇傾向が続いており、築年数だけで売り時を決められなくなっています。
マンションの売り時は、築年数による価格の下落傾向、住宅ローンの金利や市場の需給動向、住宅ローンの残債状況、譲渡所得税の特例が使える期間、転勤や子の独立といった家庭の事情という5つの基準を重ね合わせて判断します。
本記事では、この5つの基準の具体的な見方と、査定から引き渡しまでの売却の流れを解説します(2026年9月時点の情報です)。
この記事はこんな方に向いています
- 子の独立を機に築16年のマンションの売り時を見極めたいと考えている45歳会社員の方
- 何から判断すればいいか分からず、今売るべきか待つべきか基準を知りたいという方
- 査定に出したら売却を断れなくなる気がして、まず判断材料だけを集めたいという方
マンションの売り時はいつ?判断に使う5つの基準
マンションの売り時は、一つの指標だけで決まりません。次の5つの基準を重ね合わせて、今のタイミングが自分の状況に合っているかを確かめます。
- 築年数による価格の下落傾向
- 市場全体の価格動向と住宅ローン金利の水準
- 住宅ローンの残債と売却価格の関係
- 譲渡所得税の特例が使える期間
- 転勤・子の独立・相続など家庭の事情
この5つのうち、家庭の事情だけで売却を決めてしまうと、価格面で損をしやすくなります。残りの4つの基準を確認してから、売却のタイミングを決めてください。
5つの基準は優先順位より「重なっているか」が大切です。1つだけで決めないでください。
築年数で見るマンション売却相場の下がり方
マンションの売却価格は、新築から10年前後までの下落が大きく、その後は下落の勢いが緩やかになる傾向があります。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が公表する築年数別の中古マンション成約状況の調査でも、築年数の経過に応じてマンション価格が段階的に下がる傾向が確認できます。
築16年前後のマンションは、下落が緩やかになった時期にあたり、価格の下がり方だけを見れば急いで売る必要性は高くありません。ただし、立地や管理状態によっては築年数が同じでも売却相場に差が出るため、エリアの取引価格も確認します。売却相場の見当をつける方法として、マンションの匿名査定を使う方法もあります。
築年数の下落傾向はエリア全体の傾向です。管理状態やリフォーム履歴で個別に差が出る点は査定で確認してください。
住宅ローン金利とマンション市場の動向から探る売り時
マンションの売却相場は、築年数だけでなく、市場全体の需給と住宅ローンの金利水準によっても動きます。住宅ローンの金利が上昇すると、購入者が組めるローンの金額が小さくなり、マンションの購入需要が落ち込みやすくなります。
2026年9月時点では、住宅ローンの金利動向が中古マンションの取引量に影響を与えやすい状況が続いています。金利の先行きは専門家でも見通しが分かれるため、金利だけを理由に売却を先延ばしにすると、築年数の経過による価格の下落と重なり、かえって不利になる場合があります。
金利の先読みで売却を何年も待つより、今の相場を査定で確認してから判断する方が現実的です。
家族のライフイベントとマンションの売り時
転勤や子の独立、親からの相続といった家庭の事情は、売却のタイミングを決める大きなきっかけになります。ただし、事情が重なったときほど、住宅ローンの残債と税金の特例を確認せずに売却を進めてしまいがちです。
住宅ローンの残債と売却価格の関係
マンションを売却するには、売却代金で住宅ローンの残債を完済し、抵当権(ていとうけん=ローンの担保として設定された権利)を抹消する必要があります。売却価格が残債を下回ると、差額を自己資金で用意するか、買い替えローンを組むなどの対応が必要になります。
残債の金額は金融機関から取得できる返済予定表で確認できます。売却相場の見当と残債を照らし合わせてから、売却のタイミングを決めてください。
譲渡所得税の特例が使える期間
マイホームを売却して利益(譲渡所得)が出た場合、自己の居住用財産を売却するなど一定の条件を満たせば、所有期間や居住期間の長さにかかわらず、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特別控除が使えます。この特例は住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却するという期限があります。
転勤で住まなくなったマンションを売却する場合、この期限を過ぎると特例が使えなくなり、税負担が重くなります。適用条件は2026年9月時点のものであり、改正される可能性があるため、売却前に税務署か税理士に確認してください。
3,000万円特別控除の期限は「転居した日」が起点です。転勤の発令日ではないので日付を確認してください。
査定から引き渡しまで|マンション売却の流れと手順
マンションの売却は、査定を受けただけで売却が確定するわけではありません。査定後に媒介契約(ばいかいけいやく=売却を依頼する契約)を結んでから、実際の販売活動が始まります。
査定と媒介契約までの準備
最初に複数の不動産会社にマンションの査定を依頼し、売却相場の見当をつけます。査定の結果に納得できなければ、その時点で売却をやめることもできます。不動産売却を進める場合は、媒介契約を結んで不動産会社に販売活動を任せます。
媒介契約には、1社だけに依頼する専属専任媒介契約と専任媒介契約、複数社に同時に依頼できる一般媒介契約の3種類があります。専属専任・専任媒介契約を結んだ不動産会社は、不動産情報のネットワークであるレインズに物件情報を登録する義務があり、他の不動産会社からの問い合わせも集めやすくなります。
内覧から引き渡しまでの販売活動
媒介契約後は、不動産会社が広告や内覧の対応を進めます。購入希望者が見つかったら、売買契約を結び、手付金を受け取ります。その後、住宅ローンの残債を完済して抵当権を抹消する手続きと、買主への所有権移転登記(とうき=権利関係を公的な記録に反映させる手続き)を同時に行い、引き渡しが完了します。
マンション売却は査定から引き渡しまで次のような手順で進みます。
匿名査定や訪問査定で売却相場の見当をつける
専属専任・専任・一般から契約タイプを選ぶ
広告掲載とレインズ登録で購入希望者を探す
価格と引き渡し条件を確定させる
抵当権抹消と所有権移転登記を同時に行う
媒介契約から引き渡しまでに数カ月かかることが多いため、転勤までの期間を踏まえて早めに動き始めます。
内覧対応の期間は物件や時期で変わります。転勤の発令から逆算して媒介契約の時期を決めてください。
不動産会社の選び方|マンションの売り時を逃さないために
売却のタイミングが合っていても、不動産会社の選び方を誤ると、販売期間が延びて価格の下落に巻き込まれます。複数の視点から不動産会社を比較します。
査定を依頼する際の比較ポイント
まずは1社だけでなく複数の不動産会社に査定を依頼し、提示された売却価格と根拠の説明を比べます。営業電話を避けたい場合は、個人情報を伏せたまま売却相場を調べられるマンションの匿名査定から始める方法もあります。匿名査定と一括査定では精度や連絡の受け方が異なるため、匿名査定と一括査定の違いを踏まえて使い分けてください。
契約前に確認したい会社の実績
媒介契約を結ぶ前に、担当する不動産会社がマンションの売却実績を持っているか、宅地建物取引業の免許の有無と行政処分歴を確認します。都道府県や国土交通省のサイトで免許番号から確認できます。査定価格の高さだけで不動産会社を決めると、実際の販売活動で価格を下げる交渉が続く場合があります。
査定価格が極端に高い不動産会社は、媒介契約を取るための高値提示の場合があります。根拠の説明も必ず聞いてください。
内覧準備と価格設定|マンションを高く売るコツ
マンションの売却価格は、売却相場を踏まえた最初の価格設定と、内覧時の印象で変わります。売却相場より大きく上回る価格で売り出すと、内覧の申し込み自体が減り、販売期間が延びて結果的に値下げが必要になる場合があります。
内覧前には、水回りの清掃や不要な家具の整理をしておくと、購入希望者に部屋の広さが伝わりやすくなります。売却価格を決めるときは、仲介手数料や住宅ローンの残債、譲渡所得税を差し引いたあとに手元に残る金額まで見込んでおくと、値下げの交渉に応じられる範囲が分かります。手元に残る金額の計算方法はマンション売却で手元に残る金額の計算方法で解説しています。
内覧の第一印象は玄関と水回りで決まりやすいです。家具の整理は売り出し前に済ませてください。
よくある質問
築16年のマンションは売り時として遅すぎますか?
遅すぎるとは言えません。築10年前後までの下落が大きく、その後は下落が緩やかになる傾向があるため、築16年であれば価格の下がり方よりも市場動向や家庭の事情を優先して判断できます。
査定を受けたら必ず売却しなければいけませんか?
不動産の査定を受けただけでは売却は確定しません。不動産の査定はあくまで売却価格の見当をつける作業であり、結果に納得できなければ媒介契約を結ばずに見送ることもできます。
転勤までの期間が短い場合、どう進めればいいですか?
媒介契約から引き渡しまでに数カ月かかることが多いため、転勤の予定が決まった時点で複数の不動産会社に査定を依頼し、早めに媒介契約を結ぶ準備を始めます。
売却と賃貸、どちらが得か迷っています。
賃貸に出すと家賃収入が得られますが、空室時の管理費や修繕費、入居者対応の負担が続きます。住宅ローンが残っている場合は賃貸用のローンへの切り替えが必要になることもあるため、金融機関に確認した上で比較してください。
譲渡所得税の特例はいつまで使えますか?
マイホームを売ったときの3,000万円特別控除は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。適用条件は2026年9月時点のものであり、税理士や税務署で最新の内容を確認してください。
マンションの売り時を見極めて納得できる売却につなげる
マンションの売り時は、築年数による価格の下落傾向、市場の需給と住宅ローン金利、住宅ローンの残債、譲渡所得税の特例が使える期間、家庭の事情という5つの基準を重ね合わせて判断します。一つの基準だけに頼ると、価格面か税金面のどちらかで不利になります。ぜひ本記事の5つの基準を参考に、査定を比較しながら自分の状況に合った売却のタイミングを見極めてください。
出典
- 国土交通省「不動産価格指数(住宅)」
- 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「築年数別中古マンション成約状況」
- 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
- 国税庁「土地や建物を売ったときの税金(譲渡所得税)」
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
