マンション査定の注意点とは?失敗しないコツを解説
マンションの査定を複数の不動産会社に依頼すると、同じ物件なのに提示額が数百万円単位で食い違うことがあります。宅地建物取引業法34条の2第2項は、不動産会社が査定額などの意見を述べるときはその根拠を明らかにするよう義務づけていますが、根拠の説明があいまいなまま高値を提示する不動産会社も存在します。
査定額の差に振り回されないためには、匿名査定で複数社の目安額を比較し、訪問査定では算出根拠を必ず質問することが欠かせません。
本記事では、マンション査定で失敗しないための注意点とポイント、個人情報の扱いや断り方まで解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 築20年のマンションを初めて査定に出す前に、失敗しないための注意点をひと通り確認しておきたい51歳の方
- 相場より高すぎる査定額を提示されて後で値下げを迫られたという話を聞き、警戒心を強めている方
- 訪問査定を依頼すると個人情報がどう扱われるのか気になり、断り方も含めて事前に知っておきたい方
マンション査定で不動産会社が確認するポイント
マンション査定では、専有面積や間取りといった基本情報に加え、建物全体の管理状態や周辺の取引事例まで幅広く確認されます。確認される項目を事前に知っておくと、査定額の根拠を聞いたときに不動産会社の説明が妥当かどうか判断しやすくなります。
築年数と管理状態・修繕積立金の確認
築年数や階数、方角だけでなく、管理費や修繕積立金に滞納がないか、大規模修繕の実施履歴があるかも査定額に影響します。管理組合の議事録や長期修繕計画書を用意しておくと、不動産会社が根拠を示しやすくなります。
立地と取引事例(周辺相場)の確認
不動産会社は国土交通省の指定流通機構(レインズ)に登録された近隣の成約事例を参照し、同じマンション内や近隣物件の取引価格を基に査定額を算出します。タワーマンションのように高層階で価格差が大きい物件では、階数や眺望による査定の見方が一般的なマンションと異なり、タワーマンションの査定と相場で解説している階層別の価格傾向が参考になります。
修繕積立金の滞納があると査定額が下がることもあるため、管理費の支払い状況は先に確認しておきましょう。
査定額が売却相場より高すぎるときの注意点
宅地建物取引業法34条の2第2項は、不動産会社に査定根拠の説明を義務づけています。それでも売却相場とかけ離れた高値を提示する不動産会社が存在するため、提示額だけで判断しないことが重要です。
高すぎる査定額が出る理由
媒介契約を結んでもらうために、取引事例の裏付けが薄いまま高めの査定額を提示する不動産会社があります。この方法は「高値査定」と呼ばれることもあり、売却活動を始めてから値下げを提案される原因になります。
値下げ交渉のタイミングに注意する
媒介契約を結んだ直後は問題なくても、売却開始から1〜2か月で反響が少ないことを理由に値下げを打診されるケースがあります。不動産の査定を受けた段階で、提示額の根拠となる取引事例や坪単価を具体的に説明してもらい、その場でメモしておくと後から比較できます。
根拠を聞いて曖昧な返答しかない場合は、他の不動産会社の査定額と見比べてから判断してください。
匿名査定と訪問査定|マンション売却前の使い分け
マンション査定には、住所の詳細や個人情報を伝えずに目安額を知る匿名査定と、不動産会社の担当者が現地を訪れて算出する訪問査定があります。匿名査定と一括査定の違いで解説しているとおり、まず匿名査定で複数社の目安額を比較してから、訪問査定に進む不動産会社を絞り込む流れが営業電話を抑えるうえで有効です。
マンション査定から媒介契約までの流れは、次のステップで進みます。
レインズの取引事例や公的データで目安を把握
住所の詳細や個人情報を伝えずに複数社の価格帯を比較
査定根拠の説明が丁寧な2〜3社に絞り込む
物件の状態を確認してもらい、氏名・住所・連絡先を伝える
取引事例や坪単価の説明を確認する
説明に納得できた不動産会社と媒介契約を結ぶ
匿名査定から訪問査定へ段階的に進むことで、個人情報を渡す前に複数社の査定を比較できます。
匿名査定の段階で住所まで細かく入力を求められる場合は、その時点で違和感を持って構いません。
複数社を比較するときに見るべき査定のポイント
訪問査定を受けたあとは、金額だけでなく説明の中身を比較することが、マンション査定で失敗しないポイントです。
査定額の差と根拠
各社の査定額に数百万円の差があるときは、どの取引事例を参照したか、専有面積あたりの単価をどう算出したかを聞き比べます。投資用マンションの場合は収益還元法という別の計算方法が使われるため、自己使用目的の物件と単純比較できない点にも注意が必要で、投資用マンションの査定と相場で解説している算出方法の違いを押さえておくと誤解を避けられます。
担当者の説明と対応
査定額の根拠を聞いたときに、資料を示しながら具体的に答えられるかどうかも比較の対象になります。曖昧な返答を繰り返す担当者は、売却活動が始まってからも説明が不十分になりがちです。
査定額の高さだけでなく、担当者が売却後の流れまで説明してくれるかも比較材料にしてください。
訪問査定で個人情報はどこまで必要か
訪問査定を申し込む際に必要な個人情報は、基本的に氏名・住所・電話番号・物件情報の範囲にとどまります。個人情報保護法では、取得した個人情報を査定や連絡の目的外に利用することが制限されており、必要以上に家族構成や住宅ローンの残債額まで細かく聞かれる場合は、本来の査定目的を超えていないか確認した方がよいでしょう。
入力フォームで任意項目まで埋める必要はなく、必須項目だけで査定の申し込みは進められます。
マンション査定を断るときの伝え方と注意点
宅地建物取引業法施行規則では、契約を締結しない意思を示した相手に勧誘を続けることを禁止しており、マンション査定を断ったあとに繰り返し連絡が来る場合はこの規定に反する可能性があります。断るときは「他社に依頼することに決めました」とはっきり伝え、連絡を停止してほしい旨も合わせて伝えると、その後の営業連絡が落ち着きやすくなります。
断る連絡はメールよりも電話の方が確実に伝わりますが、記録を残したい場合は両方使うと安心です。
必要書類と確認事項|マンション査定前の準備
マンション査定の前に、登記簿謄本、購入時の重要事項説明書、管理規約、固定資産税納税通知書を手元に用意しておくと、不動産会社が査定額の根拠を説明しやすくなります。管理規約には専有部分の使用制限が記載されていることがあり、ペット飼育や楽器演奏に関する制限が査定額の説明材料に使われる場合もあります。
書類がすぐに見つからない場合は、管理会社に相談すると再発行してもらえることが多いです。
よくある質問
査定額と実際の売却価格は同じですか?
査定額は不動産会社が見立てた目安の価格であり、実際の売却価格は買主との交渉や市場の動きによって変わります。
マンション査定は無料ですか?
匿名査定・訪問査定とも、多くの不動産会社で査定自体の料金はかかりません。ただし訪問査定後は営業連絡が来ることがあるため、その点は事前に想定しておくと安心です。
匿名査定だけで売却を進められますか?
匿名査定は目安額を把握する段階にとどまり、実際にマンションを売却するには訪問査定を受けて媒介契約を結ぶ必要があります。
査定を依頼したら必ず契約しなければなりませんか?
不動産の査定を受けたからといって媒介契約を結ぶ義務はなく、複数社の査定額や対応を比較してから決めて問題ありません。
訪問査定を断るとしつこく営業されますか?
宅地建物取引業法施行規則では契約しない意思を示した相手への勧誘継続を禁止しており、断る意思をはっきり伝えれば、不要な連絡を控えるよう求めることができます。
マンション査定の注意点とポイントを踏まえて進めましょう
マンション査定では、提示された金額の高さだけでなく、根拠の説明と担当者の対応を見極めることが欠かせません。匿名査定で複数社の目安額を比較してから訪問査定に進み、個人情報の提供範囲や断り方も事前に把握しておけば、高すぎる査定額に振り回されずに済みます。ぜひ本記事のマンション査定の注意点とポイントを参考に、納得できる不動産会社選びを進めてください。
出典
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」
- e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」
- 国土交通省「指定流通機構(レインズ)について」
- 国土交通省『価格査定マニュアルの改訂経緯(一部抜粒)宅地建物取引業法第34条の2第2項』
