不動産売却でかかる費用一覧|仲介手数料・税金・登記費用も解説
自宅や親から引き継いだ土地を売ると決めても、不動産会社に支払う仲介手数料、売買契約書に貼る印紙税、売却益にかかる譲渡所得税、法務局に納める登録免許税など、支払う項目は10種類近くに上ります。仲介手数料の上限は宅地建物取引業法に基づく告示で「売買価格×3%+6万円(税別)」と決まっているように、不動産売却でかかる費用の多くは計算方法が公的に定められています。本記事では、不動産売却費用一覧として各項目の内訳と売却相場を示し、手取り額を見積もる不動産売却 諸費用シミュレーションの考え方も解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 自宅の売却を決めたが仲介手数料・税金・登記費用など項目が多く、総額の見通しが立たず戸惑う50歳の方
- 確定申告を控え、手元にいくら残るかを把握するために費用の全体像を一覧で確認したいと考えている方
- 初めての売却で諸費用の内訳を知らないまま契約を進めることに不安を感じ、事前に整理しておきたい方
不動産売却費用一覧|仲介手数料から登記費用までの内訳
不動産売却費用一覧は、大きく「不動産会社に支払う費用」「国や自治体に納める税金」「司法書士や土地家屋調査士に支払う費用」の3つに分かれます。仲介手数料が中心ですが、売買契約書の印紙税、抵当権抹消登記にかかる登録免許税(所有権移転登記の登録免許税は取引の慣行上、通常買主が負担します)、譲渡所得税と住民税、引っ越しや測量が必要な場合の実費も加わります。相続した土地を売る場合は、さらに相続登記の費用が上乗せされます。
不動産売却の流れ全体を先に押さえておきたい方は、不動産売却の完全ガイド|流れ・費用・税金と高く売るコツで全体像を解説しています。
費用の項目数だけ見て不安になる方が多いですが、金額の大半は仲介手数料と税金の2つに集中しています。
土地売却の仲介手数料はいくら?不動産売却費用の計算方法
土地や家を売却する際、不動産会社に支払う仲介手数料の上限は、売買価格400万円超の場合「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた金額です。たとえば売買価格が3,000万円であれば、3,000万円×3%+6万円=96万円に消費税10%を加え、約105万6,000円が上限になります。売買価格1,000万円であれば約39万6,000円が上限です。
この仲介手数料は、不動産会社が物件情報を不動産流通機構(レインズ)に登録し、販売活動を行った対価として支払われます。媒介契約の種類によってレインズへの登録義務の有無が変わる点は、レインズとは?不動産売却での登録義務で解説しています。仲介手数料は原則として売買契約の成立時と引き渡し時の2回に分けて、半額ずつ支払うことが一般的です。
仲介手数料は上限額であり、実際の金額は媒介契約書に明記されているかを必ず確認してください。
物件の売買契約から引き渡しまでにかかる税金の種類
不動産の売買契約を結んでから引き渡しが終わるまでには、印紙税・登録免許税・譲渡所得税の3種類の税金がかかります。それぞれ課税のタイミングと計算の仕組みが異なるため、別々に把握しておく必要があります。
印紙税と登録免許税
印紙税は売買契約書に収入印紙を貼る形で納める税金で、契約書に記載された金額に応じて税額が決まります。登録免許税は、住宅ローンが残っている場合の抵当権(ていとうけん・金融機関が担保として設定する権利)の抹消登記などにかかる税金で、登記の内容によって金額が変わります。
譲渡所得税と住民税の税率
売却益(譲渡所得)が出た場合は、所有期間に応じて税率が変わります。所有期間が5年を超える長期譲渡所得は20.315%、5年以下の短期譲渡所得は39.63%で、どちらも復興特別所得税を含んだ税率です。マイホームの売却であれば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があり、売った年の前年および前々年に同じ特例を受けていないことが条件になります。税金と費用の全体像は不動産売却にかかる税金と費用の全体像|いくら手元に残る?で解説しています。
3,000万円特別控除は前年・前々年の利用歴があると使えません。確定申告の前に適用条件を確認してください。
登記費用はいくら?不動産売却費用としての司法書士報酬と登録免許税の内訳
不動産売却にともなう登記費用は、登録免許税と司法書士への報酬の合計です。売主側では、住宅ローンが残っている場合の抵当権抹消登記、相続した土地を名義変更していない場合の相続登記などが必要になります。相続登記は不動産登記法第76条の2により法律上の義務とされ、正当な理由なく期限内に行わないと10万円以下の過料(行政上の制裁金)が科される場合があります。
登記事項証明書の交付手数料は、書面請求の場合1通600円、オンライン請求(郵送受取)の場合1通500円程度です。一方、地積測量図などの図面を書面請求する場合の手数料は450円から500円に改定されました。相続した土地を売却する前に名義を確認する際にも、これらの交付手数料がかかります。
相続登記が済んでいない土地は、そのままでは売却できません。早めに名義を確認してください。
境界未確定の土地にかかる測量費用と追加費用
親から引き継いだ土地は、隣接地との境界があいまいなまま放置されているケースが少なくありません。境界が未確定の場合、土地家屋調査士による測量と、隣接地所有者の立ち会いのもとでの境界確認が必要になり、通常の売却より費用と時間がかかります。
筆界確定測量にかかる費用
筆界(ひっかい・登記上定められた土地の境界線)が確定していない土地を売る場合、土地家屋調査士に依頼して筆界確定測量を行います。費用は土地の形状や隣接地の数、依頼先によって幅があるため、見積もりを複数の土地家屋調査士から取って比較することが現実的です。
地役権や囲繞地が絡む場合の追加費用
土地の一部に他人の通行のための地役権(ちえきけん・他人の土地を特定の目的で利用できる権利)が設定されている場合や、公道に接していない袋地(ふくろち・他の土地に囲まれて道路に出られない土地)にあたる場合は、権利関係の確認と調整に追加の手間と費用がかかります。これらの権利関係は登記事項証明書や公図で確認できますが、専門的な判断が必要なため、早い段階で土地家屋調査士や司法書士に相談しておくと、売却時の費用の見通しが立てやすくなります。
境界が未確定のまま売却活動を始めると、買主との交渉中にトラブルになりやすいため、測量は早めに進めてください。
不動産売却でかかる費用は、誰が誰に何を支払うのかを整理すると全体像がつかみやすくなります。
仲介手数料・税金・登記費用を負担
仲介手数料・登記費用・税金の受取先
売主が負担する費用は、不動産会社に支払う仲介手数料と、法務局・税務署に納める登記費用や税金の2つに分かれることが分かります。
相続した土地を売却するときにかかる不動産売却費用
相続した土地を売却する場合は、通常の仲介手数料・税金に加えて、相続登記の費用が必要になります。相続登記とは期限や不動産売却との関係を含めて相続登記とは?期限と不動産売却の関係で解説しています。
土地を複数の相続人で共有している場合、全員の合意がないと売却できません。共有名義のまま売却を進めると調整に時間がかかるため、売却代金を分けてから相続人それぞれが現金を受け取る換価分割という方法が使われることもあります。換価分割の税金と手続きは換価分割とは?不動産売却の税金と手続きで解説しています。また、相続した土地に管理が難しい負債や権利関係の問題が多い場合は、相続放棄という選択肢も検討されます。相続放棄と不動産売却の関係や期限は相続放棄とは?不動産売却との関係と期限で解説しています。
共有名義の土地は相続人全員の合意が前提です。換価分割や相続放棄の選択肢は早めに話し合っておいてください。
手取り額を計算する不動産売却 諸費用シミュレーション
不動産売却費用一覧を把握したら、売買価格から費用を差し引いた手取り額を見積もります。下の不動産売却 諸費用シミュレーションは、仲介手数料と主な税金のみを概算で示した一例です。実際の金額は所有期間や特例の適用有無によって変わるため、目安として確認してください。
| 項目 | 概算金額 |
|---|---|
| 仲介手数料(税込) | 約105万6,000円 |
| 印紙税 | 契約金額に応じて数千円〜数万円 |
| 登録免許税(抵当権抹消など) | 登記内容により数千円〜数万円 |
| 譲渡所得税・住民税 | 譲渡所得に対し20.315%(長期の場合) |
出典:国土交通省「宅地建物取引不動産会社が宅地又は建物の売買等に関して受けることのできる報酬の額」、国税庁「土地建物を売ったときの税金」をもとに作成
譲渡所得税は特別控除の適用で大きく変わるため、概算だけで判断せず確定申告前に税理士へ確認してください。
費用を抑えるコツと相談先|不動産売却
不動産売却費用を抑えるには、仲介手数料の割引交渉だけでなく、売買価格が800万円以下であれば「低廉な空家等」として媒介特例を活用できる場合があります。これは告示上の名称であり、空き家に限らず売買代金800万円以下の宅地又は建物全般が対象です。2024年7月1日に施行された制度で、売主・買主それぞれから受け取れる仲介手数料の上限が税込33万円まで引き上げられています。管理が難しい相続土地を安値で手放すケースでは、この特例が使える不動産会社に相談する価値があります。
境界確定や相続登記など専門的な手続きが絡む場合は、不動産会社だけでなく司法書士や土地家屋調査士にも早めに相談し、費用の見積もりを事前に取っておくと、売却までの資金計画が立てやすくなります。
低廉な空家の特例は売買価格800万円以下が条件です。査定額が近い場合は不動産会社に適用可否を確認してください。
よくある質問
不動産売却費用はいつ支払うのか?
仲介手数料は売買契約時と引き渡し時に半額ずつ支払うことが一般的です。登録免許税や司法書士報酬は引き渡し時にまとめて支払い、譲渡所得税は不動産を売却した翌年の確定申告時期にまとめて納めます。
仲介手数料以外に必ずかかる費用は何か?
売買契約書にかかる印紙税は、不動産会社を通さず個人間で売買する場合でも発生します。住宅ローンが残っている場合の抵当権抹消登記の登録免許税と司法書士報酬も、ほとんどのケースで必要です。
境界未確定の土地でも売却費用の見積もりはできるのか?
測量が終わる前でも、仲介手数料や税金のおおよその見積もりは可能です。ただし測量費用そのものは土地の形状や隣接地の数によって変わるため、土地家屋調査士に現地を見てもらってから正式な見積もりを取ることになります。
相続した土地を売ると費用はどのくらい増えるか?
通常の仲介手数料・税金に加え、相続登記にかかる登録免許税と司法書士報酬が上乗せされます。相続人が複数いる場合は、換価分割の手続き費用がさらに加わることもあります。
不動産売却 諸費用シミュレーションはどこで確認できるか?
国土交通省や国税庁の公表資料をもとに概算を計算できますが、正確な金額は不動産会社や税理士に査定額を伝えて試算してもらうのが確実です。本記事の表も、あくまで目安として利用してください。
不動産売却費用一覧を把握して手取り額を見積もろう
不動産売却でかかる費用は、仲介手数料・税金・登記費用の3つに整理すると全体像がつかめます。相続や境界未確定といった事情がある土地は、通常の費用に加えて相続登記や測量の費用が上乗せされる点も踏まえておく必要があります。ぜひ本記事の不動産売却費用一覧と不動産売却 諸費用シミュレーションを参考に、売却前に手取り額の見通しを立ててください。
出典
- 国土交通省「宅地建物取引不動産会社が宅地又は建物の売買等に関して受けることのできる報酬の額」
- 国税庁「土地建物を売ったときの税金」
- 国税庁「マイホームを売ったときの特例(3,000万円特別控除)」
- 法務省「登記手数料令」
- 法務省「登記手数料について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/)
- 法務省民事局「登記手数料令の一部改正」資料
- e-Gov法令検索「不動産登記法」
- 公益財団法人不動産流通推進センター 相談事例(2210-B-0311)
- 国土交通省告示(令和6年国土交通省告示第949号)第七/東京都住宅政策本部資料
- Wikipedia「袋地」/囲繞地通行権の解説
