不動産売却の業者選びで失敗しないポイントとは
初めてマンションを売ろうとして査定を申し込むと、数時間のうちに複数の不動産会社から電話がかかってきます。どの不動産会社に任せるかを決めないまま、査定額の大小だけで選んでしまう方は少なくありません。
不動産会社と結ぶ媒介契約には専属専任・専任・一般の3種類があり、レインズ(REINS、指定流通機構が運営する不動産情報交換システム)への登録義務や売主への報告の頻度は、宅地建物取引業法によって契約の種類ごとに定められています(2025年10月時点)。
本記事では不動産売却における業者選びの手順と、媒介契約の選び方、高く売るための比較ポイントを解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 資金需要で自宅を売ることになったが、業者選びを間違えて安く買い叩かれないか不安な方
- 初めての売却で複数社に査定を依頼すると営業電話が殺到すると聞き、事前に選び方の基準を知りたい方
- 離婚に伴う財産分与のため信頼できる業者を選びたいが、何を基準に比較すればよいか分からない方
不動産売却で不動産会社を間違えると何が起こるか
査定依頼フォームに自宅の住所を入力しただけで、複数の不動産会社から立て続けに電話がかかってくることがあります。急かされるように感じて、最初に連絡をくれた不動産会社とその場で媒介契約を結んでしまう方もいます。
しかし、査定額の高さだけで不動産会社を選ぶと、実際の売り出し価格との差に後から気づくケースがあります。査定額をあえて高く示し、媒介契約を取ってから値下げを提案する不動産会社も存在するため、査定額の根拠を説明できるかどうかを見極める必要があります。
媒介契約を結んだあと、不動産会社が買主候補の情報を他社に開示せず、自社で売主と買主の両方から仲介手数料を得ようとする「囲い込み」と呼ばれる行為も、不動産売却が長引く原因のひとつです。
査定額の理由を聞いても曖昧な返事しか返ってこない場合は、他の不動産会社の意見も聞いてみてください。
初めての不動産売却、流れと不動産会社のタイミング
不動産売却は、売却相場を調べてから不動産会社を選ぶまでの順番を間違えると、適正価格からかけ離れた条件で話が進んでしまいます。マンションや戸建てを初めて売る場合でも、次の流れを押さえておけば、どの段階で不動産会社を比較すべきかが分かります。
匿名査定や公的データで目安を把握する
一括査定か匿名査定か、連絡方法を選ぶ
成約事例や売り出し価格の説明があるか確認する
専属専任・専任・一般から契約の種類を選ぶ
報告の頻度や内覧の進め方を担当者と確認する
契約内容と決済・引き渡し日を確認する
売却相場を把握せずに査定を申し込むと、不動産会社から提示された査定額が高すぎないか、安すぎないかを自分で判断しづらくなります。
不動産売却全体の流れと費用、税金の目安は不動産売却の完全ガイドで解説しています。
売却相場を把握せずに査定を申し込むと、提示された金額の妥当性を自分で判断できません。
不動産会社選びで比較すべき3つの基準
不動産会社選びで比較すべき基準は、査定額の大小だけではありません。説明の根拠、仲介手数料を含めた費用の内訳、そして宅地建物取引業の宅地建物取引業の免許や行政処分歴の3点を確認すると、不動産売却を任せる相手を絞り込みやすくなります。
査定額の根拠と説明の仕方
周辺の成約事例や現在売り出し中の物件価格をもとに査定額を説明できる不動産会社は、その後の売却活動の見通しも立てやすい傾向があります。一方で、根拠を示さずに高い査定額だけを伝える不動産会社には注意してください。
仲介手数料と費用の内訳
仲介手数料の上限は、売買価格が400万円を超える場合「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた金額です。不動産売却にかかる費用には、仲介手数料のほかに登記費用や印紙税なども含まれるため、見積もりの段階で内訳を確認しておくと安心です。
宅地建物取引業の宅地建物取引業の免許と行政処分歴
不動産会社は宅地建物取引業の宅地建物取引業の免許を持たなければ営業できません。免許番号のカッコ内の数字は更新回数を示し、数字が大きいほど長く営業している目安になります。行政処分歴は都道府県や国土交通省のウェブサイトで確認できます。
不動産会社選びの具体的な基準は失敗しない業者選びの5つのポイントで解説しています。
免許番号の更新回数だけで判断せず、担当者の対応や説明の分かりやすさも合わせて確認してください。
媒介契約の種類と不動産売却のレインズ登録義務
不動産売却の媒介契約には専属専任・専任・一般の3種類があり、不動産会社がレインズに登録する義務や売主への報告の頻度が契約の種類ごとに異なります。
専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約の違い
専属専任媒介契約は1社だけに依頼し、自分で見つけた買主との直接契約もできない契約です。専任媒介契約も1社だけに依頼しますが、自分で見つけた買主とは直接契約できます。一般媒介契約は複数の不動産会社に同時に依頼できる契約です。
レインズ登録と業務報告の頻度
宅地建物取引業法では、専属専任媒介契約は契約から5日以内、専任媒介契約は7日以内にレインズへ登録する義務があります。業務報告の頻度は専属専任が1週間に1回以上、専任が2週間に1回以上と定められており、一般媒介契約にはどちらの義務もありません。
| 契約の種類 | 依頼できる不動産会社数 | レインズ登録 | 業務報告の頻度 |
|---|---|---|---|
| 専属専任媒介契約 | 1社のみ | 5日以内 | 1週間に1回以上 |
| 専任媒介契約 | 1社のみ | 7日以内 | 2週間に1回以上 |
| 一般媒介契約 | 複数社可 | 義務なし | 義務なし |
出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」第34条の2をもとに作成(2025年10月時点)
レインズに登録された情報がどう扱われるかはレインズとは?不動産売却での登録義務で解説しています。
一般媒介契約は複数社に頼める分、各社の売却活動への力の入れ方に差が出ることもあります。
一括査定サイトと不動産売却ランキングを使うときの業者選びの注意点
検索結果に並ぶ不動産売却ランキングや口コミサイトは、どの不動産会社を候補に入れるかを考えるきっかけになります。ただし、ランキングの順位が広告掲載料や提携関係で決まっている場合もあるため、評価の基準を確認してから参考にする必要があります。
一括査定サイトを使うと、一度の申し込みで複数の不動産会社に査定を依頼でき、価格の比較はしやすくなります。一方で、申し込んだ件数に応じて複数社から営業電話がかかってくる点は避けられません。電話を受けずに売却相場だけを知りたい場合は、匿名で利用できる査定サービスを選ぶ方法もあります。
営業電話を避けながら売却相場を調べる方法は匿名査定と一括査定の違いで解説しています。
不動産売却ランキングは参考情報の一つとして扱い、最終的には査定内容と担当者の説明で判断してください。
仲介業者と不動産買取業者の違い
不動産売却には、不動産会社が買主を探す仲介と、不動産買取業者が物件を直接買い取る買取の2つの方法があります。仲介は買主が見つかるまで時間がかかる一方、市場の売却相場に近い価格での売却を期待できます。
不動産買取業者おすすめという検索結果で上位に出る会社であっても、買取価格は仲介で売却するときの売却相場より低くなる傾向があります。買取価格が下がる代わりに、契約不適合責任(売却後に見つかった欠陥の責任)を免除されることが多く、現金化までの期間も短くなります。離婚に伴う財産分与など、売却を早く完了させたい事情がある場合は、仲介と買取の両方の不動産会社に相談し、条件を比較してから決めてください。
買取を急いで決める前に、仲介で売った場合の想定価格と比べておくと、判断材料が増えます。
高く売るための不動産売却、不動産会社とやり取りのコツ
不動産売却を高く進めるには、不動産会社を決めたあとのやり取りの仕方も関わってきます。査定額の根拠を聞くだけでなく、売却活動中の報告内容や内覧対応の進め方まで確認しておくと、途中で不安を感じにくくなります。価格交渉の場面でも、担当者が売主の希望条件をどこまで把握しているかで、提示される条件は変わってきます。
複数の不動産会社から提案を受けた場合は、価格だけでなく売却活動の計画も比べてから決めてください。
よくある質問
査定を依頼したら、必ずその不動産会社に売却を依頼しなければなりませんか?
いいえ。不動産の査定は不動産会社による価格の見積もりであり、媒介契約を結ぶまでは依頼する義務はありません。複数社の査定を比較してから選んでください。
一括査定サイトを使うと、営業電話はどれくらい来ますか?
申し込んだ不動産会社の数だけ連絡が来る可能性があります。件数を減らしたい場合は、依頼先を絞るか、匿名で売却相場を調べられる査定サービスを利用する方法があります。
媒介契約を結んだあとに不動産会社を変更できますか?
一般媒介契約であれば、依頼先を自由に変更できます。専属専任媒介契約や専任媒介契約は契約期間が定められているため、途中で解除できるかどうかは契約内容を確認してください。
不動産売却ランキングで上位に出る不動産会社を選べば安心ですか?
ランキングの順位だけで安心はできません。広告掲載の仕組みで順位が決まっている場合もあるため、査定額の根拠や担当者の説明と合わせて判断してください。
不動産買取業者に依頼すると、仲介より早く現金化できますか?
一般的に買取は仲介より短い期間で現金化できる傾向があります。ただし買取価格は仲介の売却相場より低くなりやすいため、価格と期間のどちらを優先するかを整理しておく必要があります。
不動産売却の業者選びで後悔しないために
不動産売却の業者選びは、査定額の大小だけでなく、説明の根拠、仲介手数料を含めた費用の内訳、媒介契約の種類ごとの義務まで比較して初めて判断できます。離婚に伴う財産分与や住み替えなど、売却を急ぐ事情があるときほど、複数の不動産会社を比較する時間を確保してください。ぜひ本記事で紹介した比較の基準と手順を参考に、ご自身の状況に合った不動産会社を選んでください。
出典
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
- 国土交通省「指定流通機構(レインズ)について」
- 国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(告示)」
