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不動産売却の確定申告をe-Taxで行う手順をわかりやすく解説

不動産を売却すると、売却益(譲渡所得)にかかる所得税と住民税を自分で計算し、確定申告書を作成して提出する必要があります。会社員であっても、不動産売却による所得は年末調整の対象に含まれず、売却した年の翌年2月16日から3月15日までに税務署へ申告しなければなりません。

この確定申告は、国税庁の電子申告システムであるe-Taxを使えば、税務署に出向かずに自宅のパソコンやスマートフォンから完了できます。マイナンバーカードと、ICカードリーダライタまたはマイナンバーカード読み取り対応のスマートフォンがあれば、申告書の作成から提出までオンラインで進められます。

本記事では、不動産売却で引かれる税金の内訳から、使える控除、不動産売却確定申告をe-Taxで行うやり方までを解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 不動産を売却した年の確定申告をe-Taxで済ませたいが、初めての電子申告で操作に戸惑いを感じている方
  • 税務署に出向く時間が取れず、自宅からオンラインで売却益の申告を完了させたいと考えている50歳前後の方
  • 確定申告書の作成に不安があり、e-Taxでの入力手順を事前に確認してから申告に取り組みたい方

不動産売却確定申告はe-Taxで完結できる?申告が必要な条件

不動産を売却して譲渡所得(売却によって得た利益)が出た場合、その年の確定申告が必要です。売却損が出た場合でも、損益の特例を使うときはやはり申告が必要になり、「税金がかからないから申告しなくていい」とは限りません。確定申告は、税務署の窓口へ行く以外に、国税庁のe-Taxを使ってオンラインで完結させる方法があります。不動産売却の確定申告は入力項目が多く記入欄も細かいため、e-Taxの画面に沿って進めると計算ミスを防ぎやすくなります。

e-Taxでの申告には、マイナンバーカードを使う方式と、税務署で発行されるIDとパスワードを使う方式の2つがあります。マイナンバーカード方式ではICカードリーダライタか、読み取り対応のスマートフォンが必要です。IDパスワード方式は、事前に税務署で本人確認を受けてID・パスワードを取得すれば、カードがなくても申告できます。

不動産売却の譲渡所得の計算方法については、譲渡所得とは?売却時の計算と確定申告で解説しています。

特例を使って税額がゼロになる場合でも、申告書を提出しないと特例そのものが認められません。

売却した不動産の税金はいくら引かれる?譲渡所得税の内訳

譲渡所得は「売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)」で計算します。取得費は不動産を買ったときの価格や仲介手数料などの合計で、譲渡費用は売却時にかかった仲介手数料や測量費などの合計です。取得費や譲渡費用の範囲については、不動産売却にかかる税金と費用の全体像|いくら手元に残る?と譲渡費用とは?不動産売却の確定申告と控除で解説しています。

所有期間で変わる税率|短期譲渡所得と長期譲渡所得

売却した不動産の所有期間によって税率が大きく変わります。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得に区分され、短期のほうが税率は高くなります(2026年9月時点)。

所有期間別の譲渡所得税率
所有期間所得税(復興特別所得税含む)住民税合計
長期譲渡所得(5年超)15.315%5%20.315%
短期譲渡所得(5年以下)30.63%9%39.63%

出典:国税庁「土地や建物を売ったとき(譲渡所得)」(2026年9月時点)をもとに作成

具体例で見る税額のイメージ

不動産を3000万円で売却し、取得費が2000万円、譲渡費用が100万円だったケースでは、譲渡所得は900万円です。長期譲渡所得で特別控除を使わない場合、税額は900万円×20.315%で約183万円になります。売却価格から税金と仲介手数料などの諸費用を引くと、手元に残る金額の目安がつかめます。

手元に残る 約91%
税金
諸費用

※3000万円で売却・長期譲渡・控除適用なしの概算例(2026年9月時点)

この内訳はあくまで控除を使わない場合の概算で、次のセクションで扱う3,000万円特別控除を使えば税金の割合はさらに下がります。

取得費が分かる書類を失くしていると、取得費を売却価格の5%で計算することになり、税額が大きく増える場合があります。

マイホーム売却で使える特例と控除|3000万円特別控除の条件

自分が住んでいた不動産(マイホーム)を売却した場合は、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」を使えることがあります。譲渡所得からこの金額を差し引けるため、譲渡所得が3,000万円以下であれば税額がゼロになるケースも少なくありません。

  • 自分が実際に住んでいた家であること(別荘や投資用物件は対象外)
  • 売却した年の前年・前々年にこの特例や買い替え特例を使っていないこと
  • 売り手と買い手が親子や夫婦などの特別な関係でないこと
  • 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却していること

売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超える不動産(マイホーム)を売却した場合は、3,000万円特別控除と併用できる軽減税率の特例もあります。どちらも適用には確定申告が条件になるため、税額がゼロでも申告書の提出は欠かせません。

控除や特例の適用条件は細かく、住んでいた期間の証明などで判断が分かれる場合があります。迷ったら税務署や税理士への確認をおすすめします。

e-Taxでの申告前に準備したい不動産売却の必要書類

不動産売却確定申告をe-Taxで行う場合も、紙の申告と同じ書類をあらかじめそろえておく必要があります。売却時の売買契約書、購入時の売買契約書、登記事項証明書、仲介手数料など譲渡費用の領収書、本人確認用のマイナンバーカードが基本の書類です。会社員の方は、給与所得の源泉徴収票も入力時に使います。

相続した不動産を売却した場合は、取得費の整理に親の代からの購入時の資料が必要になることがあります。相続した不動産の売却と相続登記の期限については、相続登記とは?期限と不動産売却の関係で解説しています。必要書類と申告期限の全体像は、不動産売却の確定申告とは?必要書類と期限で解説しています。

書類はスマートフォンのカメラで撮影したデータでも添付できますが、文字が読み取れる画質で保存しておいてください。

ログインから送信まで|不動産売却確定申告をe-Taxで行う手順

国税庁の確定申告書等作成コーナーにログインする

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、「作成開始」から「e-Taxで提出」を選びます。マイナンバーカード方式の場合は、スマートフォンでカードを読み取るか、ICカードリーダライタを接続してログインします。IDパスワード方式の場合は、税務署で発行されたIDとパスワードを入力します。

譲渡所得の入力画面で売却情報を入力する

所得の種類を選ぶ画面で「分離課税の所得(譲渡所得など)」を選び、不動産の売却情報を入力する画面に進みます。売却価格、取得費、譲渡費用、所有期間、特例の適用有無を入力すると、画面上で税額が自動計算されます。入力内容は売買契約書や領収書の金額と1つずつ照らし合わせて確認してください。

必要書類を添付して送信し、受信通知を確認する

登記事項証明書や売買契約書の控えなどは、イメージデータ(PDFや写真データ)として添付できます。内容を確認したら送信し、受付番号が記載された受信通知が届けば提出は完了です。受信通知の画面や申告書のデータは、印刷するかPDFで保存しておいてください。

入力の途中でも一時保存ができるので、書類がすべてそろっていなくても作業を始めて問題ありません。

確定申告の期間と期限|不動産を売却した翌年のスケジュール

確定申告の期間は、原則として不動産を売却した年の翌年2月16日から3月15日までです。税額が発生せず還付を受ける申告であれば、1月1日から受け付けてもらえます。e-Taxであれば、メンテナンス時間を除いて24時間いつでも提出できるため、平日に税務署へ行く時間が取れない方にも向いています。

期限に遅れると、無申告加算税や延滞税が上乗せされる場合があります。3,000万円特別控除のように申告が適用条件になっている特例は期限後申告でも適用できますが、早めに準備を始めてください。確定申告の具体的な進め方は、不動産を売った後の確定申告のやり方|必要書類と期限で解説しています。

3月中旬は税務署の相談窓口が混み合うため、e-Taxでの操作確認は2月上旬までに済ませておくと安心です。

自分で申告するか専門家に相談するか|不動産売却確定申告の相談先

自分でe-Tax申告するのに向いているケース

譲渡所得の計算に使う書類がそろっていて、3,000万円特別控除のように条件が比較的分かりやすい特例だけを使う場合は、確定申告書等作成コーナーの案内に沿って自分で進められることが多いです。

税理士への相談を検討したいケース

相続した不動産で取得費の資料が見つからない場合や、複数の特例の併用を検討している場合、譲渡所得の金額が大きい場合は、税理士に依頼すると計算の見落としを防げます。税務署の窓口でも、e-Taxの操作や記入内容についての相談を受け付けています。

税理士に依頼する場合も、売却価格や取得費の資料は自分で用意する必要があるため、早めに手元へそろえておいてください。

よくある質問

e-Taxを利用するのに税務署への来署は必要ですか?

マイナンバーカード方式を使えば、来署せずに自宅からオンラインで申告書の作成と提出を完了できます。IDパスワード方式を初めて使う場合は、ID・パスワードの発行時に一度だけ税務署での本人確認が必要です。

マイナンバーカードがなくても不動産売却確定申告をe-Taxでできますか?

税務署で発行されたIDとパスワードがあれば、カードを使わずにe-Taxで申告できます。ただし初回の発行手続きには税務署での本人確認が必要になります。

譲渡所得がマイナス(売却損)の場合も確定申告は必要ですか?

税額が発生しないため申告自体は義務ではありませんが、マイホームの売却損について損益通算や繰越の特例を使う場合は確定申告が必要です。特例を使わない場合でも、申告しておくと他の所得との関係を記録として残せます。

確定申告の期限に間に合わなかったらどうなりますか?

期限を過ぎて申告すると、原則として無申告加算税と延滞税が上乗せされます。3,000万円特別控除のように申告が前提の特例は期限後申告でも適用できますが、無申告加算税などの負担を避けるためにも期限内の提出を心がけてください。

スマートフォンだけでe-Taxの申告は完了しますか?

マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンであれば、申告書の作成から送信、書類の添付まで一通りスマートフォンで完了できます。入力項目が多い不動産売却の申告では、画面の大きいパソコンのほうが確認しやすいと感じる方もいます。

不動産売却確定申告をe-Taxで行うポイントのまとめ

不動産売却後の確定申告は、譲渡所得の計算から特例の適用、申告書の作成まで確認する項目が多く、e-Taxを使えば税務署に出向かずに自宅から完了させられます。マイナンバーカードやIDパスワードの準備、売買契約書や取得費が分かる書類の整理を済ませておけば、入力そのものは画面の案内に沿って進められます。ぜひ本記事の手順と必要書類の一覧を参考に、不動産売却確定申告のe-Taxでの提出を進めてください。

出典

  • 国税庁「土地や建物を売ったとき(譲渡所得)」
  • 国税庁「マイホームを売ったときの特例」
  • 国税庁「確定申告書等作成コーナー」
  • 国税庁「e-Taxについて」
  • 国税庁「確定申告を忘れたとき」
  • 国税庁「措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》関係」
  • 国税庁No.3305「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
  • 三菱地所の住まいリレー「3,000万円特別控除とは」
  • askpro.co.jp「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除は期限後申告でも適用できる?」
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