土地売却の流れとは?期間の目安と各ステップ
親から引き継いだ土地を売ろうとしても、査定依頼・媒介契約・測量・引き渡しのどの段階から手をつけるべきか分からないまま、境界標の位置も共有名義の持分も確認できていない土地が手元に残っています。
土地売却は、査定依頼から不動産会社との媒介契約、買主探し、売買契約、引き渡しと所有権移転登記まで、6つの段階を順に進めることで完了します。媒介契約の期間は宅地建物取引業法で専任媒介契約・専属専任媒介契約が原則3か月以内と定められており、更新を重ねながら進めるのが一般的です(2026年9月時点)。
本記事では土地売却の流れを6つのステップに分け、各段階でかかる期間の目安と、借地・共有名義・境界未確定といった権利関係が絡む場合の注意点を解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 親から引き継いだ土地の売却を考えているが、借地や共有名義が絡み何から進めるべきか分からず困っている方
- 境界が未確定な土地を相続し、専門家に依頼する前に売却全体の流れと期間の目安を把握しておきたい方
- 法律用語に不慣れなまま話が進むのが不安で、土地売却の各ステップを自分の言葉で理解しておきたい方
土地売却の流れとは?全体像と完了までの期間の目安
土地売却の流れは、おおむね次の6つのステップで進みます。
- 売却相場を把握し、不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社を選び、媒介契約を結ぶ
- 販売活動を行い、買主を探す
- 買主と売買契約を結ぶ
- 土地を引き渡し、所有権移転登記を行う
- 譲渡所得が出た場合は確定申告をする
媒介契約のうち専任媒介契約・専属専任媒介契約は、宅地建物取引業法34条の2第3項により契約期間を3か月を超えて定めることができず、期間満了時に更新するのが実務上の一般的な進め方です。一方で一般媒介契約には期間の制限がありません。土地の条件や権利関係によって販売活動にかかる期間は大きく変わり、境界未確定や共有名義が絡む土地は、測量や持分の整理に数か月単位の時間が追加でかかることがあります。
媒介契約は3か月ごとの区切りなので、更新のタイミングで販売活動の状況を一度見直しておくと安心です。
売却前に確認したい土地の権利関係
土地売却の流れを進める前に、自分の土地にどの権利関係が絡んでいるかを確認しておく必要があります。権利関係によって必要な手続きと期間が変わるためです。
借地権が付いている土地
相続した土地が借地だった場合、売却できるのは建物と借地権であり、土地そのものの所有権は地主にあります。借地権を第三者に譲渡するには地主の承諾が必要で、承諾が得られない場合は裁判所の許可を求める手続きに進むこともあります。借地権付き建物の売却条件は借地権付き建物は売れる?地主の承諾と裁判所の許可で解説しています。
共有名義になっている土地
土地が共有名義の場合、土地全体を売却するには共有者全員の同意が原則として必要です。自分の持分だけを売却することは法律上可能ですが、持分だけを買い取る相手は限られ、売却価格も下がりやすくなります。持分売却の考え方は共有名義の不動産、自分の持分だけ売れる?で解説しています。
境界が未確定な土地(筆界・囲繞地)
筆界(ひっかい・法務局に記録された土地と土地の境界線)が確定していない土地は、買主が境界トラブルを避けるために確定測量を求めることが多く、売却前に測量を済ませておく必要が出てきます。また、その土地が他の土地に囲まれて道路に接していない囲繞地(いにょうち)の場合は、隣地を通行するための権利関係の確認も必要です。相続した土地が農地だった場合は、農地法の許可や転用の手続きが別に必要になることもあり、詳しくは農地は売れる?農地法の許可と転用のハードルで解説しています。
相続した土地が共有名義になっている場合、所有者どうしの関係は次のようになります。
持分1/2
持分1/2+売却の意思
持分の割合は同じでも、土地の売却に同意するかどうかは共有者ごとに分かれるため、全員の意思確認が欠かせません。
権利関係が複雑な土地ほど、査定依頼の前に境界と共有者の状況を書き出しておくと話がスムーズです。
不動産会社への相談・査定依頼から媒介契約まで
土地売却の最初の実務は、不動産会社への査定依頼です。土地の査定には、周辺の取引事例から机上で算出する簡易査定と、現地を見て算出する訪問査定があります。氏名や連絡先を入力せずに概算の売却相場を知りたい場合は、匿名査定という方法もあり、使い方と精度の限界は匿名査定・AI査定はどこまで正確?精度の限界と賢い使い方で解説しています。
土地の査定を受けたあとは、不動産会社を選んで媒介契約を結びます。媒介契約には3種類あり、依頼できる会社の数や契約期間が異なります。
| 契約の種類 | 依頼できる会社の数 | 契約期間 | 自分で買主を探す |
|---|---|---|---|
| 一般媒介契約 | 複数社に依頼可能 | 制限なし | 可能 |
| 専任媒介契約 | 1社のみ | 3か月以内 | 可能 |
| 専属専任媒介契約 | 1社のみ | 3か月以内 | 不可 |
出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」をもとに作成
権利関係が複雑な土地は、複数社に相談できる一般媒介契約で進め方の意見を比較する方法も検討してみてください。
売買契約から土地の引き渡し・登記までの流れ
売買契約の締結と手付金
買主が見つかると、売買価格や引き渡し条件を定めた売買契約を結びます。このとき買主から手付金を受け取るのが一般的で、契約後に売主側の事情で契約を解除する場合は、受け取った手付金を返還した上で同額を上乗せして支払う(手付の倍返し)取り決めが多く見られます。
引き渡しと所有権移転登記
残代金の受領と同時に土地を引き渡し、所有権移転登記を行います。登記の申請は司法書士に依頼するのが一般的で、売買契約から引き渡しまでの間に、境界確認書や測量図面など登記に必要な書類をそろえておく必要があります。
登記に必要な書類は売買契約の前から準備を進めておくと、引き渡し当日の手続きが滞りません。
土地の境界確定と測量にかかる期間・費用
境界が未確定な土地を売却する場合、隣地所有者の立会いのもとで境界を確定させる確定測量と、おおよその面積を把握するための現況測量のどちらを行うかを判断する必要があります。確定測量は法的な効力を持つ測量図を作成できますが、隣地所有者全員の立会いと同意を取るための調整が必要で、所有者が複数人いたり連絡がつきにくい相手がいたりすると、調整にかかる期間が延びやすくなります。測量にかかる費用は土地の形状や隣地所有者との調整状況によって変わるため、土地家屋調査士に見積もりを確認してから進める方法が安全です。
確定測量は隣地所有者の立会い日程の調整が最も時間を取りやすいため、早めに土地家屋調査士へ相談することをおすすめします。
相続した土地を売却する際に特有の手続き
相続した土地を売却するには、売却前に相続登記を済ませておく必要があります。2024年4月1日からは相続登記が義務化されており、不動産の所有権を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記の申請を行わないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料が科される可能性があります(2026年9月時点)。この過料は刑事罰ではなく行政上の秩序罰であり、科されても前科がつくものではありません。登記を済ませていない土地は、そのままでは売却の手続きに進めません。
また、相続した土地を売却した際の譲渡所得は、相続した人が自分で取得したときの取得費ではなく、亡くなった人が取得したときの取得費と所有期間を引き継いで計算します。取得費が分からない古い土地ほど、譲渡所得が大きく算出されやすい点に注意が必要です。
相続登記を済ませていない土地は、まずその手続きが売却の起点になることを覚えておいてください。
売却時にかかる費用と税金|仲介手数料から譲渡所得税まで
土地売却にかかる費用の中心は仲介手数料です。売買価格が400万円を超える場合は、売買価格(全体)の3%に6万円を加えた金額(消費税別)が上限となる速算式が広く使われています(2026年9月時点)。これに加えて、登記の際の登録免許税や司法書士への報酬、測量を行った場合の測量費用がかかります。
土地売却によって譲渡所得が出た場合は、所有期間に応じて税率が変わります。所有期間が5年以下の短期譲渡では所得税・住民税などを合わせて約39.63%、5年を超える長期譲渡では約20.315%が課されます(2026年9月時点)。相続した土地は、亡くなった人の所有期間を引き継いで判定するため、相続してすぐの売却でも長期譲渡になる場合があります。税率や特例の適用条件は改正される可能性があるため、確定申告の前に税理士や国税庁の最新情報で確認することをおすすめします。
譲渡所得税は所有期間の計算方法で大きく変わるため、相続した土地は取得日を正確に確認しておいてください。
専門家への依頼先を選ぶ判断基準|土地家屋調査士・司法書士・税理士
土地売却では、担う役割が異なる複数の専門家が関わります。不動産会社は査定から買主探し、売買契約の仲介までを担い、土地家屋調査士は境界確定と測量を担当します。所有権移転登記は司法書士が担い、譲渡所得が出た場合の確定申告は税理士に相談する流れが一般的です。境界未確定や共有名義など権利関係が複雑な土地ほど、不動産会社に相談した時点で土地家屋調査士や司法書士への橋渡しを依頼できるかどうかを確認しておくと、手続き全体が止まりにくくなります。
専門家への依頼先に迷う場合は、まず不動産会社に土地の状況を伝えて、必要な専門家を紹介してもらう方法が近道です。
よくある質問
土地売却の流れはどのくらいの期間がかかりますか?
権利関係が整理済みの土地であれば媒介契約の期間(3か月)を1〜2回更新する程度で成約に至ることもありますが、境界未確定や共有名義が絡む土地は、測量や持分整理の期間が加わるため全体で半年以上かかることもあります。
境界が未確定でも土地は売却できますか?
境界が未確定のまま売却できる場合もありますが、買主側が確定測量を条件とすることが多く、境界トラブルを避けるためにも売却前に境界を確定させておく方法が安全です。
共有名義の土地は自分の持分だけ売却できますか?
自分の持分だけを売却すること自体は法律上可能ですが、持分だけを買い取る相手は限られ、売却価格も下がりやすくなります。土地全体を売却するには共有者全員の同意が原則として必要です。
借地権が付いた土地はどう売却すればいいですか?
借地権を第三者に譲渡するには地主の承諾が必要で、承諾が得られない場合は裁判所に許可を求める手続きに進むこともあります。地主との交渉は不動産会社を通じて進めるのが一般的です。
相続した土地は登記しないまま売却できますか?
相続登記が済んでいない土地は、そのままでは買主への所有権移転登記ができません。2024年4月1日以降は相続登記が義務化されているため、売却を検討する時点で相続登記の有無を確認する必要があります。
土地売却の流れを把握し、計画的に準備を進めましょう
土地売却の流れは、査定依頼・媒介契約・販売活動・売買契約・引き渡しと登記・確定申告という6つの段階で進み、借地・共有名義・境界未確定といった権利関係が絡むほど準備にかかる期間が延びます。土地売却の流れ図解で示した共有者どうしの関係のように、権利関係は土地ごとに異なるため、早い段階で不動産会社や土地家屋調査士、司法書士に状況を伝えておくことが手続きを止めない近道になります。ぜひ本記事の土地売却の流れを参考に、権利関係の整理から計画的に進めてください。
出典
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
- 法務省「相続登記の申請義務化について」
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
- 国税庁「土地や建物を売ったときの税金(譲渡所得)」
- 宅地建物取引業法施行規則(標準媒介契約約款)
- 民法第557条(手付)
- 国土交通省告示(宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることのできる報酬の額)
