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実家査定の受け方とは?相続前に知っておく基礎知識

実家を相続したあと、空き家のまま固定資産税の納付書だけが届き続け、帰省するたびに伸びた庭の草を見て気が重くなるという方は少なくありません。実家の査定を受けるかどうかを決める前に、相続登記の義務化(2024年4月1日施行、不動産登記法第76条の2)や、空き家にかかる3000万円特別控除の適用期限は把握しておく必要があります。

実家査定は、そのまま売却を決める手続きではありません。匿名査定や訪問査定で金額の目安を把握したうえで、兄弟との分け方や税金の特例をどう使うかを考えるための材料にできます。

本記事では、実家査定の受け方と相続前に知っておきたい税金の特例、兄弟間の分け方を決める際の考え方を解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 親の相続が近づき実家の査定を検討し始めたが、何から手をつければよいか基礎知識がない方
  • 査定に出すとすぐ売却を迫られる気がして身構えており、相続前に知っておくべき受け方を確認したい方
  • 高額査定を提示されて後で減額された親戚の失敗談を聞き、個人情報の扱いに慎重になっている方

実家査定とは|相続前に受ける意味

実家査定とは、不動産会社に実家の建物と土地の取引価格の目安を算出してもらうことを指します。相続前や相続直後に受ける実家査定は、売却の意思表示ではなく、遺産分割協議の材料として実家の価値を数字で把握する作業に近いものです。

査定の方法には、売却を前提に実際に現地を見てもらう訪問査定と、物件情報だけで概算額を出す机上査定(簡易査定)があります。相続前の段階では、兄弟同士で実家の価値について話し合うための共通の目安がないまま、思い出や感情だけで分け方を議論してしまうことがあります。実家査定の金額を共有しておくと、後の話し合いが具体的な数字をもとに進められます。

実家査定の金額は、兄弟間の話し合いの出発点として使うと、感情的な対立を避けやすくなります。

相続前の実家査定で分かることと分からないこと

実家の査定で分かるのは、過去の取引事例や地域の取引価格の売却相場をもとにした、売り出し価格の目安です。不動産会社ごとに算出の根拠となる事例や立地の評価が異なるため、複数の不動産会社に依頼すると金額に幅が出ることも珍しくありません。

一方で、実家の査定では実際にその価格で売れると約束されているわけではありません。買主との交渉で価格が下がることもありますし、相続税の計算に使う相続税評価額(路線価や固定資産税評価額をもとにした金額)とも一致しません。実家の査定額はあくまで売却活動を始めるときの目安であり、相続税の申告や代償分割の金額をそのまま決める数字ではない点は押さえておく必要があります。

査定額と相続税評価額は算出の根拠が違うため、同じ金額になるとは限らないと考えておいてください。

実家を空き家のまま放置するリスク

固定資産税の住宅用地特例が外れる条件

住宅が建っている土地には固定資産税の住宅用地特例が適用され、更地より税負担が軽くなっています。この特例が外れるのは、市区町村が実家を「特定空家等」に指定した時点ではなく、市区町村長から勧告を受けた時点です。勧告を受けると翌年度から特例の対象外となり、固定資産税の負担が増えます。

空き家の管理責任と近隣への影響

実家を空き家のまま放置すると、庭木の越境や屋根材の落下といった近隣トラブルにつながることがあります。所有者には民法上の管理責任があり、放置を続けるほど修繕費や解体費がかさみます。管理の負担が重いと感じる場合は、建物をそのまま残して空き家買取の相場とメリット・注意点を確認し、早期の現金化を検討する選択肢もあります。

勧告を受ける前の段階で査定を取っておくと、税負担が増える前に次の判断がしやすくなります。

相続前に知っておきたい税金の特例と期限

相続登記の義務化と過料

2024年4月1日から、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが、不動産登記法第76条の2により法律上の義務になっています。正当な理由なく期限内に申請しないと、10万円以下の過料(行政上の制裁であり刑事罰ではありません)の対象になります。実家査定を受けて売却を進める場合も、名義が亡くなった父のままでは売買契約を結べないため、相続登記は避けて通れない手続きです。

空き家の3000万円特別控除

相続した実家を売却して一定の要件を満たすと、譲渡所得から最大3000万円を控除できる特例があります。2024年1月1日以後の譲渡では、適用を受ける相続人が3人以上いる場合、控除額は1人あたり2000万円になります。2026年9月時点の制度であり、要件の細部は改正される可能性があるため、適用を検討する段階で税理士や税務署に最新の条件を確認することをおすすめします。

特別控除の要件は細かく定められているため、適用できるかどうかは早めに税理士へ相談しておくと安心です。

兄弟との分け方を決める前に使う実家査定

代償分割と換価分割の違い

実家を含む遺産の分け方には、代償分割(だいしょうぶんかつ)と換価分割(かんかぶんかつ)という2つの考え方があります。代償分割は、兄弟のうち1人が実家を相続し、他の兄弟には実家売却査定で出た金額をもとに計算した代償金を現金で支払う方法です。換価分割は、実家を売却して得た代金を相続人全員で分ける方法で、現金が手元にない状態でも分割しやすいという特徴があります。どちらを選ぶかによって、実家売却査定を取るタイミングや必要な話し合いの範囲が変わってきます。

遺言書や相続放棄がある場合の注意点

父が遺言書を残していた場合は、その内容が遺産分割協議より優先される場面があるため、実家売却査定を取る前に遺言書の効力と不動産相続の注意点を確認しておく必要があります。また、兄弟の誰かが実家の相続を望まず相続放棄を考えている場合、放棄した人は実家の持分も処分の権利も失うため、相続放棄した家の扱いと売却できるかどうかも合わせて確認しておくと、話し合いが早く進みます。

代償分割と換価分割のどちらが合うかは、兄弟それぞれの資金事情によって変わるため、早めに希望を聞いておきましょう。

匿名査定と訪問査定の違い|実家査定の受け方

実家査定を受ける方法には、個人情報を入力せずに概算の売却相場だけを確認できる匿名査定と、不動産会社の担当者が実際に現地を訪れて金額を算出する訪問査定があります。相続前の段階でまだ売却するかどうか決まっていない場合は、匿名査定と一括査定の違い|営業電話なしで相場を知る使い分けを確認し、営業電話を受けずに相場感をつかむ方法から始めると負担が少なくなります。

実際に売却活動に入る段階では、訪問査定を受けて媒介契約を結ぶことになります。不動産売却が成立した際の仲介手数料は、売買価格400万円超の場合「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた金額が上限です。ただし、売買価格が800万円以下の低廉な空家等については、2024年7月1日施行の特例により、売主・買主それぞれから税込33万円までの仲介手数料を受け取れるようになっており、地方の実家で価格が低く見込まれる場合は、この特例の対象になることもあります。

低廉な空家等の特例は上限額が変わるだけで、必ず33万円を請求されるわけではない点は誤解しないでください。

査定後の個人情報の扱いと営業電話への備え

実家査定を一括で複数の不動産会社に依頼すると、入力した電話番号やメールアドレス宛てに営業の連絡が集中することがあります。相続前でまだ売却を決めていない段階であれば、個人情報を入力しない匿名査定から始め、金額感をつかんだうえで必要な会社だけに訪問査定を依頼する進め方が負担を抑えられます。

査定額が売却相場より高すぎる場合、媒介契約を取るための営業戦術として、根拠の薄い高値を提示している可能性があります。契約後に「内覧の反応が悪い」などの理由で減額を提案されるケースもあるため、提示された査定額の根拠を複数社に確認し、近隣の取引事例と照らし合わせておくことが大切です。

査定額の根拠を聞いて答えられない担当者には、契約前にもう一社の意見を聞いてみることをおすすめします。

査定後に進める実家売却の流れ

実家査定を受けたあと、相続登記や相続人同士の話し合いを経て実際の売却活動に進むまでには、いくつかの段階があります。全体の流れを図にまとめました。

1
実家査定で売却相場を調べる
匿名査定・訪問査定で金額の目安を把握
2
相続人全員で分け方を話し合う
代償分割か換価分割か、遺言書の有無も確認
3
相続登記を申請する
相続を知った日から3年以内が期限
4
訪問査定を依頼して媒介契約を結ぶ
仲介手数料や特例の適用条件を確認
5
売却活動・売買契約・引き渡し
譲渡所得が出た場合は確定申告で特例を適用

実家査定から引き渡しまでは半年から1年程度かかることも珍しくなく、相続登記や税金の特例の期限を意識しながら逆算して進める必要があります。

相続登記と税金の特例には期限があるため、実家査定を受けた時点で大まかなスケジュールを立てておくと安心です。

よくある質問

実家査定を受けただけで売却を迫られることはありますか

匿名査定であれば個人情報を入力せずに売却相場だけを確認でき、その場で実家の売却を迫られることはありません。訪問査定を依頼した場合も、査定結果を聞いたうえで媒介契約を結ぶかどうかは自由に判断できます。

実家査定の金額は相続税の申告にそのまま使えますか

使えません。相続税の申告では路線価や固定資産税評価額をもとにした相続税評価額を用いるのが基本で、実家査定の金額とは算出の根拠が異なります。相続税の計算は税理士に確認することをおすすめします。

兄弟の意見がまとまらないまま実家の査定だけ先に受けてもよいですか

問題ありません。実家の査定を受けて金額の目安を共有することで、兄弟間の話し合いが感情論ではなく数字をもとに進めやすくなります。ただし、その後の分け方は相続人全員の合意が必要です。

空き家のまま放置した実家は査定額が下がりますか

管理が行き届いていない空き家は、老朽化や庭木の越境などを理由に査定額が下がる傾向があります。最低限の清掃や庭木の手入れをしておくことで、査定額への悪影響を抑えられる場合があります。

相続登記を済ませる前に実家査定を受けても意味がありますか

意味はあります。相続登記の前でも実家査定で金額の目安を把握でき、分け方の話し合いに活用できます。ただし、実際に売買契約を結ぶ段階では相続登記が完了している必要があります。

実家査定を正しく理解して相続前の準備を進める

実家査定は売却を決める手続きではなく、相続登記や税金の特例の期限を踏まえながら、兄弟間の分け方を具体的な数字で話し合うための材料です。放置すれば固定資産税の負担が増え、特例の期限も迫ってくるため、早い段階で金額の目安を把握しておく価値があります。ぜひ本記事の実家査定の受け方を参考に、相続前の準備を進めてください。

出典

  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
  • 国税庁「マイホームを売ったときの特例(3000万円特別控除)」
  • 総務省「固定資産税における住宅用地特例について」
  • 国土交通省「低廉な空家等の媒介における特例」
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