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買い替え特約とは?売却できない場合の契約解除条件と注意点を解説

住み替え先のマンションや戸建ての購入契約を結んだあと、今住んでいる自宅の売買契約がなかなか決まらず、不動産会社からの連絡を待つだけの日々が続いている方もいます。買い替え特約(かいかえとくやく)を付けた売買契約では、決められた期限までに自宅を売却できなければ、買主は違約金を払わずに契約を白紙解除できます。契約自由の原則に基づき、売主と買主の合意で特約の内容を定めるため、解除できる条件や期限は契約書ごとに異なります。

買い替え特約は、住宅ローンの実行時期や引き渡しの希望時期を踏まえて期限を決め、契約書にその条件を明記して初めて効力を持ちます。口約束や雰囲気で成立する仕組みではなく、文言ひとつで解除できるかどうかが左右される点に注意が必要です。

本記事では、買い替え特約の仕組みと、不動産売却ができない場合に契約を解除できる条件、結ぶ際の注意点を解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 住み替え先を先に契約したが、今の家が売れなかった場合の契約解除条件が分からず不安な45歳会社員の方
  • 買い替え特約付きで住宅購入を進めているが、売却が長引いた際の注意点を事前に確認しておきたい方
  • 初めての住み替えで買い替え特約の仕組みが複雑に感じられ、査定前にリスクを理解しておきたい方

買い替え特約とは|住宅購入と不動産売却をつなぐ契約条件

買い替え特約とは、住み替え先の不動産を購入する売買契約を結ぶときに付ける特約で、決められた期限までに今の自宅を売却できなかった場合、買主が違約金を払わずに契約を解除できる取り決めです。住宅購入の契約とマンションや戸建ての売却を同時に進める住み替えでは、自宅が売れないまま新居の代金を支払う資金のめどが立たなくなるリスクがあります。買い替え特約は、このリスクから買主を守るために契約書へ盛り込む条項です。

「白紙解除」で何が元に戻るか

買い替え特約に基づく解除は、一般に「白紙解除」と呼ばれます。白紙解除が成立すると、契約はなかったものとして扱われ、買主が支払った手付金や申込証拠金は全額返還されます。民法第545条が定める契約解除の原状回復義務は、解除の理由を問わず共通して適用されるため、売主・買主の双方が契約前の状態に戻ります。買い替え特約による白紙解除で違約金が発生しないのは、契約自由の原則に基づき特約内容として違約金を定めていないためです。

売却期限は何を基準に決めるか

売却期限は、買主が住宅ローンの実行時期や引き渡しの希望時期から逆算し、不動産会社と相談のうえ決めます。期限が短すぎると自宅の売却活動に十分な時間を取れず、長すぎると売主側が買主の意思確定を待つ負担を負うため、双方の事情をすり合わせて契約書に明記する必要があります。

買い替え特約の内容は契約書ごとに異なります。署名前に解除条件と期限の条文を必ず確認してください。

不動産売却ができない場合に買い替え特約で発生する契約解除の条件

自宅の売却が期限に間に合わない場合、買い替え特約に基づいて契約を解除できるかどうかは、契約書に記載された条件に左右されます。一般的に定められる条件には、期限までに自宅の売買契約が成立していないこと、買主が売却活動を誠実に行っていたこと、売主・買主双方が解除の意思を書面で通知することが含まれます。

このうち「誠実に売却活動を行っていたか」は、あとから争いになりやすい部分です。自宅の売却相場を把握しないまま高値で売り出し続けていた場合や、不動産会社から値下げを提案されても応じなかった場合は、売却活動を怠ったとみなされ、解除が認められない可能性もあります。売却相場より離れた価格で売り出しを続けていないか、不動産会社と定期的に確認しておくことが欠かせません。売却相場を把握する手段として、匿名査定と一括査定の違いを踏まえた使い分けも匿名査定と一括査定の違いで解説しています。

「売却活動をしていたか」は言った言わないになりがちです。不動産会社とのやり取りは記録に残る形にしておきましょう。

契約から引き渡しまで|買い替え特約を使った住み替え・不動産売却の流れ

住み替え全体の流れを把握しておくと、どの段階で何を決めるべきか見通せます。次の図は、買い替え特約を使った住み替えの大まかな手順です。

1
住宅購入契約を結ぶ
契約書に買い替え特約を付帯する
2
不動産会社に自宅の売却を依頼する
媒介契約を結び売り出しを開始する
3
売却期限までに売却活動を進める
価格見直しや内覧対応を重ねる
4
期限内に売買契約が成立
成立すれば住み替えがそのまま進む
5
成立しなければ白紙解除を検討
特約に基づき解除通知を行う
6
資金計画を立て直す
住み替え計画を再開する

期限までに自宅の売買契約が成立するかどうかで、住み替えが完了するか契約解除に進むかが分かれる点を示しています。

期限の管理は不動産会社に任せきりにせず、自分でも残り日数を記録しておくと安心です。

使えるケースと注意が必要なケース|不動産売却における買い替え特約の適用範囲

買い替え特約を付けやすいケース

自宅の売却を同じタイミングで進めている場合や、地域の取引価格の売却相場が比較的安定しているマンションを売る場合は、売却期間の見通しが立てやすく、買い替え特約を付けやすい傾向があります。すでに自宅の査定を終え、売り出し価格のめどが付いている段階で住宅購入の契約を結ぶケースもこれにあたります。

買主・売主双方で注意したいケース

一方、再建築不可の土地や既存不適格の戸建てなど買い手が見つかりにくい物件を売却しながら住み替える場合は、期限内に売買契約が成立しない可能性が高くなります。また、新居の売主側から見ると、買い替え特約付きの契約は解除されるリスクを抱えたまま物件を拘束されることになるため、売主が特約自体に難色を示すケースもあります。

特約を付けること自体に売主が応じないケースもあります。新居探しの早い段階で不動産会社に相談しておくと調整しやすくなります。

売却活動の進め方で気を付けたい買い替え特約のポイント

期限内に自宅の売買契約を成立させるには、売り出し開始から逆算した売却活動が必要です。まず売却相場を把握する段階で営業電話を避けたい場合は匿名査定を使う方法がありますが、価格の精度や対応範囲には限界もあります。匿名査定のデメリットと注意点は匿名査定のデメリットと注意点で解説していますので、期限が決まっている住み替えでは早めに訪問査定へ切り替える判断も必要です。

また、売却する不動産が相続によって取得した実家などである場合は、相続登記や遺産分割協議が終わっていないと売買契約自体を進められません。相続した不動産を買い替えのために売却する流れは相続した不動産を売却する流れで解説していますので、期限に間に合うか早い段階で確認しておくと安心です。

相続した家を売って住み替える場合、名義変更に時間がかかることがあります。期限を決める前に名義の状態を確認してください。

住宅ローン特約との違いから見る買い替え特約と不動産売却の関係

住宅購入の契約には、買い替え特約のほかに住宅ローン特約が付くことが一般的です。住宅ローン特約は、買主が希望する住宅ローンの審査に通らなかった場合に契約を白紙解除できる特約で、融資の可否が条件になります。これに対して買い替え特約は、今住んでいる不動産の売却ができるかどうかが条件になる点が異なります。

両方の特約を同じ契約書に付けることも可能です。住宅ローンの審査結果と自宅の売却状況という2つの条件を同時に満たさなければ契約が確定しないため、買主にとっては安全策になる一方、売主にとっては解除されるリスクが二重になる点を理解しておく必要があります。

特約を複数付けるほど買主は安心できますが、売主が契約に応じにくくなります。優先順位を決めて交渉することが大切です。

契約解除になったときの費用負担|不動産売却が遅れた場合のリスク

買い替え特約に基づく白紙解除が成立した場合、買主が支払った手付金や申込証拠金は原則として全額返還され、違約金も発生しません。手付金等の返還は帰責事由の有無を問わず解除一般に適用される民法第545条の原状回復義務によるものであり、違約金が発生しないのは買い替え特約の内容として違約金を定めていないためです。

ただし、売買契約の締結までに不動産会社へ支払った費用(住宅ローンの事前審査にかかる事務手数料や物件調査の費用など)は、特約の対象外として返還されない場合があります。なお、不動産売買の仲介手数料は、買い替え特約に基づき契約が白紙解除された場合は報酬請求権自体が発生しないため、すでに受領されている場合は全額返還されるのが原則です。また、自宅の売却が長引いたことで賃貸住宅の家賃や仮住まいの費用がかさむケースもあるため、解除できたとしても住み替え計画全体の費用負担が増える点は見込んでおく必要があります。

白紙解除できても、それまでにかかった調査費用や仮住まい費用は戻らないことがあります。資金計画には余裕を持たせておきましょう。

よくある質問

買い替え特約を付けるのに売主の同意は必要ですか。

必要です。買い替え特約は売主・買主双方の合意で契約書に盛り込む条項のため、売主が応じなければ付けられません。

売却期限を延長してもらうことはできますか。

契約当事者が合意すれば延長できます。ただし売主側に応じる義務はなく、延長するかどうかは個別の交渉次第です。

買い替え特約で解除された場合、新居探しはどうなりますか。

住宅購入契約自体が白紙に戻るため、改めて物件を探し直すことになります。自宅の売却を先に進めてから購入活動を再開する方法もあります。

自宅の売却価格を下げれば期限内に売れますか。

値下げは成約の可能性を高めますが、期限内に売れるとは限りません。売却相場より下げすぎると売却額が住み替え資金に足りなくなる場合もあるため、不動産会社と相談しながら判断する必要があります。

買い替え特約の期限が過ぎても売却活動を続けられますか。

契約が解除されれば住宅購入契約の効力はなくなりますが、自宅の売却活動自体は継続できます。媒介契約が有効な間は、別の買主を探す活動を続けられます。

買い替え特約を理解して住み替えの不動産売却リスクに備える

買い替え特約は、自宅の売却ができない場合に住宅購入契約を白紙に戻せる仕組みですが、解除の条件や期限は契約書ごとに異なり、売却活動の進め方次第で結果が左右されます。売却相場の把握や不動産会社との連携を怠ると、解除が認められなかったり、住み替え計画全体の費用負担が増えたりするおそれがあります。ぜひ本記事の買い替え特約の仕組みと注意点を参考に、契約前に解除条件と売却期限を確認してください。

出典

  • e-Gov法令検索「民法」(第545条、第557条)
  • 国土交通省「宅地建物取引業法」
  • 宅地建物取引業法第46条(仲介手数料の取り扱いに関する規定)
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