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不動産売却前のインスペクション費用はいくら?相場と内容を解説

築25年の戸建てを売り出すと、内覧のたびに「雨漏りや白アリの被害はないか」と買主から聞かれ、口頭で答えるだけでは引き渡し後のトラブルの火種が残ります。既存住宅状況調査(インスペクション)を専門の建築士に依頼すれば、基礎・外壁・屋根・床下などの劣化状況を書面で示すことができ、費用は木造戸建てで4万円〜6万円程度が目安です(2026年9月時点)。

マンションの専有部のみを調べる場合は3万円前後に収まることが多く、シロアリ調査や耐震診断などのオプション調査を加えると総額は上がります。

本記事ではインスペクション費用の売却相場と内訳、費用対効果の考え方、依頼するタイミングを解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 築25年の自宅を売る前に建物状況調査を受けるべきか迷い、5万円前後とされる費用の内訳を知りたい50歳の方
  • 確定申告を控え諸費用の総額を把握したい中、インスペクションの必要性と料金の目安が分からず不安な方
  • 買主とのトラブルを避けたい思いから調査を検討しているが、費用対効果が見合うのか判断がつかない方

不動産売却前のインスペクションとは|建物状況調査で分かること

インスペクションとは、既存住宅状況調査方法基準(国土交通省)に沿って、既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士などが建物の劣化状況を目視で点検する調査です。対象は基礎のひび割れ、外壁の破損、屋根の劣化、小屋裏や床下の雨漏り・シロアリ被害の跡などで、構造耐力上の安全性と雨水の浸入を防ぐ性能の両面を確認します。

2018年4月の宅地建物取引業法改正により、不動産会社は媒介契約を結ぶ際にインスペクション不動産会社のあっせんの可否を示し、調査結果があるときは重要事項説明で買主に概要を伝える義務を負うようになりました。売主に調査そのものを義務付ける制度ではありませんが、買主への説明の場面で結果が使われる前提があるため、売却前に受けておくかどうかを検討する価値があります。

調査結果は重要事項説明で買主に伝わるため、受けるなら売却活動を始める前のタイミングが望ましいです。

戸建て・マンション売却にかかるインスペクション費用の売却相場

木造戸建て(延床面積100㎡程度)の基本調査は4万円〜6万円程度が目安です。マンションは屋根や基礎を調べる必要がなく専有部中心の調査になるため、3万円前後に収まることが多くなります。延床面積が広い戸建てや、2階建て以上の調査で足場が必要になる場合は費用が上がる傾向があります。

不動産売却にかかる費用はインスペクション費用だけではなく、仲介手数料や印紙税、譲渡所得税なども含めた全体像で把握する必要があります。費用の全体像は不動産売却にかかる税金と費用の全体像で解説しています。

見積もりを取るときは延床面積と築年数を伝えると、当日の追加料金が発生しにくくなります。

基本調査とオプション調査|インスペクション費用の内訳

インスペクション費用は、基本調査の費用とオプション調査の費用に分けて考えると内訳が見えやすくなります。

基本調査(構造・雨水浸入)の内容と費用

基本調査は、基礎・外壁・屋根・小屋裏・床下といった部位を目視と計測機器で点検し、構造耐力上の安全性と雨水の浸入を防ぐ性能に問題がないかを確認します。費用の大半はこの基本調査にあたり、総額のおよそ7割を占めるのが一般的です。

オプション調査(シロアリ・耐震・配管)の内容と費用

シロアリ被害調査、耐震診断、給排水管の内視鏡調査などは基本調査に含まれず、依頼するごとに1万円〜3万円程度が追加されます。築年数が古い戸建てやシロアリ被害が疑われる地域では、オプション調査を加えて検査範囲を広げるケースが増えています。

基本調査費用 約70%
オプション調査
交通費等

※木造戸建て(延床100㎡程度)・総額5万円の概算例(2026年9月時点)

総額5万円の内訳を見ると、構造や雨水浸入を確認する基本調査が費用の中心で、シロアリ調査などのオプションは追加分として上乗せされていることが分かります。

見積書に基本調査とオプションが別立てで記載されているか、申込み前に確認してください。

既存住宅売買瑕疵保険とインスペクション費用の関係

インスペクションの結果は、既存住宅売買瑕疵保険(きそんじゅうたくばいばいかしほけん)への加入可否にも関わります。この保険は国土交通大臣が指定した住宅瑕疵担保責任保険法人が運営し、引き渡し後に構造上の瑕疵(かし)や雨水の浸入が見つかった場合の補修費用をカバーする仕組みです。

インスペクションを受けると保険に入りやすくなる仕組み

この保険に加入するには、検査機関による検査に合格する必要があり、既存住宅状況調査を事前に受けて劣化箇所を補修しておくと検査に通りやすくなります。調査費用と保険料は別の支払いですが、売主が加入すれば買主の安心材料になり、価格交渉で有利に働く場合があります。

保険料の目安と加入できないケース

保険料は建物の規模や検査内容によって変動し、数万円程度かかるのが一般的です。基礎や外壁に著しい劣化が見つかり補修されないままだと、検査に通らず加入できないこともあります。

調査や保険の加入可否を専門的に判断してもらいたい場合は、既存住宅状況調査技術者(建築士)や保険法人の検査員への依頼を検討する方もいます。鑑定費用の売却相場は不動産鑑定の費用は30万円前後?相場と依頼が必要なケースで解説しています。

保険加入は必須ではありませんが、補修の見積もりを早めに取っておくと検査直前の追加費用を避けられます。

売主がインスペクション費用を負担するメリットと注意点

売主が自ら費用を負担して調査を受けておくと、劣化箇所を把握したうえで売却活動に入れるため、内覧時の質問に根拠を持って答えられます。引き渡し後に欠陥が見つかって契約不適合責任を問われるリスクを下げる効果も期待できます。

一方で、調査の結果シロアリ被害や雨漏りの跡が見つかった場合、その事実を買主に伝える義務が生じ、補修せずに売るなら価格交渉で不利になることもあります。調査を受けること自体が売却価格を保証するわけではない点には注意が必要です。

指摘事項が見つかっても慌てず、補修するか告知のうえ価格に反映するかを不動産会社と相談してください。

不動産会社への伝え方とインスペクションを受けるタイミング

インスペクションを受けるなら、媒介契約を結ぶ前後、売却活動を始める前のタイミングが適しています。先に調査を終えておけば、不動産会社が査定価格や販売戦略を立てる際に劣化状況を踏まえて説明でき、内覧対応もスムーズになります。

媒介契約を結ぶ際には、不動産会社からインスペクション不動産会社のあっせんの可否について説明を受けます。あっせんを断って自分で調査会社を探すことも可能で、どちらを選ぶかで費用や調査の進め方が変わります。売却全体の流れと費用は不動産売却の完全ガイドで解説しています。

あっせんを依頼する不動産会社と、自分で手配する調査会社とで費用が異なることがあるので、両方に見積もりを取ると比較しやすいです。

費用を抑えるコツ|インスペクションの依頼先を選ぶ視点

インスペクション費用を抑えるには、基本調査のみをまず依頼し、気になる部位があればオプション調査を追加する方法があります。複数のインスペクション調査会社から見積もりを取り、基本調査とオプションの料金が明確に分かれているかを比べると、総額の見込みが立てやすくなります。

調査費用は譲渡所得の計算上、不動産売却のために直接要した費用として扱える場合があります。確定申告の際に費用をどう計上するかは税理士に確認するのが確実です。申告を税理士に依頼する費用の目安は不動産売却の確定申告を税理士に依頼する費用はいくら?で解説しています。

複数の見積もりを比べる際は、金額だけでなく調査にかかる所要時間と報告書の様式も確認してください。

よくある質問

インスペクションは売主が必ず受けなければなりませんか?

受ける義務はありません。義務付けられているのは、不動産会社が媒介契約時にあっせんの可否を説明し、調査結果があれば重要事項説明で買主に概要を伝えることです。調査を受けるかどうかは売主の任意の判断になります。

インスペクション費用は確定申告で経費にできますか?

売却のために直接要した費用として譲渡所得の計算に含められる場合がありますが、計上の可否は状況によって異なります。確定申告の前に税理士へ確認しておくと安心です。

マンションと戸建てで費用はどのくらい違いますか?

マンションは専有部中心の調査になるため3万円前後、戸建ては基礎や屋根まで調べるため4万円〜6万円程度が目安です。延床面積や調査会社によって前後します。

調査で指摘事項が見つかったら修繕しないといけませんか?

修繕は必須ではありません。買主に劣化状況を告知したうえで、修繕せずに価格へ反映して売却する選択肢もあります。不動産会社と相談しながら方針を決めることになります。

調査を依頼する会社はどう選べばよいですか?

既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士が在籍しているかを確認し、不動産会社に紹介してもらう方法と、自分でインスペクションの調査会社を探す方法を比較するとよいでしょう。見積もりの内訳が明確な会社を選ぶと安心です。

インスペクション費用の売却相場を踏まえた売却前の判断

インスペクション費用は木造戸建てで4万円〜6万円程度、マンションで3万円前後が目安で、シロアリ調査や耐震診断などのオプションを加えると総額が上がります。費用をかけて調査を受けるかどうかは、引き渡し後のトラブルを避けたい気持ちと、見つかった劣化を告知する負担とを天秤にかけて判断することになります。ぜひ本記事の売却相場と内訳を参考に、売却前にインスペクションを受けるかどうかを検討してください。

出典

  • 国土交通省「既存住宅状況調査方法基準」
  • 国土交通省「既存住宅売買瑕疵保険」制度概要
  • 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」
  • 一般社団法人日本木造住宅耐震補強事業者協同組合「既存住宅状況調査(インスペクション)について」
  • 国土交通省「既存住宅インスペクション・ガイドライン」
  • 公益社団法人全日本不動産協会「不動産鑑定士とは」
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