お内金とは?不動産売買での役割と手付金との違い・返還ルールも解説
住宅の売買契約書に「お内金」という項目を見つけ、以前の契約で使った「手付金」と同じ性質のお金なのか、契約書の文言だけでは判断できません。民法557条が定める手付金とは異なり、お内金(うちきん)には民法上の明文規定がなく、支払う時期や返還のルールは契約当事者の取り決めによって変わります。お内金は売買代金の一部として先払いするお金であり、手付金のように契約を一方的に解除する権利とは結び付いていません。本記事では、お内金の役割、手付金との違い、返還ルールなどを解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 自宅の売買契約を控え、内金と手付金の違いが分からず契約書の記載内容を確認しておきたい45歳の方
- 住み替え先の購入と自宅売却を同時に進めており、内金の返還ルールを知らないまま契約日を迎えそうな方
- 離婚を機に自宅を売る話が進み、受け取ったお金が内金か手付金かで扱いが変わることに不安を感じる方
お内金とは|不動産売買で使われる場面
お内金(うちきん)とは、不動産の売買代金の一部として、契約から引き渡しまでの間に前払いするお金を指します。手付金と違い、民法に根拠となる条文はなく、不動産会社や売主・買主の間の商慣習として使われてきた言葉です。
新築一戸建てや注文住宅の契約では、着工金や中間金の名目でお内金が登場することが多く、中古マンションや中古戸建ての売買では手付金だけで残代金決済まで進むケースも珍しくありません。契約書に「内金」の記載があれば、その金額は売買代金の一部に充当される前提で話が進んでいると考えてください。
「内金」とだけ書かれた契約書を見たら、手付金とは別枠のお金なのか、先に不動産会社へ確認しておきましょう。
手付金との違い|不動産売買におけるお内金と手付金の法的な扱い
お内金と手付金は、どちらも売買代金の一部を前払いするお金という点では似ていますが、法律上の立場はまったく異なります。契約を途中でやめられるかどうかの分かれ目になるため、どちらの名目で支払ったお金なのかを契約書で確認してください。
解約手付としての手付金の効力
民法557条により、手付金を受け取った売主は手付金の倍額を買主に返すことで、買主は支払った手付金を放棄することで、相手方が履行に着手するまでは契約を一方的に解除できます。これを解約手付と呼び、不動産売買契約の手付金は通常この性質を持ちます。
内金の位置づけと税務上の扱い
お内金には解約手付のような解除権が伴いません。いったん支払うと、契約そのものを白紙に戻す目的では簡単には取り戻せず、売買代金の一部として最終的な残代金の精算に組み込まれます。会計上は前渡金として扱われ、代金の支払いが進んだことを示す記録になります。
解約手付かどうかは契約書の特約条項で決まるため、「手付金」という言葉だけで安心せず条文の中身を読んでください。
不動産売買でお内金を支払うタイミングと流れ
お内金を支払う時期は契約書の特約で決まり、契約時に手付金、中間金としてお内金、引き渡し時に残代金という3段階に分ける方法が典型的です。次の図は、一般的な不動産売買でお内金が登場するまでの流れを示したものです。
契約書に解約手付の条項があるかを確認
特約に支払日・金額・充当方法を明記
振込記録・領収書を残しておく
手付金・内金を控除した残額を支払う
鍵の受け渡しと登記手続きが完了
図のとおり、お内金は手付金の支払いよりあとに来て、残代金の決済前に授受される点を押さえておいてください。お内金と手付金の支払時期の違いは内金とは?手付金との違いと不動産売買での支払時期を解説でも扱っています。
お内金の支払日が決済日の直前になっている契約書もあるので、資金の準備が間に合うかを早めに確認してください。
お内金は返還されるのか|契約解除時のルール
お内金が戻ってくるかどうかは、契約を解除する理由によって変わります。手付金のような解除権がない分、契約書に返還条件を書いていないと、話し合いが長引く原因になります。
買主都合で契約を解除する場合
買主の事情だけで契約をやめる場合、支払ったお内金が返還されるかどうかは契約書の特約次第です。返還しない旨の特約があれば、お内金は違約金的な性質を帯び、戻らない可能性があります。
売主都合で契約を解除する場合
売主の事情で契約が白紙に戻る場合は、受け取ったお内金を買主に返すのが基本です。住宅ローンの審査に通らなかったことを理由とするローン特約による解除のときも、支払い済みのお内金と手付金は買主に全額返還される取り決めが一般的です。
返還条件があいまいな契約書は、署名前に不動産会社へ文言の修正を相談しておくと、後のトラブルを防げます。
住み替えで自宅を売るときにお内金で注意したい点
自宅の売却と新居の購入を同時に進める住み替えでは、売却代金を新居の購入資金に充てる計画が多く、売却側の決済日がずれ込むと資金繰りに影響します。お内金の支払時期を双方の契約で確認し、受け取る側・支払う側どちらの立場でも日程の整合を取っておく必要があります。
自宅の売却価格がまだ固まっていない段階でお内金の額を決めてしまうと、後から金額の調整が難しくなります。査定の申し込みの時点で売却相場をつかんでおくと、お内金の金額交渉にも余裕が生まれます。匿名での査定の使い方は匿名査定・AI査定はどこまで正確?精度の限界と賢い使い方で解説しています。
売却側と購入側の決済日が同じ週に重なる住み替えは、資金移動の順番を不動産会社と事前にすり合わせておきましょう。
契約書・領収書で確認したい記載事項
お内金を支払う前に、契約書の特約条項に次の内容が書かれているかを確認してください。金額と支払期日だけでなく、売買代金への充当方法と返還条件が明記されているかどうかが、後のトラブルの有無を左右します。
- お内金の金額と支払期日
- 残代金への充当方法
- 契約解除時の返還条件
- 支払い方法(振込・現金)と領収書の発行者
振込で支払う場合は振込明細、現金で支払う場合は売主名義の領収書を受け取り(不動産会社が代理受領する場合はその旨の預かり証も確認)、支払った日付・金額・宛先が一致しているかを見比べてください。
領収書の宛名や日付が契約書の支払期日とずれていたら、その場で不動産会社に訂正を依頼してください。
お内金をめぐるトラブルを防ぐポイント
お内金は民法に直接の根拠がない分、トラブルになったときに主張のよりどころが契約書の記載内容に限られます。口頭での約束を避け、支払いに関するやり取りはすべて書面か記録に残る方法に統一してください。
不動産会社を通さず個人間で直接お内金を授受する取り決めは避け、仲介する不動産会社に支払いの窓口になってもらうと、金額や期日の食い違いが起きにくくなります。契約から引き渡しまでの全体の流れを把握しておくと、お内金の位置づけも理解しやすくなります。不動産売買の流れ全体は不動産売却の完全ガイド|流れ・費用・税金と高く売るコツで解説しています。
金額の大きいお内金ほど、支払う前に契約書の特約を宅地建物取引士に読み上げてもらい、口頭で意味を確認しておきましょう。
よくある質問
お内金と手付金、どちらを先に支払いますか
一般的には契約締結時に手付金を支払い、お内金はそのあとの中間金として、残代金決済より前の時期に支払う流れが多く見られます。支払う順番は契約書の特約で決まるため、個別の契約内容を確認してください。
お内金を支払った後に契約をやめたい場合はどうなりますか
お内金には解約手付のような解除権が付いていないため、契約をやめても自動的には返還されません。返還されるかどうかは契約書の特約の内容次第であり、違約金が発生する取り決めになっていることもあります。
お内金はいくらくらい用意すればよいですか
お内金の金額に法律上の上限や決まった売却相場はなく、契約当事者の合意で決まります。高額になる場合は資金計画に無理がないか、支払う前に不動産会社へ相談してください。
お内金を支払うと領収書はもらえますか
不動産会社や売主から、金額・日付・宛名を記載した領収書を受け取れます。振込で支払った場合でも、振込明細とあわせて領収書の発行を依頼しておくと記録が二重に残ります。
住宅ローンの審査にお内金の支払いは影響しますか
お内金そのものは住宅ローンの審査項目ではありませんが、支払いに充てる自己資金が不足すると、ローン特約による解除が必要になる場合があります。資金計画は売買契約を結ぶ前に金融機関へ確認しておいてください。
お内金とは何かを理解して不動産売買の契約を安全に進める
お内金は民法に根拠を持つ手付金とは異なり、契約当事者の取り決めによって性質が決まる前払い金です。支払う時期、売買代金への充当方法、契約解除時の返還条件が契約書に明記されているかどうかで、後のトラブルの起きやすさが変わります。ぜひ本記事のお内金と手付金の違い・返還ルールを参考に、契約書に署名する前に特約条項の内容を確認してください。
出典
- e-Gov法令検索「民法」第557条
- 全宅保証「不動産取引に関するお金の知識」https://www.hosyo.or.jp/lp/financialknowledge/
