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マンション個人売買は可能?メリットとリスク

マンションの売買価格が3,000万円の場合、仲介手数料の上限は売買価格×3%+6万円に消費税を加えた額となり、税込で約105.6万円かかります。知人や親族への売却を考える人が、この金額を目にして個人売買という選択肢に行き当たります。

マンションの個人売買は、宅地建物取引業法で禁止されているわけではありません。所有者本人が自分のマンションを売る分には同法の宅地建物取引業の免許は不要ですが、契約書の作成や登記、住宅ローンの手続きをすべて自分たちで進める必要があり、仲介を使う場合にはないリスクも抱え込みます。

本記事ではマンションの個人売買の仕組みとメリット、リスク、向き不向きの判断基準、必要な手続きを解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 45歳会社員、知人にマンションを直接譲る個人売買を考えているが、仲介を通さないリスクが分からず不安な方
  • 仲介手数料を抑えたい思いから個人間売買を検討しているが、契約書や登記の手続きに不安がある方
  • 資金需要から早く現金化したく、個人売買という選択肢のメリットと落とし穴を知りたい方

マンションの個人売買とは?仲介を通さない不動産取引の仕組み

マンションの個人売買とは、不動産会社の仲介を介さず、売主と買主が直接交渉して売買契約を結ぶ取引です。知人や親族への売却でよく選ばれる方法で、不動産会社に支払う仲介手数料がかからない点が最大の特徴です。

宅地建物取引業法は、不特定多数を相手に反復して不動産の売買を「業として」行う者に、宅地建物取引業の宅地建物取引業の免許を義務づけています。マンションの所有者が自分の持ち物件を1回限りで売る分には、この宅地建物取引業の免許は不要です。ただし、知人の物件売却を繰り返し仲介したり、転売目的で複数の物件を扱ったりすると、宅地建物取引業の免許がないまま宅建業を行っていることにあたる可能性があります。

マンション売却全体の流れや必要な費用、税金については不動産売却の完全ガイドで解説しています。個人売買は、この一般的な流れのうち不動産会社が担う部分を、売主と買主自身で代替する取引だと考えると分かりやすいです。

マンションの個人売買自体は違法ではありませんが、反復して他人の物件を仲介すると無免許営業になるので注意してください。

仲介手数料がかからない|マンション個人売買のメリット

マンション個人売買の最大のメリットは、仲介手数料がかからない点です。仲介手数料の上限は国土交通省の規定により「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた額と定められており、売買価格3,000万円なら税込約105.6万円、5,000万円なら税込約171.6万円にのぼります。個人売買であれば、この金額を支払う必要がありません。

知人や親族が買主の場合は、価格交渉や引き渡し時期の調整も柔軟に進められます。内覧の日程調整や複数の不動産会社とのやり取りが不要なため、手続きのスケジュールを当事者同士の都合だけで決められる点も利点です。

仲介手数料がかからない分、浮いた費用を司法書士報酬や契約書の作成費用に充てる想定をしておくと安心です。

契約と資金面に潜むリスク|マンション個人売買の注意点

マンション個人売買は仲介手数料を抑えられる一方で、仲介を通さないことによるリスクも抱え込みます。主なリスクは契約内容の不備と、住宅ローンに関わる資金面の2つに分かれます。

契約不備と契約不適合責任のリスク

不動産会社が仲介する取引では、重要事項説明書で物件の状態や権利関係が書面で示され、契約不適合責任(売買後に見つかった欠陥について売主が負う責任)の範囲も契約書に明記されます。個人売買では、こうした書類を当事者だけで作成する必要があり、記載漏れがあると引き渡し後に欠陥が見つかった際の責任の所在があいまいになります。

売買価格が市場相場と比べて著しく低い場合、差額分が贈与とみなされる可能性もあります。相続税法第7条は、著しく低い価格での財産の譲渡を「みなし贈与」として贈与税の課税対象とする規定を置いており、親族間の個人売買では特に注意が必要です。

住宅ローンの審査が通りにくいリスク

買主が住宅ローンを利用する場合、金融機関は物件の担保価値や契約内容を審査しますが、個人間の契約書だけでは審査に必要な情報が不足しがちで、融資が通りにくくなることがあります。売主側に住宅ローンの残債がある場合も、抵当権の抹消と買主の新規融資の実行を同じタイミングで進める必要があり、個人同士の調整では難航しやすくなります。

契約不適合責任の特約を曖昧にしたまま契約すると、引き渡し後のトラブルで解決が長引きやすくなります。

売却相手との関係で変わる|個人売買が向くケース・向かないケース

マンション個人売買が向いているかどうかは、売却相手との関係と資金状況によって変わります。親族や知人などすでに売却相手が決まっていて、住宅ローンの残債がなく現金で決済できる場合は、個人売買でも手続きを進めやすいケースです。一方、不特定の買主を探す必要がある場合や、売主・買主のどちらかに住宅ローンが絡む場合は、仲介を利用したほうが手続きの負担が小さくなります。

マンションを売るタイミングそのものに迷っている場合は、個人売買を検討する前に売却相場を把握しておく必要があります。売り時の判断基準はマンションの売り時はいつ?判断基準を解説で解説しています。

マンションの売却相手がすでに決まっているかどうかは、個人売買を選べるかどうかの最初の分かれ目になります。

売却相手(親族・知人など)はすでに決まっている?
YES ↓
住宅ローンの残債がなければ個人売買を検討できる
NO ↓
不動産会社への仲介依頼を軸に検討した方が安全

売却相手が決まっていない場合は、個人売買よりも不動産会社への仲介依頼を軸に検討したほうが手続きの負担を抑えられます。

住宅ローンが残っている場合は、抵当権抹消のタイミング調整が個人間だと特に難航しやすいので早めに金融機関へ相談してください。

必要な書類と手続きの流れ|マンション個人間売買の進め方

マンション個人売買でも、売買契約書の作成と所有権移転登記の手続きは避けて通れません。

売買契約書の作成

売買契約書には、売買価格や引き渡し時期に加え、契約不適合責任の範囲や解除条件を明記する必要があります。不動産会社の仲介であれば標準的な書式が用意されていますが、個人売買では自分たちで作成するか、行政書士などの専門家に有償で作成を依頼する方法があります。

所有権移転登記の手続き

売買代金の決済後は、法務局で所有権移転登記を行う必要があります。登記には登録免許税がかかり、権利関係を確認するために登記事項証明書の交付を受けることもあります。登記事項証明書の交付にかかる手数料は2025年4月1日施行の改定後、法務局窓口や郵送による書面請求の場合は1通600円です(オンライン請求で郵送受取の場合は1通520円、オンライン請求で窓口受取の場合は1通490円)。手続きを自分たちだけで進めると、書類の記載ミスで登記が受理されないこともあるため、司法書士に依頼するのが一般的です。

所有権移転登記は司法書士に依頼するのが一般的で、自分たちだけで進めると書類の不備で受理されないことがあります。

費用で比べる|個人売買と仲介売却どちらが得か

仲介手数料がかからない分、マンション個人売買のほうが費用を抑えられるように見えますが、実際には登記費用や契約書作成の費用が別にかかるため、総額の差は想定より小さくなることがあります。

マンション個人売買と仲介売却の費用比較(売買価格3,000万円の場合の目安/2026年9月時点)
項目仲介売却個人売買
仲介手数料上限税込約105.6万円かからない
契約書作成費用不動産会社が対応(仲介手数料に含む)自分で作成、または専門家へ依頼(実費)
登記費用(司法書士報酬・登録免許税)発生発生
契約不適合責任等のサポート不動産会社が関与自己責任

出典:国土交通省「宅地建物取引不動産会社が宅地又は建物の売買等に関して受けることのできる報酬の額」をもとに作成

売却後に手元へ残る金額は、仲介手数料だけでなく登記費用や税金も差し引いて計算する必要があります。具体的な計算方法はマンション売却で手元に残る金額の計算方法で解説しています。

仲介手数料が浮いても、契約書作成や登記のサポート費用がかさむと総額の差は小さくなることがあります。

進める前に確認したいポイント|マンション個人売買の判断ポイント

マンション個人売買を進める前に、売却相場を自分なりに把握しておくと、個人間の価格交渉でも適正な水準から外れにくくなります。匿名査定やAI査定を使えば、不動産会社に連絡せずにおおまかな売却相場を調べられます。匿名査定の精度と限界については匿名査定・AI査定はどこまで正確?精度の限界と賢い使い方で解説しています。

個人売買のリスクが大きいと感じる場合は、仲介を使いながら早期の現金化を優先する方法もあります。買取業者への売却は仲介よりも短期間で現金化できる一方、売却価格は売却相場より下がる傾向があります。買取業者の選び方はマンション買取業者の選び方と比較のポイントで解説しています。

個人売買に不安を感じたら、仲介を利用しつつ仲介手数料の交渉をする選択肢も検討してみてください。

よくある質問

マンションの個人売買に宅地建物取引業の宅地建物取引業の免許は必要ですか?

自分が所有するマンションを1回限りで売る場合は、宅地建物取引業の宅地建物取引業の免許は不要です。ただし他人の物件の売買を繰り返し仲介するなど「業として」取引を行う場合は宅地建物取引業の免許が必要になります。

個人間売買でも住宅ローンは使えますか?

買主が住宅ローンを利用することは可能ですが、金融機関は契約書の内容や物件の担保価値を審査するため、個人同士で作成した契約書だけでは審査が通りにくくなることがあります。売主に残債がある場合は、抵当権の抹消と融資実行のタイミング調整も必要です。

売買契約書は自分で作成できますか?

作成すること自体は可能ですが、契約不適合責任の範囲や解除条件などの記載が不十分だと、引き渡し後のトラブルで責任の所在があいまいになります。行政書士などの専門家に作成を依頼する方法もあります。

個人売買でトラブルが起きたらどうすればいいですか?

契約書の記載内容をもとに当事者同士で話し合うのが基本ですが、解決しない場合は弁護士や司法書士などの専門家に相談し、契約書に沿った対応を検討する必要があります。

知人や親族への売却でも税金はかかりますか?

マンションを売って利益が出た場合、個人間売買でも譲渡所得税がかかります。税率は所有期間が5年を超える場合で20.315%、5年以下の場合で39.63%です。また、売却相場より著しく低い価格で売ると、差額が贈与とみなされ贈与税の対象になることもあります。

マンション個人売買を検討するときに押さえておきたいこと

マンションの個人売買は宅地建物取引業法で禁止されておらず、仲介手数料を抑えられる点が大きな魅力です。一方で、契約書の作成や登記、住宅ローンの手続きをすべて自分たちで担う必要があり、契約不備やみなし贈与のリスクも抱え込みます。売却相手がすでに決まっていて住宅ローンの残債がない場合は選びやすい方法ですが、不特定の買主を探す場合や住宅ローンが絡む場合は仲介を利用したほうが手続きの負担を抑えられます。ぜひ本記事のメリットとリスクの整理を参考に、ご自身の状況に合った売却方法を選んでください。

出典

  • 国土交通省「宅地建物取引不動産会社が宅地又は建物の売買等に関して受けることのできる報酬の額」
  • e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
  • e-Gov法令検索「相続税法」
  • 国税庁「土地建物を売ったときの税金(譲渡所得)」
  • 法務省「登記手数料について」
  • 法務省「登記手数料令」(登記事項証明書の交付手数料)
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