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住宅ローンが払えない…家を売って完済する方法

収入が減った。

ボーナスが出なかった。

来月の住宅ローンが払えそうにない。

そう気づいたとき、多くの方が「家を手放すしかないのか」と考えます。

本記事では、住宅ローンが払えなくなったときに何が起きるのか、どの順番で手を打つべきかを整理します。

結論を先に言えば、売却を考える前にやるべきことがあります

そして、もし売るとしても、動く時期によって結果が大きく変わります。

まずは放置した場合に何が起きるかから説明します。

住宅ローンの滞納を放置するとどうなるか|競売までの流れ

住宅ローンを滞納しても、翌月すぐに家を追い出されるわけではありません。ただし、段階を追って選択肢が減っていきます。

滞納後に起きることの順序

段階起きること
督促・催告金融機関から入金の案内、督促状、催告書が届く
期限の利益の喪失分割で払う権利を失う。以後は残債全額の一括請求になる
代位弁済保証会社が残債を金融機関に一括返済。以後の請求相手は保証会社になる
競売の申立て・開始決定裁判所から競売開始決定通知が届き、不動産が差し押さえられる
現況調査裁判所の執行官と評価人が自宅を調査する
期間入札・売却物件情報が公告され、入札により買受人が決まる

※各段階までの期間は金融機関や事案により異なります。出典:民事執行法、裁判所「売却係の扱う事務について」をもとに整理

重要なのは期限の利益の喪失です。

ここを過ぎると「毎月◯万円ずつ」という前提が消え、残債を一括で求められる状態になります。

数千万円を一括で用意できる人はほとんどいないため、実質的にここが分岐点になります。

滞納から各段階までの期間は、金融機関や事案によって異なります。ネット上には「滞納3か月で」「6か月で」といった数字が並びますが、契約や対応によって幅があるため、自分のケースがどうかは金融機関に確認するのが確実です。

住宅ローンが払えないとき、まず金融機関に相談する|返済条件の変更

ここが、この記事で最も伝えたい点です。

「住宅ローン 払えない」で検索すると、任意売却業者の広告や記事が上位に並びます。しかし売る前に、返済条件そのものを変更できる可能性があります。

住宅金融支援機構(フラット35など)は、返済が困難になった場合の返済方法変更メニューを公開しています。同機構によれば、次のような変更が可能とされています。

住宅金融支援機構の返済方法変更メニュー(主なもの)

内容上限など
返済期間の延長最長15年(毎月の返済額を減らす)
元金の支払いを一時休止最長3年(その間は利息のみを支払う)
一定期間の返済額を減額収入減少の状況に応じて設定
ボーナス返済分の見直し毎月払いとの内訳を変更

出典:住宅金融支援機構「タイプ別返済方法変更メニュー」「返済方法の変更を希望するとき」。機構所定の審査があり、希望に添えない場合もあります。

同機構は、返済方法の変更手続きに手数料はかからないとしています。

また、期間を延ばせば毎月の負担は下がりますが、利息負担が増えるため総返済額は増える点も同機構が明記しています。

万能の策ではなく、時間を買う手段だと理解しておく必要があります。

民間の金融機関でも、返済条件の変更に応じる窓口が用意されていることがあります。

相談は滞納する前のほうが選択肢が広く残ります。

すでに滞納が続いている、代位弁済の通知が届いた、という段階では、条件変更ではなく売却の話になっていきます。

競売になるといくらで売られるのか|任意売却との価格差

売却を検討する前提として、競売とは何かを正確に押さえておく必要があります。

競売では、裁判所が評価人の評価に基づいて売却基準価額を定めます(民事執行法第60条第1項)。そして買受けの申出は、売却基準価額から10分の2に相当する額を控除した価額(買受可能価額)以上でなければ適法な入札になりません(同条第3項)。

つまり、法律上、売却基準価額の8割の水準から入札が成立し得る構造になっています。売却基準価額自体も、占有者がいる可能性や内覧できない事情などを織り込んで定められるため、通常の市場での売却額とは前提が異なります。

加えて、競売には次の特徴があります。

競売と通常の売却(仲介)の違い

項目競売仲介・任意売却
価格買受可能価額(売却基準価額の8割)以上で入札市場価格をもとに交渉
売主の意思不要(手続きは進む)売主が合意して契約する
情報公開物件情報が公告される通常の売り出しと同じ
引渡し時期手続きの進行に従う交渉の余地がある

出典:民事執行法第60条、裁判所「売却係の扱う事務について」をもとに整理

売却額が下がれば、残る借金は増えます。競売を避ける実務上の意味は、ここにあります。

家を売って住宅ローンを完済できるか先に確かめる

返済条件の変更が難しい場合、次に確認すべきは売却額でローンを完済できるかです。

売却代金がローン残債と諸費用を上回れば、通常どおり売却して完済できます。

抵当権も抹消でき、手元に現金が残ることもあります。

この場合は「払えないから困っている」状態から、比較的すっきり抜けられます。

問題は、売却額が残債を下回るオーバーローンの場合です。

売っても借金が残るため、金融機関が抵当権の抹消に同意しなければ売却自体ができません。

この同意を得たうえで進める売却が任意売却です。

まずは残債と売却見込み額を並べてみることが出発点になります。

計算方法は「マンション売却で手元に残る金額の計算方法」、オーバーローン時の具体的な選択肢は「オーバーローンの家は売れる?残債がある場合の売却方法」で扱っています。

任意売却と競売の違い|手続き・価格・引っ越し費用

任意売却は、金融機関の同意を得て、通常の売却と同じように市場で売る方法です。競売と違い、売主が契約の当事者になります。

価格は市場相場をもとに交渉するため、競売より高く売れる可能性があります。

引渡し時期についても、交渉の余地が残ります。

一方で、金融機関の同意が前提であり、いつでも選べる方法ではありません。

競売の手続きが進んでしまうと、時間的に間に合わなくなることがあります。

時間の余裕がない場合は、価格は下がるものの短期間で現金化できる買取という選択肢もあります(「仲介と買取どっちがいい?違いとメリット・デメリット」)。

注意したいのは、任意売却をしても残った債務は消えないという点です。

売却後の残債務をどう返していくかは、別途金融機関と協議することになります。

「任意売却すれば借金がなくなる」という説明は正確ではありません。

なお、税金の面では救済があり得ます。

マイホームを売って譲渡損失が出た場合、一定の要件を満たせば損失を他の所得と相殺し、所得税の還付を受けられる特例があります。

任意売却であっても要件を満たせば対象になり得ますが、競売による売却は対象外です。

詳しくは「マイホームを売って損したら|譲渡損失の特例と繰越控除」をご覧ください。

住宅ローンが払えないときにやってはいけないこと

状況が苦しいときほど、避けるべき行動があります。

通知を開封せずに放置するのが最も危険です。

督促や催告の段階なら選択肢がありますが、期限の利益を失い、代位弁済が済んでしまうと、話し合いの相手も内容も変わります。

書面が届いたら、内容と日付を確認してください。

他の借入で穴埋めするのも危険です。カードローンや消費者金融でローンの返済に充てると、金利の高い債務が積み上がり、状況は悪化します。

親族間で売買して住み続けるという案が持ちかけられることもありますが、税制上の特例は特別の関係がある人への売却には使えません。

3000万円特別控除とは|マイホーム売却で使える節税制度」の要件にも、親子や夫婦など特別の関係がある人に売ったものでないことが挙げられています。

資金計画も含めて慎重な検討が必要です。

返済が難しいことが分かった段階で、まず金融機関に相談する。これが選択肢を最も多く残す行動です。

住宅ローンが払えないときのよくある質問

Q. 1回でも滞納したら、すぐ競売になりますか。

なりません。

まず督促や催告があり、期限の利益の喪失、代位弁済を経て競売の申立てという順序をたどります。

ただし段階が進むほど選択肢は減ります。

特に期限の利益を失うと残債の一括請求になるため、その前に金融機関へ相談することが重要です。

Q. 返済が苦しいのですが、家を売るしかありませんか。

売却の前に、返済条件の変更を相談する道があります。

住宅金融支援機構は返済期間の延長(最長15年)や元金の支払いを一時休止する期間の設定(最長3年)などのメニューを公開しており、手続きに手数料はかからないとしています。

ただし審査があり、希望に添えない場合もあります。

民間の金融機関でも相談窓口があることが多いので、まず問い合わせてみてください。

Q. 返済期間を延ばせば得になりますか。

毎月の負担は下がりますが、返済期間が延びる分だけ利息負担が増え、総返済額は増えます。

住宅金融支援機構もこの点を明記しています。

あくまで当面の資金繰りを立て直すための手段であり、余裕ができた段階で期間を短縮し直すことも検討できます。

Q. 競売だと、どのくらいの価格になりますか。

裁判所が評価人の評価に基づいて売却基準価額を定め、入札はその額から10分の2を控除した買受可能価額以上で行われます(民事執行法第60条)。

つまり売却基準価額の8割の水準から入札が成立し得ます。

実際の落札額は物件や競争状況によって異なりますが、通常の市場での売却とは前提が異なります。

Q. 任意売却すれば、借金はなくなりますか。

なくなりません。

売却代金で返しきれなかった残債務は残り、返済方法を金融機関と協議することになります。

任意売却の利点は、競売より高く売れる可能性があることと、引渡し時期などに交渉の余地が残ることです。

残債務が消える制度ではありません。

Q. 売って損が出た場合、税金の救済はありますか。

マイホームの売却で譲渡損失が出た場合、一定の要件を満たせば損失を給与など他の所得と相殺し、所得税の還付を受けられる特例があります。

任意売却でも要件を満たせば対象になり得ますが、競売による売却や特別の関係がある人への売却は対象外です。

適用には確定申告が必要です。

まとめ|住宅ローンが払えないなら競売の前に動く

住宅ローンが払えないと気づいたら、順序が結果を左右します。

滞納を放置すると期限の利益を失い、残債の一括請求になります。

そこから代位弁済、競売へと進むにつれて、選べる手段は減っていきます。

売却を考える前に、返済条件の変更が可能かを金融機関に相談してください。

住宅金融支援機構は返済期間の延長や元金据置のメニューを公開しており、手数料はかからないとしています。

総返済額は増えるため万能ではありませんが、立て直す時間を作ることはできます。

売る場合も、競売と任意売却では価格の前提が違います。

競売の入札は売却基準価額の8割の水準から成立し得る一方、任意売却なら市場相場をもとに交渉できます。

売却額が下がるほど残る借金は増えるので、動くのが早いほど傷は浅くなります。

まずは残債と売却見込み額を並べて、完済できるのかどうかという事実を確かめるところから始めてみてください。

出典・参考情報

  • 住宅金融支援機構「タイプ別返済方法変更メニュー」(返済期間の延長は最長15年、元金支払いの一時休止は最長3年)
  • 住宅金融支援機構「返済方法の変更を希望するとき」(手続きに手数料はかからない)
  • 裁判所(東京地方裁判所民事第21部)「売却係の扱う事務について」(売却基準価額・買受可能価額の定義)
  • 民事執行法 第60条(売却基準価額の決定。買受可能価額は売却基準価額から10分の2に相当する額を控除した価額)、第62条(物件明細書)、第63条(無剰余取消)

※滞納から各手続きに至るまでの期間や、返済条件変更の可否は、金融機関・保証会社・事案により異なります。

返済方法の変更には所定の審査があります。

税制の適用可否は個別の事情により異なり、適用には確定申告が必要です。

個別の対応については、ご返済中の金融機関、または弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。

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