減価償却費とは?耐用年数と不動産売却への影響

建物が古くなったぶんだけ価値が減ったとみなして差し引く金額です。木造・鉄筋コンクリートなど、構造ごとに決まった年数をもとに計算します。差し引くほど取得費が小さくなり、譲渡所得は大きくなります。
家を売る契約書を見ていて「減価償却費」という言葉に行き当たり、譲渡所得の計算にどう関わるのか分からず手が止まっていませんか。
減価償却費は、建物が古くなったぶんの価値を取得費から差し引く金額で、差し引くほど譲渡所得税の負担が増える方向に働きます。
本記事では、減価償却費の意味と計算方法、不動産の売却でどう関わるかを解説します。
減価償却費とは(読み方・意味)
減価償却費は「げんかしょうきゃくひ」と読みます。
建物は年数が経つほど劣化して価値が下がるという考え方に基づき、購入時の建物価格から使用年数に応じた金額を差し引く仕組みです。
土地は年数が経過しても劣化しないとみなされるため、減価償却費の対象になるのは建物部分だけです。
所得税法では、事業用の建物なら毎年の必要経費として計上しますが、マイホームなど自分で住むための不動産は、売却したときに取得費から差し引く形で譲渡所得の計算に使います。
住んでいる間は意識する場面が少なく、売るタイミングで初めて登場する費用です。
減価償却費はこんな場面で出てきます
木造のご自宅の売却査定額は2,800万円で、建物の購入価格は1,600万円でしたね。
はい、20年前に建てた家です。減価償却費はどのくらいになるんでしょうか。
木造の償却率は0.031ですので、1,600万円×0.9×0.031×20年でおよそ893万円になります。
そんなに引かれるんですね。取得費が減ると税金はどうなりますか。
取得費が小さいぶん譲渡所得が増えますので、詳しい税額は税理士さんに確認しましょう。
3000万円特別控除が使えれば、譲渡所得を抑えられる可能性がありますね。
それなら少し安心しました。必要な書類を揃えておきます。
減価償却費と取得費・譲渡所得の違い
不動産の売却でよく出てくる「取得費」「減価償却費」「譲渡所得」は関係し合う言葉ですが、指している中身は異なります。次の表で整理します。
取得費・減価償却費・譲渡所得の違い
| 項目 | 意味 | 売却との関わり |
|---|---|---|
| 取得費 | 不動産を取得した際の購入代金や仲介手数料などの合計 | 減価償却費を差し引いた金額が譲渡所得の計算に使われる |
| 減価償却費 | 建物の経年劣化分として取得費から差し引く金額 | 差し引くほど取得費が小さくなる |
| 譲渡所得 | 売却代金から取得費と譲渡費用を差し引いた利益 | 減価償却費が大きいほど譲渡所得税の負担が増えやすい |
取得費から減価償却費を差し引いた金額が、譲渡所得の計算で実際に使う取得費です。この関係を押さえておくと、譲渡所得税の仕組みが分かりやすくなります。
減価償却費は不動産を売るときにどう関わるか
不動産を売却すると、売却代金から取得費と譲渡費用を差し引いて譲渡所得を計算します。
この取得費の建物部分には、購入時の価格そのものではなく、減価償却費を差し引いたあとの金額を使います。
そのため、築年数が古い家ほど減価償却が進んでおり、取得費が小さくなっている場合があります。
取得費が小さいほど譲渡所得は大きくなり、結果として譲渡所得税の負担が増えやすくなります。
特に木造住宅は耐用年数が短く設定されているため、鉄筋コンクリート造のマンションよりも減価償却が早く進む傾向があります。
売主としては、購入時の契約書や重要事項説明書に記載されている建物価格を確認し、建物と土地の内訳が分かる書類を手元に用意しておく必要があります。
内訳が分からない場合は消費税額から建物価格を逆算する方法などもありますが、判断が難しいときは税理士に相談することをおすすめします。
譲渡所得税全体の計算方法は「譲渡所得税の計算方法」で解説しています。
減価償却費の計算方法と耐用年数の目安
2026年9月時点で、マイホームなど非事業用の建物の減価償却費は「建物の取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数」をもとに計算します。
非事業用の建物は、法定耐用年数の1.5倍の年数を耐用年数として使う決まりです。
木造住宅の耐用年数は33年で償却率は0.031、鉄筋コンクリート造のマンションは耐用年数70年で償却率は0.015です。
たとえば木造住宅を2,000万円で購入し、10年間住んでから売却する場合、2,000万円×0.9×0.031×10年で、減価償却費はおよそ558万円になります。
この金額を建物の取得価額から差し引いた残りが、譲渡所得の計算で使う取得費です。
構造によって進み方が大きく異なるため、自宅がどちらの構造かを確認しておくことが計算の出発点になります。
減価償却費についてよくある質問
Q 減価償却費はマイホームを売るときも必ず計算しますか?
A 自分で住んでいた家やマンションを売却する場合も、譲渡所得を計算するときには建物部分の減価償却費を差し引く必要があります。土地部分は対象になりません。
Q 減価償却費を差し引くと税金は高くなりますか?
A 取得費が小さくなるぶん譲渡所得は大きくなりやすいですが、3000万円特別控除や軽減税率の特例などを使える場合は、税負担が抑えられることがあります。
Q 購入時の建物価格が分からない場合はどうすればいいですか?
A 売買契約書や重要事項説明書に建物価格の記載がないか確認し、消費税額から逆算する方法などもあります。判断に迷うときは税理士に相談してください。
Q 賃貸に出していた不動産でも計算方法は同じですか?
A 賃貸など事業用に使っていた不動産は、耐用年数や償却率が非事業用の場合と異なり、毎年の確定申告で必要経費として計上した減価償却費の累計額を使います。
減価償却費のまとめ
減価償却費は、建物が古くなったぶんの価値を取得費から差し引く金額で、差し引くほど譲渡所得が大きくなり、譲渡所得税の負担にも影響します。
木造かマンションかによって耐用年数や償却率が異なり、購入時の建物価格の把握が計算の出発点になります。
個別の金額の判断は税理士に相談しながら進めると安心です。
ぜひ本記事の計算方法と考え方を参考に、不動産の売却に向けた取得費の確認を進めてください。
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