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登記の種類とは?不動産売却で知っておきたい登記まとめ

親から引き継いだ土地の登記簿を取り寄せると、所有者の欄に亡くなった父や祖父の名前がそのまま残っていることがあります。不動産登記には表題登記・所有権保存登記・所有権移転登記・抵当権設定登記・相続登記などの種類があり、相続登記は不動産登記法第76条の2により2024年4月1日から義務化されました。

正当な理由なく相続登記の申請を怠ると10万円以下の過料の対象になり、不動産売却の前に名義や抵当権を整理しておかないと、買主への所有権移転登記が進みません。

本記事では、不動産売却で知っておきたい登記の種類と、それぞれの手続きや費用を解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 親から引き継いだ土地の名義が古いままで、売却前にどの登記が必要になるのか分からず戸惑っている62歳の方
  • 共有名義や境界未確定の土地を相続し、法律用語の違いが理解できず専門家に相談する前に基礎を掴みたい方
  • 抵当権が残ったままの不動産を売る予定があり、どの登記手続きが必要になるか整理しておきたい方

不動産売却で知っておきたい登記の種類

不動産登記は、土地や建物の物理的な状況と権利関係を公的に記録する制度です。法務局(登記所)が管理する登記記録には「表題部」と「権利部」があり、権利部はさらに甲区(所有権に関する事項)と乙区(所有権以外の権利に関する事項)に分かれます。

表題部と権利部(甲区・乙区)の違い

表題部には、土地の所在・地番・地目・地積、建物の種類・構造・床面積などが記載されます。権利部の甲区には所有権の保存や移転に関する登記、乙区には抵当権や地上権、賃借権といった所有権以外の権利に関する登記が記載されます。

所有権移転登記・抵当権設定登記・相続登記の種類

不動産登記にはさまざまな種類があり、不動産売却では所有権保存登記・所有権移転登記・抵当権設定登記・抵当権抹消登記・相続登記が主に関わります。

  • 所有権保存登記:新築時など、初めて所有権を登記するもの
  • 所有権移転登記:売買・贈与・相続などで所有者が変わるときに行うもの
  • 抵当権設定登記:住宅ローンを組むときに金融機関が設定するもの
  • 抵当権抹消登記:ローン完済後に抵当権の登記を消すもの
  • 相続登記:相続によって所有権が移転したことを登記するもの

登記の種類は一覧で見ると多く感じますが、ご自身の不動産に関わる登記の種類は数種類に絞られます。

登記の種類は一覧で見ると多く感じますが、まずは登記事項証明書を取得してご自身の不動産に関わる種類だけ確認すれば十分です。

相続した土地や家に必要な相続登記

親や祖父母から相続した土地や家をそのまま放置している方も少なくありません。相続によって取得した不動産の名義は、相続登記(相続による所有権移転登記)をしなければ更新されません。

不動産登記法第76条の2により、相続人は不動産を相続で取得したと知った日から3年以内に相続登記を申請する義務を負います。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の対象になります。

相続登記をしないまま放置すると、次の相続が発生して共有者が増え、権利関係がさらに複雑になります。土地の売却には、まず現在の所有者名義を正しくしておく必要があり、登記という仕組み自体の基本は登記とは?簡単にわかる仕組みと不動産売却との関係で解説しています。

相続登記は義務化されています。名義が祖父母や曾祖父母のままという土地も珍しくないので、早めの確認をおすすめします。

不動産売却前に外す抵当権抹消登記

住宅ローンを組んで購入した不動産には、金融機関のための抵当権が設定されています。ローンを完済しても抵当権の登記は自動的には消えず、抵当権抹消登記を申請して初めて登記記録から消えます。

抵当権が残ったまま不動産を売却しようとすると、買主への所有権移転登記の前に抵当権を抹消しておく必要があります。実務では、売買代金でローンを完済し、そのタイミングで抵当権抹消登記と所有権移転登記をまとめて行うケースが一般的です。

抵当権抹消登記に必要な登記識別情報や解除証書は金融機関から交付されるため、ローン完済後は紛失しないよう保管しておくことが大切です。

抵当権抹消登記に必要な書類を紛失すると再発行に時間がかかります。完済後の書類はまとめて保管しておきましょう。

共有名義や境界未確定の土地に関わる登記と用語

親から引き継いだ土地は、兄弟姉妹など複数の相続人で共有名義になっていることがあります。また、境界が確定していない土地や、他人の土地を通らないと道路に出られない土地もあります。

共有名義の土地を売るときの登記

共有名義の不動産を売却するには、共有者全員の同意と署名・押印が必要です。共有者の一人が単独で持分だけを売却することは法律上可能ですが、買主が見つかりにくく、不動産全体を売るより価格も下がりやすい傾向があります。共有名義のまま相続が繰り返されると共有者の人数が増え、意思確認がさらに難しくなります。

筆界未確定の土地と地役権の登記

筆界(ひっかい・登記上の土地の境界)が確定していない土地は、隣接地の所有者との間で筆界確定測量を行い、境界を確定させてから売却するのが一般的です。通行や水道管の設置のために他人の土地を利用する権利を地役権(ちえきけん)といい、これも登記(地役権設定登記)によって第三者に対抗できるようになります。隣接地を通らないと公道に出られない土地は袋地(ふくろち)と呼ばれ、それを囲む周囲の土地は囲繞地(いにょうち)と呼ばれます。袋地には法律上一定の通行権が認められています。

共有名義の土地は、誰がどれだけの持分を持っているかが登記記録に記録されます。次の図は、共有名義の登記が示す関係を表したものです。

山本さん
持分1/2(相続登記済み)
←共有名義の登記→
共有者(兄弟姉妹など)
持分1/2

共有名義の登記では、誰がどれだけの持分を持つかが記録されるだけで、共有者全員の同意がなければ不動産全体を売却できないことが分かります。

境界や地役権の有無は登記簿や公図だけでは判断しきれないこともあります。土地家屋調査士に現地を確認してもらうと安心です。

登記事項証明書の取得方法と手数料

自分の土地や家にどんな登記がされているかは、登記事項証明書(旧・登記簿謄本)を取得すれば確認できます。登記事項証明書は法務局の窓口のほか、オンライン申請や郵送でも取得でき、手数料(登記手数料)を納めれば誰でも交付を受けられます。

登記事項証明書の交付手数料は、2025年4月1日の改正後も法務局の窓口での書面請求では1通600円のまま変更されていません。一方、オンライン請求で郵送により受け取る場合は520円、オンライン請求で窓口交付を受ける場合は490円、登記事項要約書の閲覧は500円など、取得方法によって金額が異なります。最新の金額は法務局のホームページで確認しておくと安心です。

これから不動産売却を進める場合は、全体の流れを不動産売却の完全ガイド|流れ・費用・税金と高く売るコツで確認しておくと、登記手続きをどのタイミングで進めればよいかイメージしやすくなります。

登記事項証明書は郵送でも取得できます。法務局まで出向けない場合は、郵送申請の方法をホームページで確認してください。

登記にかかる費用と専門家への依頼

相続登記や所有権移転登記、抵当権抹消登記には、登録免許税や必要書類の取得費用がかかります。税率や必要書類は登記の種類によって異なり、相続関係が複雑な土地ほど戸籍謄本などの書類収集に時間がかかる傾向があります。

自分で申請することも制度上は可能ですが、戸籍謄本の収集や登記原因証明情報の作成など専門知識が必要な作業が多く、実務では司法書士に依頼するケースがほとんどです。境界が未確定の土地や筆界が分からない土地は、土地家屋調査士に筆界確定測量を依頼する必要があります。

登記費用だけでなく、仲介手数料や譲渡所得税なども含めた資金計画を立てておくことが大切で、不動産売却にかかる税金や諸費用の全体像は不動産売却にかかる税金と費用の全体像|いくら手元に残る?で解説しています。

登記費用や税金は不動産の状況によって大きく変わります。見積もりの段階で司法書士や不動産会社に確認しておきましょう。

よくある質問

登記簿謄本と登記事項証明書は同じものですか?

同じ内容を指します。登記記録がコンピュータ化されたことで名称が登記事項証明書に変わりましたが、紙の時代の呼び方として登記簿謄本がいまも使われています。

登記の種類が分からない土地でも不動産会社に相談できますか?

相談できます。登記事項証明書を取得すれば現在の名義や抵当権の有無が分かるため、不動産会社に相談する際に合わせて取得しておくと話がスムーズに進みます。

相続登記をしないまま不動産を売却することはできますか?

できません。相続登記で名義を相続人に移さないと買主への所有権移転登記ができず、売買契約を結んでも決済まで進められません。

共有名義の土地は一部の相続人だけで売却できますか?

土地全体の売却には共有者全員の同意が必要です。自分の持分だけを単独で売却することは法律上可能ですが、買い手がつきにくく、価格も下がりやすい傾向があります。

登記にかかる費用はどれくらいですか?

登録免許税や司法書士への報酬が発生し、登記の種類や不動産の評価額によって金額が変わります。正確な金額は司法書士や法務局に確認することをおすすめします。

登記の種類を理解して不動産売却の準備を進めるために

不動産登記には表題登記・所有権移転登記・抵当権抹消登記・相続登記などの種類があり、それぞれ登記記録の表題部や権利部(甲区・乙区)に記載されます。相続した土地の売却には、まず相続登記で名義を現在の所有者に移し、ローンが残っている場合は抵当権抹消登記を済ませておく必要があります。共有名義や境界未確定の土地は、共有者全員の同意や筆界確定測量など、通常の売却より準備に時間がかかります。ぜひ本記事の登記の種類の整理を参考に、まずは登記事項証明書を取得してご自身の不動産の状態を確認してください。

出典

  • 法務省「不動産登記法」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 法務省「登記手数料令の一部を改正する政令」
  • e-Gov法令検索「不動産登記法」
  • e-Gov法令検索「民法第210条」
  • 法務省「登記手数料について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/)
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