既存不適格とは?売却時の注意点と建て替え制限

建てた当時は適法だったものの、その後の法改正で現在の基準に合わなくなった建物です。違法建築とは違い、そのまま使い続けられます。ただし建て替えると同じ規模を確保できない場合があります。
不動産会社から「この建物は既存不適格です」と説明されて、そのまま家の売却の手続きを進めていいのか迷っていませんか。
既存不適格は、建てた当時は適法だった建物が、その後の法改正で現在の基準に合わなくなった状態を指し、住み続けることも不動産の売却することも可能です。
ただし建て替えの際に今と同じ規模の建物を建てられないことがあり、この点が売却の場面で買主への説明や売却価格に影響します。
本記事では、既存不適格の意味と、家の売却における注意点を解説します。
既存不適格とは
既存不適格は「きぞんふてきかく」と読み、建築基準法第3条2項に規定されている考え方です。
建築確認を受けて建てた当時は適法だった建物が、その後の建ぺい率・容積率・接道義務などの基準変更によって、現在の基準には合わなくなった状態を指します。
違反建築とは異なり、建てた時点で法令に従っていたことが前提のため、行政から是正を求められることはなく、そのまま使い続けられます。
ただし増改築や建て替えを行う際には、原則として現在の基準に合わせる必要があるため、既存不適格の建物を将来どう扱うかは、所有者にとって長く付き合う問題になります。
既存不適格はこんな場面で出てきます
今のお住まいは建築基準法の改正前に建てているので、既存不適格の建物になっていますね。
既存不適格だと、このまま売れるんでしょうか。
はい、売却自体は問題ありません。ただ建て替えると今の延床面積120㎡より、20㎡ほど小さくなる可能性があります。
それって買う方にはちゃんと伝えないといけないんですか。
重要事項説明でお伝えします。査定額2,600万円も、その点を踏まえた金額になっています。
建て替えを考えている買主さんだと、印象が変わりそうですね。
そうですね。接道の状況次第では43条2項の許可が必要になる場合もあるので、役所にも確認しておきますね。
既存不適格と違反建築・再建築不可物件の違い
既存不適格は「違反建築」や「再建築不可物件」と混同されやすい言葉です。
違反建築は建てた当時から法令に違反している建物で、行政から是正指導や是正命令の対象になります。
再建築不可物件は、接道義務を満たしていないなどの理由で、建て替え自体ができない土地・建物のことです。
既存不適格の建物は、再建築不可物件に該当することもあれば、建て替え自体は可能で規模だけが変わるケースもあり、状況によって扱いが分かれます。
既存不適格・違反建築・再建築不可物件の違い
| 項目 | 既存不適格 | 違反建築 | 再建築不可物件 |
|---|---|---|---|
| 建てた時点の適法性 | 適法だった | 違法だった | 適法・違法どちらもありうる |
| 現在の使用 | そのまま使える | 是正指導の対象になりうる | そのまま使える |
| 建て替え | 現行基準に合わせれば可能(規模が縮小することがある) | 是正が必要 | 原則できない |
既存不適格は売るときにどう関わるか
既存不適格の建物を売るときは、不動産会社が重要事項説明の中で、その建物が既存不適格であることと、建て替え時に現在と同じ規模を確保できない可能性があることを買主に説明します。
買主にとっては、購入後に建て替えや増築を考えていた場合に計画が変わる材料になるため、売却価格の交渉材料にされることがあります。
また、金融機関によっては既存不適格の建物を担保にした住宅ローンの審査で担保評価を厳しく見る場合があり、買主の資金計画に影響することもあります。
売主としては、自分の建物がどの基準に対して既存不適格なのか(建ぺい率・容積率・接道義務など)を事前に把握し、不動産会社に伝えておくと、重要事項説明や売却価格の設定がスムーズに進みます。
既存不適格の建て替えるとどうなるか
既存不適格の建物を取り壊して建て替える場合、その時点の用途地域や建ぺい率・容積率など、現行の建築基準法に合わせて設計し直す必要があります。
もともとの建物より延床面積が小さくなったり、接道義務を満たすために建てられる位置や高さが制限されたりすることがあります。
接道義務を満たしていない土地の場合は、43条2項の認定・許可を受けられるかどうかで、建て替えができるかどうかが変わります。
この認定・許可の可否は土地の状況によって個別に判断されるため、建て替えを前提に売却の手続きを進める場合は、事前に特定行政庁の建築指導課などに相談しておくと安心です。
既存不適格の建物を売る前に確認しておきたいこと
売却を検討する段階で確認しておきたいのは、自分の建物がどの基準に対して既存不適格なのかという点です。
役所の建築指導課で「建築計画概要書」や「建築確認台帳記載事項証明書」を取得すると、建築確認を受けた当時の内容が分かり、現在の用途地域や建ぺい率・容積率と照らし合わせることで、どこが基準に合わなくなっているかを確認できます。
あわせて隣接する道路の幅員や接道の状況も調べておくと、建て替え時に43条2項の認定・許可が必要になるかどうかの見通しが立ちやすくなります。
解体して更地で売るか、既存不適格のまま売るかで迷う場合は、「古い家は売れる?
解体すべきか判断基準」で判断のポイントを解説しています。
個別の判断が難しい場合は、建築士や弁護士への相談もおすすめします。
既存不適格についてよくある質問
Q 既存不適格の建物は売れますか。
A 既存不適格であることを理由に売却自体ができなくなるわけではありません。重要事項説明で建物の状況を買主に説明したうえで、そのまま取引されます。
Q 既存不適格と再建築不可物件はどう違いますか。
A 既存不適格の建物は、現行基準に合わせれば建て替え自体は可能な場合があります。一方、再建築不可物件は接道義務を満たさないなどの理由で、原則として建て替えができません。
Q 自分の建物が既存不適格かどうかはどこで確認できますか。
A 役所の建築指導課で建築計画概要書や建築確認台帳記載事項証明書を取得し、現在の用途地域や建ぺい率・容積率と照らし合わせることで確認できます。
Q 既存不適格の建物を取り壊すとどうなりますか。
A 現行の建築基準法に合わせて設計し直す必要があり、延床面積が小さくなったり、接道義務を満たすために43条2項の認定・許可が必要になったりすることがあります。
既存不適格のまとめ
既存不適格は、建てた当時は適法だった建物が、その後の法改正で現在の基準に合わなくなった状態を指し、そのまま使い続けることも不動産の売却することも可能です。
ただし建て替え時に規模が縮小したり、接道義務を満たすために43条2項の認定・許可が必要になったりすることがあるため、不動産の売却の場面では買主への説明と売却価格への影響を意識しておく必要があります。
ぜひ本記事の内容を参考に、家の売却に向けて自分の建物がどの基準に対して既存不適格なのかを確認し、準備を進めてください。
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